ソフトバンクは2026年4月16日、「Oracle Alloy」を採用した「Cloud PF Type A」で、国産LLM「Sarashina」を活用した生成AIサービスを2026年6月から順次提供すると発表した。発表では、企業や自治体におけるデータ主権を備えたAI活用ニーズへの対応が掲げられている。
国産LLMやソブリンクラウドの選択肢が増えることは、機密情報を扱う組織にとって大きい。ただし、RAG導入で本当に詰まるのは、モデル名ではない。社内文書の棚卸し、閲覧権限、検索対象、ログ、回答の根拠表示である。
RAG導入の全体像は社内RAGチャットボット開発の費用と手順で扱っている。本記事では、機密データをAIにつなぐ前の要件定義に絞る。
結論:RAGは「AIを選ぶ前」に文書と権限を決める
RAGで最初に決めるべき項目は、次の6つである。
| 項目 | 決めること |
|---|---|
| 対象文書 | 規程、手順書、FAQ、議事録、契約書など何を検索対象にするか |
| 除外文書 | 個人情報、契約交渉、未公開情報など何を入れないか |
| 閲覧権限 | 部署・役職・案件単位で検索結果を分けるか |
| 更新頻度 | 古い文書をどう検知し、差し替えるか |
| 根拠表示 | 回答に参照元を表示するか |
| ログ | 質問、参照文書、回答、利用者を記録するか |
RAGは社内文書を使うため、通常のチャットAIより業務価値が出やすい。一方で、権限設計を誤ると「見てはいけない文書をAIが要約してしまう」事故が起きる。RAG導入・連携の実務チェックでは、検索方式より先に文書棚卸しを重視する。
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国産LLMやソブリンクラウドが向くケース
| ケース | 理由 |
|---|---|
| 自治体・公共 | 住民情報、内部資料、調達情報を扱う |
| 金融・保険 | 顧客情報、審査、契約、監査ログが重要 |
| 医療・介護 | 要配慮個人情報や記録管理が重要 |
| 製造業 | 図面、品質記録、工程ノウハウが競争力になる |
| 士業 | 顧客相談、契約、税務・法務情報を扱う |
ただし、国産LLMを選べば自動的に安全になるわけではない。データの保管場所、契約条件、学習利用の有無、アクセス制御、監査ログを確認する必要がある。
RAG導入前の文書棚卸し
RAG導入の失敗は、AIの精度ではなく、文書の状態から始まる。
| 文書状態 | 起きる問題 | 対策 |
|---|---|---|
| 古い規程が残っている | AIが古いルールを答える | 更新日と有効期限を管理する |
| 部門ごとに表記が違う | 検索が安定しない | 用語と文書名を揃える |
| PDF画像だけ | 文字検索できない | OCRをかけてテキスト化する |
| 権限が曖昧 | 見せてはいけない情報が出る | 文書単位で権限タグを付ける |
| 根拠がないメモ | 回答品質を検証できない | 参照元を残せる文書に絞る |
文書棚卸しは地味だが、ここを飛ばすとRAGは使われなくなる。社内検索やナレッジ活用の相談はエンタープライズ検索とも相性がよい。
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要件定義に入れるべき非機能要件
| 非機能要件 | 確認内容 |
|---|---|
| セキュリティ | 通信、保管、認証、アクセス制御 |
| ログ | 質問、回答、参照文書、利用者、時刻 |
| 権限連携 | Microsoft Entra ID、Google Workspace、社内IDとの連携 |
| 監査 | 誰がどの文書をAI経由で参照したか追えるか |
| データ削除 | 文書削除時にベクトルDB側も削除されるか |
| 回答制御 | 根拠がない場合に「わからない」と返せるか |
これらは、後から足すと費用が膨らむ。RAGの見積を取る場合は、システム開発の見積書を読む技術に沿って、非機能要件の抜けを確認したい。
よくある質問
Q1. 国産LLMなら社内文書をそのまま入れてよいですか
よくない。国産LLMかどうかとは別に、契約、学習利用の有無、保管場所、アクセス権限、ログを確認する必要がある。
Q2. RAGとファインチューニングはどちらがよいですか
社内規程、FAQ、手順書の検索なら、まずRAGが現実的である。社内文書は更新されるため、モデルに学習させるより、検索対象を更新できるほうが運用しやすい。
Q3. どの部署から始めるべきですか
総務、情シス、カスタマーサポート、品質管理のように、同じ質問や文書参照が多い部署から始めると効果を測りやすい。
参考情報
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ソフトバンク「Cloud PF Type Aで国産LLM Sarashinaを活用した生成AIサービスを2026年6月から順次提供」:https://www.softbank.jp/corp/news/press/sbkk/2026/20260416_02/
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※ 初回相談では、対象文書と権限の現状確認から始めます。
