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ベンダー選定

DXPO東京が本日開幕|展示会で「デモがすごかった」だけで帰らないための7つの質問

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GXO COLUMN

DX推進

展示会から戻った担当者が持ち帰るのは、たいてい名刺の束とパンフレットである。そこから発注に進む案件と、進まないまま忘れられる案件を分けるのは、会場で何を聞いたかで決まる。

DXPO東京が2026年8月18日、東京ビッグサイトで開幕した。公式サイトによれば、会期は前半2日間が8月18日・19日、後半2日間が8月20日・21日で、前半と後半をあわせた出展社数は850社とされている。同サイトには、前半2日間と後半2日間で展示内容・セミナー内容が異なること、および一度の来場事前登録で前半・後半すべての展示会に入場できることが記載されている。来場事前登録については、入場料5,000円が無料になると案内されている。登録の受付状況は日程によって異なるため、来場前に公式サイトで確認されたい。

本稿は会場を取材したものではない。 公開されている開催情報にもとづき、来場前に用意しておく質問を整理したものである。

この記事を読むべき人

  • 今週DXPO東京へ行く予定がある、または社員が行く会社
  • 展示会で名刺交換した先から、後日提案を受けることになりそうな会社
  • AIやDXのツールを比較検討していて、判断基準が定まっていない会社
  • 過去に展示会をきっかけに導入して、うまくいかなかった経験がある会社

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展示会のデモが判断材料にならない理由

展示会のデモは、うまくいくように作られている。 これは出展社が不誠実だからではなく、限られた時間で価値を伝えるには、最も分かりやすい条件で見せるしかないからである。

その結果、デモでは次の要素が省かれやすい。 自社の既存システムとの接続、自社のデータの汚れ、権限の設計、例外処理、運用する人の確保、そして費用の内訳である。

この6つは、GXOが導入可否を判断するときに確認している項目と重なる。 どれも、その場のデモを見ても分からない。だからこそ、会場で時間を使うべきなのはデモを眺めることではなく、省かれた部分を聞き出すことである。

会場で聞く7つの質問

以下はGXOがベンダー選定の支援で使っている質問である。展示会の主催者や出展社が推奨しているものではない。

質問1:この製品は、AIが回答するものですか、業務を実行するものですか。 回答するだけのものと、実際に処理を行うものでは、必要な権限も検証も導入の重さもまったく違う。説明が曖昧な場合、その場で「当社の基幹システムにデータを書き込みますか」と言い換えて聞くと分かる。

質問2:当社が使っている〇〇と接続できますか。実績はありますか。 自社の主要システム名を、あらかじめ紙に書いて持っていく。「接続可能です」と「接続した実績があります」は別の回答である。 実績を聞いたときに事例名や件数が出てくるかを見る。

質問3:利用者の権限と、AIが持つ権限を分けられますか。 分けられない製品では、利用者の権限を超えた操作をAIが実行できてしまう可能性がある。 その場で即答が得られないこともあるので、回答できない場合は後日の文書回答を依頼したい。

質問4:人が承認してから実行する運用にできますか。 自動化の度合いを段階的に上げられるかを確認する。最初から全自動でしか動かない製品は、社内の合意形成が難しい。

質問5:何を、いつ、誰の指示で実行したかのログは残りますか。 残らない場合、問題が起きたときに原因を追えない。 監査や取引先からの照会に答えられない状態になる。

質問6:導入して終わりですか。それとも運用と改善まで支援がありますか。その費用は別ですか。 導入支援の費用と、稼働後の運用支援の費用を分けて聞く。 「サポート込み」という説明の中身を確認する。

質問7:初期費用、月額のライセンス費用、AIの利用量に応じた費用、その他の費用を、それぞれいくらか教えてください。 「お見積もりになります」で終わる場合は、概算の幅だけでも聞く。 幅すら出てこない場合、その場で比較対象から外してよい。

会場の担当者が製品担当ではなく、その場で答えられないこともある。 答えが返らないこと自体を評価にせず、後日に文書で回答をもらう約束まで取り付けて帰りたい。 どの質問に文書回答を約束できたかは、後の比較材料になる。

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その場でもらうべきもの

パンフレットは、あとで読み返しても判断材料になりにくい。会場で入手したいのは次の3点である。

  • 費用の考え方が書かれた資料。 価格表でなくてよいが、何に対して課金されるかが分かるもの。
  • 導入までの標準的な期間と工程が書かれた資料。 「最短1週間」の内訳が分かるもの。
  • 同規模・同業種の導入事例。 大企業の事例しか出てこない場合、自社に当てはまらない可能性が高い。

この3点は、その場で入手できなくても構わない。 会場に持参していないだけのこともある。後日送付を依頼し、いつまでに届くかを確認しておく。 依頼した資料が届くまでの速さと内容は、それ自体が比較材料になる。

持ち帰った後にやること

展示会の効果が消えるのは、たいてい翌週である。

  • 会った当日か翌日のうちに、上記7問の回答を1社1行で書き出す
  • その場で回答が得られなかった項目に印をつけ、後日回答を依頼する
  • 質問3(権限の分離)と質問5(ログ)に回答が得られない会社は、その2点が揃うまで比較表に載せない
  • 残りの印の数は、後日回答の督促の優先順位に使う
  • 回答が揃った会社にだけ、自社の要件を書いた資料を送って提案を依頼する

最後の項目が重要である。 同じ資料を渡して提案を受けると、金額も範囲も同じ土俵に乗る。 各社が別々の前提で提案してくると、そのままでは揃わず、比較したつもりで印象だけで選ぶことになりやすい。

質問3と質問5を先に通す理由は、この2つが製品の作りに強く依存するからである。 権限の分離とログの記録は、IdPとの連携、APIゲートウェイ、別の監査基盤、追加開発などで補える場合もあるが、補うための費用と期間が後から乗ってくる。導入後に「やはり必要だった」と分かってから足すと、当初の見積もりに入っていない工程が発生する。

したがってこの2つは「できない」ではなく、「後から足す場合の方法と費用を書面で確認しておく」項目である。 その回答があるかないかで、比較のしかたが変わる。

よくある質問

Q. 展示会に行く時間が取れない。 A. 行かないという判断は妥当である。展示会は、選択肢を広げるためにも、候補を絞るためにも使える。候補がまだ見えていない段階なら幅を確認する場になり、候補が絞れている段階なら実物と担当者を直接確かめる場になる。すでに要件が固まっていて確認したい点も決まっているなら、個別に提案を受けるほうが早いこともある。

Q. 現場の担当者だけ行かせればよいか。 A. 費用の判断をする人が同行できると効率がよい。担当者だけで行くと、質問7に踏み込めないことが多い。 難しい場合は、7問の紙を渡して持たせたい。

Q. その場で契約を勧められたらどうするか。 A. 会期中の特典を理由に判断を急がせる提案は、いったん持ち帰りたい。7問の回答が揃っていない段階で結ぶと、後から範囲の齟齬が出やすい。特典の適用条件と期限を書面でもらっておけば、持ち帰っても交渉の余地は残る。

Q. 出展社が多すぎて回りきれない。 A. 全部を回る必要はない。自社の課題を1つに絞り、それに関係する出展社だけを事前に選んでおく。 公式サイトには出展社・出展製品の一覧とセミナープログラムが掲載されている。

Q. デモを見ても自社に使えるか分からない。 A. 分からなくて正常である。デモは自社のデータでも自社の業務でもない。 判断は、デモの印象ではなく上記の質問への回答で行いたい。

会期中と、その翌週

展示会で集めた情報は、そのままでは比較できない。同じ土俵に載せる作業が要る。

会期中は集めることに徹してよい。判断は後でよく、その場でやるのは7つの質問を投げることと、答えが返らなかった項目について後日回答を依頼することだけである。

翌週にやるのが本題になる。回答が揃った会社へ、同じ内容の資料を渡して提案を依頼する。この「同じ資料」を用意する作業が、比較の条件をそろえる有力な方法のひとつである。 前提がそろわないまま提案が出てきた場合でも、共通の評価表を作る、重みをつけて採点する、TCOをそろえて計算し直す、不足分を追加質問で補う、といった方法で後から条件を合わせられる。ただし、後から合わせるほど手間がかかる。先に資料をそろえたほうが早い。 何を書くべきかは開発契約と要件定義ガイドに整理してある。AIエージェント製品が候補に入っているならAIエージェント導入前チェックリストを先に通しておきたい。

提案が出そろったあと、金額も範囲もばらばらで比較できないという状態になったときの読み解き方は、ベンダー選定の実務チェックで扱っている。それでも判断がつかない場合、提案と見積もりを相談するで第三者として内容を確認している。

なお、会場を回っても自社に必要なものが見えてこなかった場合は、製品選びより前の段階にいる可能性がある。AI導入前チェックDX成熟度診断は、そこを整理するためのものである。

本稿は開催情報にもとづく来場前の準備に絞っており、出展製品の評価や推奨は行っていない。

参照した情報

東京開催の会場が東京ビッグサイトである旨、前半2日間の会期が2026年8月18日・19日である旨、後半2日間の会期が8月20日・21日である旨、前半と後半をあわせた出展社数が850社とされている旨、前半2日間と後半2日間で展示内容・セミナー内容が異なる旨、一度の来場事前登録で前半・後半すべての展示会に入場できる旨、来場事前登録により入場料5,000円が無料になる旨、および出展社・出展製品一覧と専門セミナープログラム一覧が公開されている旨は、2026年8月18日時点の上記公式サイトを取得して確認した。

出展社数は主催者が公表している数値である。 来場事前登録の受付状況については、公式サイトの「終了しました」の表示が class="hidden" を付与した状態でHTMLに含まれており、表示の切り替えはページ内のJavaScriptが担っている。 そのため、HTMLの文言だけを取り出すと受付終了と受付中の両方が同時に見えてしまう。本稿では受付の可否を断定せず、来場前に公式サイトで直接確認するよう案内している。

セミナーの実施本数、個別の出展社名、および会場での展示内容については確認していないため、本稿では扱っていない。

7つの質問、入手したい3点の資料、持ち帰ったあとの整理手順は、DXPOの主催者や出展社が案内しているものではない。 ベンダー選定の支援を重ねる中でGXOが蓄積してきた確認項目である。個別の製品・出展社について、推奨も非推奨も行っていない。

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