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title: "標準型電子カルテ2026年度本格提供へ|SaaS型・標準API搭載の中身と2030年全医療機関普及ロードマップ" description: "厚労省が2026年度中の完成を目指す標準型電子カルテとは何か。SaaS型・マルチテナント・標準API搭載という中身、電子カルテ情報共有サービスとの関係、旧型カルテのFHIR/標準API改修、2030年ほぼ全医療機関普及ロードマップを、病院・診療所の情シスと医療系SIer向けに整理する。" keyword: "標準型電子カルテ 2026 SaaS 標準API 厚労省 普及 FHIR" slug: "standard-ehr-2026-saas-api-rollout-20260625" date: "2026-06-25" updatedAt: "2026-06-25" category: "業界別DX" tags: ["医療DX","電子カルテ","SaaS","レガシー刷新","FHIR"] author: "GXO株式会社" lead_summary: "標準型電子カルテが2026年度中の本格提供へ。SaaS型・標準API搭載の中身と、2030年ほぼ全医療機関普及までの準備を整理する。"

標準型電子カルテ2026年度本格提供へ|SaaS型・標準API搭載の中身と2030年全医療機関普及ロードマップ

結論:標準型電子カルテは「新製品の登場」ではなく「医療システムが標準APIでつながる時代」への入口である

標準型電子カルテは、厚生労働省が2026年度中の完成を目指して整備を進めているクラウド型の電子カルテである。注目すべきは製品単体の機能ではない。これまで各ベンダーが独自仕様で作ってきた電子カルテが、国の標準仕様・標準APIに沿って相互につながる方向へ動き始めたことが本質である。

2026年3月12日の第28回 健康・医療・介護情報利活用検討会(厚生労働省)で示された資料では、標準型電子カルテを2026年度中に完成させ、2026年夏までに具体的な普及計画を策定する方針が確認できる。あわせて、医療機関どうしが診療情報を共有する「電子カルテ情報共有サービス」は2026年度の冬頃(2027年1・2月頃)の本格運用(全国展開)を目指すとされている。

押さえるべき1点:標準型電子カルテの登場は、電子カルテを「閉じた院内システム」から「標準APIで外部とつながる業務基盤」へ作り替える契機である。情シスとSIerは、製品選定の前にAPI連携・データ移行・改修の論点を整理しておく必要がある。

この記事は、病院・診療所の情報システム担当、および医療系SIerに向けて、標準型電子カルテの中身、旧型カルテのSaaS移行・標準API対応改修、そして2030年までの普及ロードマップを、一次情報をもとに整理する。独自仕様で作り込まれた旧型カルテを標準仕様・APIに対応させる進め方は、レガシー刷新の典型的なテーマとして整理できる。

なお、診療報酬上の医療DX関連加算の取り扱いは本記事の対象外とし、本記事は「製品・仕様・普及ロードマップ」に絞って扱う。

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標準型電子カルテとは何か|SaaS型・標準API搭載の中身

厚生労働省の検討会資料で示されている標準型電子カルテの要件は、小規模医療機関の負担軽減を主眼に置いている。中身を整理すると次のようになる。

要件内容狙い
SaaS型(マルチテナント方式)複数の医療機関が共同利用するクラウドサービス個別構築・個別運用の負担を下げる
ガバメントクラウド対応政府共通のクラウド基盤上での提供を想定全国的な可用性・コスト最適化
標準API搭載関係システムと標準仕様で連携ベンダー独自仕様からの脱却
データ互換性の確保他システムへのデータ引き継ぎが可能ベンダーロックインの緩和

ここで重要なのは、標準型電子カルテが「すべての医療機関を1つの製品に置き換える」ものではない点である。厚生労働省は医療機関の規模・既存システムの違いを踏まえ、対象を分けて整理している。

対象主な方針
診療所(医科クリニック)クラウド型の標準型電子カルテの導入を推進。未導入施設も含めた普及を想定
病院オンプレミス型が主流のため、次回システム更新時に電子カルテ情報共有サービス・電子処方箋管理サービスに対応できる改修を推進

つまり、病院は「標準型電子カルテへの全面乗り換え」ではなく、まず既存システムを共有サービスに対応させる改修が現実的な入口になる。診療所は標準型電子カルテそのものの導入が選択肢に入る。情シスとSIerは、自院・顧客がどちらの軸に乗るのかを最初に確認すべきである。

標準型電子カルテと電子カルテ情報共有サービスの関係

「標準型電子カルテ」と「電子カルテ情報共有サービス」は混同されやすいが、役割が異なる。

項目標準型電子カルテ電子カルテ情報共有サービス
位置づけ院内で診療記録を作るシステム本体医療機関どうしが診療情報を共有・閲覧する全国基盤
主な利用形態SaaS型クラウド支払基金等を経由した情報共有
共有対象(院内の診療記録)3文書6情報を医療機関間で連携
目標時期2026年度中に完成を目指す2026年度の冬頃(2027年1・2月頃)の本格運用を目指す

電子カルテ情報共有サービスで共有が想定される「3文書6情報」は次の通りである(2023年3月に標準化が決定された情報項目)。

  • 3文書:診療情報提供書、退院時サマリー、健康診断結果報告書
  • 6情報:傷病名、アレルギー情報、感染症情報、薬剤禁忌情報、検査情報(救急・生活習慣病)、処方情報

標準型電子カルテは「作る側」、電子カルテ情報共有サービスは「つなぐ側」と捉えると整理しやすい。標準APIは、この両者をつなぐ共通言語にあたる。医療情報の連携では、診療情報の交換規格としてHL7 FHIR(エフアイアール)が国内の標準として位置づけられており、共有サービス対応はFHIRをはじめとする標準仕様への準拠が前提になる。

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旧型電子カルテのSaaS移行・標準API対応改修で何が問題になるか

多くの病院・診療所が使っているのは、ベンダー独自仕様で長年運用してきた電子カルテである。標準API・共有サービスへの対応を進めるとき、現場で問題になりやすいのは次の点である。

旧型カルテの状態対応時の問題現実的な打ち手
データが独自フォーマット標準仕様(FHIR等)へ変換できない変換・マッピング層を設計し、項目を標準コードへ対応づける
外部連携APIがない共有サービスと接続できない連携用API・ゲートウェイを追加する
マスタが院内独自標準コード(傷病名・医薬品等)と突き合わないコード変換テーブルを整備する
オンプレ密結合SaaS・クラウドへ移しにくい段階移行(参照系から先行など)を設計する
データ移行手順が不明過去データの引き継ぎで欠損リスク移行範囲・検証方法を先に決める

ここで強調したいのは、標準API対応は「ボタン一つの設定変更」では済まないことだ。旧システムのデータ構造を標準仕様に合わせる改修、コードマッピング、移行検証は、医療現場の業務を止めない計画とセットで設計する必要がある。これは電子カルテに限らず、独自仕様で作り込まれた基幹システムを標準仕様・APIに対応させるレガシー刷新の典型的なテーマである。

全面刷新が難しい場合でも、共有サービスが必要とする情報だけを抽出・変換して連携する、参照系から段階的に移行する、といった部分対応は可能である。重要なのは、いきなり置き換えるのではなく、自院・顧客のデータと業務に合わせた移行計画を先に描くことである。医療業務の特性を踏まえた進め方は、医療・介護DXの支援の観点とあわせて検討するとよい。

2030年までの普及ロードマップ|情シス・SIerが今やるべきこと

政府は、改正医療法に基づき、2030年(令和12年)までに電子カルテの普及率がおおむね100%となるよう必要な措置を講じる方針を示している。2026年度の本格提供は、その出発点にあたる。

ロードマップを情シス・SIerの視点で時間軸に置き換えると、次のように整理できる。

時期国の動き(目標)病院・診療所側の準備
2026年度中標準型電子カルテの完成を目指す/夏までに普及計画策定自院がどの軸(標準型導入/共有サービス改修)かを確認
2026年度冬頃(2027年1・2月)電子カルテ情報共有サービスの本格運用を目指す共有サービス対応改修・接続テストの計画
2027年度以降普及計画に沿った導入支援の本格化データ移行・標準API対応・運用体制の整備
2030年までおおむね全医療機関への普及を目標標準仕様準拠の定着・運用継続

ここで誤解しやすいのは、「2026年度に何かが自動的に切り替わる」わけではない点である。標準型電子カルテの完成と、各医療機関の導入・改修は別の話だ。情シス・SIerが今やるべきは、製品を待つことではなく、自院・顧客システムのデータ構造、連携API、移行手順を棚卸しし、いつ・何を・どの順で対応するかの計画を先に立てておくことである。

標準型電子カルテ対応 準備チェックリスト

製品の正式提供や普及計画の具体化を待つ前に、確認しておきたい論点を整理した。

区分確認項目
立ち位置自院・顧客は標準型電子カルテ導入軸か、共有サービス改修軸か
現状把握現行カルテのベンダー・データ構造・連携APIの有無
データ過去診療データの形式・量・移行範囲・保管要件
標準コード傷病名・医薬品等のマスタが標準コードに対応づくか
連携電子カルテ情報共有サービス/電子処方箋への接続可否
セキュリティ個人情報・要配慮個人情報の取り扱い、アクセス制御、監査ログ
移行計画業務を止めない切替手順・検証・並行稼働の方法
体制院内運用担当、ベンダー、SIerの役割分担
費用改修・移行・運用の見積もり、支援制度の確認

このチェックリストを早めに埋めておくと、普及計画が具体化したときに「何から手をつけるか」で迷わずに済む。とくにデータ構造とマスタの棚卸しは、対応の難易度と費用を大きく左右する。自院・自組織のDXの現在地を客観的に測ってから計画に入りたい場合は、DX成熟度診断が出発点になる。

よくある質問(FAQ)

Q. 標準型電子カルテはいつから使えますか。 A. 厚生労働省は2026年度中の完成を目指し、2026年夏までに具体的な普及計画を策定する方針を示しています。完成時期と各医療機関での導入時期は別であり、導入は普及計画に沿って段階的に進むと見込まれます。最新の時期は厚生労働省の公表資料で確認してください。

Q. 病院も標準型電子カルテに乗り換える必要がありますか。 A. 厚生労働省の整理では、病院はオンプレミス型が主流であることを踏まえ、まず次回システム更新時に電子カルテ情報共有サービス・電子処方箋管理サービスに対応する改修を推進する方針です。診療所(医科クリニック)は標準型電子カルテの導入が選択肢となります。

Q. 既存の電子カルテのデータは引き継げますか。 A. 標準型電子カルテはデータ互換性の確保が要件に含まれます。ただし旧システムが独自フォーマットの場合、標準仕様への変換・マッピングと移行検証が必要です。移行範囲と手順を事前に設計することが重要です。

Q. FHIRや標準APIに対応していない古いカルテはどうすればよいですか。 A. 連携用のAPIや変換層を追加し、標準仕様に対応づける改修が必要になることが一般的です。全面刷新でなくても、共有サービスが必要とする情報だけを連携する段階対応が可能な場合があります。

Q. 2030年までに必ず導入しなければならないのですか。 A. 政府は2030年までに電子カルテ普及率をおおむね100%とする目標を掲げています。具体的な義務範囲・時期・支援内容は今後の公表に依存するため、厚生労働省の最新情報を確認のうえ判断してください。

この記事を読むべき人

  • 病院・診療所の情報システム担当で、標準型電子カルテ・共有サービスへの対応時期を判断したい
  • 医療系SIerで、顧客医療機関の標準API対応・データ移行を提案・設計する立場にある
  • 院内の旧型電子カルテが独自仕様で、標準仕様への対応可否や費用感を把握したい
  • 経営層から「2030年に向けて何を準備すべきか」を問われている

いつGXOに相談すべきか

  • 旧型電子カルテや院内システムを標準API・共有サービスに対応させる改修の進め方を整理したい
  • 過去診療データの移行範囲・手順・検証方法を、業務を止めずに設計したい
  • ベンダー独自仕様のマスタ・データを標準コードに対応づける作業の難易度を見積もりたい
  • 電子カルテ周辺(予約・会計・各種システム)を含めた医療業務全体のデータ連携を見直したい

GXOでは、ベンダー独自仕様で作り込まれたシステムを標準仕様・APIに対応させるレガシー刷新医療・介護分野のDX支援、業務に合わせたシステム開発、そして連携したデータを活用するデータ基盤・BIを組み合わせ、標準型電子カルテ時代に向けた段階移行を支援します。 → 相談はこちら

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参考資料

本記事は2026年6月25日時点の公開情報をもとに作成。標準型電子カルテ・電子カルテ情報共有サービスの仕様・提供時期・普及計画は今後変更される可能性があるため、最新の内容は厚生労働省の公表資料で確認すること。

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