結論から言うと、2026年7月時点のIT資産管理で最初にやるべきことは、コスト削減率の試算ではなく、Windows 10残存PC、未管理端末、退職者端末、暗号化されていないPCを台帳で特定することだ。 Microsoft公式ライフサイクルでは、Windows 10 Home/Proは2025年10月14日にサポート終了済みで、Version 22H2も同日で終了している。旧版にあった「Windows 10のESU期限が2026年10月に迫る」という表現は不正確なため削除する。
また、「PCライフサイクル最適化でコスト30%削減」といった数字は、企業の台数、購買条件、故障率、リース契約、キッティング体制で大きく変わる。本稿では削減率を公式相場として断定せず、中小企業が90日で整えるべき台帳、更新計画、MDM、廃棄証跡、相談導線を整理する。
目次
2026年7月時点の最優先リスク
中小企業のIT資産管理では、PCが古いこと自体よりも「どの端末が、誰の管理下で、どのデータにアクセスできるか分からない」状態が危険である。Windows 10サポート終了後は、次の優先順位で見る。
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| 優先度 | 確認対象 | 放置した場合の問題 | 最初の対応 |
|---|---|---|---|
| 高 | Windows 10 Home/Pro残存PC | セキュリティ更新の対象外になり得る | 台数、利用者、用途、Windows 11対応可否を確認 |
| 高 | 退職者・異動者のPC | データ残存、アカウント残存、棚卸し漏れ | 回収状況、初期化、再配布、廃棄証跡を確認 |
| 高 | 暗号化されていないノートPC | 紛失時の情報漏えいリスク | BitLocker等の暗号化状態を台帳化 |
| 中 | ローカル管理者権限の乱用 | 不正アプリ、設定変更、マルウェアリスク | 管理者権限の付与基準を整理 |
| 中 | 未管理SaaS・ライセンス | 二重契約、退職者アカウント残存 | SaaS台帳と請求書を突合 |
Microsoft公式ページでは、Windows 10 Home/Proのサポート終了日が2025年10月14日と示されている。ESU、LTSC、仮想デスクトップなど例外的な延長手段は契約やエディションで扱いが異なるため、個別にMicrosoftの現行ドキュメントと契約内容を確認する。
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IT資産台帳に入れる項目
台帳は最初から高価なツールでなくてもよい。30台程度ならスプレッドシートで始め、50台を超えたらMDMや資産管理ツールとの連携を検討する。重要なのは、購買台帳ではなく「運用判断に使える台帳」にすることだ。
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| 項目 | 記録する理由 | 判断に使う場面 |
|---|---|---|
| 資産番号・シリアル番号 | 端末を一意に識別する | 紛失、廃棄、保証確認 |
| 利用者・部署 | 責任者を明確にする | 退職、異動、端末回収 |
| OS・バージョン | サポート状況を確認する | Windows 10残存、Windows 11移行 |
| CPU・メモリ・ストレージ | 更新可否を判断する | Windows 11要件、業務性能 |
| 購入日・保証期限 | 更新計画を立てる | 年度予算、故障対応 |
| 暗号化状態 | 紛失時のリスクを下げる | BitLocker、FileVault確認 |
| MDM登録状況 | 遠隔管理の対象を確認する | ポリシー適用、リモートワイプ |
| 主要SaaS・権限 | データアクセスを把握する | 退職者処理、監査 |
| 廃棄・再利用履歴 | 証跡を残す | データ消去証明、リース返却 |
台帳は一度作って終わりではない。入社、退職、異動、修理、再配布、廃棄のたびに更新されなければ、半年で使えない資料になる。GXOが支援する場合は、総務・情シス・経理のどこが更新責任を持つかを先に決める。
PCライフサイクルの決め方
PC更新サイクルは「一般業務用は4年」などの固定ルールだけでは決めない。保証期限、OSサポート、バッテリー、業務負荷、セキュリティ要件、調達予算を組み合わせて決める。
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| 端末タイプ | 更新判断の目安 | 注意点 |
|---|---|---|
| 一般事務PC | 保証期限、OS対応、業務アプリの動作 | 台数が多いため年度別に平準化する |
| 開発・制作PC | CPU、メモリ、ストレージ、GPU、ビルド時間 | 生産性低下を人件費で見る |
| 経営層・営業ノートPC | 暗号化、紛失対策、バッテリー、持ち出し頻度 | MDMとリモートワイプを優先 |
| 受付・共用PC | 利用時間、設置場所、権限 | 共用アカウントの扱いを厳格にする |
| 現場・店舗端末 | 破損率、ネットワーク、周辺機器 | 交換機、予備機、キッティング手順が重要 |
年度予算では、全台一括更新よりも、サポート終了、保証切れ、業務影響度、セキュリティリスクで優先順位を付ける。特にWindows 10残存PCは、Windows 11対応可否だけでなく、業務アプリや周辺機器がWindows 11で動くかを確認する。
MDM・資産管理ツールの選び方
MDMや資産管理ツールは、価格表だけで選ぶと失敗しやすい。必要なのは「何を遠隔で管理したいか」を決めることだ。
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| 管理したいこと | 必要な機能 | 確認するポイント |
|---|---|---|
| OS・端末情報の把握 | インベントリ収集 | Windows、macOS、iOS、Androidの対応範囲 |
| 暗号化・画面ロック | セキュリティポリシー | BitLocker、FileVault、パスコード強制 |
| 退職者端末の回収 | リモートロック・ワイプ | 実行権限、証跡、誤操作防止 |
| アプリ配布 | ソフトウェア配信 | Microsoft 365、業務アプリ、ブラウザ拡張 |
| 操作ログ・監査 | ログ取得・レポート | どのログが必要か、保存期間、閲覧権限 |
| SaaSアカウント管理 | ID連携 | Microsoft Entra ID、Google Workspace等との連携 |
Microsoft 365を使っている企業ではIntuneが候補になりやすいが、操作ログや国産サポートを重視する場合は別製品が合うこともある。価格・機能は頻繁に変わるため、記事内の固定単価で比較せず、公式価格表と販売代理店見積で確認する。
廃棄とデータ消去の証跡
PC廃棄は、単なる廃品処理ではなく情報管理の最終工程である。NIST SP 800-88 Rev. 2は、メディアサニタイズを、対象データへのアクセスを一定の努力水準で困難にするプロセスとして説明し、情報の機微性に応じたサニタイズプログラム、手法、管理策を整えることを求めている。
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| 手順 | 実施内容 | 証跡 |
|---|---|---|
| 1 | 廃棄対象を台帳で確定 | 資産番号、利用者、廃棄理由 |
| 2 | 必要データを移行 | 移行先、確認者、完了日 |
| 3 | アカウント・MDMを解除 | SaaS権限、端末管理解除ログ |
| 4 | データ消去または物理破壊 | 消去方式、実施者、証明書 |
| 5 | 廃棄・返却を記録 | 返却日、業者、証明書保管場所 |
SSD、HDD、スマートフォン、タブレットでは適切な消去方法が異なる。工場出荷状態への初期化だけで十分か、暗号化消去、Secure Erase、物理破壊が必要かは、保存データの機密性と再利用・廃棄の方針で決める。
90日で進める実装手順
1〜30日目: 見える化
- 全PC、スマートフォン、タブレット、共有端末を棚卸しする
- Windows 10残存PC、暗号化なしPC、MDM未登録PCを抽出する
- 退職者・異動者に紐づく端末とSaaSアカウントを確認する
- 台帳の更新責任者を決める
31〜60日目: 方針決定
- Windows 11移行、買い替え、ESU等の例外対応を分類する
- MDM・資産管理ツールの要件を定義する
- 端末購入、リース、再利用、廃棄の基準を決める
- 廃棄証明書、データ消去証明書の保管ルールを決める
61〜90日目: 仕組み化
- MDM登録を開始し、暗号化・ロック・更新ポリシーを適用する
- 新入社員、退職者、異動者の端末フローを標準化する
- 年度別更新計画と予算を作る
- 月次で未管理端末・保証切れ・OSサポート切れを確認する
PC台帳・MDM・Windows 11移行を一度に整理したい方へ
GXOは、IT資産台帳、Windows 10残存端末の棚卸し、MDM導入、廃棄証跡、既存システムとの連携まで支援します。Excel台帳から始めたい企業も、Microsoft 365やGoogle Workspaceと連携した仕組みに移行したい企業も相談できます。
※ オンライン対応可 | 現状台帳なしでも相談可 | 情シス不在企業も対応
FAQ
Q1. Windows 10 PCは今すぐ使えなくなりますか?
使えなくなるわけではないが、Microsoft公式ライフサイクルではWindows 10 Home/Proのサポートは2025年10月14日に終了している。業務利用では、Windows 11移行、ESU等の契約確認、端末入れ替え、ネットワーク分離などを検討する。
Q2. 台帳はExcelで始めてもよいですか?
よい。重要なのは、資産番号、利用者、OS、暗号化、MDM登録、保証期限、廃棄履歴が更新され続けることである。台数が増えたら、MDMや資産管理ツールと連携する。
Q3. リースと購入はどちらがよいですか?
初期費用、会計処理、故障対応、廃棄、増減の柔軟性で判断する。記事内で固定の優劣を断定せず、総所有コスト、キャッシュフロー、管理工数を自社条件で比較する。
Q4. 廃棄時は初期化だけで十分ですか?
十分とは限らない。保存データの機密性、媒体の種類、再利用・廃棄の方針に応じて、消去、暗号化消去、物理破壊、証明書取得を選ぶ。NIST SP 800-88 Rev. 2などの考え方を参照し、証跡を残す。
公式情報・確認日
- Microsoft Lifecycle: Windows 10 Home and Pro(確認日: 2026年7月1日): https://learn.microsoft.com/en-us/lifecycle/products/windows-10-home-and-pro
- NIST SP 800-88 Rev. 2 Guidelines for Media Sanitization(確認日: 2026年7月1日): https://csrc.nist.gov/pubs/sp/800/88/r2/final
- NIST SP 800-88 Rev. 1 withdrawn notice(確認日: 2026年7月1日): https://csrc.nist.gov/pubs/sp/800/88/r1/final







