GXO
生成AI利用ルール

行政の生成AI調達ガイドライン(DS-920)を自治体の発注に翻訳する|調達・利活用の進め方

15分で読める

QUICK CHECK

本文を読みながら、自社で進めるべきか、相談前に何を整理するかを確認できます。

5分で自社の状況を診断する

GXO COLUMN

業務改善

目次

結論:自治体の生成AI調達は「標準ガイドラインに沿った要件定義」から始める

自治体・行政機関で生成AIを使う動きが広がっている。だが「便利そうだから導入する」だけでは、住民情報の取り扱いや調達の妥当性で後からつまずく。デジタル庁は、行政が生成AIを調達・利活用するための標準的な進め方を「DS-920」として示している。これを土台に、自治体は何をAIに任せ、どんな要件でベンダーを選ぶかを発注前に設計する必要がある。

  • デジタル社会推進標準ガイドライン DS-920「行政の進化と革新のための生成AIの調達・利活用に係るガイドライン」は、デジタル庁が令和7年(2025年)5月27日に公表した、行政機関・自治体向けの標準ガイドラインである。

  • 2026年1月の先進的AI利活用アドバイザリーボードでは、対象を音声入出力・画像生成・AIエージェント型システムへ広げるなど、ガイドライン充実に向けた改定方針案が議論されている。生成AIの利活用の幅が広がる前提で読む必要がある。

  • 自治体にとっての本質は「調達の段階で、利活用の目的・リスク・責任分界・ベンダーへの要件を標準に沿って定義できているか」にある。

  • 汎用のAI事業者ガイドライン(第1.2版)を土台に、行政固有の調達・公共性の観点を上乗せして読むのが現実的な順序である。

AI ASSESSMENT

PoC の前に「そもそも使えるか」を30分で見極めませんか?

情シス部門の稟議書作成をサポートする無料の30分壁打ち。費用対効果 試算シート・失敗要因チェックリストをその場で共有します。

30分壁打ちを予約

なぜ自治体の生成AI調達で失敗が起きるのか

「ツール導入」と「行政としての利活用設計」は別物

生成AIの導入を「便利なツールを入れること」と捉えると、住民の情報をどう守るか、AIの誤りに行政としてどう責任を持つか、調達がどんな根拠で妥当かといった行政固有の論点が抜け落ちる。行政の利活用は、業務効率化の前に「公共として説明できる形で使えるか」を満たす必要がある。標準ガイドラインは、その設計を調達・利活用の段階から進めるための物差しになる。

この「目的とリスクを定義せずに発注する」構図は、AI開発全般の失敗とも重なる。規制・ガイドライン準拠を確認せず進める失敗は、AI開発発注の失敗図鑑(規制・ガイドライン準拠)でも扱っている。本記事はその行政版として、調達への落とし込みに踏み込む。

標準ガイドラインを「読んだだけ」で要件に落ちていない

DS-920のような標準ガイドラインは、読むだけでは調達仕様にならない。利活用の目的、扱う情報の範囲、人間の確認をどこに挟むか、ベンダーに求める要件、運用後の監視といった項目を、自治体の業務に合わせて具体化する必要がある。ここを飛ばすと「ガイドラインは参照したが、調達仕様は曖昧」という状態になり、ベンダー提案の比較もできない。

DS-920の位置づけを正しく理解する

標準ガイドラインとしての性格

項目内容
文書名行政の進化と革新のための生成AIの調達・利活用に係るガイドライン(DS-920)
位置づけデジタル社会推進標準ガイドライン群の一つ
公表主体デジタル庁
公表日令和7年(2025年)5月27日
対象行政機関・自治体の生成AIの調達・利活用
適用の考え方令和8年度以降の調達が対象。令和7年度はできる限り準拠することが望ましいとされる
改定の動き2026年1月、対象拡大(音声入出力・画像生成・AIエージェント型)など充実に向けた改定方針案を議論

DS-920は、行政が生成AIを「調達」し「利活用」する両局面を対象に、標準的な進め方を示すものである。適用の考え方として、令和8年度以降の調達が対象とされ、令和7年度についてはできる限り準拠することが望ましいと整理されている。2026年に入って、テキスト中心だった対象を音声・画像・AIエージェント型へ広げる方向で見直しが議論されており、利活用の幅が広がる前提で読むことが求められる。

改定の方向性をふまえて読む

2026年1月の先進的AI利活用アドバイザリーボードでは、ガイドライン充実に向けた改定方針案が示された。対象の拡大は、生成AIが文章生成だけでなく音声対応や画像生成、さらには自律的にタスクを進めるAIエージェントへと使われ始めていることの反映である。自治体が今後の調達を設計するうえでは、最新版だけでなくこうした改定の方向性も視野に入れておきたい。AIエージェントの利活用を検討する場合は、権限付与や人による判断の介在の設計が論点になる(AIエージェント開発)。

FREE DOWNLOAD

AI導入チェックリスト(PoC 失敗要因 10項目)

情シス部門が PoC 前に押さえるべき失敗要因を10項目に整理した無料チェックリスト。

調達・利活用への翻訳

まず「導入可否と要件」を切り分ける

自治体が生成AIを調達する前に、「どの業務に、どんな目的で使い、どこにリスクがあり、人間の確認をどこに残すか」を整理する必要がある。実現可能性と要件を第三者の視点で切り分けたい場合は、AI導入可否アセスメントが有効である。住民情報の保護など安全管理の観点は、セキュリティ支援とあわせて点検したい。具体的な開発・実装まで踏み込む段階では、AI開発DX・システム開発のサービス内容も参考になる。

調達前チェックリスト(自治体向け)

  • 生成AIを使う業務・目的と、扱う情報(住民情報を含むか)の範囲を整理したか

  • DS-920など標準ガイドラインに沿って、利活用の方針・リスク・責任分界を定義したか

  • 改定の方向性(音声・画像・AIエージェント型への対象拡大)をふまえ、将来の利活用も視野に入れたか

  • ベンダーに求める要件(データの取り扱い、説明可能性、人間の確認点、運用後の監視)を調達仕様に落としたか

  • AIの誤り・情報漏えいが起きた場合の検知・連絡・復旧の手順を定めたか

  • 汎用のAI事業者ガイドライン上の自組織の立場を切り分けたうえで、行政固有の公共性・調達の観点を上乗せしたか

参考にした一次情報(文書名+URL)

※本記事は公表時点の情報に基づく。改定方針案は議論段階のものであり、最終的な内容・適用は今後変わり得る。最新版および適用範囲はデジタル庁の一次情報で必ず確認すること。

関連記事

GXOの見解

AI導入はツール追加ではなく、業務フロー、権限、ログ、停止条件、責任分界を同時に設計する経営課題として扱う。

GXOはPoC単体ではなく、現場業務に残る承認、例外処理、監査証跡まで見て本番運用に落とすべきだと見る。

GXOは、AI活用の構想整理から要件定義、社内ルール、システム連携、運用改善まで一気通貫で支援します。

実務判断のポイント

この記事を読むべきなのは、経営者、DX責任者、情シス、開発責任者です。単に情報を把握するだけでなく、AI導入前の業務棚卸し、権限設計、PoC、本番運用、AI利用規程の相談に進めるべきかを判断するための材料として整理する必要があります。

GXOが重視するのは、話題性の高さよりも「自社の業務、データ、権限、予算、運用責任にどう影響するか」です。行政の生成AI調達ガイドライン(DS-920)を自治体の発注に翻訳する|調達・利活用の進め方に関する検討では、担当者だけで判断を閉じず、経営、現場、情シス、外部パートナーの役割を早い段階で分けることが重要です。

放置した場合と整備した場合の違い

観点放置した場合整備した場合
業務影響属人的な判断が増え、対応の優先順位がぶれやすい影響範囲、期限、責任者を決めて進められる
投資判断ツール導入や外注費だけが先行し、効果測定が曖昧になる売上、工数削減、リスク低減の指標にひも付けられる
現場運用例外処理や承認フローが残り、定着しにくい権限、ログ、教育、改善サイクルまで設計できる
経営報告問題が発生してから説明資料を作ることになる月次で状況、課題、次の打ち手を説明できる

導入・改善前のチェックリスト

  • 対象業務、対象部門、対象データを明文化しているか
  • 現在の課題を、売上機会、原価、工数、リスクのいずれかに分解しているか
  • 既存システム、SaaS、Excel、手作業の依存関係を棚卸ししているか
  • 例外処理、承認、差し戻し、監査証跡まで確認しているか
  • 社内で判断できる範囲と外部支援が必要な範囲を分けているか
  • 初期費用だけでなく、保守、運用、教育、改善費用を見積もっているか
  • 成功指標を、問い合わせ数、商談数、削減時間、停止リスクなどで定義しているか
  • 実装後の責任者、更新頻度、レビュー会議の持ち方を決めているか
  • セキュリティ、法務、個人情報、契約条件の確認ポイントを洗い出しているか
  • 既存の問い合わせ、商談、障害、運用ログから優先順位を決めているか
  • 経営判断に必要な資料を1枚で説明できる状態にしているか
  • 次の90日で検証する範囲と、やらない範囲を明確にしているか

GXOの実務補足

AI導入はツール追加ではなく、業務フロー、権限、ログ、停止条件、責任分界を同時に設計する経営課題として扱う。

GXOはPoC単体ではなく、現場業務に残る承認、例外処理、監査証跡まで見て本番運用に落とすべきだと見る。

GXOは、AI活用の構想整理から要件定義、社内ルール、システム連携、運用改善まで一気通貫で支援します。記事のテーマを単なる情報収集で終わらせず、相談、診断、要件定義、実装、運用改善に接続することで、AIアセスメント、PoC、業務システム連携、AIエージェント運用設計へ接続。さらに、診断テンプレートと標準設計を使い、短期診断から継続伴走へ展開。

相談につながる進め方

  1. 現在の業務、データ、ツール、担当者を棚卸しする
  2. 売上拡大、工数削減、リスク低減のどれに効くテーマかを決める
  3. 初期対応、90日以内の改善、半年以上の投資を分ける
  4. 必要な社内体制、外部支援、予算、セキュリティ確認を整理する
  5. 小さく検証し、効果測定後に本番化や横展開を判断する

よくある質問(FAQ)

Q1. DS-920とは何か。

デジタル庁が令和7年(2025年)5月27日に公表した、デジタル社会推進標準ガイドラインの一つで、正式名称は「行政の進化と革新のための生成AIの調達・利活用に係るガイドライン」である。行政機関・自治体が生成AIを調達・利活用する際の標準的な進め方を示す。

Q2. 2026年に何が変わるのか。

2026年1月の先進的AI利活用アドバイザリーボードで、対象を音声入出力・画像生成・AIエージェント型システムへ広げるなど、ガイドライン充実に向けた改定方針案が議論されている。議論段階のため最終的な内容は今後変わり得るが、生成AIの利活用の幅が広がる前提で調達を設計することが望ましい。

Q3. ガイドラインを読めば調達仕様になるのか。

ならない。標準ガイドラインは、利活用の目的・扱う情報の範囲・人間の確認点・ベンダーへの要件・運用後の監視といった項目を、自治体の業務に合わせて具体化して初めて調達仕様になる。ここを飛ばすとベンダー提案の比較もできない。

Q4. 何から着手すべきか。

どの業務に、どんな目的で生成AIを使い、どこにリスクがあるかを整理し、要件を切り分けることが出発点になる。第三者の視点で導入可否と要件を整理するアセスメントから着手するのが現実的である。

自治体・行政機関の生成AI調達と利活用設計、ベンダー選定・要件定義に不安があれば、まずは無料相談で現状を整理することをおすすめする。

自治体の生成AI調達を相談する → GXO お問い合わせ

参考情報

  • 制度、価格、仕様、脆弱性、法務、セキュリティに関する判断は、公開時点の公式情報と一次情報を確認したうえで更新してください。

ISSUE HUB

セキュリティリスクを減らしたいの全体像を見る

関連する中カテゴリ・小カテゴリ・記事を横断し、課題の整理、優先順位、解決策をまとめて確認できます。

課題別ハブを見る

CATEGORY CLUSTER

同じ課題で読む

この記事の親カテゴリと近い小カテゴリをたどると、課題の全体像から具体的な解決策まで順に確認できます。

関連 HUB

この記事は以下の業種・悩み hub にも掲載されています。同じテーマの実務ナレッジと支援サービスをまとめてご覧いただけます。

お気軽にご相談ください

AI・DXに関するご質問やお見積もりなど

無料相談する

FREE DOWNLOAD

この記事と関連する 実践資料

費用相場、選定チェックリスト、補助金活用など、続きをより深く掘り下げた資料を無料でダウンロードできます(営業電話なし / 即DL / 社内共有OK)。

CONTACT

まずは 無料相談 から始めませんか。

サービスについてのご相談・ご質問などお気軽にお問い合わせください。
※ 営業電話はしません | オンライン対応可 | 相談だけでもOK