DX相談が失敗する典型は、初回相談でツールの話から始めてしまうことだ。SFA、MA、RPA、AI、BI、ERPなどの候補を並べても、経営課題と現場業務に接続していなければ投資判断は進まない。

この記事では、DX相談を商談、稟議、実行計画につなげるために、最初の90日で決めるべき議題を整理する。


1. 初回相談で決める議題

初回相談では、解決策を決めきる必要はない。まずは、どの課題をDXテーマとして扱うかを決める。

議題確認内容
経営課題売上、粗利、人手不足、納期、品質、解約率など
業務課題現場で時間がかかる作業、ミスが多い作業
データ課題数字が見えない、部門ごとに定義が違う、集計が遅い
システム課題古い、つながらない、使われない、保守できない
体制課題情シス不足、現場協力不足、ベンダー依存
この時点で重要なのは、全部を解決しようとしないことだ。最初の90日は、成果が出る可能性が高いテーマに絞る。

2. 30日目までにやること

最初の30日は、現状把握と優先順位づけに使う。

  • 業務フローの棚卸し
  • Excel、紙、SaaS、基幹システムの利用状況確認
  • 部門別の困りごとヒアリング
  • データの所在確認
  • 投資候補の粗い費用感整理
  • 既存契約やライセンスの確認

この段階では、まだ開発見積もりを細かく取るよりも、投資テーマを絞る方が重要だ。

3. 60日目までにやること

60日目までに、候補テーマを比較できる状態にする。

比較軸見るポイント
効果工数削減、売上影響、ミス削減、リードタイム短縮
難易度データ、既存システム、現場負荷、権限
費用初期費用、月額費用、保守費、教育費
期限法令、補助金、繁忙期、契約更新
体制社内担当、決裁者、現場協力、外部支援
比較表を作ると、経営会議で「なぜこのテーマから始めるのか」を説明しやすくなる。

4. 90日目までに決めること

90日目までに決めるべきことは、次の5つだ。

  1. 最初に取り組むDXテーマ
  2. 使う手段: SaaS、既存改修、スクラッチ開発、AI、業務改善
  3. 初期リリース範囲
  4. 予算と稟議材料
  5. 実行体制と意思決定ルール

ここまで決まると、DX相談は「情報収集」から「プロジェクト化」に進む。

5. DX相談で避けるべきこと

  • ツール選定から始める
  • 経営課題と現場課題を分けて考える
  • 情シスだけに背負わせる
  • いきなり全社展開する
  • KPIを決めずにPoCを始める
  • 既存システムの制約を見ない

DXは、ツール導入ではなく業務と意思決定の再設計だ。小さく始める場合でも、どの数字を改善するのかを先に決める必要がある。

まとめ

DX相談を成果につなげるには、最初の90日で「何を、なぜ、どの順番で、いくらで、誰が進めるか」を決めることが重要だ。相談段階では、正解を持っている必要はない。むしろ、論点を整理して選択肢を減らすことが価値になる。

GXOでは、DX相談、業務棚卸し、投資テーマの優先順位づけ、稟議材料、システム開発・AI開発への接続まで支援できます。

GXO実務追記: システム開発・DX投資で発注前に確認すべきこと

この記事のテーマは、単なるトレンド紹介ではなく、要件定義、費用、開発体制、ベンダー選定、保守運用を決めるための検討材料です。検索で情報収集している段階でも、発注前に次の観点を整理しておくと、見積もりのブレ、手戻り、ベンダー依存を減らせます。

まず決めるべき3つの論点

論点確認する内容未整理のまま進めた場合のリスク
目的売上拡大、工数削減、リスク低減、顧客体験改善のどれを優先するか成果指標が曖昧になり、PoCや開発が終わっても投資判断できない
範囲対象部署、対象業務、対象データ、対象システムをどこまで含めるか見積もりが膨らむ、または重要な連携が後から漏れる
体制自社責任者、現場担当、ベンダー、保守運用者をどう置くか要件確認が遅れ、納期遅延や品質低下につながる

費用・期間・体制の目安

フェーズ期間目安主な成果物GXOが見るポイント
事前診断1〜2週間課題整理、現行確認、投資判断メモ目的と範囲が商談前に整理されているか
要件定義 / 設計3〜6週間要件一覧、RFP、概算見積、ロードマップ見積比較できる粒度になっているか
PoC / MVP1〜3ヶ月検証環境、効果測定、リスク評価本番化判断に必要な数値が取れるか
本番導入3〜6ヶ月本番環境、運用設計、教育、改善計画導入後の運用責任と改善サイクルがあるか

発注前チェックリスト

  • [ ] 発注前に目的、対象業務、利用者、現行課題を1枚に整理したか
  • [ ] 必須要件、将来要件、今回はやらない要件を分けたか
  • [ ] 見積比較で、開発費だけでなく保守費、運用費、追加改修費を見たか
  • [ ] ベンダー選定で、体制、実績、品質管理、セキュリティ、引継ぎ条件を確認したか
  • [ ] 検収条件を機能、性能、セキュリティ、ドキュメントで定義したか
  • [ ] リリース後3ヶ月の改善運用と責任分界を決めたか

参考にすべき一次情報・公的情報

上記の一次情報は、社内稟議やベンダー比較の根拠として使えます。一方で、公開情報だけでは自社の現行システム、業務フロー、データ状態、予算制約までは判断できません。記事で一般論を把握した後は、自社条件に落とした診断が必要です。

GXOに相談するタイミング

次のいずれかに当てはまる場合は、記事を読み進めるだけでなく、早めに相談した方が安全です。

  • 見積もり依頼前に、要件やRFPの粒度を整えたい
  • 既存ベンダーの提案が妥当か第三者視点で確認したい
  • 補助金、AI、セキュリティ、レガシー刷新が絡み、判断軸が複雑になっている
  • 社内稟議で費用対効果、リスク、ロードマップを説明する必要がある
  • PoCや診断で終わらせず、本番導入と運用改善まで進めたい

DX相談で最初の90日に決めること|経営・情シス・現場を動かす議題テンプレートを自社条件で診断したい方へ

GXOが、現状整理、RFP/要件定義、費用対効果、ベンダー比較、導入ロードマップまで実務目線で確認します。記事の一般論を、自社の投資判断に使える形へ落とし込みます。

システム開発費用・要件診断を相談する

※ 初回相談では営業資料の説明よりも、現状・課題・判断材料の整理を優先します。