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SB C&Sが社内AI活用率86%を達成した方法から考える、定着を測る指標の設計

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COLUMN

この記事は、AI定着を測るための指標設計を担うDX推進担当・情シス・HR担当者向けです。活用率の次に「品質・リスク・成果の方針をどう設計するか」を検討したい方には、姉妹記事「AI活用率だけでは危ない|品質・リスク・成果で測る社内AI方針の作り方」も参照してください。


SB C&Sの事例:何が86%を支えたか

SB C&S株式会社(ソフトバンクグループ子会社)は2026年5月26日、同社公式サイトおよびプレスリリースで、全社員約2,000人を対象とした社内AI活用率が2026年3月の月間利用実績で**86%**に達したと発表しました(報道・プレスベース。以下、同社発表内容に基づく)。

この86%という数字を支えた取り組みを、同社の発表から整理します。

取り組み内容
専用AIサービスの整備自社開発の社内AIチャット「CASAI(SB C&S AI CHAT)」を全社員に提供
活用テーマの明示文章生成・言語翻訳・資料作成・企画アイデアの壁打ちなど具体的な用途を示す
定期的な社内教育2025年度に53回の社内セミナーを開催し、延べ3,997名が参加
eラーニングの提供特定担当者への依存を避けるため全社員がスキルを習得できる体制
活用事例の社内共有成功プロンプト・活用例・禁止例を継続的に共有

注目すべきは「使える環境を作った」だけでなく、「使われ方を設計した」点です。ツール配布だけで終わらせず、活用テーマ・教育・共有の3点をセットで動かしたことが定着を支えています。

なお、同社の業種・規模・既存システム環境は中堅企業と異なります。86%という数値をそのまま自社目標にするのではなく、何の指標をどう測るかの設計の参考として読むことをお勧めします。


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AI定着を測る5つの指標

「AI活用率」は定着を測る1つの側面に過ぎません。高い利用率でも成果が出ていなければ次の投資判断ができません。以下の5指標をセットで設計することを推奨します。

指標1:利用率(月次)

定義:対象部門・対象ツールで月1回以上利用した社員の割合。

計測:ツールのログイン記録またはアクセスログで算出。

注意点:利用率は「試した人の割合」であり、業務改善への貢献とは別物です。

指標2:継続利用率(週次)

定義:週3回以上継続的に利用している社員の割合。

計測:週次ログイン頻度の分布を追う。

意味:一過性のブームで止まっていないかを確認します。継続率が上がらない場合、業務テーマが合っていないか、出力の品質に問題がある可能性があります。

指標3:業務別削減時間

定義:AI活用前後での対象業務の所要時間の差。

計測:導入前後で対象業務のサンプル計測(例:議事録作成20分→5分)。

意味:経営への説明と次の投資判断の根拠になります。「月合計○時間削減=○人分の工数」に換算することで稟議を通しやすくなります。

指標4:品質指標(誤回答・差し戻し数)

定義:AI出力を使った業務で発生した誤回答件数・差し戻し件数・修正作業時間。

計測:週次または月次でサンプルレビューし、エラー件数を記録。

意味:利用率が高くても品質が低ければ、AI使用が手戻りを増やしているだけです。品質指標が悪化している場合、プロンプト・データ品質・対象業務の見直しを行います。

指標5:教育完了率と更新研修受講率

定義:AI利用ルール研修の受講完了率と、四半期更新研修の受講率。

計測:LMS(学習管理システム)または研修出席記録。

意味:教育が形骸化すると、禁止入力・個人情報の取り扱い・誤回答時の対応がばらつきます。新入社員・異動者向けの随時研修も設計に含めます。


KPIダッシュボードの設計例

月次で経営に報告するKPIダッシュボードを以下の構成で設計することを推奨します。

指標単位目標値の設定方法改善アクションの目安
部門別月次利用率%初月の実績から+10%/四半期50%未満の部門は業務テーマを再確認
週次継続利用率%月次利用率の50%以上を目標20%未満は業務との接続を見直し
主要業務の削減時間時間/月対象業務の工数×20%削減削減ゼロならAIの役割範囲を広げる
AI出力の差し戻し件数件/月初月比50%削減(3か月後)増加している場合はデータ品質か権限範囲を確認
教育完了率%100%(対象全員)80%未満は全社通知と個別フォロー
リスク報告件数件/月0件(目標)+件数の推移追跡増加傾向なら禁止入力一覧の更新を検討

目標値は自社のベースライン(導入初月の実績)から設定します。SB C&Sのような大企業の数値をそのまま目標にすると、組織規模・体制・既存ツール環境の違いから達成困難になります。


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指標を改善に使うサイクル

月次KPIを眺めるだけでは改善は起きません。以下のサイクルを設計します。

  1. 月次レビュー会議(30分):部門別利用率・削減時間・差し戻し件数を確認し、下位部門の原因を1つ特定する
  2. 原因分類:業務テーマの不一致 / データ品質の問題 / 教育不足 / 技術的問題 / 権限設定の誤り
  3. 改善実行:原因に対応するアクション(プロンプト見直し・研修追加・対象業務変更など)を次月までに実施
  4. 翌月確認:改善アクションの効果を数値で確認する

利用率が低い部門に「もっと使ってください」と声がけするだけでは改善しません。原因を1点に絞り、対応したことを数値で確認するサイクルが定着につながります。


GXOはどう支援するか

GXOでは、AI定着の5指標設計・KPIダッシュボードの構成・月次レビューサイクルの設計を、DX推進担当者と一緒に整理します。初回相談では、現在導入しているAIツール、対象部門、教育の状況、既存の計測体制を確認し、自社のベースラインから設定できる目標値を一緒に作ります。

DX成熟度診断で現在の定着度の位置づけを確認してから相談にお越しいただくと、具体的な議論がしやすくなります。


よくある質問

Q1. 5指標すべてを最初から計測しないといけませんか

最初は利用率と削減時間の2指標から始めることをお勧めします。ログ収集の仕組みが整っていない段階で指標を増やすと管理負荷になります。計測インフラが整ったら順次追加します。

Q2. 利用率の目標は何%に設定すればよいですか

全社一律の目標より、対象部門・対象業務ごとに目標を置くほうが実態に即しています。営業部門は週次継続率、管理部門は教育完了率、情シスはリスク報告件数というように、部門の特性に合わせた指標を主軸にします。

Q3. AI利用率が高いのに業務改善効果が出ない場合、何を見直しますか

業務テーマの一致(AIが効果を出せる業務に使われているか)、データ品質(AIが参照するデータが正確で最新か)、レビュー手順(出力をそのまま使っていないか)の3点を優先的に確認します。


参考情報

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GXOでは、利用率・継続率・削減時間・品質・教育の5指標を自社のベースラインから設計し、月次KPIダッシュボードと改善サイクルを整えます。

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