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介護施設の管理システム開発費用|記録・請求・ケアプランのICT化ガイド

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介護施設の管理システム開発費用|記録・請求・ケアプランのICT化ガイド

厚生労働省の「介護分野のICT化に関する実態調査」によると、介護施設におけるICTシステムの導入率は2025年時点で約55%に達したが、導入している施設でもシステムを十分に活用できていないと回答した割合が40%を超えている。介護業界は2025年に必要な介護人材が約32万人不足するとされており、業務効率化は人材不足への最も現実的な対策である。本記事では、介護施設の管理システムに必要な機能と費用を、介護記録・ケアプラン・介護保険請求・シフト管理の各領域から包括的に解説する。

目次

  1. 介護施設のICT化の現状と課題
  2. 管理システムに必要な機能一覧
  3. 主要SaaSサービスの比較(ほのぼのNEXT・カイポケ・カナミック)
  4. カスタム開発の費用相場
  5. LIFE連携の要件と対応ポイント
  6. ICT補助金の活用方法
  7. 導入事例と効果
  8. よくある質問(FAQ)

介護施設のICT化の現状と課題

介護現場の業務課題

介護施設の業務は、「直接介護(入浴・食事・排泄介助等)」と「間接業務(記録・請求・計画書作成等)」に大別される。介護職員の間接業務は業務時間全体の25〜35%を占めており、その多くが手書きの介護記録、紙ベースのケアプラン作成、介護保険請求の事務作業に費やされている。

主な業務課題は以下の通りである。

  • 介護記録:1件あたり5〜10分の手書き記録を、1日に利用者1人あたり3〜5回作成。20人の利用者で1日2〜3時間を要する
  • ケアプラン作成:利用者ごとの課題分析、目標設定、サービス内容の策定を手作業で行い、1件あたり3〜5時間
  • 介護保険請求:月末に利用者ごとのサービス実績を集計し、国民健康保険団体連合会(国保連)に請求データを伝送。手作業の場合、月末に3〜5日の集中作業が発生
  • シフト管理:24時間365日体制のシフト作成を紙またはExcelで行い、勤務表の作成に月8〜15時間
  • 行政報告:実地指導対応資料の作成、LIFE(科学的介護情報システム)へのデータ提出

2024年介護報酬改定の影響

2024年度の介護報酬改定では、LIFE(Long-term care Information system For Evidence)へのデータ提出が加算要件としてさらに強化された。科学的介護推進体制加算、ADL維持等加算、褥瘡マネジメント加算等、LIFE連携を要件とする加算が拡大しており、ICTシステムなしではこれらの加算を算定することが事実上困難になっている。

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管理システムに必要な機能一覧

コア機能

機能カテゴリ具体的な機能業務改善効果
介護記録バイタル記録、食事・排泄・入浴記録、申し送り、ヒヤリハット記録時間を60%削減
ケアプラン課題分析(アセスメント)、居宅サービス計画書、施設サービス計画書ケアプラン作成時間を50%短縮
介護保険請求国保連伝送、サービス実績管理、返戻対応、自己負担金管理請求業務を80%効率化
利用者管理基本情報、保険情報、家族情報、医療情報、サービス利用履歴情報一元管理
シフト管理勤務表作成、希望休取込、人員基準チェック、勤怠管理シフト作成時間を70%削減
請求・会計利用者請求書、口座振替データ作成、未収管理請求ミスの防止

付加価値機能

機能カテゴリ具体的な機能業務改善効果
LIFE連携各加算に必要なデータの自動抽出・CSV出力・API連携加算算定の確実化
見守りセンサー連携ベッドセンサー、バイタルセンサー、ナースコール連携夜間巡視の効率化
家族連携介護記録の家族向け共有、面会予約、連絡帳機能家族満足度の向上
経営分析稼働率分析、加算算定状況、人件費率、収支シミュレーション経営判断の迅速化
研修管理資格・研修履歴管理、法定研修スケジュール、eラーニングコンプライアンス遵守

主要SaaSサービスの比較

3大サービスの概要

項目ほのぼのNEXTカイポケカナミック
提供企業NDソフトウェア株式会社株式会社エス・エム・エスカナミックネットワーク株式会社
導入施設数50,000施設以上40,000事業所以上20,000事業所以上
対象施設全介護サービス種別全介護サービス種別居宅・通所・訪問中心
初期費用500,000〜1,500,000円0〜200,000円200,000〜500,000円
月額費用30,000〜80,000円25,000〜60,000円20,000〜50,000円
介護記録対応(タブレット・音声入力)対応(タブレット)対応(タブレット)
ケアプラン対応(AIアセスメント支援)対応対応
国保連請求対応(伝送対応)対応(伝送対応)対応(伝送対応)
LIFE連携対応(自動抽出)対応(自動抽出)対応
シフト管理対応対応基本対応
見守りセンサー連携対応(主要メーカー対応)オプション非対応
経営分析対応対応基本対応

費用の詳細比較(入所50名規模の特別養護老人ホームの場合)

コスト項目ほのぼのNEXTカイポケカナミック
初期費用1,000,000円100,000円350,000円
月額利用料(年額)480,000〜960,000円300,000〜720,000円240,000〜600,000円
タブレット端末(5台)250,000円250,000円250,000円
Wi-Fi環境構築150,000円150,000円150,000円
データ移行支援200,000円100,000円150,000円
研修費用200,000円50,000円100,000円
1年目総コスト2,280,000〜2,760,000円950,000〜1,370,000円1,240,000〜1,600,000円
2年目以降年額480,000〜960,000円300,000〜720,000円240,000〜600,000円

各サービスの選定ポイント

ほのぼのNEXTは、業界シェアNo.1の介護ソフトであり、特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・グループホーム等の入所系サービスに特に強みを持つ。見守りセンサー(パラマウントベッドの眠りSCAN等)との連携実績が豊富であり、夜間の人員配置の最適化に貢献する。AIによるアセスメント支援機能も搭載されており、大規模法人での導入に適している。

カイポケは、初期費用を抑えた料金設計が特徴であり、新規開設する事業所や小規模事業所に適している。経営支援機能(事業計画シミュレーション、収支分析)が充実しており、介護事業の立ち上げ段階から経営の安定期まで一貫して活用できる。

カナミックは、地域包括ケアを意識した多職種連携機能に強みを持ち、医療機関・薬局・地域包括支援センターとの情報共有に対応している。居宅介護支援事業所や訪問介護事業所での導入実績が豊富である。

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カスタム開発の費用相場

カスタム開発が必要なケース

  • 大規模法人(20事業所以上)で、法人本部の統合管理機能が必要な場合
  • 医療法人が運営する介護施設で、病院の電子カルテとの連携が必要な場合
  • 独自の介護メソッドやアセスメント手法をシステムに反映する必要がある場合
  • 見守りセンサー、ロボット介護機器など、先端機器との高度な連携が必要な場合

開発範囲別の費用

開発範囲主要機能開発費用開発期間
介護記録 + 利用者管理記録入力、バイタル管理、利用者DB400〜800万円3〜5ヶ月
上記 + ケアプランアセスメント、計画書作成、モニタリング800〜1,500万円5〜8ヶ月
上記 + 国保連請求実績管理、請求データ作成、伝送連携1,500〜2,500万円8〜12ヶ月
上記 + シフト・勤怠勤務表作成、人員基準チェック、給与連携2,500〜4,000万円10〜15ヶ月
フルスペック上記 + LIFE連携、センサー連携、経営分析4,000〜7,000万円14〜20ヶ月

国保連請求連携の開発費用

介護保険請求は、サービス種別(施設・居宅・通所・訪問等)ごとに請求データのフォーマットが異なり、請求コードの組み合わせも複雑である。国保連の伝送フォーマット(CSV)に準拠した請求データ作成機能の開発には、300〜800万円が必要である。また、介護報酬改定のたびに請求コードや算定ルールが変更されるため、改定対応の保守費用(年間50〜150万円)を別途見込んでおく必要がある。

LIFE連携の要件と対応ポイント

LIFE(科学的介護情報システム)とは

LIFEは、厚生労働省が運営する科学的介護のためのデータベースシステムである。介護施設が利用者のADL(日常生活動作)、栄養状態、認知機能等のデータをLIFEに提出し、フィードバックデータを受け取ることで、エビデンスに基づくケアの実践を支援する仕組みである。

LIFE連携が必要な加算一覧

加算名単位提出データ提出頻度
科学的介護推進体制加算(I)40単位/月ADL、栄養、口腔、認知症等6ヶ月ごと
科学的介護推進体制加算(II)60単位/月上記 + 個別機能訓練計画3ヶ月ごと
ADL維持等加算(I)30単位/月Barthel Index6ヶ月ごと
褥瘡マネジメント加算(I)3単位/月褥瘡リスクアセスメント3ヶ月ごと
排せつ支援加算(I)10単位/月排泄状態評価6ヶ月ごと
栄養マネジメント強化加算11単位/日栄養スクリーニング、栄養ケア計画3ヶ月ごと

入所50名の施設で上記加算を算定した場合、年間の加算収入は約600〜900万円に達する。LIFE連携対応のICTシステム導入費用を1年目で回収できるケースがほとんどである。

ICT補助金の活用方法

地域医療介護総合確保基金(ICT導入支援事業)

厚生労働省が各都道府県を通じて実施する、介護事業所のICT導入を支援する補助金制度である。

項目内容
補助対象介護サービス事業所(全種別)
補助上限額1事業所あたり100〜260万円(事業所規模による)
補助率1/2〜3/4(都道府県による)
補助対象経費介護ソフト、タブレット端末、Wi-Fi環境、見守りセンサー、研修費
申請時期各都道府県により異なる(例年4〜7月)

補助金活用時のコスト試算

項目通常費用補助金適用後(3/4補助の場合)
介護ソフト導入費800,000円200,000円
タブレット端末(5台)250,000円62,500円
Wi-Fi環境構築150,000円37,500円
見守りセンサー(10台)500,000円125,000円
研修費用100,000円25,000円
初期費用合計1,800,000円450,000円

導入事例と効果

事例1:社会福祉法人I(特別養護老人ホーム100床・従業員80名)

導入前の課題:介護記録を紙で作成しており、1日あたりの記録時間が施設全体で約15時間に達していた。LIFE加算を算定するためのデータ集計は手作業で行っており、提出期限に間に合わないケースが年2回発生していた。

導入サービス:ほのぼのNEXT(介護記録 + ケアプラン + 国保連請求 + LIFE連携 + 見守りセンサー)

導入効果

  • 介護記録時間:15時間/日 → 5時間/日(67%削減)
  • LIFE加算:科学的介護推進体制加算(II)・ADL維持等加算等を確実に算定(年間加算収入約900万円)
  • 夜間巡視:見守りセンサー連携により巡視回数を50%削減(夜勤スタッフの負担軽減)
  • 国保連請求:月末5日間 → 1日に短縮(返戻率も3% → 0.5%に改善)

事例2:J介護サービス(デイサービス3事業所・利用者定員計90名)

導入前の課題:3事業所でそれぞれ異なる方法(紙・Excel・旧システム)で介護記録を管理しており、法人本部での経営状況の把握に毎月1週間以上を要していた。

導入サービス:カイポケ(全3事業所一括導入)

導入効果

  • 記録の統一:3事業所の介護記録フォーマットが統一され、横断的な比較分析が可能に
  • 稼働率管理:リアルタイムでの稼働率把握により、空き枠の有効活用で稼働率72% → 85%に向上
  • 経営分析:月次の経営レポートが自動生成され、意思決定のスピードが向上
  • 利用者家族への共有:介護記録の一部を家族向けアプリで共有し、満足度調査で4.2点 → 4.7点に向上

よくある質問(FAQ)

Q1. 介護記録の音声入力はどの程度実用的か?

近年のAI音声認識技術の向上により、介護記録の音声入力は十分に実用的なレベルに達している。ほのぼのNEXTやカイポケでは、介護現場特有の用語(嚥下、褥瘡、拘縮等)を学習した音声認識エンジンを搭載しており、認識精度は95%以上である。音声入力により、手書きの場合5〜10分かかる記録を1〜2分で完了できる。ただし、複数の利用者がいる居室での使用や、騒音の多い環境では認識精度が低下するため、記録用の静かなスペースを確保するか、イヤホンマイクの使用が推奨される。

Q2. 既存の介護ソフトからの乗り換えは可能か?

可能であるが、データ移行の計画が重要である。多くの介護ソフトはCSVエクスポート機能を備えており、利用者基本情報・保険情報・ケアプランデータの移行は比較的スムーズに行える。ただし、過去の介護記録(日々の記録データ)はデータ量が膨大であり、全件移行は現実的でないケースが多い。通常は、直近6ヶ月〜1年分の記録を移行し、それ以前のデータは旧システムの参照用として一定期間(2〜3年)保持するアプローチが採用される。

Q3. 介護報酬改定のたびにシステム更新が必要になるのか?

SaaS型サービスの場合、介護報酬改定に伴う請求コード・算定ルール・帳票フォーマットの変更は、サービス提供者側がアップデートを行うため、利用者側の追加費用は原則発生しない。これはSaaS型サービスの最大のメリットの一つであり、介護報酬改定は原則3年に一度(直近は2024年度)実施されるため、改定のたびにシステム改修費用が発生するカスタム開発に比べて、長期的なコスト優位性がある。

Q4. 見守りセンサーとの連携にはどのような機器が必要か?

主な見守りセンサーとして、ベッドセンサー(パラマウントベッドの眠りSCAN、フランスベッドの見守りケアシステム等)、居室内センサー(赤外線センサー、マットセンサー)、バイタルセンサー(非接触型体温・脈拍測定)がある。1台あたり3〜15万円であり、50床の施設に導入する場合、150〜750万円の設備投資が必要である。ただし、ICT補助金の対象となるため、実質的な負担は1/4〜1/2に軽減される。センサーデータと介護記録システムとの連携により、夜間のバイタル変動や離床アラートが自動記録され、夜勤スタッフの業務負担を大幅に軽減できる。

Q5. 小規模多機能型居宅介護でも同じシステムが使えるか?

小規模多機能型居宅介護は、通い・訪問・宿泊の3サービスを一体的に提供するため、サービス種別ごとに利用実績を管理する必要がある。主要なSaaSサービス(ほのぼのNEXT、カイポケ等)は小規模多機能型に対応しており、1つの利用者情報に対して通い・訪問・宿泊の各サービス実績を紐づけて管理し、月末の国保連請求データを自動生成できる。ただし、小規模多機能型特有の「登録定員管理」「利用予定表の柔軟な変更対応」といった要件が十分にカバーされているかは、サービスごとに異なるため、導入前のデモ確認が不可欠である。

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追加の一次情報・確認観点

この記事の内容を社内で検討する場合は、一般論だけで判断せず、次の一次情報と自社データを照合してください。特に、稟議・RFP・ベンダー選定では「何を実装するか」よりも「どのリスクをどの水準まで下げるか」を先に決めると、見積もり比較のブレを抑えられます。

確認領域参照先自社で確認すること
デジタル調達デジタル庁要件定義、調達、プロジェクト管理の標準観点を確認する
Webアプリ品質OWASP ASVS認証、認可、入力検証、ログ、セッション管理を確認する
DX推進経済産業省 DXレガシー刷新、経営課題、IT投資判断の前提を確認する
DX推進IPA デジタル基盤センターDX推進指標、IT人材、デジタル基盤の観点で現状を確認する
個人情報個人情報保護委員会個人情報・委託先管理・利用目的・安全管理措置を確認する

稟議・RFPで使う数値設計

投資判断では、導入前後で測れる指標を3から5個に絞ります。下表のように、現状値・目標値・測定方法・責任者をセットにしておくと、PoC後に本番化するかどうかを判断しやすくなります。

指標現状確認目標の置き方失敗しやすい例
対象業務数現状の対象業務を棚卸し初期は1から3業務に限定対象を広げすぎて要件が固まらない
月間処理件数件数、担当者、例外率を確認上位20%の高頻度業務から改善件数が少ない業務を先に自動化する
例外対応率手戻り、確認待ち、属人判断を計測例外の分類と承認ルールを定義例外をAIやシステムだけで吸収しようとする
追加要件率過去案件の変更件数を確認要件凍結ラインを設定見積後に仕様が増え続ける
障害・手戻り件数問い合わせ、障害、改修履歴を確認受入基準とテスト観点を定義テストをベンダー任せにする

よくある失敗と回避策

失敗パターン起きる理由回避策
目的が曖昧なままツール選定に入る比較軸が価格や機能数に寄る経営課題、業務課題、測定KPIを先に固定する
現場確認が不足する例外処理や非公式運用が見落とされる担当者ヒアリングと実データ確認を必ず行う
運用責任者が決まっていない導入後の改善が止まる業務側とIT側の責任分界をRACIで定義する
RFPが抽象的で見積が比較できない業務フロー、データ、非機能要件が不足見積前に要件定義と受入条件を固める

GXOに相談する前に整理しておく情報

初回相談では、次の情報があると診断と提案の精度が上がります。すべて揃っていなくても問題ありませんが、分かる範囲で用意しておくと、概算費用・期間・体制の見立てを早く出せます。

  • 対象業務の現行フロー、利用中システム、Excel・紙・チャット運用の一覧
  • 月間件数、担当人数、手戻り件数、確認待ち時間などの概算
  • 個人情報、機密情報、外部委託、権限管理に関する制約
  • 希望開始時期、予算レンジ、社内承認者、決裁までの流れ
  • 既存システム構成、画面・帳票・データ項目、外部連携、現行ベンダー契約

GXOでは、現状整理、要件定義、RFP作成、ベンダー比較、PoC設計、本番移行計画まで一気通貫で支援できます。記事の内容を自社に当てはめたい場合は、まずは現在の課題と制約を共有してください。

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