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最低賃金2026年度の目安審議が開始|省力化投資は答申前が仕込み時

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目次

結論:答申を待ってから動くと、10月の発効に間に合わない

2026年6月26日、厚生労働大臣が中央最低賃金審議会に「令和8年度地域別最低賃金額改定の目安について」を諮問し、今年度の引き上げ審議が正式に始まりました。同日に目安に関する小委員会の第1回が開かれ、第2回は7月10日に予定されています(出典:厚生労働省「中央最低賃金審議会(第74回)」「目安に関する小委員会」開催案内、2026年7月3日閲覧)。

影響を受けるのは、パート・アルバイト比率の高い小売・飲食・物流・製造の経営者です。今年度の引き上げ額はまだ決まっていません。ただ、昨年度(令和7年度)は全国加重平均で66円・6.3%の引き上げが実施済みという事実があります。目安の取りまとめから地方審議を経て発効するまでの期間は例年2〜3カ月しかなく、答申を見てから省人化設備やシステムの検討を始めても、見積もり・稟議・導入が発効に追いつきません。今月確認すべきことは3つ。自社の時給分布と人件費増の試算、省力化・自動化する業務の候補決め、そして9月1日に受付が始まる業務改善助成金の要件確認です。

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何が起きたか:6月26日に諮問、審議は7月10日に第2回へ

中央最低賃金審議会は、都道府県ごとの最低賃金改定の前提となる「目安」を毎年夏に取りまとめる国の審議会です。厚労省の公表資料から確認できる今年度のここまでの動きは次のとおりです。

日付動き位置づけ
2026年6月23日第73回 中央最低賃金審議会前年度の地方審議結果を踏まえた論点整理
2026年6月26日第74回 中央最低賃金審議会令和8年度の目安を諮問(審議の正式スタート)
2026年6月26日目安に関する小委員会 第1回引き上げ幅の実質的な議論の場
2026年7月10日目安に関する小委員会 第2回(予定)開催案内は7月3日に掲示

(出典:厚生労働省「中央最低賃金審議会」および「目安に関する小委員会」各回開催ページ、2026年7月3日閲覧)

この後は、近年の進行にならえば小委員会での複数回の審議を経て夏に目安が取りまとめられ、それを受けた各都道府県の地方最低賃金審議会の審議・答申を経て、都道府県労働局長が改定額を決定します。今年度の引き上げ額・引き上げ率は現時点で一切決まっておらず、本記事も予想はしません。 経営判断に使うべきは「決まってから動く時間はない」というスケジュール構造のほうです。

現在地:全国加重平均1,121円、引き上げ率は地方ほど高い

判断の土台として、現在有効な令和7年度の地域別最低賃金を押さえておきます(出典:厚生労働省「令和7年度地域別最低賃金全国一覧」、2026年7月3日閲覧)。

区分時間額前年度からの引き上げ引き上げ率
全国加重平均1,121円+66円6.3%
東京都(最高額)1,226円+63円5.4%
大阪府1,177円+63円5.7%
愛知県1,140円+63円5.8%
福岡県1,057円+65円6.6%
熊本県1,034円+82円8.6%
高知・宮崎・沖縄(最低額)1,023円+71円7.5%

この一覧で見落とされがちなのが、引き上げ「率」は地方ほど高いという構図です。令和7年度の引き上げ率は東京の5.4%に対し、熊本8.6%、秋田8.4%、青森8.0%。額の低い県ほど大きく引き上げて地域間格差を詰める動きが続いており、地方でパート主体の店舗・工場・倉庫を運営する企業ほど、人件費の「増加率」は都市部より急です。「うちは地方だから賃金水準は低いまま」という前提は、この2年で崩れています。

なお政府は、全国加重平均1,500円を目指す方針を掲げ、達成時期を2020年代へ前倒しする考えを示してきました(政府方針・各種報道による)。仮にこの目標を額面どおり受け取ると、現在の1,121円から残り379円。単純計算では毎年度、令和7年度実績(+66円)を大きく上回る引き上げが続かないと届かない水準であり、目標がそのまま実現するかは別として、「引き上げ基調が当面続く」前提で経営計画を組むのが安全側の判断です。

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独自分析:発効日は「10月一斉」ではなくなった——遅れは猶予ではなく不確実性

令和7年度の全国一覧をもう一段読み込むと、経営実務に直結する事実がもう1つ見えます。発効日のばらつきです。栃木の令和7年10月1日を先頭に、群馬は令和8年3月1日、秋田にいたっては令和8年3月31日発効と、同じ年度の改定で発効が最大半年ずれました。

これが意味するのは2つです。第一に、「新しい額は10月から」という一律の前提で資金繰り・料金改定を計画すると、自県の実際の発効日とずれるリスクがあること。第二に、発効が遅い県でも引き上げ幅そのものは縮まなかったこと。つまり発効の遅れは負担の免除ではなく、単に「いつから増えるか」が読みにくくなっただけです。省力化投資の側から見れば、発効日に関係なく「引き上げは来る」ものとして逆算を始め、自県の労働局の公示で発効日だけ後から確定させるのが正しい段取りになります。

負担の規模感も具体化しておきます。仮に令和7年度と同水準(時給+66円)の引き上げがあった場合、最低賃金近傍のパート20人が1日6時間・月20日勤務する事業場では、単純計算で月あたり約15.8万円、年間約190万円の直接人件費増になります(66円×6時間×20日×20人。社会保険料や割増賃金への連動は含まない試算)。これはあくまで昨年度実績を当てはめた仮置きですが、「年190万円の固定費増を吸収できる省力化は何か」という問いに変換すると、レジ締め・シフト作成・受発注入力・請求処理・検品記録など、定型業務のAI自動化で置き換え可能な候補が具体的に挙がるはずです。人手不足と人件費上昇が同時に来ている状況は、7月1日公表の日銀短観でも裏付けられており、詳しくは6月短観が示すソフトウェア投資と雇用人員判断DIの読み方で整理しています。

業務改善助成金:令和8年度は9月1日受付開始——申請の「順序」に注意

賃上げと設備投資をセットで支援する業務改善助成金は、令和8年度の交付要綱・要領がすでに公開されており、交付申請の受付開始は令和8年9月1日です(出典:厚生労働省「業務改善助成金」ページ、2026年7月3日閲覧)。

同ページから確認できる制度の骨格は、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げ、あわせて生産性向上に資する設備投資などを行った中小企業等に、その費用の一部を助成するというもの。助成上限額は引き上げ額と引き上げる労働者数の区分で変わり、助成率は引き上げ前の事業場内最低賃金の水準で変わります。賃金要件や物価高騰等要件に該当する特例事業者では、パソコン・スマートフォン・タブレット等の端末と周辺機器の新規導入も助成対象に含まれます。区分ごとの具体的な金額・要件は年度で変わるため、必ず最新の交付要綱・申請マニュアルで確認してください。

実務上の急所は締切ではなく順序です。助成金は原則として交付決定を受けてから設備の発注・賃金引き上げを実施する建て付けであり、先に発注や引き上げを済ませてしまうと対象外となる場合があります。9月1日の受付開始に対して、7〜8月にやるべきは「発注」ではなく、引き上げ計画と設備投資計画を固めて申請書類に落とせる状態にしておくことです。自社がどの支援策を使えるかの全体像から整理したい場合は、補助金・助成金の適用可能性診断から始めるのが近道です。

答申前の7月にやる準備チェックリスト

  • 事業場ごとの「事業場内最低賃金」と自県の現行最低賃金の差額を確認した
  • 時給分布を出し、「現行最低賃金+80円圏内」の従業員数を把握した(昨年度の最大引き上げは82円)
  • 昨年度実績(+66円)を仮置きした場合の年間人件費増を試算した
  • 人手がかかっている定型業務(受発注・請求・シフト・検品・問い合わせ対応)を洗い出し、自動化候補に優先順位を付けた
  • 業務改善助成金の令和8年度交付要綱を確認し、9月1日の受付開始から逆算した準備日程を引いた
  • 人件費増を価格転嫁・シフト設計・省力化のどの組み合わせで吸収するか、方針を仮決めした

よくある質問

Q1. 2026年度(令和8年度)の最低賃金はいくら上がりますか。 まだ決まっていません。6月26日に諮問が行われ、目安に関する小委員会で審議が始まった段階です(7月10日に第2回を予定)。本記事執筆時点で公表されている確定値は、令和7年度の全国加重平均1,121円までです。

Q2. 新しい最低賃金はいつから適用されますか。 例年は秋以降ですが、令和7年度は都道府県により令和7年10月1日から令和8年3月31日まで発効日が分かれました。自県の発効日は都道府県労働局の公示で確定します。発効が遅い場合でも引き上げ自体はなくならない前提で準備すべきです。

Q3. 月給制の正社員しかいない会社には関係ありませんか。 関係します。最低賃金は月給を時間額に換算して比較するため、固定残業代を除いた基本給ベースで下回っていないかの点検が必要です。また最低賃金近傍の時給が上がると、その上の階層との賃金バランス調整(賃金カーブ全体の押し上げ)が実務上ほぼ必ず発生します。

Q4. 業務改善助成金はいつ・どう申請すればよいですか。 令和8年度の交付申請受付は9月1日開始です。交付決定前に設備の発注や賃金引き上げを実施すると対象外となる場合があるため、7〜8月は計画策定と書類準備に充て、手順は必ず厚労省の申請マニュアルで確認してください。

人件費増を「業務の設計変更」で吸収したい経営者の方へ

最低賃金対応の本質は、時給を上げないことではなく、上がった時給に見合うだけ1人あたりの付加価値を引き上げることです。GXOは、受発注・請求・シフト・報告業務など人手に依存した定型業務のAI自動化の設計・実装、問い合わせ対応や事務処理を代替するAIエージェントの導入まで、省力化投資のROI試算から実装・定着までを一気通貫で支援しています。「答申が出る前に、どの業務から自動化すれば人件費増を吸収できるか」を数字で握りたい方は、省力化・自動化の相談窓口からお声がけください。業務改善助成金の申請スケジュールに合わせた投資計画の整理にも対応します。

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