「ISO/IEC 27001:2013 で取得していた認証を、改訂版に移行しないといけないが、何から手を付けるか整理できていない」――中堅企業の情報システム責任者から多く寄せられる相談だ。 ISO/IEC 27001:2022 は附属書 A を 114 → 93 管理策に再編し、11 の新規管理策を加えた。本稿は移行スケジュール、差分の捉え方、内部監査と是正処置の運用を JIPDEC・ISMS-AC の公式情報を参照しながら整理する。
目次
- 改訂の概要と移行期限
- 附属書 A の構造変更(4 テーマ化)
- 新規 11 管理策の差分
- 中堅企業の移行スケジュール
- 移行審査の準備チェックリスト
- 内部監査と是正処置の運用
- 外部監査機関との連携ポイント
- よくある質問(FAQ)
改訂の概要と移行期限
ISO/IEC 27001 の最新版は 2022 年 10 月発行で、認証移行期限は 2025 年 10 月末(IAF MD 26 に基づく)と定められた。日本国内では JIPDEC(情報マネジメントシステム認定センター、ISMS-AC)が認定機関として運用しており、JIS Q 27001:2023 として国内規格化されている。
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| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 改訂版 | ISO/IEC 27001:2022(JIS Q 27001:2023) |
| 旧版 | ISO/IEC 27001:2013 |
| 移行期限 | 2025 年 10 月 31 日(IAF MD 26) |
| 国内規格 | JIS Q 27001:2023 |
| 出典 | JIPDEC「JIS Q 27001:2023 移行に関する案内」 |
期限到来後は 2013 年版での認証は失効するため、未移行の組織は再認証扱いとなる。
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附属書 A の構造変更(4 テーマ化)
旧版の 14 章 114 管理策が、改訂版では 4 テーマ 93 管理策に再編された。
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| テーマ | 管理策数 | 概要 |
|---|---|---|
| 5. 組織的管理策 | 37 | 方針、役割分担、サプライヤ管理、インシデント対応など |
| 6. 人的管理策 | 8 | 雇用前後、教育、テレワーク、機密保持契約 |
| 7. 物理的管理策 | 14 | 物理的境界、装置、配線、廃棄、クリアデスク |
| 8. 技術的管理策 | 34 | アクセス制御、暗号、脆弱性管理、ログ、開発、構成管理 |
管理策には新たに「ハッシュタグ属性」(管理タイプ・情報セキュリティ特性・サイバーセキュリティ概念・運用能力・セキュリティドメイン)が付与され、検索性・参照性が向上した。
新規 11 管理策の差分
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| 管理策 | 領域 | 概要 |
|---|---|---|
| 5.7 脅威インテリジェンス | 組織的 | 脅威情報の収集・分析・共有 |
| 5.23 クラウドサービス利用に関する情報セキュリティ | 組織的 | クラウド利用方針、契約、責任分界点 |
| 5.30 事業継続のための ICT 準備 | 組織的 | RTO/RPO、BCP との連携 |
| 7.4 物理的セキュリティ監視 | 物理的 | 入退室監視、CCTV 等の運用 |
| 8.9 構成管理 | 技術的 | 構成情報の文書化、変更管理 |
| 8.10 情報の削除 | 技術的 | 不要情報の安全な削除手順 |
| 8.11 データマスキング | 技術的 | 仮名化・匿名化技術 |
| 8.12 データ漏洩防止 | 技術的 | DLP の実装と運用 |
| 8.16 監視活動 | 技術的 | システム・ネットワーク監視 |
| 8.23 Web フィルタリング | 技術的 | 有害サイトアクセス制御 |
| 8.28 セキュアコーディング | 技術的 | 開発標準と教育 |
中堅企業では特に 5.23 クラウドサービス利用 / 8.12 DLP / 8.16 監視 / 8.28 セキュアコーディング の運用整備が後手に回りやすい。
中堅企業の移行スケジュール
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| フェーズ | 期間目安 | 主なアクション |
|---|---|---|
| ギャップ分析 | 1-2 ヶ月 | 旧版適用宣言書と新版管理策のマッピング、不足項目の洗い出し |
| 規程・手順改定 | 2-3 ヶ月 | 情報セキュリティ方針、リスクアセスメント手順、適用宣言書の改定 |
| 教育・周知 | 1 ヶ月 | 全社員向け改訂版教育、部門別の運用説明 |
| 内部監査 | 1 ヶ月 | 改訂版基準での内部監査、是正処置の実施 |
| マネジメントレビュー | 0.5 ヶ月 | 経営層レビュー、移行可否判断 |
| 移行審査 | 1 ヶ月 | 認証機関による審査、不適合是正 |
移行審査は通常 1-2 人日(現地またはリモート)で実施される(規模により変動)。
移行審査の準備チェックリスト
- 新版に基づく適用宣言書(SoA)の作成(93 管理策ごとに適用 / 不適用と理由)
- リスクアセスメント結果の改訂版基準での再評価
- 新規 11 管理策の運用記録(最低 3 ヶ月分)
- 内部監査計画書・実施記録・是正処置記録
- マネジメントレビュー議事録(改訂版移行を含む)
- 全社員教育の実施記録
- サプライヤ管理リストの更新(5.19-5.22 関連)
- クラウドサービス一覧と契約レビュー記録(5.23 関連)
内部監査と是正処置の運用
内部監査は 附属書 A 全 93 管理策のサンプリング監査 が基本。中堅企業では年 1 回の全体監査と、四半期ごとの部分監査の組合せが現実的。
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| 監査領域 | 監査人 | 監査時間目安 |
|---|---|---|
| 組織的管理策(37 項目) | 内部監査チーム | 1.5 日 |
| 人的管理策(8 項目) | 人事部門兼任 | 0.5 日 |
| 物理的管理策(14 項目) | 総務部門兼任 | 0.5 日 |
| 技術的管理策(34 項目) | 情報システム部門 | 1.5 日 |
是正処置は不適合の影響度に応じて 30 日 / 60 日 / 90 日の期限を設定し、根本原因分析(5 Why 等)と再発防止策を必須とする。
外部監査機関との連携ポイント
- 認定機関は ISMS-AC(JIPDEC)または海外認定機関のいずれか
- 認証機関の選定は、業界実績・審査員のスキル・スケジュール柔軟性で評価
- 移行審査の申込は 期限の 6 ヶ月前 が目安(混雑期回避)
- 不適合の是正期限は通常 90 日、軽微なものは次回審査までの観察事項扱い
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GXOの見解
システム開発の成否は開発会社選びの前に、業務要件、既存データ、運用責任、段階移行をどこまで整理できるかで決まる。
GXOは見積比較だけでなく、発注前の論点整理とRFP設計が手戻りと追加費用を減らすと見る。
GXOは、業務整理、要件定義、RFP、開発、保守、レガシー刷新まで接続できる形で支援します。
実務判断のポイント
この記事は、経営者、情シス、業務責任者、発注担当向けです。要件定義、RFP作成、見積比較、レガシー刷新、業務システム再構築を自社で進めるか、外部の専門家と整理するかを判断する材料として使えます。
GXOが重視するのは、話題性の高さよりも「自社の業務、データ、権限、予算、運用責任にどう影響するか」です。ISMS / ISO 27001 改訂版 2026 移行ガイド|中堅企業の対応スケジュールと差分対応チェックリストに関する検討では、担当者だけで判断を閉じず、経営、現場、情シス、外部パートナーの役割を早い段階で分けることが重要です。
放置した場合と整備した場合の違い
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| 観点 | 放置した場合 | 整備した場合 |
|---|---|---|
| 業務影響 | 属人的な判断が増え、対応の優先順位がぶれやすい | 影響範囲、期限、責任者を決めて進められる |
| 投資判断 | ツール導入や外注費だけが先行し、効果測定が曖昧になる | 売上、工数削減、リスク低減の指標にひも付けられる |
| 現場運用 | 例外処理や承認フローが残り、定着しにくい | 権限、ログ、教育、改善サイクルまで設計できる |
| 経営報告 | 問題が発生してから説明資料を作ることになる | 月次で状況、課題、次の打ち手を説明できる |
導入・改善前のチェックリスト
- 対象業務、対象部門、対象データを明文化しているか
- 現在の課題を、売上機会、原価、工数、リスクのいずれかに分解しているか
- 既存システム、SaaS、Excel、手作業の依存関係を棚卸ししているか
- 例外処理、承認、差し戻し、監査証跡まで確認しているか
- 社内で判断できる範囲と外部支援が必要な範囲を分けているか
- 初期費用だけでなく、保守、運用、教育、改善費用を見積もっているか
- 成功指標を、問い合わせ数、商談数、削減時間、停止リスクなどで定義しているか
- 実装後の責任者、更新頻度、レビュー会議の持ち方を決めているか
- セキュリティ、法務、個人情報、契約条件の確認ポイントを洗い出しているか
- 既存の問い合わせ、商談、障害、運用ログから優先順位を決めているか
- 経営判断に必要な資料を1枚で説明できる状態にしているか
- 次の90日で検証する範囲と、やらない範囲を明確にしているか
GXOの実務補足
システム開発の成否は開発会社選びの前に、業務要件、既存データ、運用責任、段階移行をどこまで整理できるかで決まる。
GXOは見積比較だけでなく、発注前の論点整理とRFP設計が手戻りと追加費用を減らすと見る。
GXOは、業務整理、要件定義、RFP、開発、保守、レガシー刷新まで接続できる形で支援します。記事のテーマを単なる情報収集で終わらせず、相談、診断、要件定義、実装、運用改善に接続することで、要件整理から開発、保守、段階移行ロードマップへ接続。さらに、標準ヒアリングと既存診断を使い、発注前相談から開発案件へ展開。
実行までの進め方
- 現在の業務、データ、ツール、担当者を棚卸しする
- 売上拡大、工数削減、リスク低減のどれに効くテーマかを決める
- 初期対応、90日以内の改善、半年以上の投資を分ける
- 必要な社内体制、外部支援、予算、セキュリティ確認を整理する
- 小さく検証し、効果測定後に本番化や横展開を判断する
90日で進める実装ロードマップ
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| 期間 | やること | 成果物 | 判断ポイント |
|---|---|---|---|
| 1〜2週目 | 現状業務、利用ツール、データ、担当者、外部委託先を棚卸しする | 業務一覧、システム一覧、課題一覧 | 本当に解くべき課題が、流行テーマではなく業務上の損失にひも付いているか |
| 3〜4週目 | 優先度、リスク、費用対効果、社内体制を整理する | 優先順位表、概算費用、リスク表 | すぐ着手する範囲と、後回しにする範囲を分けられているか |
| 5〜8週目 | 小さな検証、要件定義、ベンダー比較、社内説明資料を作る | PoC計画、RFP、稟議資料 | 検証結果を本番投資の判断に使える形で記録しているか |
| 9〜12週目 | 本番化、運用ルール、教育、月次レビューを設計する | 運用手順、KPI、改善バックログ | 導入後の責任者と改善サイクルが決まっているか |
部門別に確認すべき論点
経営層は、ISMS / ISO 27001 改訂版 2026 移行ガイド|中堅企業の対応スケジュールと差分対応チェックリストが売上、粗利、採用、顧客維持、リスク低減のどれに効くのかを確認する必要があります。単なる効率化として扱うと、投資判断が後回しになり、現場任せの小さな改善で止まりやすくなります。
DX責任者や情シスは、既存システムとの接続、認証、権限、ログ、保守体制、外部ベンダーとの責任分界を確認します。ここを曖昧にすると、導入直後は動いても、問い合わせ増加、障害対応、改修費用で現場負荷が増えます。
業務部門は、例外処理、承認、差し戻し、手作業で補っている判断を洗い出します。表面上の手順だけを自動化しても、例外が多い業務では成果が出にくいため、現場の暗黙知を要件に変換することが重要です。
管理部門は、契約、個人情報、補助金、会計処理、監査証跡、社内規程との整合性を確認します。特に制度、法務、セキュリティ、価格が絡むテーマでは、公開情報と社内ルールの両方を確認してから進めるべきです。
KPIと効果測定の設計
効果測定では、導入有無だけでなく、問い合わせ、初回相談、対応時間、差し戻し率、問い合わせ削減、障害件数、監査指摘、顧客満足度などを分けて見ます。GXOでは、初回相談の段階で「何をもって成功とするか」を決め、検証後に継続投資できる形へ落とし込みます。
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| KPI | 見る理由 | 測定例 |
|---|---|---|
| 対応時間 | 現場負荷と原価に直結するため | 1件あたり処理時間、月間削減時間 |
| 差し戻し率 | 要件やデータ品質の問題が見えるため | 申請、見積、問い合わせの再作業率 |
| 初回相談 | 問い合わせや初回相談の状況を確認するため | CTAクリック、問い合わせ数、初回相談数 |
| 運用定着率 | 導入後に使われ続けているかを見るため | 月次利用、更新頻度、レビュー実施率 |
| リスク低減 | 障害、漏えい、監査指摘を減らすため | 未対応脆弱性、権限不備、復旧時間 |
相談前に用意すると判断が早くなる資料
- 現在の業務フロー、担当者、月間件数、処理時間
- 利用中のSaaS、基幹システム、Excel、外部委託先の一覧
- 直近のトラブル、問い合わせ、手戻り、障害、監査指摘の記録
- 投資できる予算感、希望時期、社内の承認者
- 個人情報、機密情報、外部送信、契約条件に関する制約
- 既に検討したツール、ベンダー、見積、PoC結果
- 成功時に増やしたい売上、減らしたい工数、避けたい損失
GXOが支援する場合の進め方
GXOが支援する場合は、最初に記事テーマをそのまま提案にせず、現場の制約と経営上の目的に分解します。要件定義、RFP作成、見積比較、レガシー刷新、業務システム再構築の相談を入口に、要件定義、RFP、ベンダー比較、実装、運用改善まで接続できるかを確認します。
短期的には、課題整理、現状棚卸し、優先順位付け、概算費用、実行計画をまとめます。中期的には、PoCや小規模実装を通じて、データ品質、権限、運用負荷、費用対効果を検証します。長期的には、月次レビュー、改善バックログ、追加開発、セキュリティ確認を継続し、投資を一度きりで終わらせない状態を作ります。
重要なのは、記事を読んだ直後に「問い合わせるかどうか」ではなく、「自社では何を確認すべきか」「どの段階から外部支援を入れるべきか」が明確になることです。そのため、GXOでは相談前の論点整理から支援し、必要に応じて診断、要件定義、実装、保守まで段階的に進めます。
よくある質問(FAQ)
Q. 移行期限を過ぎたらどうなる? A. 旧版での認証は失効する。再認証扱いとなり、初回審査と同等の工数が必要。期限内移行が経済合理的。
Q. 新規 11 管理策は全て適用が必須か? A. 適用宣言書で「適用 / 不適用」を判断する。不適用とする場合は合理的な理由の文書化が必要。
Q. 中堅企業の移行コスト目安は? A. ギャップ分析 30-80 万、規程改定 50-150 万、内部監査運用 30-60 万、移行審査費用 30-60 万。総額 140-350 万円が一般的。
Q. クラウド利用が多い企業の特別な対応は? A. 5.23 管理策に基づき、利用クラウドサービスの一覧化、責任分界点の明確化、SLA・契約条項のレビューが必要。
参考資料
- JIPDEC「JIS Q 27001:2023 移行に関する案内」
- ISMS-AC「ISMS 認証基準」
- IAF MD 26「ISO/IEC 27001:2022 への移行に関する文書」
- ISO/IEC 27001:2022 公式(ISO ストア)
中堅企業の ISMS 移行支援、ギャップ分析、内部監査体制構築、外部監査機関連携は GXO のコンプライアンス対応サービスで対応可能です。
参考情報
- 制度、価格、仕様、脆弱性、法務、セキュリティに関する判断は、公開時点の公式情報と一次情報を確認したうえで更新してください。







