「24 時間監視を外注したい。だが見積もりを 5 社から取ったら、料金の根拠も SLA の定義もバラバラで比較できない」――中堅企業の情報システム責任者からよく聞く声だ。 EDR ライセンスと MDR(Managed Detection & Response)の運用費用が混在し、ベンダー側も意図的に内訳を曖昧にする傾向がある。本記事は中堅企業(200-1000 名)が EDR / MDR の 24 時間リテーナーを 7 軸で評価する判定基準を整理する。
目次
- EDR と MDR の責任分界点
- 料金体系の 4 パターン
- 代表ベンダー料金レンジ(公開情報ベース)
- SLA 7 軸比較フレーム
- 中堅向け推奨スペック早見表
- リテーナー契約の落とし穴
- 選定 7 軸チェックリスト
- よくある質問(FAQ)
EDR と MDR の責任分界点
| 項目 | EDR 単体 | EDR + MDR |
|---|---|---|
| エージェント配布 | 自社 | 自社(ベンダー伴走可) |
| アラート 1 次トリアージ | 自社 SOC | ベンダー SOC |
| 24 時間監視 | 自社シフト | ベンダー |
| 封じ込め実行 | 自社 | 委任 or 共同 |
| フォレンジック | 自社 | オプション |
| 月額目安 | エージェント代のみ | エージェント代 + 運用費 |
中堅企業で自社 24 時間 SOC を持つのは 1000 名以上が目安。それ未満は MDR 委任が現実解。
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料金体系の 4 パターン
| パターン | 課金単位 | 透明性 | 中堅適合度 |
|---|---|---|---|
| エンドポイント単価 + MDR 月額固定 | 台数 + 月額 | 高 | 高 |
| エンドポイント単価のみ(MDR 込み) | 台数 | 中 | 高 |
| ログ取込量課金(GB/日) | データ量 | 低 | 低 |
| ハイブリッド(基本料 + 従量) | 月額 + 従量 | 低 | 中 |
エンドポイント単価方式が中堅向けには見積もり比較が容易。
代表ベンダー料金レンジ(公開情報ベース)
| ベンダー / サービス区分 | エンドポイント単価目安 | MDR 月額目安 | 最低契約 |
|---|---|---|---|
| 大手グローバル EDR + 国内 MDR | 1,200-2,400 円 / 台 / 月 | 50-150 万円 / 月 | 1 年 |
| 国内 SIer 系 MDR | 1,500-3,000 円 / 台 / 月 | 80-200 万円 / 月 | 1 年 |
| 専業 MDR(中小特化) | 800-1,500 円 / 台 / 月 | 30-80 万円 / 月 | 1 年 |
| クラウドベンダー純正(Defender 等) | 600-1,800 円 / 台 / 月 | 別契約 | サブスク連動 |
※ 上記は 2026 年中盤時点の目安。実際は台数規模・コミット期間で個別見積もり。500 台規模で月額 80-200 万円のレンジが中堅標準。
SLA 7 軸比較フレーム
| 軸 | 評価指標 | 中堅向け推奨水準 |
|---|---|---|
| 1. 検知 SLA | アラート発生から検知通知まで | ≤ 15 分 |
| 2. 対応開始 SLA | 通知から 1 次対応着手まで | ≤ 30 分 |
| 3. 重大事故対応 SLA | クリティカル時の対応開始 | ≤ 15 分 |
| 4. 封じ込め権限 | リモート隔離の可否 | 事前承認込で可 |
| 5. ハンティング | 月次プロアクティブ調査 | 含有または別オプション明示 |
| 6. レポート頻度 | 月次 + 重大事故時即時 | 標準対応 |
| 7. 担当者継続性 | アサイン担当の固定有無 | 主担当 + 副担当固定 |
中堅向け推奨スペック早見表
| 規模 | エンドポイント数 | 月額予算目安 | 推奨構成 |
|---|---|---|---|
| 200 名 | 220-280 台 | 50-100 万円 | 専業 MDR or 大手廉価プラン |
| 500 名 | 550-700 台 | 80-180 万円 | 大手 MDR 標準プラン |
| 1000 名 | 1100-1400 台 | 150-300 万円 | 大手 MDR + ハンティング |
エンドポイント数は社員数の 1.1-1.4 倍(サーバ・拠点端末・共有端末分)で見積もる。
リテーナー契約の落とし穴
| 項目 | よくある罠 | 対策 |
|---|---|---|
| 自動更新 | 解約予告 90 日が標準、忘れると 1 年延長 | カレンダー通知設定、半年前レビュー |
| 台数増減 | 増は即課金、減は次回更新まで反映無し | 半期見直し条項を入れる |
| 重大事故時の追加課金 | 通常 SLA 外作業は時間単価 | 上限額・想定シナリオを契約時に明示 |
| エージェント変更 | 中途解約で残ライセンス費請求 | 試用期間 60-90 日確保 |
| データ持ち出し | 契約終了時のログ返還が曖昧 | 終了時の引渡し条項を明記 |
選定 7 軸チェックリスト
[ ] 1. 月額の内訳(エンドポイント代・運用費・通報窓口)が明示されているか
[ ] 2. SLA は検知 / 対応開始 / 重大時の 3 段階で数値化されているか
[ ] 3. 封じ込めの事前承認プロセスが書面化されているか
[ ] 4. ハンティングが含まれるか、別料金ならいくらか
[ ] 5. 月次レポートのサンプルを契約前に提示してもらえるか
[ ] 6. 主担当・副担当のアサインが固定されるか
[ ] 7. 解約条項・データ返還条項が双方納得できる内容か
よくある質問(FAQ)
Q. EDR は入れているが MDR は不要では? A. 24 時間運用要員を 3 名以上専任で持てるなら自社運用も可。中堅は MDR 委任が費用対効果で優位なケースが多い。
Q. 安い専業 MDR と大手で差は出るか? A. 平時の差は小さいが、重大事故時の動員規模・フォレンジック能力・保険連携で差が出やすい。重要拠点は大手、ロングテールは専業の組合せも選択肢。
Q. MDR 切替時のリスクは? A. エージェント差替え期間(30-60 日)の検知漏れが最大リスク。新旧並行稼働 2 週間を契約に入れることを推奨。
参考資料
- IPA「情報セキュリティ 10 大脅威 2026」
- 経済産業省「サイバーセキュリティ経営ガイドライン Ver 3.0」
- 各 EDR / MDR ベンダー公開価格表
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