title: "建設倒産が12年ぶり2,000件超・人手不足倒産は初の100件超|2024年問題と省人化・建設DXへの転換点" description: "2025年の建設業倒産は前年比6.9%増の2,021件で12年ぶりに2,000件を突破。人手不足倒産は建設業で初めて100件を超えた。2024年問題を背景に、施工管理の省人化・需要予測・建設DXで何をどこから埋めるかを経営者・管理部門向けに整理する。" keyword: "建設業 倒産 2000件 人手不足倒産 2024年問題 省人化 建設DX" slug: "construction-bankruptcy-2000-labor-shortage-2026-20260625" date: "2026-06-25" updatedAt: "2026-06-25" category: "業界別DX" tags: ["建設","倒産","人手不足","2024年問題","建設DX"] author: "GXO株式会社" lead_summary: "建設業倒産が12年ぶり2,000件超、人手不足倒産は建設業で初の100件超。2024年問題が経営課題化し、省人化・建設DXが避けられない転換点に来ている。"
建設倒産が12年ぶり2,000件超・人手不足倒産は初の100件超|2024年問題と省人化・建設DXへの転換点
結論:建設業の倒産は「数」だけでなく「理由」が変わった
帝国データバンク(TDB)の「建設業の倒産動向(2025年)」によると、2025年の建設業倒産は前年比6.9%増の 2,021件 となり、2013年以来12年ぶりに2,000件を超えた。2000年以降で初めての4年連続増加であり、過去10年で最多である。
さらに注目すべきは倒産理由の構成だ。TDBの「人手不足倒産の動向調査(2025年)」では、建設業の人手不足倒産が前年の99件から 113件 へ増え、建設業として初めて100件を超えた。人手不足倒産は全業種合計でも427件と、3年連続で過去最多を更新し、初めて年間400件を超えている。
押さえるべき1点:建設業の倒産は、受注がないから潰れるのではなく、人が足りず工事を回せないから潰れる局面に入っている。
つまり、これは景気の波だけの話ではない。担い手不足と労働時間の上限規制が重なり、構造的に「人手で吸収する」やり方が限界に近づいている。ここから先で効いてくるのが、施工管理や事務作業の省人化、そして需要予測を含む建設DXである。最も人手を食う1工程からの着手点整理は、早めに進めるほど投資対効果が見えやすい。
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数字で見る2025年の建設業倒産
まず、公式データで状況を整理する。以下はいずれも帝国データバンクの公表値である。
| 指標 | 2025年 | 前年(参考) | 出典 |
|---|---|---|---|
| 建設業倒産 | 2,021件(前年比6.9%増) | ― | TDB「建設業の倒産動向(2025年)」 |
| 4年連続増加 | 2000年以降で初 | ― | 同上 |
| 2,000件超 | 2013年以来12年ぶり | ― | 同上 |
| 建設業の人手不足倒産 | 113件(業種で初の100件超) | 99件 | TDB「人手不足倒産の動向調査(2025年)」 |
| 物価高倒産(建設業) | 240件 | 250件 | TDB「建設業の倒産動向(2025年)」 |
| 経営者の病気・死亡が主因 | 78件(2000年以降で最多) | 77件 | 同上 |
人手不足倒産の全体像も合わせて見ておきたい。
| 指標 | 2025年 | 出典 |
|---|---|---|
| 人手不足倒産(全業種) | 427件(3年連続で過去最多・初の400件超) | TDB「人手不足倒産の動向調査(2025年)」 |
| 物流業の人手不足倒産 | 52件(過去最多) | 同上 |
| 従業員10人未満の割合 | 329件=全体の77.0% | 同上 |
ここから読み取れるのは2点だ。1つは、人手不足倒産の主役が小規模事業者であること。もう1つは、建設業と物流業という「2024年問題」の当事業種が、そろって過去最多になっていることである。
なぜ「2024年問題」が今、倒産という形で表面化したのか
2024年4月から、建設業にも時間外労働の上限規制が適用された。これまで現場は、繁忙期の残業や休日出勤で人手不足を吸収してきた面がある。その「残業で埋める」という最後の調整弁が、制度上使いにくくなった。
構造を整理すると、次のようになる。
| 従来の吸収方法 | 上限規制下での制約 | 結果として起きること |
|---|---|---|
| 繁忙期は残業・休日出勤で工程を詰める | 時間外労働に上限がある | 同じ人数でこなせる工事量が減る |
| 急な増員で乗り切る | 採用難・賃上げで人が集まらない | 受注しても人を割り当てられない |
| ベテランの長時間労働に依存 | 高齢化・離職で頭数が減る | 技能の継承が間に合わない |
| 単価そのままで数をこなす | 人件費・建材費が上昇 | 価格転嫁が追いつかず利益が出ない |
TDBは倒産増加の背景として、人件費の急騰、工期の延長、建材価格の上昇といったコストアップ要因に、請負単価への価格転嫁が追いついていない点を指摘している。受注はあっても、人を確保できず、利益も残らない。この「忙しいのに潰れる」状態が、人手不足倒産という形で数字に表れている。
ここで重要なのは、人を増やすこと自体が難しい以上、同じ人数でこなせる工事量を増やす=省人化 が、経営の選択肢ではなく前提になりつつあるという点だ。
省人化・建設DXで「埋められる工程」はどこか
人手不足を、採用だけで解決するのは現実的でない。そこで、現場と管理部門の作業を分解し、「人がやるべき判断」と「仕組みに渡せる作業」を切り分ける。建設DXは、現場を一気にデジタル化する話ではなく、負担の重い工程から省人化していく積み上げである。
| 工程・業務 | 人手で起きている負担 | 省人化・DXの打ち手 |
|---|---|---|
| 施工管理・書類作成 | 写真整理、報告書、日報、検査記録に時間を取られる | 施工管理アプリ、写真・書類の自動整理、AIによる要約・下書き |
| 進捗・工程管理 | 複数現場の状況把握が属人的 | 工程データの一元化、ダッシュボードによる遅延の早期検知 |
| 見積・積算 | 過去案件の参照と転記に依存 | 過去データを使った積算支援、見積テンプレートの標準化 |
| 受注・要員配置 | 受注の波が読めず、人を割り当てられない | 需要予測による受注見通し、要員・重機の配置最適化 |
| 検査・点検 | 目視・手作業で記録、見落としリスク | 画像解析による検査支援、点検記録のデジタル化 |
| 事務・経理 | 請求、原価集計、データ突合に工数 | 基幹データの連携、入力・突合の自動化、データ基盤整備 |
このうち、効果が早く出やすいのは「施工管理・書類作成」と「事務・経理」だ。現場監督が事務作業に追われている時間を減らせれば、同じ人数でより多くの現場を見られる。ここはAIによる文書の要約・下書き、写真と書類の自動整理が効きやすい領域である。施工管理や生成AIの活用方針については、AI開発・生成AI活用の進め方を前提に検討するとよい。
一方で、受注の波が読めないことが要員配置の混乱を生んでいる場合は、需要予測が論点になる。過去の受注・季節性・案件パイプラインをデータとして扱い、いつ・どの規模の工事が来そうかを見通せるようにする。これはデータ基盤・BI構築の領域であり、見積・原価のデータが社内にばらばらに存在している段階では、まずデータをつなぐところから始める。
着手点チェック:自社はどこから手をつけるべきか
省人化を「ツール導入」から始めると、現場に定着せず費用だけかかることが多い。次の順で、自社の状態を確認したい。
- 現場監督が、施工管理・書類作成にどれだけ時間を使っているか把握しているか
- 写真・報告書・検査記録が、人手で整理・転記されていないか
- 複数現場の進捗が、担当者の頭の中だけで管理されていないか
- 見積・積算が、特定のベテランに依存していないか
- 受注の波(季節性・案件の傾向)をデータで見られているか
- 見積・原価・勤怠などのデータが、システムごとに分断されていないか
- 過去案件のデータが、検索・再利用できる形で残っているか
- 紙・Excel・口頭で回している工程のうち、最も人手を食っているものを1つ特定できているか
最後の項目が最も重要だ。全部を一度にデジタル化する必要はない。最も人手を食っている工程を1つ選び、そこから省人化を始めるのが、定着しやすく投資対効果も見えやすい。
なお、基幹システムが古くデータを取り出せない、現場アプリと事務システムがつながっていない、といった場合は、省人化の前にシステム連携やレガシー刷新が論点になる。その際はDX・システム開発の観点で、何を残し何を作り替えるかを整理する。
よくある質問(FAQ)
Q. 倒産が増えているのは、受注が減っているからですか。 A. TDBのデータでは、背景はむしろ人件費・建材費の上昇に価格転嫁が追いつかないこと、そして人手不足です。建設業の人手不足倒産は2025年に113件と業種で初めて100件を超えました。受注の有無というより、人を確保できず利益が残らない構造が要因になっています。
Q. 「2024年問題」はもう一段落したのでは。 A. 2024年4月に時間外労働の上限規制が適用された建設業・物流業は、2025年にそろって人手不足倒産が過去最多になっています。制度施行から時間が経つほど、残業で吸収していた負荷が経営に表れる形になっており、課題は継続しています。
Q. 小規模な専門工事会社でも、省人化・DXは現実的ですか。 A. むしろ小規模事業者の課題です。2025年の人手不足倒産は、従業員10人未満の企業が77.0%を占めています。少人数だからこそ、書類作成や事務の省人化で1人分の時間を生み出す効果が相対的に大きくなります。全社一斉ではなく、最も負担の重い1工程から始めるのが現実的です。
Q. AIや需要予測は、データが整っていなくても使えますか。 A. 効果を出すには、ある程度のデータ整備が前提になります。見積・原価・勤怠などが分断されている段階では、まずデータをつなぐ基盤づくりから着手します。逆に、施工管理の書類作成のように、現場の作業をその場で支援する省人化は、大規模なデータ整備がなくても始めやすい領域です。
この記事を読むべき人
- 建設会社・専門工事会社の経営者で、人手不足と利益率の低下に同時に直面している
- 管理部門・経営企画で、2024年問題への対応や省人化投資の優先順位を検討している
- 現場監督の事務負担を減らし、同じ人数で見られる現場を増やしたい
- 受注の波に人員配置が追いつかず、需要予測やデータ活用を検討している
- 基幹システムが古く、どこから建設DXに着手すべきか判断できずにいる
GXOに相談すべきタイミング
- 現場監督の書類・事務作業を減らし、省人化で工事のさばける量を増やしたい
- 見積・原価・勤怠などのデータが分断されており、まずデータ基盤を整えたい
- 過去の受注データから需要予測を行い、要員・重機の配置を見直したい
- 基幹システムが古く、省人化の前提となるシステム連携・刷新が必要
GXOでは、建設・専門工事の現場と管理部門に向けて、施工管理の省人化、生成AI活用、需要予測のためのデータ基盤、基幹システムの連携・刷新を組み合わせ、「人を増やせない前提」での建設DXを支援する。まずは最も人手を食っている1工程から、投資対効果が見える範囲で着手する進め方を一緒に整理する。
関連リンク
- 建設DX
- AI開発・生成AI活用
- データ基盤・BI構築
- DX・システム開発
- DX成熟度診断(GXO) — 自社のDX体制・データ活用の現在地を整理
- i-Construction 2.0が本格展開へ|2026年のBIM図面審査・3Dモデル積算連携に中小建設会社はどう備えるか — 制度面から見た建設DXの備え
参考資料
- 帝国データバンク「建設業の倒産動向(2025年)」(2026年1月13日公表) https://www.tdb.co.jp/report/industry/1lm_mer_4e/
- 帝国データバンク「人手不足倒産の動向調査(2025年)」(2026年1月8日公表) https://www.tdb.co.jp/report/economic/20260108-laborshortage-br2025/
本記事は2026年6月25日時点の公開情報をもとに作成。倒産件数・人手不足倒産件数は帝国データバンクの公表値に基づく。各種制度・補助の適用可否は最新の一次情報を確認のうえ判断すること。
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