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医療DX推進体制整備加算は廃止・再編へ|新設「電子的診療情報連携体制整備加算」のマイナ30%・電子処方箋要件でクリニックのシステム投資はこう変わる

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COLUMN

結論:「体制を持っている」から「実際に使っている」への転換。マイナ保険証利用率30%以上が全区分の入口になった

2026年度(令和8年度)診療報酬改定で、医療DX推進体制整備加算と医療情報取得加算は廃止 され、新たに 「電子的診療情報連携体制整備加算」 が新設された。外来の初診時は加算1/2/3で 15点/9点/4点(月1回)、再診時は2点、入院は加算1/2で160点/80点(入院初日)という構成だ(歯科は電子的歯科診療情報連携体制整備加算、調剤は電子的調剤情報連携体制整備加算として並行して新設)。

押さえるべき構造変化は2つある。第一に、マイナ保険証利用率30%以上が、最上位の加算1だけでなく加算3まで含めた全区分共通の施設基準 に組み込まれたこと。従来の医療DX推進体制整備加算は区分ごとに利用率基準が階段状だったが、新加算では「30%」が算定の入口そのものになった。第二に、電子処方箋・電子カルテ情報共有サービスといった「次のインフラ」への対応が、上位区分(加算1・2)を分ける条件 になったことだ。厚生労働省の改定概要では、医療DX関連施策の進捗等を踏まえ、普及してきた関連サービスの活用を評価するという趣旨で整理されており、評価軸は明確に 導入から利活用へ 移った。

なお、本改定の内容自体は2026年春に公表済みであり、直近数日の新情報ではない。それでも今このテーマを取り上げるのは、令和8年6月1日から新加算の算定が始まり、算定サイクルが現に動き出している からだ。マイナ保険証利用率は算定月から遡った直近実績が参照されるため、今月の窓口での利用率が、数か月後に加算を算定できるかどうかを決める。「届出の様式論」ではなく、運用とシステムの問題として今動く必要がある。

押さえるべき1点:新加算は「マイナ30%」を満たせなければ4点の加算3すら算定できない。一方で、電子処方箋+電子カルテ情報共有サービスまで対応すれば初診時15点と、旧加算(最大12点)より評価は厚くなる。システム投資の差がそのまま収益差になる設計 だ。

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新旧比較:何が廃止され、何に変わったのか

項目改定前(〜令和8年5月)改定後(令和8年6月〜)
加算の名称医療DX推進体制整備加算(1〜6)+医療情報取得加算電子的診療情報連携体制整備加算(1〜3)に一本化
外来・初診時医療DX推進体制整備加算1〜6:12点〜8点(医科)加算1:15点/加算2:9点/加算3:4点(月1回)
外来・再診時医療情報取得加算 1点(3月に1回)2点(月1回)
入院(診療録管理体制加算等で別評価)加算1:160点/加算2:80点(入院初日)
歯科・調剤歯科11点〜6点/調剤10点〜6点歯科:9点/4点、調剤:8点
マイナ保険証利用率区分ごとに段階的な基準全区分共通で30%以上
電子処方箋・電カル共有サービス体制整備が要件(経過措置あり)上位区分(加算1・2)を分ける条件に

出典:厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要(外来医療の機能分化・強化等)」。同資料では併せて、電子処方箋システムの利活用を評価する 救急時医療情報取得加算(50点)遠隔電子処方箋活用加算(10点) の新設も示されている。

施設基準の構造:基本要件(1)〜(7)と上位要件(8)〜(10)

厚生労働省の改定概要によれば、外来の施設基準は(1)〜(10)の要件で構成され、区分との対応は次のとおりだ。

区分要件
加算1(15点)(1)〜(10)の全て
加算2(9点)(1)〜(7)の全て、かつ(8)〜(10)のいずれか
加算3(4点)(1)〜(7)の全て

基本要件(1)〜(7)には、オンライン請求、明細書の無償交付、オンライン資格確認体制、取得した診療情報を診察室等で閲覧・活用できる体制に加え、(5)マイナ保険証利用率30%以上、(6)マイナポータルの医療情報等に基づく健康相談対応、(7)院内・ウェブサイトでの掲示が含まれる。

上位要件(8)〜(10)が、システム投資の本丸だ。

  • (8)電子処方箋:電子処方箋を発行する体制、又は調剤情報を電子処方箋システムに登録する体制

  • (9)電子カルテの要件:安全管理ガイドライン準拠に加え、電子処方箋管理サービスおよび電子カルテ情報共有サービスとの接続インターフェース を持つこと(又は厚生労働省が認証する電子カルテ製品であること)

  • (10)診療情報の連携実績:電子カルテ情報共有サービスにより取得される診療情報等を活用する体制、又は一定規模の地域医療情報ネットワーク(参加医療機関10以上・開示病院2以上・登録患者1,000人以上等)の活用

なお令和8年5月22日の疑義解釈(事務連絡)では、(9)の「厚生労働省が認証する電子カルテ製品」の認証制度は 現在検討中で、取りまとまり次第示される こと、(8)の電子処方箋は令和5年1月26日稼働の基本機能(発行・応需、処方・調剤情報の閲覧、重複投与・併用禁忌チェック)への対応で足りることが示されている。また経過措置として、電子処方箋システムを有しない場合でも、オンライン資格確認等システム等で薬剤情報を確認していれば初診料の要件に該当するとみなす取扱いが 令和10年5月31日まで 設けられている。電子カルテ情報共有サービスは、厚労省のワーキンググループで 2026年度冬頃を目途に全国での運用開始を目指す 方針が示されており(報道ベース)、(10)の実装可能性はこの全国展開と連動する。

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6月算定はもう始まっている:利用率の「参照月」から逆算する

新加算は令和8年6月1日から算定が始まった。各種届出案内によれば、マイナ保険証利用率は 算定月の3〜5か月前のレセプト件数ベース利用率のいずれかが参照され、令和8年6月から算定する場合は令和8年1月〜3月の実績 を見る取扱いとされている(参照月・届出期限の詳細は地方厚生局の案内と支払基金から毎月通知される利用率で必ず確認すること)。

これが意味するのは単純だ。いま窓口でマイナ保険証の利用を増やせていない医療機関は、数か月後の算定可否がすでに決まりつつある ということ。6月に算定開始できなかった場合でも、7月以降の算定開始に向けて「利用率の底上げ」と「届出」を並行して進めれば挽回できる。逆に、何もしなければ初診1回あたり最大15点(再診2点)を毎月取りこぼし続ける。

算定開始までの要件チェックリスト

  • 利用率の現在値確認:支払基金から毎月通知されるマイナ保険証利用率を確認し、30%との差分を把握したか

  • 窓口オペレーション:声かけ・掲示・カードリーダー動線の改善など、利用率を上げる運用を開始したか

  • 電子処方箋:発行体制(処方・調剤情報の登録を含む)を整備したか。未導入なら導入スケジュールを引いたか

  • 電子カルテの接続性:自院の電子カルテが電子処方箋管理サービス・電子カルテ情報共有サービスの接続インターフェースを持つか、ベンダーに確認したか

  • 掲示・相談体制:院内およびウェブサイトへの掲示、マイナポータル情報に基づく健康相談対応を整えたか

  • 届出:算定したい区分の施設基準届出を地方厚生局に提出したか(参照月・期限は最新の案内で確認)

チェックの勘所:1〜2は「運用」、3〜4は「システム」、5〜6は「事務」だ。最も時間がかかるのは3〜4のシステム対応であり、ベンダーの開発・改修リードタイムから逆算して動く必要がある。

医療系ベンダー・医療機関の双方に効く「接続インターフェース」要件

今回の再編は、クリニックだけでなく 電子カルテ・レセコン・医療系SaaSを提供するベンダーの製品ロードマップ にも直結する。(9)の要件が「電子処方箋管理サービスとの接続IF」「電子カルテ情報共有サービスとの接続IF」を名指ししたことで、接続性のない製品は 顧客の加算1取得を阻害する製品 になってしまうからだ。検討中の電子カルテ認証制度が動き出せば、この線引きはさらに明確になる。

医療機関側の実務では、「自院のシステム構成が要件のどこを満たし、どこが欠けているか」の棚卸しが出発点になる。電子カルテ・レセコン・予約システム・オンライン資格確認端末が別ベンダーで運用されているクリニックでは、接続要件の確認だけでも骨が折れる。こうした複数システムの連携設計・改修は、システム開発・連携基盤の構築支援の典型的なテーマだ。また、診療情報という機微情報を扱う以上、安全管理ガイドライン準拠やバックアップ・BCP(入院の加算1では複数方式のバックアップとオフライン保管、BCP策定・年1回の訓練まで要件化されている)といったセキュリティ体制の整備も避けて通れない。

制度の流れとしては、2026年度に完成を目指す標準型電子カルテの動向と一体で見るべきだ。「いま使っている電子カルテをどこまで延命し、どこで乗り換えるか」の判断材料が、診療報酬の点数という形で示されたと言える。

よくある質問(FAQ)

Q. 旧・医療DX推進体制整備加算の届出をしていれば、新加算も算定できるか? A. 加算の名称・区分・要件が変わっているため、新加算の施設基準に基づく確認が必要だ。特にマイナ保険証利用率30%は全区分共通の要件であり、旧加算の下位区分(利用率基準が低い区分)を算定していた医療機関は、利用率の底上げなしには新加算を算定できない。詳細は地方厚生局の届出案内で確認すること。

Q. 電子処方箋を導入していないと加算は一切算定できないのか? A. 加算3(4点)は基本要件(1)〜(7)のみで算定でき、電子処方箋は要件ではない。電子処方箋への対応(8)は加算2以上の条件の一つだ。また初診料の注1に係る経過措置として、令和10年5月31日までは電子処方箋システムがなくてもオンライン資格確認等システム等で薬剤情報を確認していれば要件に該当するとみなす取扱いがある。

Q. 何から手を付ければよいか? A. まず支払基金から通知される自院のマイナ保険証利用率を確認し、30%との差を把握する。次に電子カルテベンダーへ「電子処方箋管理サービス・電子カルテ情報共有サービスの接続対応状況とスケジュール」を文書で確認する。この2つで自院の到達可能な区分(1/2/3)が決まり、投資判断ができる。

いつGXOに相談すべきか

  • 電子カルテ・レセコン・予約システムなど 複数ベンダーのシステムが分断 しており、加算要件への対応可否を自力で棚卸しできない

  • 医療系SaaS・電子カルテを提供するベンダーとして、電子処方箋・電子カルテ情報共有サービスとの接続対応 を製品ロードマップに組み込みたい

  • 診療情報を扱うシステムの 安全管理ガイドライン準拠・バックアップ/BCP体制 に不安がある

GXOは、医療機関のシステム構成の棚卸しと連携設計、医療系ベンダーの接続インターフェース開発、安全管理体制の構築までをシステム開発の伴走支援として提供している。診療報酬の算定要件を「事務の話」で終わらせず、システム投資の優先順位に落とし込みたい場合に相談してほしい。→ 医療システム連携の無料相談はこちら

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参考資料

本記事は2026年6月11日時点の公開情報をもとに作成。改定内容の公表は2026年春であり、本記事は令和8年6月の算定開始を受けた実務整理である。マイナ保険証利用率の参照月・届出期限は地方厚生局の案内および支払基金からの通知で、施設基準の正確な文言は告示・通知の原文で必ず確認すること。

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