品質データを取って、改善に活かす方法
品質データを改善に活かすには、①取るべきデータを定め、②推移・原因を分析し、③対策→効果検証のサイクルを回すことが重要です。本記事では、物流倉庫で取るべき品質データの種類と記録方法、そして具体的な活用方法を解説します。
「誤出荷率0.01%」
この数字は、良いのか悪いのか。
改善しているのか、悪化しているのか。
品質データを取っていても、活用できていなければ意味がありません。
本記事を読めば、どんなデータを取り、どう分析し、どう改善につなげるかが分かります。
取るべき品質データ

品質管理の基本となるデータは、大きく4種類あります。それぞれの記録方法とポイントを解説します。
データ①:誤出荷件数・率
最も基本的な品質指標です。
計算式
誤出荷件数 ÷ 出荷件数 × 100 = 誤出荷率(%)
記録のポイント
誤出荷が発覚したら、以下の項目を記録します。
発生日時
出荷伝票番号
誤出荷の内容(商品違い/数量違い/宛先違い など)
発覚経路(荷主からの連絡/配送業者からの連絡/社内検品 など)
担当者(ピッキング担当/出荷検品担当)
推定原因
日次で件数を集計し、月次で誤出荷率を算出するのが一般的です。出荷件数が日によって大きく変動する場合は、件数だけでなく率で追うことが重要です。
目安となる数値
物流倉庫における誤出荷率の目安は、一般的に0.01〜0.05%程度とされています。ただし、取り扱う商品の特性(SKU数、類似商品の多さ)によって難易度は異なります。自社の過去データと比較して改善傾向にあるかを見ることが大切です。
データ②:クレーム件数・内容
荷主やエンドユーザーからのクレームを記録します。
記録のポイント
件数だけでなく、内容を分類して記録することが重要です。
分類 | 内容例 |
|---|---|
商品関連 | 商品違い、数量違い、商品破損 |
梱包関連 | 梱包不備、緩衝材不足、外装汚損 |
納期関連 | 遅延、届かない |
その他 | 伝票不備、同梱物漏れ |
クレームを受けたら、発生日、内容、対応内容、再発防止策をセットで記録します。対応して終わりではなく、データとして蓄積することで傾向が見えてきます。
データ③:返品件数・理由
返品の件数と理由を記録します。
記録のポイント
返品には「倉庫起因」と「倉庫以外の原因」があります。
分類 | 理由例 |
|---|---|
倉庫起因 | 誤出荷、破損、数量不足 |
倉庫以外 | 顧客都合、受取拒否、届け先不在 |
この分類を明確にしておかないと、品質改善の対象が曖昧になります。返品理由を正確に把握し、倉庫起因の返品だけを品質指標として追いましょう。
データ④:作業別のミス件数
どの作業工程でミスが発生しやすいか、記録します。
記録のポイント
以下のような工程別にミスを分類します。
入荷作業:入荷検品の見落とし、ロケーション登録ミス
保管作業:棚入れミス、先入れ先出し違反
ピッキング:商品取り違え、数量間違い
出荷検品:検品見落とし、伝票照合ミス
梱包:梱包ミス、同梱物漏れ
工程別に記録することで、どこに改善の余地があるかが明確になります。
品質データの活用方法

データを取ったら、次は活用です。5つの活用方法を紹介します。
活用①:推移を見る
品質データを時系列で見ましょう。
「先月より誤出荷率が下がった」
「最近、クレームが増えている」
推移を見ることで、変化に気づけます。
具体的な見方
月次の誤出荷率を折れ線グラフにすると、傾向が一目で分かります。
右肩下がり → 改善傾向。施策が効いている
横ばい → 現状維持。新たな施策が必要
右肩上がり → 悪化傾向。原因の特定が急務
季節変動(繁忙期はミスが増えやすい)も考慮しながら、長期トレンドを把握しましょう。
活用②:原因別に分析する
誤出荷を原因別に分析します。
原因 | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
商品取り違え | 5件 | 50% |
数量間違い | 3件 | 30% |
宛先間違い | 2件 | 20% |
「商品取り違えが半分を占める」と分かれば、対策の優先順位が決まります。
分析のコツ
パレート分析(80:20の法則)を意識しましょう。多くの場合、少数の原因が大半のミスを引き起こしています。上位2〜3の原因に集中して対策を打つのが効率的です。
活用③:作業者別に分析する
特定の作業者にミスが集中していないか、確認します。
集中している場合、その人への教育やフォローが必要です。
ただし、犯人探しにならないよう注意。
プロセス改善が目的であることを忘れずに。
分析時の注意点
作業者別に分析する際は、作業量も考慮します。作業量が多い人はミス件数も多くなりがちです。「ミス件数 ÷ 作業件数」でミス率を算出し、公平に評価しましょう。
また、ミスが多い作業者を責めるのではなく、「なぜミスが起きやすいのか」を一緒に考える姿勢が大切です。作業環境や手順に問題があるかもしれません。
活用④:時間帯・曜日別に分析する
「午後にミスが多い」
「月曜日に誤出荷が多い」
傾向が分かれば、その時間帯・曜日の体制を見直せます。
よくあるパターン
午後(特に15時以降):疲労によるミス増加
月曜日:週明けの立ち上がりでミス発生
繁忙期:作業量増加による品質低下
傾向が見えたら、休憩の取り方、人員配置、ダブルチェック体制などを見直しましょう。
活用⑤:目標を設定する
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品質目標を設定し、達成状況を追いましょう。
「誤出荷率を0.01%以下に」
「クレームゼロを目指す」
目標があれば、現場の意識も高まります。
目標設定のポイント
現状の数値を把握した上で、達成可能かつ挑戦的な目標を設定
月次・四半期・年次など、期間を区切って進捗を確認
目標達成時のインセンティブ(表彰、報奨など)も検討
よくある失敗パターン
品質データを取り始めても、うまく活用できないケースがあります。よくある失敗パターンを紹介します。
失敗①:データを取るだけで終わる
「記録はしているけど、見返していない」
これでは意味がありません。最低でも月に1回は振り返りの時間を設け、データを分析しましょう。
失敗②:犯人探しになってしまう
「誰がミスしたか」ばかりに注目すると、現場の雰囲気が悪くなります。
ミスを報告しづらい空気ができると、データの精度も下がります。「人」ではなく「プロセス」に目を向けることが大切です。
失敗③:目標が曖昧
「品質を向上させる」だけでは、何をどこまでやればいいか分かりません。
「誤出荷率を現状の0.05%から、3ヶ月後に0.03%以下にする」のように、数値と期限を明確にしましょう。
失敗④:改善策を打たない
データを分析して原因が分かっても、対策を打たなければ改善しません。
「商品取り違えが多い」と分かったら、ロケーション表示の改善、類似商品の配置変更など、具体的なアクションにつなげましょう。
品質データの共有
共有①:現場への共有
品質データを、現場に共有しましょう。
「今月の誤出荷は5件でした」
「目標達成まであと2件減らす必要があります」
数字を見せることで、意識が高まります。
共有のコツ
朝礼や週次ミーティングで定期的に共有
グラフや表で視覚的に分かりやすく
改善した場合は、しっかり称える
共有②:荷主への報告
品質データを、荷主に報告しましょう。
信頼関係を築き、問題があれば一緒に対策を考えられます。
報告のポイント
月次レポートとして定期報告
問題発生時は、原因と対策をセットで報告
改善傾向にある場合は、その取り組みも共有
まとめ:データを「改善」につなげる
品質データは、取るだけでは意味がありません。
取る:誤出荷、クレーム、返品、作業別ミスを記録
見る:推移、原因別、作業者別、時間帯別に分析
打つ:優先度の高い課題から対策を実施
検証する:対策の効果をデータで確認
このサイクルを回して、品質を改善していきましょう。
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