現場課題📖 6分で読了

物流倉庫の品質管理|誤出荷・クレームを減らす方法品質問題の原因を特定し、改善する

物流倉庫の品質管理|誤出荷・クレームを減らす方法

物流倉庫の品質管理の方法を解説。誤出荷・クレームを減らすための原因分析と改善サイクルを紹介します。

物流倉庫の品質管理とは、誤出荷・破損・出荷遅延などのミスを防ぎ、顧客満足度と業務効率を維持するための取り組みです。本記事では、品質問題の原因分析から再発防止策の定着まで、現場で実践できる改善サイクルを4ステップで解説します。


物流倉庫でよくある品質問題

物流倉庫で発生する品質問題は、大きく4つのカテゴリに分類できます。それぞれの特徴と影響を理解することが、改善の第一歩です。

誤出荷(商品違い・数量違い)

誤出荷は、物流倉庫で最も多い品質問題のひとつです。商品違い(別の商品を出荷)と数量違い(個数の過不足)の2種類があり、どちらも顧客からのクレームに直結します。

誤出荷が発生すると、正しい商品の再発送コスト、誤出荷商品の回収コスト、顧客対応の人件費など、1件あたり数千円から数万円の損失が発生します。さらに、取引先からの信頼低下により、契約解除につながるケースもあります。

破損

商品の破損は、入荷時、保管中、出荷作業中のいずれかで発生します。特に多いのは、フォークリフトでの荷役作業中や、ピッキング時の落下によるものです。

破損が発生すると、商品原価の損失に加え、代替品の手配、顧客への謝罪対応が必要になります。食品や精密機器など、破損に敏感な商品を扱う倉庫では、特に注意が必要です。

出荷遅延

出荷遅延は、作業の遅れや在庫の欠品により、予定日時に出荷できない問題です。EC物流では「翌日届く」ことが当たり前になっており、遅延は顧客満足度に大きく影響します。

遅延の原因は、人員不足、作業効率の低下、在庫管理のミスなど多岐にわたります。繁忙期に遅延が集中する傾向があり、事前の人員計画が重要です。

入荷時のミス

入荷検品でのミスは、後工程すべてに影響を及ぼします。数量の数え間違い、ロケーションへの格納ミス、ロット番号の登録ミスなどが代表的です。

入荷時のミスは発見が遅れやすく、出荷時に初めて発覚することも少なくありません。その場合、原因特定に時間がかかり、対策も後手に回りがちです。


品質問題が発生する4つの原因

品質問題の原因を正しく理解することで、効果的な対策を立てることができます。

ヒューマンエラー

人間が作業する以上、ミスをゼロにすることはできません。しかし、ミスが起きやすい状況を放置すれば、エラー率は高くなります。

ヒューマンエラーが起きやすい状況として、以下が挙げられます。

  • 類似商品が隣接して保管されている

  • 作業者の疲労が蓄積している(長時間労働、休憩不足)

  • 作業スピードを優先しすぎている

  • 確認工程がスキップされている

マニュアル・手順書の不備

マニュアルが存在しない、または内容が古い場合、作業者ごとにやり方がバラバラになります。これが品質のばらつきにつながります。

よくある問題として、「マニュアルはあるが誰も見ていない」「例外対応の手順が書かれていない」「更新されておらず現状と合っていない」などがあります。

教育・訓練の不足

新人作業者への教育が不十分だと、基本的なミスが繰り返されます。また、ベテラン作業者でも、新しい商品や作業手順の変更に対応できていないケースがあります。

教育不足の兆候として、「同じ人が同じミスを繰り返す」「ベテランと新人で作業品質に大きな差がある」「なぜそうするのか理由を説明できない」といった状況が見られます。

作業環境の問題

照明が暗い、通路が狭い、温度管理が不十分など、作業環境の問題も品質に影響します。

環境要因による品質問題の例として、以下が挙げられます。

  • 照明不足でラベルの読み間違いが発生

  • 通路が狭くフォークリフトが商品に接触

  • 夏場の高温で作業者の集中力が低下

  • 騒音で指示が聞き取れない


品質改善の4ステップ

品質問題を根本から解決するには、場当たり的な対応ではなく、体系的な改善サイクルを回すことが重要です。以下の4ステップで進めましょう。

ステップ1:データで問題を可視化する

改善の第一歩は、品質問題を数値で把握することです。「なんとなく多い」ではなく、具体的なデータを収集します。

記録すべき項目

  • 発生日時

  • 問題の種類(誤出荷、破損、遅延など)

  • 発生場所(どのエリア、どのロケーション)

  • 担当者

  • 対象商品

  • 発見者・発見タイミング

分析のポイント

収集したデータをグラフ化し、傾向を分析します。たとえば、「月曜日の午後に誤出荷が多い」「特定のロケーションで破損が集中している」といったパターンが見えてきます。

パレート図を使えば、どの問題から優先的に対策すべきかが明確になります。全体の80%の問題が、20%の原因から発生していることも珍しくありません。

ステップ2:原因を徹底的に分析する

問題が可視化できたら、なぜその問題が起きたのか、真の原因を追求します。

なぜなぜ分析

「なぜ?」を5回繰り返すことで、表面的な原因ではなく、根本原因にたどり着く手法です。

例:誤出荷が発生した場合

  1. なぜ誤出荷が起きた? → 商品を取り間違えた

  2. なぜ取り間違えた? → 似た商品が隣に置いてあった

  3. なぜ隣に置いてあった? → ロケーション設計が考慮されていなかった

  4. なぜ考慮されていなかった? → ロケーション決定のルールがなかった

  5. なぜルールがなかった? → ルール策定の担当者が決まっていなかった

この例では、「商品を取り間違えた」という表面的な原因ではなく、「ロケーション決定のルールとその責任者の不在」という根本原因が明らかになります。

特性要因図(フィッシュボーン図)

問題の原因を「人」「方法」「機械」「材料」「環境」などのカテゴリに分けて整理する手法です。複数の原因が絡み合っている場合に有効です。

ステップ3:再発防止策を実行する

原因が特定できたら、具体的な対策を立てて実行します。対策は「仕組みで防ぐ」ことを基本とし、個人の注意力に頼らない方法を優先します。

誤出荷対策の例

  • ハンディターミナルによるバーコード検品の導入

  • 類似商品のロケーション分離

  • ダブルチェック体制の導入

  • ピッキングリストの改善(商品画像の追加など)

破損対策の例

  • フォークリフトの速度制限

  • 通路幅の確保

  • 緩衝材の使用基準の明確化

  • 破損しやすい商品の取り扱い教育

対策実施のポイント

対策は一度にすべて実施するのではなく、優先順位をつけて段階的に進めます。効果測定ができるよう、対策前後のデータを比較することも重要です。

ステップ4:対策を定着・標準化する

効果が確認できた対策は、マニュアルに落とし込み、全員が同じ手順で作業できるようにします。

マニュアル作成のポイント

  • 写真や図を活用し、視覚的にわかりやすくする

  • 例外対応も明記する

  • 定期的に見直し、更新する

  • 作業者がすぐ確認できる場所に掲示する

教育・訓練の実施

マニュアルを作成しただけでは定着しません。以下の方法で教育を行います。

  • 新人研修でのマニュアル説明

  • 定期的な勉強会の開催

  • ミスが発生した際のフィードバック

  • 優秀な作業者の表彰


品質管理で追うべきKPI

改善活動を継続するには、定量的な目標を設定し、進捗を管理することが大切です。以下のKPIを参考にしてください。

KPI

計算方法

目標目安

誤出荷率

誤出荷件数 ÷ 総出荷件数 × 100

0.1%以下

破損率

破損件数 ÷ 総取扱件数 × 100

0.05%以下

クレーム件数

月間のクレーム総数

前月比減少

出荷遅延率

遅延件数 ÷ 総出荷件数 × 100

0.5%以下

KPIは現場に掲示し、全員が現状を把握できるようにします。目標を達成したらチームで共有し、モチベーション向上につなげましょう。


まとめ

物流倉庫の品質管理は、データに基づく改善サイクルが基本です。

  1. 可視化:問題を数値で把握する

  2. 原因分析:なぜなぜ分析で根本原因を特定する

  3. 対策実行:仕組みで防ぐ対策を優先する

  4. 定着:マニュアル化と教育で標準化する

この4ステップを継続的に回すことで、誤出荷やクレームを着実に減らすことができます。まずは現状のデータ収集から始めてみてください。


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