属人化 解消 方法|物流倉庫のベテラン頼みから脱却する3つの手順
物流倉庫の属人化は、マニュアル化・多能工化・システム化の3つで解消できます。
「あの人がいないと現場が回らない」「ベテランが休むとラインが止まる」——こうした状況に心当たりはありませんか?
特定の人に業務が依存している状態を「属人化」と呼びます。属人化は、日々の業務に追われる中で気づかないうちに進行し、いざというときに大きなリスクとなります。
本記事では、物流倉庫における属人化のリスクを整理し、マニュアル化・多能工化・システム化という3つの方法で解消するための具体的なステップを解説します。
属人化とは?物流倉庫で起きやすい理由
属人化とは、特定の業務が特定の人にしかできない状態を指します。物流倉庫では以下のような理由から、属人化が起きやすい環境にあります。
作業が多岐にわたる:入荷・検品・保管・ピッキング・梱包・出荷と工程が多く、それぞれに経験が必要
イレギュラー対応が多い:返品処理、破損対応、急な出荷依頼など、マニュアルに書きにくい判断業務が発生する
人の入れ替わりが激しい:派遣スタッフや短期アルバイトが多く、ノウハウが蓄積しにくい
教える時間がない:繁忙期は目の前の作業に追われ、教育が後回しになる
こうした環境が重なり、結果として「あの人しかできない」業務が増えていきます。
GXOの支援現場では、属人化している業務の約7割が「イレギュラー対応」と「システム外作業」に集中しています。 Excelでのシフト管理や手書きの引き継ぎノートなど、いわゆる「Excel地獄」から抜け出せない現場ほど、属人化が深刻化する傾向があります。
属人化を放置するリスク
属人化を放置すると、現場には以下のようなリスクが生じます。
リスク①:その人が休むと現場が回らない
ベテランスタッフが体調不良や家庭の事情で急に休んだ場合、代わりに対応できる人がいなければ、その工程が止まります。物流倉庫では1つの工程の遅れが後続のすべてに影響するため、出荷遅延やクレームにつながるケースも少なくありません。
リスク②:退職されると業務が崩壊する
ベテランスタッフの退職は、長年蓄積されたノウハウの喪失を意味します。後任への引き継ぎが不十分なまま退職されると、品質低下や効率悪化が一気に表面化します。
リスク③:知識やノウハウが共有されない
属人化した業務では「なぜそうするのか」という理由が明文化されていないことが多く、担当者以外には意図が伝わりません。その結果、改善の余地があっても誰も気づかないという状態が続きます。
リスク④:教育に時間がかかりすぎる
属人化した業務を新人に教える場合、マニュアルがないため「見て覚える」「やりながら覚える」というOJT頼みになりがちです。教育に時間がかかり、独り立ちまでに数ヶ月を要することもあります。
属人化を解消する3つの方法

属人化を解消するためには、以下の3つのアプローチが有効です。それぞれの特徴と進め方を解説します。
方法①:マニュアル化
ベテランの頭の中にある知識・ノウハウを「見える形」にするのがマニュアル化です。
マニュアル化の進め方
対象業務を選定する:属人化している業務のうち、頻度が高い・影響が大きいものから着手
ベテランにヒアリングする:作業の手順だけでなく「なぜそうするのか」「どこで失敗しやすいか」も聞き出す
手順書を作成する:写真や図を入れ、初めて見る人でも分かるレベルで記述
実際に使って検証する:新人や他部署のスタッフにマニュアルを見ながら作業してもらい、不明点を修正
マニュアル化のポイント
完璧を目指さない。まず作って、使いながら改善する
紙だけでなく、動画マニュアルも有効
更新ルールを決めておく(半年に1回見直す、など)
方法②:多能工化
1人が複数の業務をこなせる状態を作るのが多能工化です。「この人しかできない」を「複数人ができる」に変えることで、人員配置の柔軟性が高まります。
多能工化の進め方
スキルマップを作成する:誰がどの業務をどのレベルでできるかを一覧化
教育計画を立てる:スキルの偏りがある業務から優先的にクロストレーニングを実施
ローテーションを組む:意図的に担当を入れ替え、実務経験を積ませる
評価に反映する:多能工化への取り組みを人事評価に組み込み、モチベーションを維持
多能工化のポイント
すべての業務を全員ができる必要はない。まずは「2人以上ができる」状態を目指す
繁忙期は難しいため、閑散期に計画的に進める
スキルマップは定期的に更新し、現状を可視化し続ける
方法③:システム化
人の判断に頼っていた部分をシステムに置き換えるのがシステム化です。属人化の根本的な解消につながります。
システム化の具体例
ロケーション管理:ベテランの記憶に頼っていた保管場所を、システムで自動表示
ピッキング指示:経験者の勘に頼っていた作業順序を、システムが最適化
在庫管理:目視確認していた在庫数を、リアルタイムでデータ化
シフト管理:属人的に作成していたシフトを、システムで自動生成
システム化のポイント
いきなり大規模なシステムを導入しない。小さく始めて効果を検証する
現場の声を聞きながら進める。使われないシステムは意味がない
導入後の運用体制(担当者、問い合わせ先)を決めておく
属人化解消を進めるステップ

属人化解消は一度に進めるのではなく、段階的に取り組むのが現実的です。以下のステップで進めましょう。
ステップ1:属人化している作業を洗い出す
まずは現状把握です。「この業務は誰が担当しているか」「その人がいないと困るか」を一覧にします。洗い出しには、以下の質問が有効です。
急に休んだら困る業務は何か?
この半年で引き継ぎができていない業務は何か?
マニュアルがない業務は何か?
ステップ2:優先順位をつける
洗い出した業務すべてに同時に取り組むのは現実的ではありません。以下の観点で優先順位をつけます。
影響度:その業務が止まったときの影響は大きいか?
発生頻度:日常的に発生する業務か、まれにしか発生しないか?
解消難易度:マニュアル化で解決できるか、システム投資が必要か?
影響度が高く、頻度が高く、難易度が低い業務から着手するのが基本です。
ステップ3:マニュアル化・多能工化・システム化を進める
優先順位に沿って、3つの方法を組み合わせながら進めます。すべてをシステム化する必要はありません。マニュアル化で十分な業務、多能工化で対応できる業務を見極めることが大切です。
ステップ4:定期的に見直す
属人化解消は一度やって終わりではありません。人の入れ替わりや業務内容の変化に応じて、定期的に見直しを行います。四半期に一度、スキルマップとマニュアルの更新状況を確認する習慣をつけましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. 属人化解消にはどれくらいの期間がかかりますか?
A. 対象業務の範囲や現場の状況によりますが、まずは3ヶ月を目安に優先度の高い業務から着手するのがおすすめです。全社的な取り組みとして進める場合は、1年程度の中期計画を立てるケースが多いです。
Q. ベテランが協力してくれない場合はどうすればよいですか?
A. 「自分の仕事を奪われる」という不安から協力に消極的になるケースがあります。属人化解消の目的は「その人を不要にする」ことではなく「現場全体を強くする」ことであると丁寧に説明し、ベテランの経験を評価する姿勢を示すことが大切です。
Q. マニュアルを作っても誰も見てくれません。どうすればよいですか?
A. マニュアルが使われない原因として「見つけにくい」「内容が古い」「現場の実態と合っていない」などがあります。保管場所を明確にし、定期的に更新し、実際に使う人にフィードバックをもらいながら改善することで活用されるマニュアルになります。
Q. システム化にはどれくらいの費用がかかりますか?
A. 導入するシステムの規模や機能によって大きく異なります。まずは無料トライアルや月額制のクラウドサービスから始め、効果を検証しながら段階的に拡大するスモールスタートがおすすめです。初期費用を抑えつつ、現場に合ったシステムを選定できます。
属人化解消チェックリスト
属人化解消に取り組む際は、以下のチェックリストを活用してください。
属人化している業務を洗い出したか
優先順位をつけたか
スキルマップを作成したか
マニュアル化の対象業務を決めたか
多能工化の教育計画を立てたか
システム化の検討をしたか
定期的な見直しのスケジュールを決めたか
まとめ
属人化は、日々の業務に追われる中で気づかないうちに進行します。「あの人がいないと現場が回らない」という状態は、組織としての大きなリスクです。
本記事で紹介した3つの方法——マニュアル化・多能工化・システム化——を組み合わせながら、段階的に属人化解消を進めていきましょう。まずは「属人化している業務を洗い出す」ことから始めてみてください。
関連記事
属人化解消にお悩みの方へ
現クラ(現場クラウド活用支援サービス)では、物流倉庫の属人化解消を支援しています。180社以上の導入実績をもとに、スキル管理機能で「誰が何をできるか」を可視化し、シフト管理機能で多能工化を促進。属人化に依存しない現場づくりをサポートします。
この記事についてもっと詳しく知りたい方へ
GXOでは、現場課題に関する詳しい資料を無料で提供しています。導入事例や成功事例、具体的な導入手順を詳しく解説しています。




