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AWS・Azure・GCP料金比較2026年版|中小企業のクラウド選定ガイド【費用シミュレーション付き】

総務省「令和6年版 情報通信白書」によると、クラウドサービスを利用する企業の割合は80.4%に達した(総務省、2024年7月公表)。一方、MM総研「国内クラウドサービス需要動向調査」(2025年3月)では、従業員300名以下の企業の42.3%が「どのクラウドベンダーを選ぶべき...

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総務省「令和6年版 情報通信白書」によると、クラウドサービスを利用する企業の割合は80.4%に達した(総務省、2024年7月公表)。一方、MM総研「国内クラウドサービス需要動向調査」(2025年3月)では、従業員300名以下の企業の42.3%が「どのクラウドベンダーを選ぶべきかわからない」と回答している。

AWS・Azure・GCPの3大クラウドは、いずれも毎年の値下げと新サービス追加を繰り返しており、2025年時点の比較記事はすでに陳腐化している。本記事では、2026年4月時点の最新料金データをもとに、従業員50〜200名規模の中小企業が稟議書に添付できるレベルの比較資料を提供する。


目次

  1. 3大クラウド料金比較表(4領域)
  2. 中小企業向け月額費用シミュレーション
  3. 割引制度の比較(Reserved / Savings Plans / CUD)
  4. クラウド選定フローチャート
  5. オンプレミスからの移行パス
  6. よくあるご質問(FAQ)

1. 3大クラウド料金比較表(4領域)

以下は、2026年4月時点の東京リージョンにおけるオンデマンド料金(税抜)の比較だ。いずれも各社公式料金ページから取得した参考値であり、為替変動・料金改定により変動する可能性がある。

コンピュート(仮想マシン)

スペックAWS(EC2)Azure(Virtual Machines)GCP(Compute Engine)
4 vCPU / 16 GB RAMm6i.xlargeD4s v5e2-standard-4
オンデマンド時間単価$0.192/h$0.192/h$0.134/h
月額概算(730h)約$140(約21,000円)約$140(約21,000円)約$98(約14,700円)
1年予約時の割引率約40%(Savings Plans)約35%(Reserved)約37%(CUD)
OSAmazon Linux 2023 / WindowsUbuntu / WindowsUbuntu / Windows
※ 為替レートは1ドル=150円で換算。GCPのe2シリーズはSustained Use Discount(継続利用割引)が自動適用されるため、実質コストはさらに低くなる。

ストレージ

項目AWS(S3)Azure(Blob Storage)GCP(Cloud Storage)
Standard(1TBあたり/月)$23.00$18.40$20.00
低頻度アクセス(1TBあたり/月)$12.50(S3 IA)$10.00(Cool)$10.00(Nearline)
アーカイブ(1TBあたり/月)$3.60(Glacier IR)$1.00(Archive)$1.20(Archive)
データ転送OUT(最初の100GB/月)$9.00$8.70$12.00
無料枠5GB/12か月5GB/12か月5GB/常時

データベース(マネージドRDB)

項目AWS(RDS)Azure(Database)GCP(Cloud SQL)
サービス名RDS for MySQLAzure Database for MySQL FlexibleCloud SQL for MySQL
4 vCPU / 16 GB RAM 月額約$280約$260約$230
ストレージ(100GB SSD/月)約$11.50約$13.80約$17.00
自動バックアップ保持期間最大35日最大35日最大365日
リードレプリカ最大15台最大10台最大8台
高可用性(Multi-AZ)料金2倍ゾーン冗長ありリージョナル構成あり

AI/MLサービス

項目AWSAzureGCP
主要サービスSageMaker / BedrockAzure OpenAI Service / ML StudioVertex AI / Gemini API
LLM API(GPT-4o相当 入力100万トークン)Bedrock Claude 3.5: $3.00Azure OpenAI GPT-4o: $2.50Gemini 1.5 Pro: $1.25
画像認識(1,000枚)Rekognition: $1.00Computer Vision: $1.00Vision AI: $1.50
音声文字起こし(1時間)Transcribe: $1.44Speech to Text: $1.00Speech-to-Text: $0.96
無料枠Bedrock一部モデル無料$200クレジット/30日$300クレジット/90日
セクションまとめ:コンピュートではGCPが約30%安い。ストレージのアーカイブ層はAzureが最安。AI/ML領域はGCPのGemini APIが価格競争力を持つ。ただし料金だけで選ぶべきではない——次章で総コストを試算する。

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2. 中小企業向け月額費用シミュレーション

想定環境:従業員50名の中小企業

以下の構成を前提に、3社の月額コストを試算する。

前提条件

リソース用途スペック
Webサーバーコーポレートサイト+業務アプリ4 vCPU / 16 GB RAM × 2台
DBサーバーMySQL(業務データ)4 vCPU / 16 GB RAM × 1台
ストレージファイルサーバー代替500 GB(Standard)
バックアップ日次スナップショット200 GB
VPN接続オフィスとの接続Site-to-Site VPN × 1
監視基本的な死活監視+アラート標準監視ツール

月額コスト比較(オンデマンド料金)

項目AWSAzureGCP
Webサーバー × 242,000円42,000円29,400円
DBサーバー(マネージド)42,000円39,000円34,500円
ストレージ 500GB1,725円1,380円1,500円
バックアップ 200GB750円600円600円
VPN接続7,500円6,000円5,250円
データ転送 50GB/月675円653円900円
監視(CloudWatch等)3,000円2,250円(Azure Monitor)0円(Cloud Monitoring基本無料)
月額合計97,650円91,883円72,150円
年額合計1,171,800円1,102,596円865,800円

1年予約/コミットメント適用後

項目AWS(Savings Plans 1年)Azure(RI 1年)GCP(CUD 1年)
コンピュート割引後25,200円(▲40%)27,300円(▲35%)18,522円(▲37%)
DB割引後25,200円(▲40%)25,350円(▲35%)21,735円(▲37%)
その他(変動なし)13,650円10,883円8,250円
月額合計(割引後)64,050円63,533円48,507円
年額合計(割引後)768,600円762,396円582,084円
オンデマンド比 削減額▲403,200円▲340,200円▲283,716円
セクションまとめ:50名規模の標準構成では、GCPがオンデマンド・予約ともに最安。AWSとAzureはほぼ同水準だが、Azureは監視コストが低い。予約コミットメントの適用で月額3〜5万円の削減が見込める。

3. 割引制度の比較(Reserved / Savings Plans / CUD)

中小企業がクラウドコストを削減する上で、割引制度の理解は不可欠だ。各社の主要な割引プログラムを比較する。

3社の割引制度一覧

項目AWS Savings PlansAzure Reserved InstancesGCP Committed Use Discounts
契約期間1年 or 3年1年 or 3年1年 or 3年
1年契約の割引率最大40%最大35%最大37%
3年契約の割引率最大60%最大57%最大55%
支払方法全額前払/一部前払/前払なし全額前払/月払い月払いのみ
対象リソースEC2, Fargate, LambdaVM, SQL DB, Cosmos DB等Compute Engine, Cloud SQL等
柔軟性インスタンスファミリー変更可同一シリーズ内で変更可同一リージョン内で変更可
途中解約不可一部返金あり(手数料12%)不可
自動適用Savings Plansは自動手動割当が必要CUDは手動、SUDは自動

中小企業に推奨する割引戦略

戦略内容適用タイミング
まずオンデマンドで3か月運用実際の利用パターンを把握してから予約を判断移行直後
ベースライン分のみ1年予約24時間稼働するサーバーだけ予約コミット運用3か月後
スポット/プリエンプティブル活用バッチ処理やテスト環境は最大90%割引のスポットを検討開発・テスト環境
GCPのSUD(自動割引)を活用月の25%以上使うだけで自動的に最大30%割引GCP選択時は即時
判断基準:初年度はオンデマンド → 利用実績3か月分で最適な予約プランを判定する。3年契約は割引率が高いが、中小企業はビジネス変化が速いため1年契約を推奨する。

4. クラウド選定フローチャート

料金だけでクラウドベンダーを選ぶのは危険だ。以下の5つの判断軸で総合的に評価する。

判断軸1:既存のIT環境

現状推奨ベンダー理由
Microsoft 365 / Active Directory利用AzureAzure ADとのSSO統合が容易。ライセンスの包括契約でコスト有利
Google Workspace利用GCPIAM統合が容易。BigQueryとの連携も強い
特定ベンダーに依存していないAWS or GCPAWSはサービスの幅、GCPはコスト面で優位

判断軸2:主な用途

用途推奨ベンダー理由
Webアプリ・APIAWSEC2/ECS/Lambdaのエコシステムが最も充実
業務システム(SaaS併用)AzureDynamics 365, Power Platformとの親和性
データ分析・AI活用GCPBigQuery, Vertex AIの価格性能比が高い
ファイルサーバー代替AzureOneDrive/SharePointとの統合

判断軸3:社内のスキル

状況推奨ベンダー理由
Linux経験者がいるAWS or GCPCLIベースの管理に強み
Windows Server経験者がいるAzureGUIベースの管理画面、既存スキルの移行が容易
クラウド経験者がいないAzure or GCPAzureは日本語ドキュメントが充実、GCPはUIがシンプル

判断軸4:サポート体制

項目AWSAzureGCP
日本語サポートBusiness以上(月$100〜)Standard以上(月$100〜)Standard以上(月$100〜)
国内パートナー数最多(約1,200社)多い(約800社)増加中(約400社)
中小企業向けプログラムAWS ActivateMicrosoft for StartupsGoogle for Startups
導入支援クレジット最大$100,000(条件あり)最大$150,000(条件あり)最大$200,000(条件あり)

判断軸5:コスト

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前章のシミュレーション結果を踏まえると、コスト面ではGCPが最安だが、Azure・AWSも予約適用後はGCPとの差が縮まる。コスト以外の判断軸で2社に絞り、最終的にコストで決定するのが合理的だ。

選定フローまとめ

ステップ判断内容結果
Step 1Microsoft 365を使っているか?Yes → Azure優先
Step 2Google Workspaceを使っているか?Yes → GCP優先
Step 3データ分析・AI活用が主目的か?Yes → GCP優先
Step 4日本語サポート・パートナーの充実度を重視するか?Yes → AWS優先
Step 5Step 1-4で決まらなければコスト比較シミュレーションで判定
セクションまとめ:「安いから」だけで選ぶとベンダーロックインや運用コスト増のリスクがある。既存IT環境 → 用途 → スキル → サポート → コストの順で絞り込むのが実務的な手順だ。

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5. オンプレミスからの移行パス

移行方式の選択

方式内容期間目安適するケース
Rehost(リフト&シフト)現行構成をそのままクラウドに移動1〜2か月まず移行したい、アプリ改修不要
ReplatformDBやミドルウェアをマネージドサービスに置換2〜4か月運用負荷を下げたい
Refactorクラウドネイティブに再設計4〜8か月スケーラビリティが必要
中小企業の初回移行ではRehostを推奨する。まず移行を完了させ、運用しながら段階的にReplatform・Refactorへ進める方がリスクが低い。

各クラウドの移行ツール

ツールAWSAzureGCP
VM移行AWS MGN(Application Migration Service)Azure MigrateMigrate to Virtual Machines
DB移行AWS DMS(Database Migration Service)Azure Database Migration ServiceDatabase Migration Service
ファイル移行AWS DataSyncAzure Storage MoverTransfer Service
移行評価Migration HubAzure Migrate AssessmentStratoZone
費用MGN: 無料(90日間)Azure Migrate: 無料Migrate to VM: 無料

移行スケジュール例(50名規模・Rehost)

フェーズ期間作業内容
1. 現状調査1〜2週間サーバー棚卸し、依存関係の整理、通信量の計測
2. 移行設計1〜2週間クラウド構成設計、ネットワーク設計、セキュリティ設計
3. テスト移行1〜2週間テスト環境への移行、動作検証、性能テスト
4. 本番移行1〜2日データ同期、DNS切替、動作確認
5. 運用最適化移行後1〜3か月リソース最適化、予約コミットメント適用、コスト監視

移行時に見落としがちなコスト

項目概算対策
データ転送費用(アウトバウンド)1TBあたり$85〜$120初回は物理デバイス転送(AWS Snowball等)も検討
移行期間の二重運用コスト1〜2か月分のクラウド費用テスト移行を並行し本番切替を短期化
アプリケーション改修0〜300万円Rehostなら基本的に不要
VPN/専用線の構築月額1〜5万円Site-to-Site VPNで十分なケースが多い
運用者の教育コスト研修2〜3日ベンダーのオンボーディングプログラムを活用

クラウド移行に使える補助金

補助金補助率上限対象
デジタル化・AI導入補助金20261/2〜4/5150万円クラウドサービス利用料(最大2年分)
ものづくり補助金(デジタル枠)1/2〜2/31,250万円クラウド基盤構築費用
事業再構築補助金1/2〜3/41,500万円DXに伴うシステム刷新
セクションまとめ:中小企業の移行はRehost方式で1〜2か月が目安。各社とも無料の移行ツールを提供しているが、二重運用コストとデータ転送費用は見落としやすいため事前に試算しておく。補助金を活用すればクラウド利用料の最大80%が補助される。

クラウド移行のコスト全体像についてはオンプレミスからクラウド移行のコスト計算ガイドでも詳しく解説している。


6. よくあるご質問(FAQ)

Q1. 3大クラウドの中で、中小企業に一番おすすめはどれですか?

一概には言えないが、判断の起点は「既存のIT環境」だ。Microsoft 365を使っているならAzure、Google Workspaceを使っているならGCPとの統合が容易になる。特定の依存がなく、コスト最優先であればGCPが東京リージョンで最安水準にある。

Q2. 料金は毎年変わりますか?予算計画はどう立てればよいですか?

各社とも年に数回の料金改定(多くは値下げ方向)がある。予算計画は、オンデマンド料金をベースに年間予算を組み、予約コミットメントによる削減分はバッファーとして確保しておく方法が堅実だ。各社の料金計算ツール(AWS Pricing Calculator、Azure Pricing Calculator、Google Cloud Pricing Calculator)で事前に概算を算出できる。

Q3. マルチクラウド(複数ベンダー併用)は中小企業でも必要ですか?

50〜200名規模であれば、マルチクラウドは運用負荷が増えるだけでメリットが薄い。1社に集約し、予約割引を最大化する方が総コストは下がる。将来的にベンダーロックインを避けたい場合は、コンテナ(ECS/AKS/GKE)やTerraform等のIaC(Infrastructure as Code)で構成を抽象化しておくと、移行の選択肢を残せる。

Q4. 無料枠だけで運用できる範囲はどこまでですか?

3社とも12か月の無料枠(GCPは$300クレジット/90日)を提供しているが、本番運用には不十分だ。開発・検証環境やPoCの実施には活用できる。本番環境では、最低でもコンピュート+DB+ストレージで月額5〜10万円は見込む必要がある。

Q5. クラウドに移行すると、セキュリティは大丈夫ですか?

3社ともISO 27001、SOC 2、CSA STARなどの国際認証を取得しており、物理セキュリティは自社オンプレミスより堅牢なケースが多い。ただし「共同責任モデル」により、OSより上のレイヤー(アプリケーション、データ、アクセス制御)はユーザー側の責任だ。IAM設定、暗号化、ログ監視を適切に設定することが前提になる。


まとめ

項目AWSAzureGCP
コンピュート(4vCPU/16GB)$0.192/h$0.192/h$0.134/h
50名規模 月額(オンデマンド)97,650円91,883円72,150円
50名規模 月額(1年予約後)64,050円63,533円48,507円
強みサービスの幅、パートナー最多M365統合、日本語ドキュメントコスト、AI/ML、BigQuery
推奨する企業像多様なサービスを使いたいMicrosoft製品中心の環境コスト重視、データ分析活用
選定は「料金だけ」で決めず、既存IT環境・用途・スキル・サポートを含めた5軸で判断する。中小企業は1社集約で予約割引を最大化し、初年度はオンデマンドで3か月運用してから予約を適用するのが堅実な手順だ。

GXOでは、180社以上のシステム開発・クラウド構築実績をもとに、中小企業のクラウド選定から移行まで一貫してサポートしている。会社概要はこちら


参考資料

  • 総務省「令和6年版 情報通信白書」(2024年7月) https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/
  • MM総研「国内クラウドサービス需要動向調査」(2025年3月) https://www.m2ri.jp/
  • AWS公式料金ページ(2026年4月参照) https://aws.amazon.com/jp/pricing/
  • Azure公式料金ページ(2026年4月参照) https://azure.microsoft.com/ja-jp/pricing/
  • Google Cloud公式料金ページ(2026年4月参照) https://cloud.google.com/pricing
  • 経済産業省「DXレポート2.2」(2024年7月) https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/dx/dx.html

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