SaaS管理の第一歩は「台帳」の整備——自社で利用中のSaaSを契約・権限・コストの3軸で一覧化し、誰が何をいくらで使っているかを可視化することが、コスト最適化とセキュリティリスク低減の出発点になる
「どの部署がどのSaaSを使っているか正確に把握できていない」「退職者のアカウントが放置されたままになっている」「月額費用が毎月じわじわ増えているが、どこで何に使っているか分からない」。こうした悩みを抱えるひとり情シス・IT担当者は非常に多いです。SaaSは導入が容易なため、現場の各部門が独自に契約を進め、気づけば社内で数十〜数百のSaaSが乱立しているケースも珍しくありません。
本記事の要点: SaaS管理台帳に記載すべき必須7項目のテンプレート構成、台帳を使ったシャドーIT対策の方法、台帳運用を形骸化させず定着させる3つのコツを解説します。情シス1人でも今日から始められる実務レベルの内容です。
なぜSaaS管理台帳が必要なのか——3つのリスク

SaaS管理台帳の具体的な作り方に入る前に、台帳がないことで発生する3つのリスクを整理します。
リスク1:コストの無駄遣い
SaaSは月額・年額のサブスクリプション課金が主流であり、利用していなくても契約が続く限り費用が発生し続けます。部門ごとに個別契約しているケースでは、同じ機能を持つSaaSが複数存在していること(重複契約)に誰も気づかないまま、年間数十万〜数百万円の無駄が発生しているケースがあります。台帳がなければ、こうした重複やムダを発見すること自体が困難です。
リスク2:セキュリティリスク(シャドーIT)
情シスが把握していないSaaS、いわゆるシャドーITは深刻なセキュリティリスクです。現場の担当者が業務の利便性を優先して個人判断で導入したSaaSに、顧客情報や社内機密データがアップロードされるケースがあります。また、退職者のアカウントが放置されたままのSaaSは、外部からの不正アクセスや情報漏洩の経路になりえます。
リスク3:属人化と引き継ぎ困難
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特にひとり情シスの場合、SaaSの契約情報やアカウント管理が担当者の記憶やメモに依存しがちです。担当者が異動・退職した際に「どのSaaSの管理者アカウントが誰か分からない」「契約更新日がいつか分からない」という状態に陥ると、業務が停滞するだけでなく、不要な自動更新による無駄な支出も発生します。
SaaS管理台帳テンプレート——記載すべき必須7項目
SaaS管理台帳に記載すべき必須7項目を解説します。この7項目をスプレッドシート(GoogleスプレッドシートやExcel)の列として設定すれば、すぐに台帳として運用を開始できます。
項目1は「SaaS名」です。サービスの正式名称を記載します(例:Google Workspace、Slack、Salesforce)。略称やニックネームではなく正式名称で統一することで、検索性と正確性を担保します。
項目2は「利用部門」です。そのSaaSを利用している部門を記載します。複数部門が利用している場合はすべて記載してください。全社利用の場合は「全社」と記載します。
項目3は「契約プラン・月額費用」です。契約しているプラン名と月額費用(または年額費用)を記載します。ユーザー単価×利用人数で計算できる場合はその内訳も記載してください。この項目がコスト最適化の基礎データになります。
項目4は「契約更新日・契約期間」です。契約の更新日(自動更新日)と契約期間(月次・年次)を記載します。更新日の1〜2か月前にアラートを設定しておくことで、不要なSaaSの自動更新を防げます。
項目5は「管理者アカウント(オーナー権限)」です。そのSaaSの管理者権限を持つ担当者名を記載します。ひとり情シスの場合は自分自身になることが多いですが、退職・異動時の引き継ぎを考慮し、必ず明記してください。管理者が1名のみの場合は、バックアップの管理者を設定しておくことを推奨します。
項目6は「利用アカウント数(有効/無効)」です。現在有効なアカウント数と、無効化(削除)済みのアカウント数を記載します。「契約ライセンス数」と「実際の有効アカウント数」に乖離がある場合、未使用ライセンスのコスト削減余地があることを示します。
項目7は「導入目的・利用用途」です。そのSaaSを導入した目的と実際の利用用途を簡潔に記載します。この項目は、SaaSの棚卸し時に「本当にまだ必要か」を判断する材料になります。導入時の目的が曖昧なSaaSほど、利用が形骸化していることが多いです。
シャドーIT対策——台帳を活用した検知と予防
SaaS管理台帳は、既知のSaaSを管理するだけでなく、シャドーITの検知と予防にも活用できます。
検知の方法として最も手軽なのは、経理部門と連携して「クレジットカード明細や経費精算データに含まれるSaaS関連の支払い」を定期的に台帳と突き合わせることです。台帳に記載されていないSaaS名の支払いが発見された場合、それがシャドーITです。月次の経費精算タイミングで確認する運用を組み込めば、特別なツールを導入しなくても検知が可能です。
予防の方法としては、「新規SaaS導入時の申請フロー」を整備することが有効です。具体的には、「新しいSaaSを利用開始する場合は事前にIT担当に申請する」というルールを全社に周知し、申請なしに導入されたSaaSは台帳外として定期的に検知・対応する仕組みを作ります。申請フォームはGoogleフォームやMicrosoft Formsで簡易に作成できます。GXOの支援現場でも、シンプルな申請フロー+月次の経費突合を導入しただけで、シャドーITの発生率が大幅に低減した企業を多く見てきました。
台帳運用を形骸化させない3つのコツ

SaaS管理台帳は「作ること」よりも「運用を定着させること」のほうが難しいです。台帳が形骸化する典型パターンは、「作成したが更新されず、半年後には情報が古くなって使い物にならない」というケースです。これを防ぐための3つのコツを解説します。
コツ1は「更新タイミングを業務イベントに紐づける」ことです。「毎月月末に更新する」というルールだけでは忘れがちです。代わりに、入社・退職の発生時、新規SaaS導入時、契約更新月の3つの業務イベントをトリガーにして台帳を更新する運用にすると、自然に最新状態を維持できます。
コツ2は「四半期に1回の棚卸しを実施する」ことです。3か月に1回、台帳に記載された全SaaSについて「利用アカウント数は正確か」「未使用ライセンスはないか」「利用目的が変わっていないか」「同じ機能を持つ別のSaaSと重複していないか」を確認する棚卸しを実施します。棚卸しの結果をもとに不要なSaaSの解約やプランダウンを行えば、コスト削減効果を定量的に示すことができ、情シスの成果としても可視化できます。なお、棚卸しに要する時間はSaaS数が30〜50程度であれば半日程度が目安です。初回は各部門への利用状況ヒアリングが必要なため1〜2日を見込んでください。
コツ3は「経営層への報告をセットにする」ことです。四半期の棚卸し結果を「SaaS月額コスト推移」「削減実績」「シャドーIT検知数」の3指標で経営層に報告する仕組みを作ります。これにより、SaaS管理が情シスの自己満足ではなく経営貢献として認識されるようになり、台帳運用へのモチベーションも維持しやすくなります。
まとめ
SaaS管理の第一歩は、契約・権限・コストの3軸でSaaSを一覧化する「管理台帳」の整備です。必須7項目のテンプレートに沿って台帳を作成し、シャドーIT対策としての経費突合と申請フロー整備、そして運用定着のための3つのコツ(業務イベント紐づけ更新・四半期棚卸し・経営層報告)を実践することで、ひとり情シスでもSaaS管理を仕組みとして回すことができます。
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