「契約しているが誰も使っていないSaaS」はありませんか
SaaSの利用数は年々増加し、1社あたり数十から数百のサービスを利用することも珍しくありません。しかし、契約後に利用が減っても解約手続きが行われず、惰性的に課金が続いているケースは非常に多くあります。退職者のアカウント削除漏れ、プロジェクト終了後も残り続けるツール、部門ごとに重複契約されている同種のサービス——これらを放置すると、年間で数十万〜数百万円規模の無駄な支出が発生し続けます。
本記事では、SaaS契約の棚卸しによってコスト削減を実現するための確認ポイントと具体的な見直し方法を解説します。すぐに使えるSaaS棚卸しシートのテンプレート項目も紹介しますので、ひとり情シスや少人数のIT担当チームでも実践可能な内容です。
なぜSaaS契約の棚卸しが必要なのか

SaaS契約の棚卸しが必要な理由は、コスト面とセキュリティ面の2つに大別されます。
コスト面では、SaaSは月額・年額のサブスクリプション課金が基本であるため、利用していないサービスでも契約が続く限り費用が発生し続けます。Zyloの2024年調査によれば、企業のSaaS支出のうち相当な割合が浪費されているとされています。特に中小・中堅企業では、各部門が個別にSaaSを契約する「シャドーIT」が発生しやすく、情シスが全体像を把握できていないケースが少なくありません。同じ機能を持つツールが複数部門で別々に契約されていれば、全社共通ツールに統合するだけでボリュームディスカウントを受けられる可能性があります。
セキュリティ面では、退職者のアカウントが削除されないまま放置されると、そのアカウントが不正アクセスの入り口になるリスクがあります。特に管理者権限を持つアカウントが残っている場合、企業データの改ざんや情報漏えいの被害に直結する危険性があります。また、情シスが把握していないシャドーITは、セキュリティポリシーの適用外となるため、機密情報が保護されない状態で外部サービスに保存されている可能性があります。SaaS棚卸しは、コスト削減とセキュリティリスクの低減を同時に実現できる、最も即効性の高い施策です。
SaaS棚卸しシートの12項目テンプレート
SaaS契約の棚卸しを進める際、以下の12項目を記録するシートを用意してください。ExcelやGoogleスプレッドシートで十分です。
項目1は「サービス名」です。利用しているSaaSの正式名称を記録します。項目2は「提供ベンダー名」です。項目3は「契約主体(部門・担当者)」です。どの部門の誰が契約しているかを明確にします。情シスが把握していない契約は、会計ソフトの振込履歴や法人クレジットカードの利用明細から洗い出すことができます。
項目4は「契約プラン名」です。無料プラン、ベーシック、プロ、エンタープライズなど、現在契約しているプランを記録します。項目5は「料金体系(月額/年額)」です。項目6は「1ライセンスあたりの単価」です。項目7は「契約ライセンス数」です。項目8は「月額費用(税込)」です。年額契約の場合は12で割った金額を記入し、年間総額も別途記録しておきます。
項目9は「実際の利用アカウント数」です。契約ライセンス数に対して、実際にログインしているアカウント数を確認します。多くのSaaSでは、管理画面から最終ログイン日時を確認できます。項目10は「最終ログイン日から30日以上経過しているアカウント数」です。30日以上ログインがないアカウントは「休眠アカウント」として削減候補に分類します。
項目11は「契約更新日」です。自動更新の場合、更新拒否の通知期限も併せて記録します。項目12は「見直し判定(継続/プラン変更/解約)」です。棚卸し結果に基づいて、各SaaSの今後の方針を判定します。
SaaS契約見直し5つのチェックポイント
ここまで読んで
「うちも同じだ」と思った方へ
課題は企業ごとに異なります。30分の無料相談で、
御社のボトルネックを一緒に整理しませんか?
営業電話なし オンライン対応可 相談だけでもOK
棚卸しシートを埋めたら、以下の5つの観点で各SaaS契約を見直します。
チェック1は「休眠アカウントはないか」です。30日以上ログインがないアカウントをリストアップし、利用者に継続利用の意思を確認してください。退職者のアカウント削除漏れ、異動した社員が使わなくなったツール、トライアルで登録したまま放置されているアカウントなどが典型的な休眠アカウントです。これらを削除するだけで、即座にライセンス費用を削減できます。
チェック2は「契約プランは利用実態に合っているか」です。上位プランで契約しているが、実際には基本的な機能しか使っていないケースはよくあります。各SaaSの管理画面から、どの機能がどの程度利用されているかを確認し、下位プランへのダウングレードで対応できないかを検討してください。たとえば、プロプランで契約しているが高度な分析機能を使っていない場合、ベーシックプランへ変更するだけで月額費用を30〜50%削減できることがあります。
チェック3は「機能が重複するSaaSはないか」です。異なる部門が、同じ用途のSaaSをそれぞれ契約しているケースを確認してください。たとえば、営業部門がチャットツールAを、開発部門がチャットツールBを使用しているような状況です。全社で1つのツールに統合すれば、ライセンスの集約によるコスト削減に加え、部門間のコミュニケーション効率も向上します。
チェック4は「契約更新日と自動更新条項を把握しているか」です。多くのSaaSは契約期間満了の30日前までに解約申請をしなければ自動更新される仕組みです。棚卸しシートの「契約更新日」をもとに、更新月の一覧カレンダーを作成し、見直しのタイミングを逃さない仕組みを整えてください。
チェック5は「年額契約への切り替えでコスト削減できないか」です。月額契約のSaaSを年額契約に切り替えると、一般的に10〜20%の割引が適用されます。棚卸しの結果「今後も継続利用する」と判定したSaaSについては、年額契約への切り替えを検討してください。ただし、年額契約は中途解約時に返金されないことが一般的なため、利用継続の確実性が高いサービスに限定して切り替えることが重要です。
棚卸しの進め方3ステップ
実際に棚卸しを進める手順を3ステップで紹介します。
ステップ1は「全SaaSの洗い出し(1〜2週間)」です。まず、情シスが管理しているSaaSを棚卸しシートに記入します。次に、会計ソフトの振込履歴や法人クレジットカードの明細を過去12か月分確認し、情シスが把握していないSaaS契約(シャドーIT)を特定します。各部門の管理職にヒアリングを行い、部門独自で契約しているツールがないかも確認してください。
ステップ2は「利用実態の調査(1〜2週間)」です。各SaaSの管理画面にログインし、アカウントごとの最終ログイン日時、利用機能、ストレージ使用量などを確認します。管理画面で利用状況を確認できないSaaSについては、利用者に直接ヒアリングを行います。この調査結果を棚卸しシートの項目9〜10に記入します。
ステップ3は「見直し判定と実行(1〜2週間)」です。棚卸しシートの情報をもとに、各SaaSを「継続」「プラン変更」「解約」の3つに分類します。解約対象のSaaSは、データのエクスポートが必要かどうかを確認した上で、契約更新日前に解約手続きを行います。プラン変更の対象は、ベンダーに連絡してダウングレードの手続きを進めます。
年間サイクルで定着させる

SaaS棚卸しは一度やって終わりではなく、継続的な運用が不可欠です。推奨される年間サイクルは、四半期ごと(年4回)の簡易チェックと、年1回の全面棚卸しの組み合わせです。四半期チェックでは、新規に契約されたSaaSの登録、退職者アカウントの削除確認、休眠アカウントの洗い出しを実施します。年1回の全面棚卸しでは、本記事の3ステップを通して実施し、全SaaS契約の見直し判定を行います。全面棚卸しのタイミングは、予算編成期の1〜2か月前に設定すると、翌年度のIT予算に削減効果を反映させやすくなります。
まとめ
SaaS契約の棚卸しは、特別なツールがなくてもスプレッドシートと管理画面の確認だけで始められ、即効性のあるコスト削減施策です。本記事で紹介した12項目の棚卸しシートと5つのチェックポイントを活用し、まずは自社のSaaS利用状況を可視化するところから始めてください。
「SaaS契約の棚卸しを一緒に進めてほしい」「IT資産管理の体制を整備したい」という方は、180社以上の支援実績を持つGXOにお気軽にご相談ください。SaaS契約の可視化から見直し、運用体制の構築まで、御社のIT投資の最適化を支援いたします。
👉 無料相談はこちら
「やりたいこと」はあるのに、
進め方がわからない?
DX・AI導入でつまずくポイントは企業ごとに異なります。
30分の無料相談で、御社の現状を整理し、最適な進め方を一緒に考えます。
営業電話なし オンライン対応可 相談だけでもOK


