DX・業務改善📖 1分で読了

SaaS契約更新前にやるべきこと|コスト見直しと乗り換え判断SaaS契約更新時にコストを見直し乗り換えを検討するための判断基準を解説

SaaS契約更新前にやるべきこと|コスト見直しと乗り換え判断

SaaS契約更新前に実施すべきコスト見直しと乗り換え判断の基準を解説。利用実態の棚卸し、隠れコストの洗い出し、乗り換えコストの算出方法まで、更新時の意思決定に必要な5つのステップを紹介します。

💡 今すぐ相談したい方へ|30分の無料相談で現状整理をお手伝いします

相談してみる

SaaS契約更新の見直しでIT予算最適化を実現する

SaaS契約更新とは、サブスクリプション型クラウドサービスの契約期間が満了する際に、継続・変更・解約を判断するプロセスです。多くのSaaS契約には自動更新条項が含まれており、契約期間の満了日を過ぎると、同一条件で自動的に次年度の契約が開始されます。この自動更新を漫然と繰り返すことが、SaaSコスト肥大化の主要なリスク要因です。

SaaS市場では2019年以降、値上げに踏み切るベンダーが増加しています。業界全体で平均12%の価格上昇が報告されており、更新のたびに月額料金が上がるケースは珍しくありません。さらに、導入当初は必要だった機能が業務変化により不要になっていたり、契約ユーザー数に対して実際の利用者が大幅に少なかったりするケースも頻発しています。経営視点で見れば、SaaS利用料金はIT予算の中で増加し続ける固定費です。たとえば年間SaaS費用が2,000万円の企業で、未使用ライセンスと不要なオプションが20%を占めていた場合、年間400万円の削減余地があります。SaaS管理を怠れば、この無駄が毎年積み上がり、営業利益率を圧迫する構造的な課題になります。

本記事の結論を先に示します。SaaS契約の更新前には、「利用実態の棚卸し」「コスト構造の分解」「乗り換えコストの算出」「代替サービスの比較」「更新・乗り換えの判断」の5つのステップを実施することで、惰性の更新を防ぎ、ITコストを最適化できます。更新日の90日前には見直しを開始することを推奨します。

SaaS契約更新前チェックリストとして、5つのステップの要点をまとめます。ステップ1では契約ユーザー数と実際のアクティブユーザー数を比較し、余剰ライセンスを特定します。ステップ2ではサブスクリプション料金だけでなく、連携開発費や運用工数を含む年間総コストを算出します。ステップ3ではデータ移行・再学習・連携再構築・並行稼働の4要素で乗り換えコストを見積もります。ステップ4では代替サービス3〜5社を10の評価軸で比較します。ステップ5では「更新」「条件交渉」「乗り換え」「解約」の4択で判断を確定します。

ステップ1:利用実態を棚卸しする

コスト見直しの第一歩は、現在のSaaSが実際にどの程度利用されているかを定量的に把握することです。確認すべき項目は5つあります。

1つ目は「アクティブユーザー数」です。契約ユーザー数と、過去3ヶ月間に実際にログインしたユーザー数を比較します。たとえば100ライセンス契約しているSaaSで、実際のアクティブユーザーが60名であれば、40ライセンス分のコストが無駄になっています。ユーザー単位課金のSaaSでは、この差分が直接的なコスト削減の余地です。

2つ目は「利用機能の範囲」です。契約しているプランに含まれる機能のうち、実際に利用されている機能を洗い出します。上位プランを契約しているが、実際には基本プランの機能しか使っていない場合、プランのダウングレードでコスト削減が可能です。

3つ目は「利用頻度と利用部門」です。日常的に使われているか、月に数回程度か、特定の部門だけが使っているか。利用頻度が低いSaaSは、その業務自体がなくなっている、または別のツールで代替されている可能性があります。

4つ目は「業務への貢献度」です。そのSaaSがなくなった場合、業務にどの程度の影響があるかを評価します。「なくても業務は回る」と判断されるSaaSは、解約の候補です。

5つ目は「重複しているSaaS」です。同じ機能を持つSaaSが複数導入されていないかを確認します。部門ごとに異なるプロジェクト管理ツールを契約している、チャットツールが2つ並行して使われている——このような重複は統合によるコスト削減の余地があります。

ステップ2:コスト構造を分解する

利用実態の把握が終わったら、そのSaaSにかかっている総コストを分解します。見るべきは月額料金だけではありません。

SaaSの総コストは「直接コスト」と「間接コスト」に分解できます。直接コストは、月額・年額のサブスクリプション料金、オプション機能の追加料金、ストレージやAPIコールの超過料金、導入時のセットアップ費用(初年度のみ)です。間接コストは、社員の学習・研修にかかった時間コスト、管理者の運用・保守にかかる工数、他システムとの連携のために追加開発した費用です。

特に見落としやすいのが間接コストです。SaaSの月額料金は安くても、連携のためのカスタム開発に数百万円を投じている場合、乗り換え時にはその開発投資も考慮する必要があります。

コスト分解の結果を「年間総コスト」として算出し、アクティブユーザー1人あたりの年間コストを計算してください。この数字が、代替サービスとの比較や、乗り換え判断の基準値になります。

ステップ3:乗り換えコストを算出する

SaaSの乗り換えには、新しいSaaSの利用料金以外にもコストが発生します。乗り換えを検討する際は、以下の4つの乗り換えコスト(スイッチングコスト)を事前に算出してください。

1つ目は「データ移行コスト」です。現在のSaaSからデータをエクスポートし、新しいSaaSにインポートする作業にかかる工数と費用です。データの形式が異なる場合は変換作業が必要であり、データ量が多い場合は移行期間も長くなります。移行を外注する場合の費用も確認してください。

2つ目は「再学習コスト」です。新しいSaaSの操作方法を社員が習得するまでの学習コストです。マニュアル作成、研修の実施、慣れるまでの生産性低下を含みます。利用者が多いSaaSほど、再学習コストは大きくなります。

3つ目は「連携再構築コスト」です。現在のSaaSと他システムをAPIやWebhookで連携している場合、新しいSaaSに対して連携を再構築する必要があります。この開発コストが乗り換えの最大のハードルになるケースは多いです。

4つ目は「並行稼働期間のコスト」です。乗り換え時には、旧SaaSと新SaaSを一定期間並行稼働させる必要があります。この期間中は両方のSaaSの利用料金が発生します。並行稼働期間は通常1〜3ヶ月程度です。

これら4つの乗り換えコストの合計と、現行SaaSを継続した場合の年間コスト差分を比較します。乗り換えコストが1〜2年以内に回収できる場合は、乗り換えの経済合理性があると判断できます。

ステップ4:代替サービスを比較する

乗り換えの経済合理性がある場合、代替サービスの候補を3〜5社に絞り込んで比較します。比較の評価軸は、前回記事で解説した「SaaS選定の10の評価軸」(機能適合性、コスト構造、セキュリティ、連携性、操作性、サポート体制、拡張性、データポータビリティ、ベンダー事業継続性、導入実績)を活用してください。

更新前の乗り換え検討で特に重視すべきは、「データポータビリティ」と「連携性」の2軸です。現在のSaaSからデータを完全にエクスポートできるか、新しいSaaSが既存の業務フローや他システムとの連携を維持できるかが、乗り換えの可否を左右します。

代替サービスの無料トライアル期間を活用し、実際の業務データで動作検証を行うことを推奨します。トライアル時には、IT部門だけでなく実際の利用者にも操作してもらい、現場の評価を収集してください。

ステップ5:更新・乗り換え・解約を判断する

ここまで読んで
「うちも同じだ」と思った方へ

課題は企業ごとに異なります。30分の無料相談で、
御社のボトルネックを一緒に整理しませんか?

無料で相談してみる

営業電話なし オンライン対応可 相談だけでもOK

ステップ1〜4の結果を踏まえ、最終的な判断を行います。判断は「更新」「条件交渉の上で更新」「乗り換え」「解約(代替なし)」の4択です。

「更新」は、利用実態が契約内容と合致しており、コストも適正で、代替サービスに明確な優位性がない場合です。この場合でも、ライセンス数の見直し(余剰ライセンスの削減)やプランのダウングレードは検討してください。

「条件交渉の上で更新」は、サービス自体は継続したいが、値上げや余剰ライセンスの解消について交渉したい場合です。更新日の60日前までにベンダーに連絡し、利用実態データを根拠に交渉します。複数年契約の提案や、利用者数に応じた柔軟なプランへの変更を打診することで、コスト削減の余地があります。

「乗り換え」は、代替サービスが現行より明確に優位で、乗り換えコストが1〜2年以内に回収できる場合です。乗り換えのスケジュールは、データ移行、並行稼働、研修の3フェーズで計画し、更新日の90日前から準備を開始します。

「解約(代替なし)」は、ステップ1の利用実態調査で「業務への貢献度が低い」「なくても業務は回る」と判断されたSaaSです。解約前に、そのSaaSに保存されているデータのエクスポートを完了してください。

更新管理を仕組み化する

SaaSの契約更新は年に1度のイベントではなく、継続的なSaaS管理プロセスです。複数のSaaSを利用している企業では、各SaaSの契約更新日、契約金額、利用者数、更新条件を一覧で管理する「SaaS契約管理台帳」を作成してください。台帳に記録すべき項目は、サービス名、契約開始日、更新日、年間契約金額、契約ユーザー数、直近3ヶ月のアクティブユーザー数、契約プラン名、自動更新の有無、解約通知期限、担当部門です。更新日の90日前にアラートが出る仕組みを設定し、毎回5つのステップで見直しを実施する運用を定着させることで、ITコストの肥大化を構造的に防止できます。

簡易テンプレートの記入例を示します。たとえば「サービスA/契約開始日:2024年4月1日/更新日:2025年4月1日/年間契約金額:180万円/契約ユーザー数:100名/アクティブユーザー数:62名/契約プラン:Businessプラン/自動更新:あり/解約通知期限:2025年2月1日(更新60日前)/担当部門:営業部」のように記入します。この形式でスプレッドシートに全SaaSを一覧化し、解約通知期限の早い順にソートすることで、優先的に見直すべきSaaSが一目で把握できます。ITガバナンスの観点からも、台帳の定期更新を四半期ごとに実施することを推奨します。

更新前に確認すべき契約条項

SaaS契約の見直しでは、利用実態やコストだけでなく、契約条項そのものの確認も欠かせません。確認すべき契約条項は4つです。

1つ目は「自動更新条項と解約通知期限」です。多くのSaaS契約では、更新日の30〜90日前までに解約または変更の通知をしなければ、自動的に同条件で更新されます。この解約通知期限を過ぎてしまうと、1年間は契約が継続するため、見直しの機会を逃します。更新日だけでなく、解約通知期限を台帳に明記してください。

2つ目は「中途解約の条件」です。年間契約の途中で解約する場合、違約金が発生するケースがあります。違約金の算定方法(残存期間の全額、一定割合など)を事前に確認し、乗り換え判断の際にコスト計算に組み込んでください。

3つ目は「値上げ条項」です。契約更新時にベンダーが料金を改定できる条件が規定されている場合があります。値上げの通知時期、上限の有無、値上げを理由とする解約の可否を確認してください。

4つ目は「データの取り扱い」です。契約終了後のデータ保持期間、データの削除方法、エクスポートの可否と形式が規定されています。解約や乗り換えを検討する際、データを安全に引き出せるかどうかは、契約条項で事前に確認しておくべき事項です。

これら4つの契約条項を更新前に確認しておくことで、ITガバナンスの観点からもリスクを最小化した判断が可能になります。

GXOのSaaS最適化支援

SaaS契約の見直しは自社内で実施できますが、複数のSaaSを横断したIT予算最適化の設計や、乗り換え時のデータ移行・連携再構築には専門的な知見が効果を発揮します。特に「SaaSの契約本数が10本を超えている」「年間のSaaS利用料が1,000万円以上に達している」「IT部門のリソースが限られ見直しに手が回らない」という企業は、第三者の客観的な評価によってコスト削減と固定費の適正化を同時に実現できます。GXOは180社以上の支援実績と92%の成功率を持つDX・システム開発パートナーとして、SaaSの棚卸しからコスト最適化、乗り換え支援、API連携の再構築まで一貫して対応しています。お気軽にご相談ください。

お問い合わせはこちら

まとめ

SaaS契約更新前にやるべきことは「利用実態の棚卸し」「コスト構造の分解」「乗り換えコストの算出」「代替サービスの比較」「更新・乗り換え・解約の判断」の5ステップです。更新日の90日前に見直しを開始し、利用実態データを根拠に判断することで、惰性の更新によるコスト肥大化を防げます。SaaS契約管理台帳を作成し、更新見直しを仕組み化することが、SaaSコストを中長期的に最適化する鍵です。

「やりたいこと」はあるのに、
進め方がわからない?

DX・AI導入でつまずくポイントは企業ごとに異なります。
30分の無料相談で、御社の現状を整理し、最適な進め方を一緒に考えます。

無料で相談してみる

営業電話なし オンライン対応可 相談だけでもOK