生成AIを「頭脳」として使う新型マルウェアが登場

セキュリティ企業ESETは、Google Gemini AIを悪用する初のAndroidマルウェア「PromptSpy」を発見しました。従来のマルウェアが抱えていた「デバイスごとのUI差異」という課題を、AIが動的に解決するという新たな脅威です。詳細はESETのレポートで公開されています。
このマルウェアは、感染したデバイスの画面情報をGemini APIに送信し、最適な操作位置をリアルタイムで取得します。これにより、どのメーカーのスマートフォンでも、どのOSバージョンでも、マルウェアが自律的に適応して動作することが可能になりました。生成AIがサイバー攻撃の「動的適応力」を与える時代が始まったといえます。
PromptSpyの動作メカニズムと危険性
PromptSpyの動作は非常に巧妙です。まず、デバイスの画面をXML形式でダンプし、そのデータをGemini APIに送信します。GeminiはJSONで「最近使用したアプリ」一覧にマルウェアを固定するためのタップ位置を返答。Accessibility Serviceを通じてUIを自動操作し、成功するまでGeminiにループで問い合わせを続けます。
この手法が画期的なのは、従来のマルウェアが抱えていた根本的な問題を解決した点にあります。これまでのAndroidマルウェアは、デバイスごとにボタンの位置やUIレイアウトが異なるため、特定の機種でしか正常に動作しないという弱点がありました。しかしPromptSpyは、AIが画面を「見て理解する」ことで、あらゆるデバイスに対応できるのです。
PromptSpyが持つ機能は多岐にわたります。VNCモジュールによるリモートアクセス、ロック画面のPINやパスワード、パターンの窃取、スクリーン録画、スクリーンショットの取得、そして透明オーバーレイによるアンインストール妨害などが実装されています。JPMorgan Chaseを偽装した「MorganArg」というアプリ名で配布されており、金融機関を装ったフィッシング攻撃の一環と考えられています。
AI悪用型サイバー攻撃の広がり
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この発見は、2025年2月18日にGoogle脅威インテリジェンスグループが報告した「国家アクターによるGemini悪用」に続くものです。マルウェア開発者もまた、生成AIを攻撃インフラとして積極的に活用し始めています。ESETが発見したAI悪用型マルウェアとしては、AIランサムウェア「PromptLock」に続く2例目となります。
さらに注目すべきは、Android脅威全体が多層化している点です。ファームウェアバックドア「Keenadu」なども発見されており、脅威は「アプリレベル」から「ファームウェアレベル」、そして「AI連携型」へと進化しています。攻撃者はあらゆる階層で新たな手法を開発しており、企業のセキュリティ対策も多層的なアプローチが求められます。
現時点でESETのテレメトリでは実際の感染は検出されておらず、概念実証段階の可能性があります。しかし配布ドメインとフィッシングサイトの存在から、実環境への展開も排除できない状況です。Google Play Protectは既知バージョンをブロックしていますが、亜種への対応は時間との勝負になります。
企業が今すぐ取るべき対策
PromptSpyのような新型脅威に対して、企業は複数の防御策を組み合わせる必要があります。
最も重要なのはAccessibility Serviceの権限管理です。この機能はマルウェアがUIを自動操作するために悪用されるため、業務に必要なアプリ以外への許可は厳禁です。次に、サイドローディング(公式ストア以外からのアプリインストール)を禁止するポリシーを徹底してください。今回のマルウェアも偽装アプリとして配布されました。
また、従業員への啓発も欠かせません。金融機関を装ったアプリには特に注意が必要で、公式アプリは必ずGoogle Playストアから直接インストールするよう周知しましょう。MDM(モバイルデバイス管理)の導入により、業務端末のアプリインストールを一元管理することも有効です。
さらに、AI APIの悪用パターンに関するセキュリティ監視の検討も始めるべきでしょう。自社でAI APIを利用している場合、不正なリクエストパターンを検知する仕組みの整備が今後重要になります。
まとめ
PromptSpyは、生成AIがサイバー攻撃の「頭脳」として機能する時代の到来を示す事例です。従来の静的なマルウェアとは異なり、AIの力で動的に適応するこの脅威に対しては、権限管理の徹底とポリシー強化が急務となります。
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