医薬品倉庫では、GDP(Good Distribution Practice:医薬品の適正流通基準)への対応が法的に求められています。一般的な物流倉庫と異なり、医薬品を取り扱う現場では「誰が」「いつ」「どのような教育を受けて」「どの作業を行ったか」を正確に記録し、監査時に説明できる状態を維持しなければなりません。しかし多くの現場では、紙やExcelでの管理に限界を感じながらも、具体的にどこまで対応すべきか判断に迷うケースが少なくありません。
この記事では、医薬品倉庫の人員管理においてGDP監査をクリアするために押さえるべき5つの必須項目と、現場で活用できるセルフチェックリストを紹介します。
この記事の要点(30秒で理解)
GDP対応の核心:教育記録・資格管理・入退場記録・作業記録・逸脱対応記録の5項目を「即座に提示できる状態」で管理する
監査で問われること:「この作業者は適切な教育を受けていたか」「誰がいつ保管エリアに入ったか」を証明できるか
現場の課題:紙・Excelでの管理は検索性・改ざん防止・抜け漏れ対策に限界がある
改善効果の実例:デジタル化により監査対応時間が3時間→30分に短縮した事例あり
結論から言えば、医薬品倉庫のGDP対応は「記録の完全性」がすべての基盤です。
最重要:教育記録・資格管理・入退場記録の3つを確実にデジタル化する
監査対策:「誰が・いつ・何を」のトレーサビリティを即座に証明できる状態にする
継続運用:記録の抜け漏れを防ぐ仕組みを日常業務に組み込む
医薬品倉庫がGDP対応を求められる背景
医薬品の流通においては、製造から患者の手元に届くまでの全過程で品質を担保することが求められます。GDPは欧州で生まれた基準ですが、日本でも厚生労働省が「医薬品の適正流通(GDP)ガイドライン」を公表し、医薬品卸売業者や物流事業者に対して実質的な対応を求めています。
GDPの根幹にあるのは「トレーサビリティ」の考え方です。万が一、品質に問題のある医薬品が流通した場合、どのルートを通じて、誰の手を経て届いたのかを迅速に特定できなければなりません。この要件を満たすには、商品の流れだけでなく「人」の動きも正確に把握・記録しておく必要があります。
医薬品倉庫の人員管理で求められる5つの必須項目

1. 教育記録の管理
GDP対応において最も重視されるのが、従業員への教育とその記録です。医薬品を取り扱う作業者には、温度管理の重要性、汚染防止策、異常時の対応手順などを定期的に教育し、その実施記録を残す必要があります。
教育記録には「実施日時」「教育内容」「受講者名」「講師名」「理解度確認の結果」を含めることが推奨されます。監査では「この作業者は、いつ、どのような教育を受けましたか」という質問が頻繁に行われるため、即座に該当記録を提示できる状態を維持しなければなりません。
ある医薬品物流センターでは、紙ベースの教育記録をデジタル化したことで、監査対応にかかる時間が従来の3時間から30分に短縮されました。記録の検索性が向上し、特定の作業者の教育履歴を瞬時に抽出できるようになったためです。
2. 資格・適性の管理
医薬品倉庫では、フォークリフト運転技能講習修了証や危険物取扱者資格など、業務に必要な資格を保有しているかどうかの確認が欠かせません。加えて、GDPでは「作業者がその業務を遂行する適性を有しているか」の評価も求められます。
資格管理においては、資格の種類、取得日、有効期限を一元管理し、期限切れを事前に把握できる仕組みが必要です。また、健康状態や作業適性の評価記録も、監査対象となる場合があります。
3. 入退場記録
医薬品保管エリアへのアクセス管理は、GDP対応の基本要件の一つです。「誰が」「いつ」「どのエリアに」入場したかを記録し、不正アクセスや異常があった場合に追跡できる状態にしておく必要があります。
入退場記録は、ICカードや生体認証によるシステム管理が理想的ですが、紙の入退場簿で運用している現場も少なくありません。紙運用の場合は、記入漏れや改ざんリスクへの対策が課題となります。
4. 作業記録とトレーサビリティ
GDP監査では、特定のロット番号の医薬品について「誰がピッキングし、誰が検品し、誰が出荷作業を行ったか」を問われることがあります。これに対応するには、作業者と作業内容を紐づけた記録が必要です。
作業記録は、ハンディターミナルやWMS(倉庫管理システム)と連携させることで、自動的に作業者情報を付与できます。手書き伝票で運用している場合は、作業者名の記入ルールを徹底し、記録の抜け漏れを防ぐ仕組みが求められます。
5. 逸脱時の対応記録
温度逸脱や手順からの逸脱が発生した場合、その事象と対応内容を記録することもGDPの要件です。「誰が」「いつ」「どのような逸脱を発見し」「どう対応したか」を時系列で記録し、再発防止策まで文書化しておく必要があります。
逸脱対応記録は、人員管理と連携させることで「対応した作業者は適切な教育を受けていたか」「資格要件を満たしていたか」も併せて確認できるようになります。
GDP対応の現場改善事例
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ある医薬品物流センターでは、人員管理のデジタル化により以下の改善を実現しました。
監査対応時間:3時間 → 30分に短縮
教育記録の検索時間:平均15分 → 即時検索が可能に
入退場記録の記入漏れ:月平均12件 → 0件に削減
資格期限切れによるヒヤリハット:年間5件 → 0件
従来はExcelと紙の台帳を併用していたため、監査のたびに担当者が資料をかき集める必要がありました。デジタル化後は、監査官の質問に対してその場で該当記録を画面表示できるようになり、監査対応の負担が大幅に軽減されています。
GDP対応セルフチェックリスト
以下のチェックリストで、自社の人員管理体制がGDP要件を満たしているか確認してみてください。
全従業員のGDP教育記録が一元管理されている
教育記録に「実施日」「内容」「受講者」「講師」「理解度確認」が含まれている
資格の有効期限を事前にアラートで把握できる仕組みがある
医薬品保管エリアへの入退場記録が正確に残っている
入退場記録から特定日時のアクセス者を即座に抽出できる
作業記録に作業者情報が紐づいている
特定ロットの取り扱い履歴を追跡できる
逸脱発生時の対応記録が時系列で残っている
記録類は改ざん防止措置が講じられている
監査対応に必要な記録を30分以内に準備できる
⚠️ 3項目以上が未対応の場合は要注意です。 監査時に記録不備を指摘されるリスクが高いため、人員管理体制の見直しを早急に検討することをお勧めします。
よくある質問(FAQ)
Q. GDP監査で最も指摘されやすい人員管理項目は何ですか?
A. 教育記録の不備が最も多い指摘事項です。特に「教育を実施した証拠がない」「受講者の理解度確認がされていない」「定期的な再教育の記録がない」といった点が問題になります。教育記録は「実施日・内容・受講者・講師・理解度確認」の5要素を必ず含め、監査時に即座に提示できる状態にしておくことが重要です。
Q. Excel管理ではGDP対応はできないのでしょうか?
A. Excel管理でもGDP対応は可能ですが、いくつかの課題があります。まず、改ざん防止の証明が困難です。また、複数ファイルに分散した記録の検索性が低く、監査時に必要な情報を素早く抽出できないリスクがあります。さらに、入力漏れや転記ミスのチェック機能がないため、記録の完全性を担保しにくい点も課題です。監査頻度や現場規模によっては、専用システムへの移行を検討する価値があります。
Q. 入退場記録は紙の台帳でも問題ありませんか?
A. 紙の入退場簿でも記録として認められますが、いくつかの対策が必要です。記入漏れを防ぐ運用ルールの徹底、改ざん防止のための管理体制(ボールペン使用・修正時の二重線+署名など)、そして特定日時のアクセス者を迅速に検索できる索引の整備が求められます。ICカードや生体認証によるシステム管理に比べると運用負荷が高いため、中長期的にはデジタル化を検討することをお勧めします。
まとめ
医薬品倉庫の人員管理においてGDP対応を確実に進めるには、教育記録、資格管理、入退場記録、作業記録、逸脱対応記録の5項目を「いつでも監査で説明できる状態」に整備することが不可欠です。紙やExcelでの管理には限界があり、記録の抜け漏れや検索性の問題が監査リスクにつながります。
デジタル化による記録管理の効率化は、監査対応の負担軽減だけでなく、日常業務の品質向上にも直結します。まずは上記のセルフチェックリストで現状を把握し、優先度の高い項目から改善を進めてみてください。
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