サイバーセキュリティ大手が直面するAI投資のジレンマ

世界最大級のサイバーセキュリティ企業であるPalo Alto Networksが、AI関連の大型買収に伴う統合コスト増を理由に2026年度の利益見通しを下方修正しました。CNBCの報道によると、この発表を受けて株価は約7%下落。売上高は予想を上回ったものの、投資家の期待を裏切る結果となりました。この事例は、AI強化を急ぐ企業が直面する「投資と収益のバランス」という普遍的な課題を浮き彫りにしています。
何が起きたのか:250億ドル買収の重荷
Palo Alto Networksは2026年2月11日、ID管理セキュリティ大手CyberArkの買収を250億ドルで完了しました。これはサイバーセキュリティ業界史上2番目の規模となる大型買収です。さらに同社は、クラウド監視基盤を提供するChronosphereを33.5億ドルで買収。加えてAIエージェント向けセキュリティを手掛けるイスラエルのスタートアップKoiも4億ドルで取得しています。
これらの買収により、同社はネットワーク、クラウド、SOC(セキュリティオペレーションセンター)に加え、「ID管理」を4本目の柱として確立。AI時代に対応した統合型セキュリティプラットフォームの構築を加速させています。
しかし、この積極的な買収戦略には代償がありました。2026年度通期のEPS(1株当たり利益)予想は当初の3.80ドルから3.65〜3.70ドルへと下方修正されました。第3四半期の利益見通しも市場予想の92セントに対し、78〜80セントと大幅に下回っています。同社経営陣は「買収統合に伴う重労働(heavy lifting)」がこの見通し下方修正の主因であると説明しています。
背景にある「プラットフォーム化」戦略
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この出来事を理解するには、Palo Alto Networksが推進する「プラットフォーム化」戦略を知る必要があります。従来、企業は用途ごとに異なるセキュリティ製品を複数のベンダーから購入していました。ファイアウォールはA社、クラウドセキュリティはB社、ID管理はC社といった具合です。
しかしAIの普及により、サイバー攻撃は格段に高速化・巧妙化しています。ある調査では、攻撃者がデータを窃取するまでの時間が1時間を切るケースも報告されています。こうした脅威に対応するため、企業はセキュリティ製品を一元化し、AIによる自動検知・自動対応を実現する必要に迫られています。
Palo Alto Networksはこのトレンドを捉え、単一プラットフォームであらゆるセキュリティニーズに対応する戦略を打ち出しました。同社のAI駆動型SOCプラットフォーム「XSIAM」は、すでに年間経常収益5億ドルを突破。顧客の60%以上が脅威への平均対応時間を10分未満に短縮することに成功しています。
日本企業が学ぶべき教訓
Palo Alto Networksの事例は、日本企業のセキュリティ投資にも重要な示唆を与えます。まず認識すべきは、AI時代のセキュリティは「製品の寄せ集め」では対応できないということです。攻撃者がAIを活用して高速化する以上、防御側もAIによる統合的な対応が不可欠になります。
一方で、今回の株価下落が示すように、急激な変革には必ず移行コストが発生します。大手企業でさえ、大型買収の統合には数年単位の時間と相当なコストがかかるのです。
御社のセキュリティ投資を検討する際には、以下の点を確認することをお勧めします。現在のセキュリティ製品がバラバラになっていないか、統合の余地があるかどうかを確認することが第一歩です。次に、AI活用による脅威検知・対応の自動化がどの程度進んでいるかを評価しましょう。また、ID管理とセキュリティの連携が十分かどうかも重要なチェックポイントです。さらに、投資計画と短期的な収益影響のバランスを事前に試算しておくことで、経営層への説明もスムーズになります。
まとめ
Palo Alto Networksの株価下落は、AI時代のセキュリティ投資が「やるか・やらないか」ではなく「どう実行するか」のフェーズに入ったことを示しています。統合型プラットフォームへの移行は避けられない流れですが、その実行には綿密な計画とコスト管理が求められます。
GXOは180社以上のセキュリティ支援実績をもとに、AI時代に対応したセキュリティ戦略の策定から実装までを伴走支援しています。自社のセキュリティ体制に不安がある、AIを活用した対策を検討したいという方は、ぜひ一度ご相談ください。
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