人件費管理📖 1分で読了

オフショア開発で仕様が伝わらない原因と対策|ブリッジSEの役割仕様認識齟齬を防ぐ仕様書の書き方チェックリストとブリッジSE活用法を解説

オフショア開発で仕様が伝わらない原因と対策|ブリッジSEの役割

オフショア開発で仕様が伝わらない5つの原因と、ブリッジSEを活用した具体的な対策を解説。仕様書の書き方チェックリスト付きで、認識齟齬によるやり直しを防ぐ方法がわかります。

💡 今すぐ相談したい方へ|30分の無料相談で現状整理をお手伝いします

相談してみる

オフショア開発で仕様が伝わらない問題を解決するには

オフショア開発で仕様が伝わらない最大の原因は、日本の開発現場で暗黙の前提とされている情報が仕様書に明文化されていないことにあり、ブリッジSEの活用と仕様書の品質改善によって解決できます。納品された成果物を開いてみたら画面構成がまるで違う、仕様書に書いたはずの機能が実装されていない——こうした経験をお持ちの方は少なくないはずです。

本記事では、以下の3点を解説します。

  • オフショア開発で仕様認識の齟齬が発生する5つの原因

  • ブリッジSE(ブリッジエンジニア)を活用した具体的な対策と失敗パターンの防ぎ方

  • 仕様が正確に伝わる仕様書を作るためのチェックリスト(良い例・悪い例付き)

これからオフショア開発を始める方にも、すでに進行中のプロジェクトで課題を抱えている方にも活用いただける内容です。

オフショア開発の失敗原因として最も多く挙げられるのが、発注側と開発側の間に生じるコミュニケーションのずれです。言語の壁があることはもちろんですが、それ以上に問題になるのは「日本の開発現場では暗黙の了解として共有されている前提」が、海外の開発チームには通用しないという点です。国内の開発プロジェクトでは、仕様書に明記されていない部分をエンジニアが文脈から読み取って実装してくれることがあります。しかし、オフショア開発では仕様書に書かれていることがすべてであり、書かれていないことは基本的に実装されません。この前提の違いを理解しないまま発注すると、「伝えたはずなのに伝わっていなかった」という結果を招くことになります。

仕様認識の齟齬が発生する5つの原因

オフショア開発で仕様が正しく伝わらない原因は、大きく5つに分類できます。

1つ目は、仕様書の曖昧さです。「ユーザーにとって使いやすいUIにすること」「適切なエラーハンドリングを行うこと」といった抽象的な記述は、日本のエンジニアであれば過去の経験から意図を汲み取れることがあります。しかし、海外の開発チームにとっては「使いやすい」の定義も「適切な」の基準も不明瞭です。具体的な画面遷移図やエラーメッセージの一覧がなければ、開発者ごとに異なる解釈で実装が進んでしまいます。

2つ目は、言語変換時のニュアンスの消失です。日本語の仕様書を英語やベトナム語に翻訳する過程で、微妙なニュアンスが失われることは避けられません。ある機能を日本側では「検索フィルタ」と呼び、翻訳後に「search condition」となり、現地チームが「検索条件の設定画面」と解釈して別の画面を作ってしまった、というケースは実際に起こりえます。

3つ目は、業務知識の不足です。開発するシステムが対象とする業務(日本の会計処理、在庫管理、人事労務など)について、海外の開発チームが十分な知識を持っていないことがあります。業務フローの前提が共有されていないと、業務全体として使い物にならないシステムができあがるリスクがあります。

4つ目は、品質基準の認識差です。日本企業が求める品質水準は、グローバルに見ても高い傾向にあります。画面の表示崩れ、ボタン配置の微妙なずれ、レスポンス速度への要求など、日本の発注側が「当然やるべきこと」と考えている品質基準が、海外チームには伝わっていないことがあります。

5つ目は、フィードバックサイクルの不足です。仕様の認識齟齬は開発初期に発見できれば修正コストは小さく済みますが、納品直前に発覚すると手戻りのコストが膨大になります。完成まで成果物を確認しないプロジェクト体制では、齟齬が蓄積して取り返しのつかない状況に陥りがちです。

ブリッジSEとは何か——その役割と重要性

ブリッジSE(BrSE)とは、日本の発注企業と海外の開発チームの間に立ち、両者の橋渡しを行うシステムエンジニアのことです。単なる通訳ではなく、技術的な知識と業務理解を兼ね備えたうえで、仕様の伝達、進捗管理、品質管理を一手に担う、オフショア開発の成否を左右する重要なポジションです。

ブリッジSEの主な業務は3つの領域に分かれます。第一に、コミュニケーション業務として、発注企業の要望を正確にヒアリングし、海外の開発チームに対して技術的に正確かつ文化的に適切な形で伝達します。第二に、技術業務として、要件定義書や設計書の内容を理解し、開発チームへの作業指示を行います。第三に、プロジェクト管理業務として、日本側と海外側のスケジュール調整、進捗確認、課題管理を行い、プロジェクト全体の円滑な進行を支えます。

ブリッジSEの配置パターンとしては、オフショア開発企業側の人材が現地で務めるケースと、日本国内に常駐するケースがあります。前者は現地チームとの密なコミュニケーションが利点、後者は日本側との連携のスムーズさが利点ですが、コストはやや高くなります。

ブリッジSEを選定する際に確認すべきスキル要件は3つあります。第一に、仕様書を正確に読み解き現地エンジニアへ適切な粒度で指示を出せる技術力。第二に、細かなニュアンスまで伝達できる日本語(またはビジネス英語)のコミュニケーション力。第三に、納期の厳格さや品質基準の高さ、報連相の文化など日本のビジネス慣行への理解です。

よくある失敗パターンとブリッジSEによる解決策

ここまで読んで
「うちも同じだ」と思った方へ

課題は企業ごとに異なります。30分の無料相談で、
御社のボトルネックを一緒に整理しませんか?

無料で相談してみる

営業電話なし オンライン対応可 相談だけでもOK

仕様の認識齟齬に起因する典型的な失敗パターンと、ブリッジSEを活用した具体的な解決策を見ていきましょう。

まず、「仕様書に書いていないことが実装されない」という失敗です。日本の開発現場では「行間を読む」文化がありますが、オフショア開発では通用しません。この問題に対しては、ブリッジSEが仕様書の曖昧な部分を事前に洗い出し、開発着手前に発注側へ確認を取るというプロセスが有効です。ブリッジSEは「現地チームがこの記述をどう解釈するか」を予測できるため、認識のずれを未然に防ぐフィルターの役割を果たします。

次に、「完成品を見たら想定と違う画面だった」という失敗です。これは画面設計の解釈違いが原因で起きることが多く、ワイヤーフレームやモックアップを使った事前確認で大幅にリスクを軽減できます。ブリッジSEが日本側から画面イメージを受け取り、現地チームと具体的なビジュアルを共有したうえで着手することで、「思っていたものと違う」という事態を防げます。

さらに、「修正依頼が正確に伝わらず同じ問題が繰り返される」という失敗もあります。ブリッジSEがスクリーンショットや動画を活用して問題を可視化し、修正後の期待動作を具体的に記述することで、修正の精度とスピードが向上します。

なお、予算やプロジェクト規模の関係でブリッジSEを配置できない場合でも、発注側が最低限やるべきことがあります。仕様書をすべて英語で作成し曖昧な表現を排除すること、画面モックアップを必ず添付すること、そして週1回以上のビデオミーティングで認識合わせを行うことです。ブリッジSEがいない場合は、発注側自身がその役割の一部を担う覚悟が必要になります。

仕様が正確に伝わる仕様書の書き方チェックリスト

オフショア開発で仕様の認識齟齬を防ぐためには、仕様書そのものの品質を高めることが不可欠です。以下のチェックリストは、発注前に仕様書を点検する際の基準として活用してください。

機能定義の観点では、各機能に対して「何をするか(What)」だけでなく「なぜ必要か(Why)」が記載されているかを確認します。背景や目的を理解している開発者は、仕様書に明記されていない細部についても適切な判断を下しやすくなります。また、正常系だけでなく異常系(エラー発生時の処理、入力値のバリデーション、タイムアウト時の挙動など)が網羅されているかも重要です。

画面設計の観点では、すべての画面についてワイヤーフレームまたはモックアップが添付されているかを確認します。画面遷移図も必須です。ボタンを押した後にどの画面に遷移するのか、戻るボタンの挙動はどうなるのかなど、ユーザーの操作フロー全体を図示しておくことで、解釈の余地を最小限に抑えられます。

用語の観点では、プロジェクト内で使う用語の定義集(用語集・グロッサリー)が作成されているかを確認します。日本語、英語(必要に応じてベトナム語)の対訳表を作成し、プロジェクト全体で統一的に使用することが重要です。

品質基準の観点では、パフォーマンス要件(画面の表示速度、同時接続数など)、対応ブラウザ・デバイス、アクセシビリティ要件など、非機能要件が明文化されているかを確認します。

テスト条件の観点では、受入テストの合格基準が具体的に定義されているかを確認します。何をもって「完成」とするのかを事前に合意しておくことで、納品後の認識違いによるトラブルを防ぐことができます。

実際の仕様書では、記述の粒度が品質を大きく左右します。たとえば、悪い記述例として「エラー時は適切に処理すること」があります。この記述では「適切」の基準が不明瞭で、開発者によって解釈が異なります。これを良い記述例に改善すると「入力値が空の場合はエラーメッセージ『氏名を入力してください』を該当フィールドの直下に赤字(#FF0000)で表示し、フォーム送信をブロックする」となります。このように、表示位置、色指定、挙動まで具体的に記述することで、解釈の余地がなくなり、認識齟齬を防ぐことができます。

自社で今すぐ取り組める5つのアクション

仕様の認識齟齬を防ぐために、発注側の企業が今すぐ取り組めるアクションを整理します。

第一に、仕様書のセルフレビューを習慣化することです。前述のチェックリストをもとに、仕様書を発注前に必ず社内でレビューしてください。「初めてこのプロジェクトに触れる人が、この仕様書だけで正しく開発できるか」という観点で読み返すと、曖昧な箇所が見つかりやすくなります。

第二に、用語集の作成と共有です。プロジェクト固有の業務用語やシステム用語について、日本語と英語の対訳表を作成し、仕様書とセットで共有してください。用語の不統一は、小さな誤解が積み重なり大きな手戻りにつながる原因です。

第三に、画面モックアップの早期共有です。テキストベースの仕様書だけでなく、FigmaやAdobe XDなどのツールで作成した画面モックアップを開発着手前に共有し、視覚的に認識を合わせてください。

第四に、短いサイクルでのレビューの実施です。2週間に1回程度の頻度で中間成果物のデモを実施し、仕様との乖離がないかを早期に確認する体制を整えてください。問題の発見が早ければ早いほど、修正コストは小さくなります。

第五に、ブリッジSEとの事前面談の実施です。プロジェクト開始前にブリッジSEと直接面談し、技術力、日本語力、プロジェクトマネジメント経験を確認することを強くおすすめします。ブリッジSEのスキルがプロジェクトの成功を大きく左右するため、「誰がブリッジSEを務めるか」は委託先選定の最重要ポイントの一つです。

まとめ

オフショア開発で仕様が伝わらない原因は、仕様書の曖昧さ、言語変換時のニュアンス消失、業務知識の不足、品質基準の認識差、フィードバックサイクルの不足の5つに集約されます。ブリッジSEは発注側と開発側の認識を一致させる最重要ポジションであり、同時に発注側自身が仕様書の品質を高め、短いサイクルでレビューを行う体制を整えることも欠かせません。

「オフショア開発を始めたいが、仕様をどう伝えればいいかわからない」「進行中のプロジェクトで認識齟齬が頻発して困っている」とお感じの方は、ぜひGXOにご相談ください。GXOはベトナムオフショア開発事業として、福岡本社とベトナム開発拠点の体制で上流工程から下流工程まで一気通貫の伴走型支援を行っており、180社以上の支援実績があります。経験豊富なブリッジSEが日本側の意図を正確にベトナム開発チームへ伝え、仕様書のレビューから品質管理まで責任を持って対応します。無料相談では、御社のプロジェクト内容をヒアリングしたうえで、最適なチーム体制の提案と仕様伝達フローの設計を具体的にご提示します。

お問い合わせはこちら

「やりたいこと」はあるのに、
進め方がわからない?

DX・AI導入でつまずくポイントは企業ごとに異なります。
30分の無料相談で、御社の現状を整理し、最適な進め方を一緒に考えます。

無料で相談してみる

営業電話なし オンライン対応可 相談だけでもOK