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人件費の見える化|倉庫現場で使える方法とダッシュボード活用術物流倉庫の人件費を数値で把握し、コスト最適化と利益改善につなげる実践ガイド

人件費の見える化|倉庫現場で使える方法とダッシュボード活用術

物流倉庫の人件費を見える化する具体的な方法を解説。ダッシュボードの作り方、管理項目の設定、改善事例まで。現場で今日から使える実践ガイドです。

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人件費の見える化とは、雇用形態や工程ごとに人件費を分解し、ダッシュボードなどで継続的に数値を把握できる状態をつくることです。「人件費が高い気がするが、どこにいくらかかっているのか分からない」。物流倉庫の現場管理者であれば、一度はこうした悩みを抱えたことがあるのではないでしょうか。人件費は物流コストの中でも最大の割合を占めますが、Excelでの手作業管理では全体像が見えにくく、改善の糸口をつかみにくいのが実情です。この記事では、物流倉庫の現場で人件費を見える化する具体的な方法と、ダッシュボードを活用した継続的な管理の仕組みについて解説します。

この記事でわかること

  • 物流倉庫の人件費を見える化するために管理すべき5つの項目と、その設定手順

  • ダッシュボードの作り方と、目標比較・異常値アラートなど実務で使える活用法

  • 見える化の失敗パターンを避け、コスト削減につなげるための実践ポイント

結論から言えば、人件費の見える化は「何を・どの単位で・どう見るか」の3つを決めることから始まります。

  • 管理項目の設定:総人件費、雇用形態別・工程別の内訳、残業代、人件費率の5項目を基本とする

  • ダッシュボードの構築:日次・月次でグラフ化し、目標値との差異や異常値を即座に把握できる仕組みをつくる

  • 継続的な改善サイクル:見える化したデータをもとに、配置最適化やシフト見直しなど具体的なアクションにつなげる


人件費が「見えない」ことで起きる問題

物流倉庫の現場では、正社員・パート・派遣社員といった複数の雇用形態のスタッフが混在しています。入荷・検品・保管・ピッキング・梱包・出荷と工程も多岐にわたり、それぞれに異なるコスト構造があります。こうした複雑さのなかで人件費が「見えない」状態が続くと、具体的にどのような問題が生じるのでしょうか。

まず、どの工程に人件費が集中しているか分からなければ、改善の優先順位を判断できません。ピッキング工程の残業が慢性化していても、全体の数字に埋もれてしまい対策が後手に回ります。また、繁閑差の大きい物流現場では、閑散期に余剰人員を抱えていても気づきにくく、無駄なコストが垂れ流しになるケースもあります。仮に月あたり40万円の無駄が発生していれば、年間で約480万円のコスト損失に相当します。月42万円の残業代超過であれば年間504万円です。こうした数字を見れば、見える化に取り組む投資対効果が十分にあることが分かります。

さらに深刻なのは、派遣スタッフの請求単価や契約条件がブラックボックス化することです。派遣会社ごとの単価差が月数十万円に及ぶケースもあり、比較検討すらできない状態は経営にとって大きなリスクとなります。


人件費を見える化する具体的な方法と管理すべき5つの項目

見える化の第一歩は管理項目の設定から

人件費の見える化に取り組む際、まず押さえるべきは「何を見るか」という管理項目の設定です。物流倉庫の現場で特に重要な項目は以下の5つです。

1つ目は「総人件費(月次・日次)」です。これは経営判断の基本となる数値であり、月次の推移を把握することで、季節変動やイベント対応による増減を可視化できます。日次でも確認できる体制があれば、異常な増加に早期対応が可能です。

2つ目は「雇用形態別の内訳」です。正社員・パート・アルバイト・派遣社員など、雇用形態ごとのコスト構成を分けて把握します。例えば、ある物流センターでは派遣比率が全体の60%を超えていたにもかかわらず、具体的な金額を把握できていなかったため、派遣会社との単価交渉の機会を逃していました。

3つ目は「工程別の内訳」です。入荷・検品・ピッキング・梱包・出荷など工程ごとに人件費を分解することで、コストが偏っている工程を特定できます。特にピッキング工程は自動化や動線改善による効率化の余地が大きく、工程別データがあれば投資対効果の判断材料にもなります。

4つ目は「残業代・休日出勤手当」です。残業代は月によって大きく変動しやすい項目であり、日次・週次での監視が効果的です。ある物流センターでは、残業時間を日次で可視化したことにより、特定の曜日にピッキング工程で残業が集中していることが判明し、シフトの再編成によって月間の残業代を約120万円から78万円に削減できた事例があります。

5つ目は「人件費率(人件費÷売上)」です。絶対額だけでなく、売上に対する人件費の割合を追跡することで、事業の収益性を正しく評価できます。人件費率が業界平均や自社の目標値と比べて高い場合は、根本的な業務改善や自動化投資の検討が必要です。


人件費ダッシュボードの作り方と活用法

管理項目が決まったら、次はそれらを一覧で確認できるダッシュボードを構築します。ダッシュボードとは、複数のデータをグラフや表で1つの画面にまとめた管理ツールのことです。Excelでも簡易的なダッシュボードは作れますが、毎月のデータ更新に3〜5時間の作業が発生し、リアルタイム性に欠けるという課題があります。

ダッシュボードに組み込むべき管理項目の一覧は以下のとおりです。

管理項目

表示形式

確認頻度

主な用途

総人件費

折れ線グラフ

日次・月次

全体トレンドの把握

雇用形態別内訳

積み上げ棒グラフ

月次

コスト構成の分析

工程別内訳

積み上げ棒グラフ

月次

ボトルネック工程の特定

残業代・休日出勤代

折れ線+アラート

日次・週次

異常値の早期発見

人件費率

数値+目標ライン

月次

収益性の評価

効果的なダッシュボードには3つの要素が求められます。まず「推移のグラフ化」です。月次・日次の人件費推移を折れ線グラフで表示し、増減のトレンドを直感的に把握できるようにします。雇用形態別や工程別の内訳は積み上げ棒グラフが見やすく、どの要素が全体を押し上げているかが一目で分かります。

次に「目標値との比較」です。予算や前年同月比、業界平均などの基準値をグラフ上にラインとして表示しておくと、現状が計画通りかどうかを瞬時に判断できます。目標値を超えた場合にアラートが出る仕組みがあれば、問題の早期発見にもつながります。

そして「異常値のアラート機能」です。特定の工程の人件費が前月比で大幅に増加した場合や、残業代が一定の閾値を超えた場合に通知される仕組みを設けておくと、対応の遅れを防止できます。異常値の検知は、手動では見落としやすいポイントだからこそ、システム化する価値があります。


見える化で失敗しやすいNGパターン

人件費の見える化に取り組んでも、期待した効果が出ないケースがあります。よくある失敗パターンを知っておくことで、同じ轍を踏まずに済みます。

1つ目のNGパターンは「データは集めたが、誰も見ていない」状態です。ダッシュボードを構築しても、確認する習慣がなければ意味がありません。毎週の定例会議で人件費データを確認する運用ルールを設けることが大切です。

2つ目は「総額だけを見て、内訳を分析しない」というケースです。人件費の総額は把握しているものの、雇用形態別・工程別に分けていないため、どこを改善すべきか分からないまま時間が過ぎてしまいます。

3つ目は「データの更新が追いつかない」パターンです。Excelで管理している場合に起きやすく、月末にまとめて入力する運用では、リアルタイムな意思決定が困難になります。可能であれば、勤怠システムや人員管理システムと連携し、データが自動で更新される仕組みを整えることが理想です。

4つ目は「見える化が目的化してしまう」ことです。ダッシュボードの見た目や機能にこだわるあまり、肝心の改善アクションに結びつかないケースです。見える化はあくまで手段であり、データをもとに人員配置の最適化やシフト変更など具体的な施策を実行してこそ成果が出ます。

5つ目は「現場の協力が得られない」状態です。データ入力の負担が現場に偏ると、正確なデータが集まらなくなります。入力の手間を最小限にする仕組み(バーコードやICカードによる自動記録など)と、見える化によって現場にもメリットがあることを丁寧に説明する姿勢が重要です。


人件費見える化セルフチェックリスト

自社の人件費見える化がどこまで進んでいるか、以下の10項目で確認してみてください。

  • 総人件費を月次で把握できている

  • 雇用形態別(正社員・パート・派遣)の内訳を把握できている

  • 工程別の人件費を分解できている

  • 残業代・休日出勤手当を日次または週次で確認できている

  • 人件費率(人件費÷売上)を毎月算出している

  • ダッシュボードまたは定点観測の仕組みがある

  • 目標値や予算との比較を定期的に行っている

  • 異常値が発生した際の確認・対応フローがある

  • 勤怠データとの連携により、データ更新が自動化されている

  • 見える化したデータをもとに、具体的な改善アクションを実施している

チェックが5つ以下の場合は、見える化の基盤づくりから着手することをおすすめします。6〜8つの場合は運用の定着化がカギとなり、9つ以上であれば高い管理水準にあると言えます。


よくある質問(FAQ)

Q1. 人件費の見える化は何から始めればいいですか?

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まずは「総人件費」と「雇用形態別の内訳」の2項目を月次で把握することから始めるのが現実的です。この2つが整理できれば、どの雇用形態にコストが偏っているかが分かり、次のアクション(単価交渉、配置見直し等)につなげやすくなります。いきなり全項目をダッシュボード化しようとすると挫折しやすいため、段階的に進めることが大切です。

Q2. ダッシュボードはExcelでも作れますか?

Excelでも簡易的なダッシュボードは作成可能です。ピボットテーブルやグラフ機能を使えば、月次の推移や雇用形態別の内訳を可視化できます。ただし、データの更新を手作業で行う必要があるため、毎月3〜5時間の作業が発生する点は課題です。データ量が増えてきた場合や、日次でのリアルタイム監視が必要な場合は、専用の人員管理システムやクラウドツールの導入を検討することをおすすめします。

Q3. 見える化で人件費はどのくらい削減できますか?

削減幅は倉庫の規模や現状の管理体制によって異なりますが、残業代の適正化だけでも月数十万円の改善が見込めるケースは少なくありません。実際に、ある物流センターではシフト再編成により月間残業代を約120万円から78万円に削減しています。見える化そのものがコストを下げるわけではなく、見える化によって発見した課題に対して適切な施策を打つことで削減効果が生まれます。

Q4. 小規模な倉庫でも見える化は必要ですか?

小規模な倉庫であっても、人件費の見える化は有効です。10名規模の倉庫では1名の余剰で人件費が約10%増加し、50名規模でも2〜3名の非効率配置が月数十万円のコスト増につながるため、規模を問わず見える化の効果は大きいと言えます。大がかりなシステム導入が難しい場合は、Excelや簡易的なクラウドツールから始めるだけでも十分な効果が期待できます。

Q5. 派遣スタッフの人件費も見える化できますか?

派遣スタッフの人件費も見える化の対象に含めるべきです。派遣会社からの請求書をもとに、派遣会社別の単価、工程別の配置人数、月間の総コストを整理します。複数の派遣会社を利用している場合は、会社ごとの単価比較が可能になり、契約条件の見直しや集約化の判断材料になります。


人件費の見える化で実現する倉庫コスト最適化のまとめ

人件費の見える化は、物流倉庫の経営改善において最も効果の大きい取り組みの1つです。管理項目を明確に定め、ダッシュボードで継続的に監視し、データに基づいた改善アクションを回すことで、コスト削減と現場の生産性向上を同時に実現できます。まずは総人件費と雇用形態別内訳の把握から始め、段階的にダッシュボードの機能を拡充していくのが現実的な進め方です。


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