インボイス対応完了後こそ、経理DXの本番

2023年10月にスタートしたインボイス制度。多くの企業が請求書フォーマットの変更やシステム改修に追われ、なんとか対応を終えたところではないでしょうか。しかし、インボイス対応はゴールではありません。2026年10月には経過措置が縮小され、免税事業者からの仕入れに係る控除割合が現行の80%から50%に引き下げられます。本記事では、インボイス対応完了後の経理部門が次に取り組むべきDX施策を、具体的なロードマップとして解説します。請求書処理の自動化、電子帳簿保存法への完全対応、経営判断に活きるデータ活用まで、2026年以降を見据えた実践的な内容をお伝えします。
なぜ今、経理DXに取り組むべきなのか
インボイス制度対応に追われた2023年から2024年。多くの経理部門では「まずは法対応を優先」として、業務効率化やDXを後回しにしてきた実態があります。しかし、ここで立ち止まっていると、次の波に対応できなくなるリスクがあります。
財務省の発表によると、インボイス制度の経過措置は段階的に縮小されます。2026年10月からは免税事業者からの仕入れに対する控除割合が50%に、2029年10月には完全に控除不可となります。これは単なる税務処理の問題ではなく、取引先との関係見直しや仕入れコストの再計算など、経営判断に直結する課題です。
また、電子帳簿保存法の猶予措置も2024年1月以降は本格運用が求められており、紙の請求書をスキャンして保存するだけでは不十分な状況です。中小企業庁の調査では、中小企業のDX推進に取り組む企業の割合は約25%にとどまっており、経理部門のデジタル化は特に遅れている領域とされています。
つまり、インボイス対応が一段落した今こそ、次の法改正や経営課題に備えて経理DXを推進する絶好のタイミングなのです。対応が遅れれば遅れるほど、人手不足が深刻化する中で業務が回らなくなるリスクが高まります。
経理DXロードマップ:3つのフェーズで考える
インボイス対応後の経理DXは、一気に進めるのではなく段階的に取り組むことが成功の鍵です。ここでは、2026年10月の経過措置縮小を見据えた3つのフェーズをご紹介します。
第1フェーズは「請求書処理の自動化」です。現状、多くの中小企業では請求書の受領から仕訳入力まで手作業で行っているケースが少なくありません。AI-OCRを活用した請求書読み取りや、会計システムとの自動連携を導入することで、1件あたりの処理時間を大幅に短縮できます。ある製造業の企業では、月間500件の請求書処理に要していた時間が、自動化により約70%削減されたという事例もあります。
第2フェーズは「電子帳簿保存法への完全対応」です。単に電子データを保存するだけでなく、検索要件を満たした形での保存体制を整える必要があります。取引先名、取引日、金額での検索が可能な状態を整備し、税務調査にも対応できる体制を構築します。クラウド型の経費精算システムや請求書管理システムを導入することで、法対応と業務効率化を同時に実現できます。
第3フェーズは「経営データの可視化と活用」です。経理部門が持つデータは、単なる記録ではなく経営判断の材料となります。リアルタイムでのキャッシュフロー把握、取引先ごとの収益性分析、部門別のコスト構造の見える化など、データを経営に活かす仕組みを構築します。これにより、経理部門は「記帳係」から「経営参謀」へと役割を進化させることができます。
2026年10月までに対応すべき具体的課題

2026年10月の経過措置縮小まで、残された時間は決して長くありません。この期限までに対応すべき具体的な課題を整理しておきましょう。
まず、免税事業者との取引の見直しです。経過措置縮小により、免税事業者からの仕入れに係るコストは実質的に上昇します。現在の取引先リストを精査し、免税事業者との取引がどの程度あるのか、その影響額はいくらになるのかを試算しておく必要があります。場合によっては、取引条件の見直しや代替取引先の検討も視野に入れることになります。
次に、システム改修の計画策定です。2026年10月以降は控除割合が変わるため、会計システムや販売管理システムの設定変更が必要になります。システムベンダーへの確認や、必要に応じたカスタマイズの見積もりを早めに取っておくことで、直前になって慌てることを防げます。
さらに、経理担当者のスキルアップも重要な課題です。DX推進に伴い、経理担当者に求められるスキルは変化しています。従来の仕訳入力や帳票作成だけでなく、システムの設定変更、データ分析、経営層への報告といった業務が増えていきます。社内研修や外部セミナーを活用して、担当者のスキル向上を図ることが求められます。
経理DXで失敗しないための3つのポイント
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経理DXを推進する際、陥りがちな失敗パターンがあります。ここでは、成功確率を高めるための3つのポイントをお伝えします。
1つ目は、現状業務の棚卸しから始めることです。いきなりシステム導入を検討するのではなく、まずは現在の業務フローを可視化し、どこにボトルネックがあるのかを把握します。業務の棚卸しを行うことで、本当に自動化すべき業務と、プロセス自体を見直すべき業務が明確になります。
2つ目は、段階的な導入を心がけることです。全社一斉にシステムを切り替えようとすると、混乱が生じやすくなります。まずは一部の取引先や業務から試験的に導入し、課題を洗い出してから範囲を広げていく方法が有効です。小さく始めて、成功体験を積み重ねながら拡大していくアプローチが、結果的に早く成果につながります。
3つ目は、経営層の理解とコミットメントを得ることです。経理DXは単なる業務効率化ではなく、経営基盤の強化につながる投資です。導入コストや期待される効果を数値で示し、経営層に対してDX推進の必要性を説明することが重要です。経営層の理解があれば、必要なリソースの確保や他部門との連携もスムーズに進みます。
御社が今すぐ取り組むべき5つのアクション
ここまでの内容を踏まえ、インボイス対応後の経理DXとして、御社が今すぐ取り組めるアクションを5つご紹介します。
1つ目は、免税事業者との取引状況の棚卸しです。取引先マスタを確認し、免税事業者との取引がどの程度あるか、2026年10月以降の影響額を試算してください。この数字が経営判断の出発点になります。
2つ目は、現行システムの課題リストアップです。現在使用している会計システムや請求書管理の仕組みについて、日常業務で感じている不便さや非効率な点を洗い出してください。現場の声を集めることで、優先的に改善すべきポイントが見えてきます。
3つ目は、電子帳簿保存法の対応状況の確認です。電子取引データの保存体制が検索要件を満たしているか、改めてチェックしてください。不備がある場合は、早めの対応が必要です。
4つ目は、システムベンダーへの相談です。2026年10月の経過措置縮小に向けたシステム改修の必要性や、経理DX支援サービスについて、現在のベンダーや新規のパートナー候補に相談してみてください。早めの情報収集が、適切な判断につながります。
5つ目は、経理DXの推進体制の検討です。誰が旗振り役となり、どのようなスケジュールで進めていくのか、推進体制を検討してください。兼務でも構いませんので、責任者を明確にすることが第一歩です。
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インボイス制度対応後の次の一手として、請求書処理の自動化、電子帳簿保存法対応、経営データの可視化まで、御社の状況に合わせたロードマップを策定し、実行までサポートします。2026年10月の経過措置縮小を見据え、今から準備を始めることで、経理部門の業務負荷軽減と経営基盤の強化を同時に実現できます。
まとめ
インボイス制度対応は終わりではなく、経理DXの始まりです。2026年10月の経過措置縮小という次の期限が迫る中、早めの準備が競争優位につながります。請求書処理の自動化、電子帳簿保存法への完全対応、経営データの活用という3つのフェーズで段階的に進めることで、着実に成果を積み上げることができます。まずは免税事業者との取引状況の棚卸しと、現行システムの課題リストアップから始めてみてください。
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