「改善提案を募集しても、誰も出してくれない」「提案箱を設置したのに、いつも空っぽ」——そんな悩みを抱える物流現場は少なくありません。
結論から言えば、提案が生まれる環境には①心理的安全性 ②低いハードル ③確実なフィードバック ④小さな成功体験の4つが必要です。
現場のスタッフは日々の作業に追われ、改善のアイデアがあっても声を上げる機会がない。あるいは、過去に提案しても何も変わらなかった経験から、「言っても無駄」と諦めてしまっている。こうした状況は、現場の停滞を招くだけでなく、優秀な人材の離職にもつながりかねません。
この記事では、改善提案が出てこない原因を整理したうえで、提案が自然と生まれる環境をつくるための4つのポイントを解説します。
提案が出てこない4つの原因

改善提案が出てこない現場には、共通するいくつかの原因があります。まずは自社の現場がどのパターンに当てはまるか、確認してみましょう。
原因①:提案の仕方が分からない
「改善提案を出してください」と言われても、何をどう提案すればいいのか分からない——これは意外と多いケースです。特に物流現場では、日々の作業に集中するあまり、「改善」という視点で業務を見直す習慣がない場合があります。
提案書のフォーマットが複雑だったり、「費用対効果を計算して提出」といった高いハードルが設定されていたりすると、提案すること自体が億劫になってしまいます。
原因②:「言っても無駄」という諦め
過去に提案をしたものの、何のフィードバックもなく放置された。あるいは、「予算がない」「今は忙しい」と却下されて終わった——こうした経験が積み重なると、スタッフは「どうせ言っても無駄」と感じるようになります。
この「学習性無力感」は、一度根付いてしまうと払拭するのに時間がかかります。提案制度を形骸化させないためにも、早めの対処が必要です。
原因③:忙しくて考える余裕がない
物流現場は常に時間との戦いです。入出荷のピーク時には休憩を取る暇もなく、目の前の作業をこなすことで精一杯。そんな状況では、改善を考える余裕など生まれません。
また、慢性的な人手不足により、一人ひとりの業務負担が増加している現場では、「改善より目の前の作業」という思考が定着しがちです。
原因④:批判されるのが怖い
「こんなこと言ったら笑われるんじゃないか」「余計なことを言うなと思われそう」——こうした心理的な壁も、提案を阻む大きな要因です。
特に、過去に提案を否定された経験があったり、上司や先輩との関係性に不安があったりする場合、スタッフは口を閉ざしてしまいます。
提案が生まれる環境づくり4つのポイント

原因が分かれば、対策も見えてきます。ここからは、改善提案が自然と生まれる環境をつくるための4つのポイントを紹介します。
ポイント①:心理的安全性を確保する
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提案が生まれる環境づくりの第一歩は、「どんな提案でも歓迎される」という雰囲気をつくることです。これは「心理的安全性」と呼ばれ、近年、組織づくりにおいて注目されている概念です。
具体的には、提案に対して批判や否定をしないことが基本です。たとえ実現が難しい提案であっても、「提案してくれてありがとう」「その視点は気づかなかった」と、まずは提案したこと自体を評価します。
物流現場では、朝礼や終礼の場で「今日気づいたこと、困ったことがあれば教えてください」と声をかけるだけでも効果があります。管理者が率先して「自分も昔こんな失敗をした」といった自己開示をすることで、スタッフも発言しやすくなります。
ポイント②:提案のハードルを下げる
「改善提案」と聞くと、多くの人は「大きな変革」「費用対効果の計算」といった重たいイメージを持ちがちです。しかし、最初から完璧な提案を求めると、誰も提案できなくなってしまいます。
まずは「困っていること」「気づいたこと」を共有するだけでもいいと伝えましょう。たとえば、「この棚の高さが作業しづらい」「この帳票の記入欄が分かりにくい」といった小さな気づきで構いません。
提案のフォーマットもシンプルにしましょう。「何が問題か」「どうしたいか」の2点だけを書けばいい形式にするだけで、提案のハードルは大きく下がります。最近では、スマートフォンから気軽に投稿できる仕組みを導入する現場も増えています。
ポイント③:フィードバックを必ず返す
提案に対して何のフィードバックもない——これが「言っても無駄」という諦めを生む最大の原因です。提案を受けたら、必ず何らかの返答をするルールを徹底しましょう。
採用する場合はもちろん、採用できない場合も理由を伝えることが大切です。「今は予算の都合で難しいが、来期の検討課題として記録しておく」「この部分は実現できないが、別の形で対応できないか考えてみる」といった丁寧な説明があれば、スタッフは「ちゃんと見てくれている」と感じます。
フィードバックは、できれば1週間以内に行うのが理想です。時間が経つほど、提案者の期待は失望に変わってしまいます。
ポイント④:小さな成功体験を積み重ねる
「提案したら変わった」という実感を持ってもらうことが、継続的な提案活動の原動力になります。まずは小さな提案でも積極的に実現し、「提案すれば変わる」という成功体験を積み重ねましょう。
たとえば、「この工具の置き場所を変えてほしい」という提案があれば、すぐに実行する。「この作業手順書が分かりにくい」という声があれば、翌週には改訂版を配布する。こうしたスピード感のある対応が、現場の信頼を築きます。
実現した改善は、朝礼や掲示板で「◯◯さんの提案で、この部分が改善されました」と共有しましょう。提案者の名前を出して感謝を伝えることで、「自分も提案してみよう」という気持ちが他のスタッフにも広がります。
ある物流センターでは、この4つのポイントを実践した結果、月間の改善提案件数が3件から25件に増加。提案から実行までの平均日数も14日から5日に短縮されました。
提案が出ない現場のNG対応
せっかく提案が出ても、対応を間違えると逆効果になります。以下のNG対応に心当たりがないか、確認してみてください。
NG①:提案を受けても放置する 「検討します」と言ったきり、何の連絡もない。これが最も提案意欲を削ぐ対応です。
NG②:できない理由を並べる 「予算がない」「人手が足りない」「前例がない」——否定から入ると、次から提案は出なくなります。
NG③:提案者に丸投げする 「いいアイデアだね、じゃあ君がやって」と言われると、提案すること自体がリスクになってしまいます。
NG④:成果を横取りする スタッフの提案で改善したのに、上司が自分の手柄にする。これでは誰も提案しなくなります。
まとめ
改善提案が出てこない原因は、スタッフ個人の問題ではなく、環境の問題であることがほとんどです。心理的安全性を確保し、提案のハードルを下げ、フィードバックを徹底し、小さな成功体験を積み重ねる——この4つのポイントを意識することで、現場は少しずつ変わっていきます。
改善提案は、現場を良くするだけでなく、スタッフのモチベーション向上や定着率の改善にもつながります。「うちの現場は提案が出ない」と諦めず、まずはできることから始めてみてください。
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