情シス不在のまま放置すると「セキュリティリスク」「属人化」「コスト浪費」の3つのリスクが膨らみ続ける——外部パートナーの活用モデルを理解し、自社に合ったIT体制を構築することが、経営リスクの低減と業務効率化の出発点になる
「社内にIT専任者がいないが、なんとか回っている」「詳しい社員が兼任で対応しているが、本来の業務に支障が出ている」「IT関連のトラブルが起きるたびに場当たり的に対処している」。こうした状態のまま放置している企業は少なくありません。しかし、情シス不在の状態はランサムウェア攻撃やデータ漏洩、ライセンス違反など、経営に直結するリスクを抱え続けていることを意味します。
本記事の要点: 情シス不在企業が外部パートナーを活用してIT体制を構築する3つのモデル(フル外注型・ハイブリッド型・内製化支援型)の特徴とコスト試算、自社に合ったモデルを選ぶための3つの判断基準、導入時の注意点を解説します。
情シス不在で発生する3つの経営リスク

外部パートナー活用モデルの比較に入る前に、情シス不在がもたらすリスクを整理します。
1つ目はセキュリティリスクです。IT専門知識を持つ担当者がいなければ、セキュリティパッチの適用が遅れ、ファイアウォールやアクセス権限の設定が不十分なまま放置されます。近年はランサムウェアや標的型攻撃の対象が大企業から中小企業へ拡大しており、情シス不在の企業は格好の標的です。さらに、従業員が個人判断でクラウドサービスを利用する「シャドーIT」も、管理者不在では検知すらできません。顧客情報や機密データが管理外のサービスに保存されるリスクは、情報漏洩発生時に取引先からの信用失墜や損害賠償に直結します。
2つ目は属人化リスクです。「PCに詳しい社員」が兼任でIT業務を担っている場合、その社員が異動・退職すると管理者パスワードやシステム構成情報が分からなくなり、業務が停滞します。兼任者は本来の業務を優先するため、繁忙期にはIT管理業務が後回しになるのも構造的な問題です。
3つ目はコスト浪費です。IT専任者がいなければ、重複したSaaS契約、未使用ライセンスの放置、過剰スペックの機器調達といった無駄に気づけません。年間で数十万〜数百万円のIT関連コストが無駄に流出しているケースはGXOの支援現場でも頻繁に見られます。
外部パートナー活用の3つのモデル
情シス不在企業がIT体制を構築する際の外部パートナー活用モデルは、大きく3つに分かれます。
モデル1:フル外注型
IT業務のほぼ全てを外部パートナーに委託するモデルです。ヘルプデスク対応、PCキッティング、アカウント管理、セキュリティ監視、トラブル対応、IT資産管理まで包括的に委託します。社内にIT担当者を置く必要がなく、パートナーが「バーチャル情シス」として機能します。コスト目安は従業員50〜100名規模で月額20万〜50万円程度です。メリットは即座にプロの体制が整うこと、デメリットはIT判断まで外部に依存するリスクがあることです。ITに関する意思決定(ツール選定、投資判断)まで外部に丸投げすると、自社にとって不要なサービスを導入されるリスクがあるため、最低限のIT判断は経営層または管理部門が担う体制にすべきです。
モデル2:ハイブリッド型
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定型業務(ヘルプデスク、キッティング、日常監視)は外部に委託し、IT戦略の立案やツール選定などの判断業務は社内の兼任担当者(総務・管理部門など)が担うモデルです。最も多くの中小企業に適したバランス型であり、GXOが支援する企業でもこのモデルの採用率が最も高いです。コスト目安は従業員50〜100名規模で月額10万〜30万円程度(定型業務の委託範囲による)です。メリットはIT判断を自社に残しつつ、運用負荷を外部に移せること。デメリットは社内の兼任担当者に最低限のIT知識(ベンダーとのコミュニケーション能力、要件の言語化能力)が求められることです。
モデル3:内製化支援型
将来的にIT専任者を社内に置くことを前提に、外部パートナーが一定期間伴走しながら社内のIT人材を育成するモデルです。外部パートナーがIT体制の構築(台帳整備、運用ルール策定、ツール導入)を主導しつつ、段階的に社内担当者へ引き継いでいきます。コスト目安は従業員100〜200名規模でプロジェクト費用300万〜500万円程度(6か月〜1年の伴走期間)です。メリットは長期的に自社のIT力が向上し、外部依存度が下がること。デメリットは初期投資が他モデルより大きく、社内に育成対象となる人材の確保が前提条件であることです。
3つのモデルを比較すると以下の通りです。
比較軸 | フル外注型 | ハイブリッド型 | 内製化支援型 |
|---|---|---|---|
月額コスト目安(50〜100名規模) | 20万〜50万円 | 10万〜30万円 | プロジェクト費300万〜500万円(6〜12か月) |
社内IT人材の要否 | 不要(判断のみ経営層が担当) | 兼任担当者1名以上が必要 | 育成対象者1名以上が必要 |
自社IT力の蓄積 | △ 外部依存が続く | ○ 判断力は蓄積される | ◎ 長期的に内製化可能 |
向いている企業 | IT知識ゼロで、即座に体制構築が必要な企業 | 最も多くの中小企業に適したバランス型 | 従業員100名以上、または急成長フェーズの企業 |
自社に合ったモデルを選ぶ3つの判断基準
3つのモデルのうち、どれが自社に合っているかを判断する基準を解説します。
判断基準1は「社内にIT判断ができる人材がいるか」です。管理部門や総務にITベンダーと会話できる人材がいればハイブリッド型が有効です。IT知識のある社員が全くいない場合は、まずフル外注型で体制を安定させた上で、段階的にハイブリッド型へ移行する流れが現実的です。
判断基準2は「IT投資の方針」です。ITを「コスト」と捉え月額の固定費を最小化したい場合はフル外注型またはハイブリッド型が合います。ITを「投資」と捉え中長期的に自社のIT力を強化したい場合は内製化支援型が適しています。
判断基準3は「従業員規模と成長見込み」です。従業員50名以下で今後急拡大の予定がなければハイブリッド型で十分です。100名以上または急成長フェーズにある企業は、将来的にIT専任者の配置が不可避なため、内製化支援型を早期に検討する価値があります。なお、従業員200名以上になるとIT関連の問い合わせ件数や管理対象端末数が急増するため、この規模ではIT専任者の配置とあわせてハイブリッド型で外部パートナーと分業する体制が標準的です。自社の現在の規模だけでなく、3〜5年後の成長計画も踏まえてモデルを選択してください。
導入時に見落としやすい2つの注意点

外部パートナーを活用する際に見落としやすい注意点を2つ解説します。
1つ目は「ナレッジの社内蓄積」です。外部パートナーに業務を委託しても、実施内容・設定情報・構成図などのナレッジを社内に蓄積する仕組みがなければ、パートナーを変更する際に「前のパートナーしか分からない」状態に陥ります。これはフル外注型で特に起きやすい問題です。月次報告書の受領と社内保管、設定情報のドキュメント化を契約条件に含め、さらに四半期に1回は社内の管理者がパートナーから構成情報の説明を受ける場を設けてください。
2つ目は「段階的に始める」ことです。いきなりフル外注やフル内製化を目指すのではなく、まずはヘルプデスクやPCキッティングなど手順が確立された定型業務から小さく始め、信頼関係を構築してから委託範囲を拡大するのが失敗しない進め方です。GXOの支援現場でも、最初の3か月はヘルプデスクのみを委託し、パートナーの対応品質を確認した上で、IT資産管理やセキュリティ監視へと段階的に範囲を広げていく進め方を推奨しています。最初から全てを委託しようとすると、パートナーとの役割分担が曖昧になり、かえって混乱を招くことがあります。
まとめ
情シス不在のまま放置することは、セキュリティ・属人化・コスト浪費の3つのリスクを膨らませ続けることを意味します。外部パートナーの活用モデル(フル外注型・ハイブリッド型・内製化支援型)の中から自社に合ったモデルを選び、まずは定型業務の委託から段階的にIT体制を構築していくことが最も現実的なアプローチです。
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