クラウド移行したのにコストが増えた?その悩みを解決するFinOps

クラウドへの移行を完了したにもかかわらず、「思ったよりコストが下がらない」「むしろ費用が増えている」という声は珍しくありません。本記事では、こうしたクラウドコストの課題を解決するFinOps(フィンオプス)の基本概念と実践ステップを解説します。AWS・Azure・GCPそれぞれの費用可視化ツールの活用法から、経営層への報告方法まで、明日から使える具体策をお伝えします。
Flexera社の「2024 State of the Cloud Report」によると、企業のクラウド支出の約32%が無駄になっているとされています。年間1,000万円のクラウド費用を支払っている企業であれば、約320万円が有効活用されていない計算です。この無駄を削減し、クラウド投資の価値を最大化するのがFinOpsの役割です。
FinOpsとは何か?従来のコスト管理との違い
FinOpsとは「Finance」と「Operations」を組み合わせた造語で、クラウドの財務管理を組織横断で行うための実践手法を指します。FinOps Foundationが提唱するこの考え方は、単なるコスト削減ではなく、クラウド投資の価値を最大化することを目的としています。
従来のIT投資では、サーバーやネットワーク機器を購入する「設備投資型」のコスト管理が主流でした。年度予算を立て、機器を購入し、減価償却していくというシンプルな流れです。しかしクラウドでは、利用した分だけ課金される「従量課金型」が基本となります。使い方次第で費用が大きく変動するため、従来の予算管理手法では対応しきれないのです。
FinOpsの特徴は、エンジニア・財務・経営の三者が協力してコスト最適化に取り組む点にあります。エンジニアはリソースの使用状況を把握し、財務は予算と実績を管理し、経営は投資対効果を判断します。この三者が同じデータを見ながら意思決定することで、技術的な最適化とビジネス上の判断を両立させることができます。
なぜ今FinOpsが必要なのか?クラウドコスト増加の実態
多くの企業がクラウド移行後にコスト増加を経験しています。FinOps Foundationの2023年調査によると、FinOpsを導入している組織の49%が「クラウド支出の可視化」を最優先課題として挙げています。これは、多くの企業が自社のクラウド利用状況を正確に把握できていないことを示しています。
コストが増加する典型的なパターンはいくつかあります。まず、開発環境やテスト環境を作成したまま削除し忘れるケースです。一度作成したインスタンスやストレージは、使用していなくても課金が発生し続けます。大規模な組織になると、誰がどの目的で作成したリソースなのかわからなくなり、いわゆる「野良リソース」が増えていきます。
次に、必要以上に高性能なインスタンスを選択しているケースがあります。オンプレミス時代の感覚で「余裕を持ったスペック」を選ぶと、クラウドでは過剰な費用につながります。実際の使用率を確認すると、CPUやメモリが10%程度しか使われていないということも珍しくありません。
さらに、データ転送料金の見落としも多く見られます。クラウドサービス間のデータ移動や、インターネットへのアウトバウンド通信には課金が発生します。設計段階でこれを考慮していないと、予想外の請求が届くことになります。
FinOps実践の3つのフェーズ

FinOpsの実践は、一般的に3つのフェーズで進めます。第1フェーズは「可視化(Inform)」です。現在のクラウド利用状況とコストを正確に把握することから始めます。AWS Cost Explorer、Azure Cost Management、Google Cloud Billingといった各クラウドベンダーが提供するツールを使い、どのサービスにいくら費用がかかっているのかを明らかにします。
この段階で重要なのは、コストを部門やプロジェクト単位で分類することです。タグ付けのルールを整備し、すべてのリソースに適切なタグを付与します。これにより、「営業部門のシステムで月額いくら」「Aプロジェクトの開発環境でいくら」といった粒度でコストを把握できるようになります。
第2フェーズは「最適化(Optimize)」です。可視化によって発見した無駄を削減していきます。具体的には、使用していないリソースの削除、インスタンスサイズの適正化、リザーブドインスタンスやSavings Plansの活用などを行います。AWSの場合、リザーブドインスタンスを活用することで、オンデマンド料金と比較して最大72%のコスト削減が可能とされています。
第3フェーズは「運用(Operate)」です。最適化した状態を維持し、継続的に改善していく段階です。定期的なコストレビュー会議の開催、予算超過時のアラート設定、新規リソース作成時の承認フローの整備などを行います。FinOpsは一度やって終わりではなく、継続的なサイクルとして回していくことが重要です。
AWS・Azure・GCPの費用可視化ツール活用法
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主要なクラウドベンダーはそれぞれ費用可視化のためのツールを提供しています。これらを適切に活用することがFinOps実践の第一歩となります。
AWSではCost Explorerが標準で利用可能です。過去13か月分のコストデータを分析でき、サービス別、リージョン別、タグ別など多角的な視点でコストを確認できます。また、AWS Budgetsを使えば予算のしきい値を設定し、超過しそうな場合にアラートを受け取ることができます。さらに高度な分析が必要な場合は、AWS Cost and Usage Reportを有効化し、詳細なコストデータをS3に出力して分析することも可能です。
Microsoft Azureでは、Azure Cost Management + Billingが中心的なツールとなります。コスト分析機能では、リソースグループやサブスクリプション単位でのコスト推移を確認できます。Azure Advisorは、使用率の低いリソースや削除可能なリソースを自動的に検出し、最適化の提案を行ってくれます。
Google Cloudでは、Cloud Billingのレポート機能を使ってコストを可視化します。BigQueryへの課金データエクスポートを設定すれば、SQLを使った柔軟な分析が可能になります。Recommenderサービスは、機械学習を活用して最適なインスタンスタイプやコミットメント利用を提案してくれます。
複数のクラウドを併用しているマルチクラウド環境では、サードパーティのFinOpsツールの活用も検討に値します。CloudHealth、Cloudability、Spotなどのツールは、複数クラウドのコストを統合的に管理し、横断的な分析を可能にします。
今すぐ始められる5つのアクション
FinOpsの考え方を理解したところで、御社で今すぐ始められる具体的なアクションを5つご紹介します。
1つ目は、現状のコストを把握することです。まずは先月のクラウド請求書を確認し、どのサービスにいくら支払っているのかを一覧にしてみてください。多くの企業で、想定外のサービスが上位にランクインしていることに気づくはずです。
2つ目は、タグ付けポリシーの策定です。すべてのリソースに「部門」「プロジェクト」「環境(本番/開発/テスト)」「担当者」などのタグを付与するルールを決めてください。新規リソース作成時は必ずタグを付けることを義務化し、既存リソースについても順次タグを追加していきます。
3つ目は、未使用リソースの棚卸しです。稼働していない仮想マシン、アタッチされていないストレージボリューム、使われていないIPアドレスなどを洗い出し、不要なものは削除します。各クラウドの推奨事項ツール(AWS Trusted Advisor、Azure Advisor、Google Cloud Recommender)を活用すれば、効率的に発見できます。
4つ目は、インスタンスサイズの見直しです。CPU使用率が常に10%以下のインスタンスは、一つ下のサイズに変更することを検討してください。クラウドの利点は、必要に応じてサイズを変更できる柔軟性にあります。小さく始めて、必要に応じてスケールアップする方針に切り替えましょう。
5つ目は、月次コストレビューの開始です。毎月決まったタイミングで、IT部門と財務部門がコストデータを確認する場を設けてください。異常な増加があれば原因を調査し、削減余地があれば施策を検討します。この習慣がFinOps文化の定着につながります。
クラウドコスト最適化のパートナーとしてのGXO
ここまでFinOpsの基本と実践ステップをお伝えしてきましたが、「自社だけで取り組むのは難しい」「専門家の知見を借りたい」という声も多く聞かれます。GXOでは、180社以上のDX支援実績を活かし、クラウドコスト最適化のご支援を行っています。
GXOの「削クラ」サービスでは、現状のクラウド利用状況の可視化から、具体的な削減施策の立案・実行まで、一気通貫でサポートします。クラウド移行の計画段階から関わることで、移行後のコスト増加を未然に防ぐ設計も可能です。福岡本社とベトナム開発拠点を持つ体制で、上流のコンサルティングから実装まで伴走型の支援を提供しています。
まとめ
FinOpsは、クラウド時代に必須となるコスト管理の考え方です。従来の設備投資型の予算管理から、従量課金に対応した継続的な最適化へと転換することが求められています。可視化・最適化・運用の3フェーズを回しながら、エンジニア・財務・経営が協力してクラウド投資の価値を最大化していくことが重要です。
まずは現状のコスト把握から始め、タグ付けポリシーの策定、未使用リソースの削除と、できるところから取り組んでみてください。継続的な改善の積み重ねが、年間数百万円規模のコスト削減につながります。
クラウドコスト最適化についてのご相談は、GXOまでお気軽にお問い合わせください。 https://gxo.co.jp/contact-form
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