長年使い込んだExcelマクロ、kintoneにどう移行すべきか

「このExcelマクロがないと業務が回らない」——そんな状況に陥っている中小企業は少なくありません。VBAで作り込んだ業務ツールは便利な反面、属人化やメンテナンス困難といった課題を抱えています。本記事では、Excel VBA資産をkintoneに移行する具体的な手順を解説します。移行パターンの選び方、既存ロジックの活かし方、失敗しないためのポイントまで、実践で使える内容をお伝えします。
なぜ今、ExcelマクロからKintoneへの移行が求められるのか
多くの企業で「脱Excel」の動きが加速しています。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の「DX白書2023」によると、中小企業の約6割がレガシーシステムやExcel依存からの脱却を経営課題として認識しています。その背景には、いくつかの深刻な問題があります。
まず、属人化の問題です。VBAを書いた担当者が異動や退職すると、誰もコードを読めなくなり、修正や機能追加ができなくなります。ある製造業の企業では、10年以上前に作成されたVBAマクロが基幹業務を支えていましたが、作成者の退職後に不具合が発生し、復旧に数週間を要したという事例もあります。
次に、同時編集ができないという制約があります。Excelファイルは基本的に一人しか編集できないため、複数人での同時作業が必要な業務では待ち時間が発生します。これは業務効率を大きく下げる要因となっています。
さらに、バージョン管理の難しさも見逃せません。「最新版はどれか」「誰がいつ何を変更したか」が分からなくなり、データの整合性が保てなくなるケースが頻発しています。
kintoneはこれらの課題を解決できるクラウドサービスです。ノーコードでアプリを作成でき、複数人での同時編集、変更履歴の自動記録、どこからでもアクセス可能といった特長を持っています。サイボウズ社の公表によると、kintoneの導入社数は3万社を超えており、中小企業のDX基盤として広く活用されています。
VBA資産の移行には3つのパターンがある
Excel VBAをkintoneに移行する際、すべてのロジックをそのまま再現する必要はありません。業務の本質を見極め、最適な移行パターンを選ぶことが重要です。
1つ目のパターンは「kintone標準機能で代替する」方法です。VBAで実装していた処理の多くは、実はkintoneの標準機能で実現できます。例えば、条件に応じたセルの色分けは「条件書式」機能で、集計や小計の自動計算は「計算フィールド」や「集計機能」で代替可能です。また、入力規則のチェックも「必須項目設定」や「数値範囲制限」で対応できます。このパターンは追加開発が不要なため、最もコストを抑えられます。
2つ目のパターンは「JavaScriptカスタマイズで再現する」方法です。kintoneはJavaScriptによるカスタマイズに対応しており、VBAで実装していた複雑なロジックを移植できます。例えば、特定の条件で自動入力する処理や、複数フィールドを組み合わせた計算ロジックなどは、JavaScriptで記述することで再現可能です。VBAの経験があるエンジニアであれば、JavaScriptへの読み替えは比較的スムーズに行えます。
3つ目のパターンは「外部連携で補完する」方法です。kintone単体では実現が難しい処理は、外部サービスとの連携で解決します。例えば、複雑な帳票出力には帳票作成サービスを、外部システムとのデータ連携にはAPIやRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を活用します。この方法により、VBAで実現していた高度な処理もカバーできます。
移行を成功させるための具体的な手順

実際の移行は、以下の流れで進めるのが効果的です。
最初に取り組むべきは「現状の棚卸し」です。移行対象のExcelファイルをすべてリストアップし、それぞれのVBAが「何をしているか」を整理します。この際、処理の目的、入力データ、出力結果、実行頻度の4点を明確にしておくと、後の工程がスムーズになります。よくある失敗として、この棚卸しを省略して移行を始めてしまい、後から「この機能が必要だった」と手戻りが発生するケースがあります。
次に「移行パターンの振り分け」を行います。棚卸しした各処理について、先述の3つのパターンのどれで対応するかを判断します。判断基準としては、まずkintone標準機能で代替できないかを検討し、それが難しい場合はJavaScriptカスタマイズ、さらに複雑な場合は外部連携という順序で考えるのが合理的です。
その後、「kintoneアプリの設計」に移ります。Excelの表構造をそのままkintoneに移すのではなく、業務プロセスに合わせてアプリ構成を再設計することがポイントです。例えば、1つのExcelファイルに複数の業務が混在している場合は、業務ごとに別アプリに分けることで、管理しやすくなります。
設計が固まったら「段階的な移行と検証」を行います。一度にすべてを移行するのではなく、優先度の高い業務から順に移行し、運用しながら問題点を洗い出します。移行直後は旧Excelと新kintoneを並行運用し、データの整合性を確認する期間を設けることをお勧めします。
移行時によくある失敗とその回避策
ここまで読んで
「うちも同じだ」と思った方へ
課題は企業ごとに異なります。30分の無料相談で、
御社のボトルネックを一緒に整理しませんか?
営業電話なし オンライン対応可 相談だけでもOK
kintone移行プロジェクトでは、いくつかの典型的な失敗パターンがあります。事前に把握しておくことで、同じ轍を踏まずに済みます。
「VBAのロジックを100%再現しようとする」失敗は非常に多く見られます。長年の運用で追加された機能の中には、実際にはほとんど使われていないものも少なくありません。移行を機に業務を見直し、本当に必要な機能だけを実装する姿勢が重要です。ある卸売業の企業では、VBAに実装されていた50以上の機能を精査したところ、実際に日常的に使われていたのは15機能程度だったという事例もあります。
「現場を巻き込まずにIT部門だけで進める」のも危険です。実際に業務を行っている現場担当者の意見を聞かずに設計すると、使いにくいシステムになってしまいます。設計段階から現場のキーパーソンを参画させ、プロトタイプを見せながらフィードバックをもらうプロセスが欠かせません。
「移行後の運用体制を決めていない」ケースも散見されます。kintoneは現場でも修正しやすいのが利点ですが、誰でも自由に変更できる状態では混乱を招きます。管理者権限の設定、変更ルールの策定、問い合わせ窓口の設置など、運用体制を事前に決めておくことが大切です。
御社が今すぐ取り組むべき5つのステップ
ここまでの内容を踏まえ、自社でkintone移行を進めるための具体的なアクションを整理します。
第一に、業務でExcel VBAに依存している箇所を洗い出してください。どの部署の誰がどんなマクロを使っているか、まずは全体像を把握することが出発点です。各部署にヒアリングを行い、「このExcelがないと困る」というファイルをリストアップしましょう。
第二に、洗い出したVBAの処理内容をドキュメント化してください。何の目的で、どんな入力を受けて、どんな出力をするのかを整理します。VBAのコードが読める担当者がいる間に、ロジックを言語化しておくことが重要です。
第三に、kintoneの標準機能でどこまで代替できるかを検証してください。kintoneの無料トライアルを活用し、実際にアプリを作成してみることで、標準機能の可能性と限界が見えてきます。
第四に、移行の優先順位を決定してください。属人化リスクが高いもの、業務インパクトが大きいもの、比較的シンプルで移行しやすいものなど、複数の観点から優先度を判断します。まずは小規模な業務から着手し、成功体験を積むのが得策です。
第五に、移行に必要なスキルとリソースを見極めてください。自社内でJavaScriptカスタマイズまで対応できるか、外部パートナーの支援が必要かを判断します。特に基幹業務に関わるシステムの移行は、専門家の知見を借りることでリスクを大幅に低減できます。
GXOのkintone移行支援サービス
Excel VBAからkintoneへの移行は、正しい手順で進めれば確実に成功させることができます。しかし、自社だけで進めようとすると、思わぬ落とし穴にはまることも少なくありません。
GXOでは、180社以上の業務改善・システム開発の支援実績をもとに、kintone移行を伴走型でサポートしています。現状分析からアプリ設計、JavaScriptカスタマイズ、運用定着まで、一気通貫で対応可能です。特に、VBA資産の棚卸しと移行パターンの判断については、多くのプロジェクト経験から得たノウハウを活かし、最適な移行計画をご提案します。
「長年使ってきたExcelマクロを手放すのが不安」「移行後の運用が心配」といったお悩みをお持ちでしたら、まずは現状をお聞かせください。御社の業務に最適な移行の進め方を一緒に考えます。
まとめ
Excel VBAで構築した業務ツールをkintoneに移行することで、属人化の解消、同時編集の実現、バージョン管理の自動化といったメリットが得られます。移行にあたっては、現状の棚卸しを丁寧に行い、kintone標準機能での代替、JavaScriptカスタマイズ、外部連携の3つのパターンから最適な方法を選ぶことが重要です。すべてのVBAロジックを再現しようとせず、業務の本質を見極めて必要な機能を絞り込む姿勢が、移行成功の鍵となります。
Excel依存からの脱却は、DX推進の重要な一歩です。自社の状況を整理し、計画的に移行を進めていきましょう。具体的な進め方についてご相談がありましたら、GXOまでお気軽にお問い合わせください。
お問い合わせはこちら:https://gxo.co.jp/contact-form
「やりたいこと」はあるのに、
進め方がわからない?
DX・AI導入でつまずくポイントは企業ごとに異なります。
30分の無料相談で、御社の現状を整理し、最適な進め方を一緒に考えます。
営業電話なし オンライン対応可 相談だけでもOK



