欧州議会がAI機能を強制無効化──クラウド型AIの情報漏洩リスクとは

欧州議会が、議員およびスタッフの業務用デバイスに搭載されたAIアシスタント機能を強制的に無効化しました。クラウドサービス経由でデータが処理される際、サービスプロバイダーとの共有データ範囲が不明確であることが主な理由です。この動きは、日本企業のAI活用方針にも大きな示唆を与えています。
Neowinの報道によると、欧州議会は業務用デバイスだけでなく、個人デバイスについても業務文書や機密通信をAI機能にスキャンさせないよう警告を発しています。さらに、サードパーティ製AIアプリのインストールとデータアクセス権限の付与についても厳重な注意喚起が行われました。
世界で加速するAIツール利用制限
今回の欧州議会の措置は、世界的なAIセキュリティ強化の流れを象徴しています。台湾、米国、オーストラリアでは、すでに政府機関でのDeepSeek利用が禁止されています。2025年8月には、米国サイバーセキュリティ・インフラストラクチャセキュリティ庁(CISA)の長官がChatGPTに機密文書をアップロードしていたことが発覚し、大きな問題となりました。
これらの事例が示すのは、AIツールへの情報漏洩リスクが理論上の懸念ではなく、すでに実際に発生しているという事実です。クラウド型AIサービスは、ユーザーが入力したデータをモデルの学習や品質改善に活用する場合があり、その過程で機密情報が意図せず外部に流出するリスクが存在します。特に業務で扱う契約書、顧客情報、技術仕様書などがAIに読み込まれた場合、その情報がどのように処理・保存されるかを完全に把握することは困難です。
日本企業が直面するリスク
ここまで読んで
「うちも同じだ」と思った方へ
課題は企業ごとに異なります。30分の無料相談で、
御社のボトルネックを一緒に整理しませんか?
営業電話なし オンライン対応可 相談だけでもOK

日本の官公庁や企業においても、同様のリスクは決して他人事ではありません。多くの企業でMicrosoft Copilot、ChatGPT、Google Geminiなどのクラウド型AIツールが日常的に使用されていますが、その利用ルールが明確に定められていないケースが少なくありません。
特に注意が必要なのは、従業員が「便利だから」という理由で個人的にAIツールを業務に使用しているケースです。会社として公式に導入していないツールであっても、従業員が業務データを入力している可能性があります。また、スマートフォンやPCに標準搭載されているAI機能が、バックグラウンドでデータを収集・分析している可能性も見落とされがちです。
自社でできる5つの対策
こうしたリスクに対して、企業が今すぐ取り組むべき対策があります。
まず最優先で実施すべきは、社内AI利用ポリシーの策定または再点検です。どのAIツールを業務で使用してよいか、どのような情報を入力してはいけないかを明文化し、全従業員に周知することが重要です。特にクラウド処理型のAI機能については、データの取り扱い方針をサービス提供元に確認した上で、利用可否を判断する必要があります。
次に、業務デバイスに搭載されているAI機能の棚卸しを行いましょう。Windows、macOS、iOS、Androidなどの各OSに組み込まれているAI機能を洗い出し、業務上不要なものは無効化を検討します。
また、サードパーティAIアプリの許可リスト管理も欠かせません。従業員が自由にAIアプリをインストールできる状態では、情報漏洩リスクをコントロールできません。会社として承認したアプリのみを使用可能とするホワイトリスト方式の導入を推奨します。
さらに、定期的な従業員教育も重要です。AIツールの利便性だけでなく、リスクについても理解を深めてもらうことで、意図しない情報漏洩を防ぐことができます。
最後に、オンプレミス型AIやプライベートクラウド型AIの導入検討も選択肢の一つです。機密性の高い業務については、データが外部に出ないAI環境を整備することで、利便性とセキュリティの両立が可能になります。
まとめ
欧州議会のAI機能無効化措置は、AIツールの利便性とセキュリティリスクのバランスを真剣に考える契機となるニュースです。日本企業においても、AI活用の推進と情報セキュリティの確保を両立させるための体制整備が急務となっています。
GXOでは、AI導入支援からセキュリティ対策まで、180社以上の支援実績に基づいた伴走型サポートを提供しています。自社のAI利用ポリシー策定やセキュリティ体制の構築について、お気軽にご相談ください。
「やりたいこと」はあるのに、
進め方がわからない?
DX・AI導入でつまずくポイントは企業ごとに異なります。
30分の無料相談で、御社の現状を整理し、最適な進め方を一緒に考えます。
営業電話なし オンライン対応可 相談だけでもOK



