DX・業務改善📖 1分で読了

DXロードマップの作り方|経営層を動かす計画策定術投資対効果を見える化し、社内を巻き込むDX推進の実践手順

DXロードマップの作り方|経営層を動かす計画策定術

DXロードマップの策定手順を解説。経営層を説得する投資対効果の見せ方、フェーズ分けの考え方、KPI設定まで、DX推進担当者が実践で使える内容をお伝えします。

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DXが進まない企業に共通する「計画不在」という課題

「DXを推進したいが、経営層の理解が得られない」「どこから手をつければいいかわからない」という声は、多くの中小・中堅企業で聞かれます。本記事では、経営層を巻き込みながらDXを着実に進めるための「DXロードマップ」の作り方を解説します。投資対効果の見せ方、フェーズ分けの考え方、KPI設定まで、DX推進担当者が実践で使える内容をお伝えします。

IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が発行した「DX白書2024」によると、DXに取り組む日本企業は年々増加しているものの、「成果が出ている」と回答した企業は約3割にとどまっています。成果が出ない最大の要因として挙げられているのが「全社的なビジョンや計画の不在」です。つまり、ツールを導入したり、一部の業務をデジタル化したりするだけでは、DXは成功しないのです。

経済産業省が2018年に発表した「DXレポート」では、2025年までにレガシーシステムを刷新できなければ、年間最大12兆円の経済損失が生じる可能性があると警告されました。いわゆる「2025年の崖」です。この警告から数年が経過した今、多くの企業がDXの必要性を認識しながらも、具体的な行動に移せていないのが実情です。

その原因の一つが、経営層と現場の認識のズレにあります。現場のDX推進担当者は具体的な課題を把握していても、経営層にその重要性や投資対効果を伝えきれず、予算確保や意思決定が進まないケースが少なくありません。この課題を解決する鍵となるのが、DXロードマップの策定です。

DXロードマップとは何か

DXロードマップとは、企業がデジタル技術を活用してビジネスモデルや業務プロセスを変革するための中長期的な計画書です。単なるIT導入計画ではなく、経営戦略と連動した変革の道筋を示すものとして位置づけられます。

一般的なシステム導入計画との違いは、その目的にあります。システム導入計画が「特定の業務を効率化する」という限定的な目標を持つのに対し、DXロードマップは「企業全体の競争力を高める」という経営視点の目標を持ちます。そのため、技術的な要素だけでなく、組織体制の変革、人材育成、企業文化の醸成といった非技術的な要素も含まれます。

DXロードマップを策定する意義は大きく三つあります。一つ目は、関係者間で共通認識を持てることです。経営層、IT部門、現場部門がそれぞれ異なる期待や認識を持っていると、DXは頓挫しやすくなります。ロードマップという形で可視化することで、全員が同じ方向を向いて進めるようになります。

二つ目は、投資判断の根拠となることです。経営層がDXへの投資を決断するには、その投資がどのようなリターンを生むのかを理解する必要があります。ロードマップにフェーズごとの投資額と期待効果を明記することで、合理的な意思決定が可能になります。

三つ目は、進捗管理と軌道修正ができることです。DXは数年単位の取り組みになることが多く、途中で環境変化が起こることも珍しくありません。ロードマップがあれば、当初の計画と現状のギャップを把握し、必要に応じて計画を見直すことができます。

DXロードマップ策定の5つのステップ

DXロードマップの策定は、現状分析から始まり、目標設定、施策立案、スケジュール策定、KPI設定という流れで進めます。それぞれのステップで何を行い、どのような成果物を作成するのかを解説します。

最初のステップは現状分析です。自社の業務プロセス、システム環境、組織体制、人材スキルを棚卸しし、デジタル化の現在地を把握します。この段階で重要なのは、課題を網羅的に洗い出すことです。特定の部門だけでなく、全社的な視点で現状を捉えることが求められます。現場へのヒアリングやアンケート調査を実施し、経営層が認識していない課題を掘り起こすことも有効です。

二つ目のステップは目標設定です。DXによって何を実現したいのか、3年後・5年後にどのような姿になっていたいのかを明確にします。この目標は、経営戦略と整合している必要があります。「業務効率化」のような漠然とした目標ではなく、「受注から納品までのリードタイムを30%短縮する」「顧客接点のデジタル化率を80%にする」といった具体的な数値目標を設定することで、後の進捗管理がしやすくなります。

三つ目のステップは施策立案です。目標を達成するために必要な施策を洗い出し、優先順位をつけます。施策の優先順位付けでは、「効果の大きさ」と「実現の難易度」の二軸で評価するマトリクスがよく使われます。効果が大きく難易度が低い施策を「クイックウィン」として初期に実施し、成功体験を積み上げることが、その後のDX推進を円滑にします。

四つ目のステップはスケジュール策定です。施策を時系列に並べ、フェーズを区切ります。一般的には、「基盤構築フェーズ(1年目)」「展開フェーズ(2〜3年目)」「最適化フェーズ(4〜5年目)」のように、3〜5年程度の期間を想定します。各フェーズの終了時点で達成すべきマイルストーンを設定し、進捗を確認できるようにします。

五つ目のステップはKPI設定です。DXの進捗と成果を測定するための指標を定義します。KPIには「プロセスKPI」と「成果KPI」の両方を設定することが重要です。プロセスKPIは施策の進捗を測る指標(例:システム導入率、研修受講率)、成果KPIはビジネス上の効果を測る指標(例:売上成長率、コスト削減額)です。

経営層を説得する投資対効果の見せ方

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DXロードマップを策定しても、経営層の承認が得られなければ実行に移せません。経営層を説得するためには、投資対効果(ROI)を明確に示す必要があります。ここでは、経営層の心を動かす投資対効果の見せ方を解説します。

まず重要なのは、経営層の関心事に合わせた説明をすることです。経営層が気にするのは「いくら投資して、いくらリターンがあるのか」「いつ投資を回収できるのか」「リスクは何か」という点です。技術的な優位性や機能の詳細よりも、これらの経営的な観点からの説明を優先しましょう。

投資対効果の算出方法としては、定量効果と定性効果の両方を示すことが効果的です。定量効果は数値で示せる効果であり、「年間の人件費削減額」「売上増加額」「エラー率低減による損失回避額」などが該当します。一方、定性効果は数値化しにくい効果であり、「従業員満足度の向上」「意思決定スピードの改善」「企業ブランドの向上」などが該当します。

経営層への提案では、定量効果を中心に据えつつ、定性効果を補足的に示す構成が効果的です。具体的には、「初期投資3,000万円に対し、3年間で4,500万円のコスト削減効果が見込まれ、投資回収期間は2年です。加えて、業務のデジタル化により若手人材の採用競争力向上も期待できます」といった説明ができると、経営層の理解を得やすくなります。

また、段階的な投資計画を示すことも重要です。一度に大きな投資を求めるよりも、「まず500万円でパイロット導入を行い、効果を検証した上で本格展開の投資判断を行う」という提案の方が、経営層にとってリスクが低く感じられます。フェーズごとに投資額と期待効果を明示し、各フェーズの終了時点で継続判断を行う仕組みにすることで、経営層の心理的ハードルを下げることができます。

DXロードマップ策定でよくある失敗と対策

DXロードマップの策定において、多くの企業が陥りがちな失敗パターンがあります。これらを事前に把握し、対策を講じることで、より実効性の高いロードマップを作成できます。

一つ目の失敗は、現場を巻き込まずに策定してしまうことです。経営企画部門やIT部門だけでロードマップを作成すると、現場の実態と乖離した計画になりがちです。結果として、施策を実行する段階で現場から反発が生まれ、DXが進まなくなります。対策としては、策定段階から現場のキーパーソンを巻き込み、現場の声を反映させることが重要です。

二つ目の失敗は、あまりにも壮大な計画を立ててしまうことです。「全社統合データ基盤の構築」「全業務プロセスのデジタル化」といった大きな目標を掲げること自体は悪くありませんが、初期から大規模な投資と長期間のプロジェクトを前提にすると、途中で頓挫するリスクが高まります。対策としては、「スモールスタート、クイックウィン」の原則を守り、小さな成功を積み重ねる計画にすることです。

三つ目の失敗は、ロードマップを作って終わりにしてしまうことです。策定に労力をかけた結果、ロードマップを完成させること自体が目的化してしまい、その後の実行が疎かになるケースがあります。対策としては、ロードマップの策定と同時に、進捗管理の仕組みとガバナンス体制を構築することです。定期的なレビュー会議の設定、責任者の明確化、KPIモニタリングの仕組みなどを整備しましょう。

四つ目の失敗は、外部環境の変化を考慮しないことです。DXは数年単位の取り組みであり、その間に技術トレンドや競合環境が変化することは避けられません。当初のロードマップに固執しすぎると、時代遅れの施策を実行し続けることになりかねません。対策としては、年に一度はロードマップ全体を見直す機会を設け、必要に応じて計画を修正する柔軟性を持つことです。

今すぐ始められる5つのアクション

DXロードマップの策定を検討している企業が、今すぐ始められる具体的なアクションを紹介します。

一つ目は、経営層との対話の機会を設けることです。DXに対する経営層の認識や期待を直接確認し、温度感を把握しましょう。「DXで何を実現したいか」「投資に対するスタンスはどうか」といった点を確認することで、ロードマップ策定の方向性が定まります。

二つ目は、自社の現状を可視化することです。現在使用しているシステムの一覧、主要業務プロセスのフロー図、デジタル化の進捗状況などを整理します。この作業を通じて、DXの出発点を明確にできます。

三つ目は、他社事例を収集することです。同業他社や同規模の企業がどのようなDXに取り組んでいるかを調査します。成功事例だけでなく、失敗事例からも学ぶことで、自社のロードマップに活かせる示唆が得られます。

四つ目は、クイックウィン候補を特定することです。比較的少ない投資で短期間に効果が見込める施策を洗い出します。これを最初の取り組みとして実行し、成功体験を作ることで、その後のDX推進に弾みがつきます。

五つ目は、外部の専門家に相談することです。DXロードマップの策定には、技術的な知見だけでなく、業界動向や他社事例に関する知識も必要です。外部のコンサルタントやベンダーの知見を活用することで、より実効性の高いロードマップを策定できます。

まとめ

DXロードマップは、経営層と現場をつなぎ、DXを着実に前進させるための羅針盤です。策定にあたっては、現状分析から始まり、目標設定、施策立案、スケジュール策定、KPI設定という流れで進めます。経営層を説得するためには、投資対効果を定量的に示しつつ、段階的な投資計画でリスクを低減する提案が効果的です。

GXOでは、180社以上のDX支援実績をもとに、ロードマップ策定から実行支援まで一気通貫でサポートしています。「DXを進めたいが、何から始めればいいかわからない」「経営層への説明資料を作りたい」といったお悩みがあれば、お気軽にご相談ください。

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