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基幹システムの段階的リプレース戦略|判断基準と進め方一括移行と段階移行のメリット・デメリットを比較し、自社に最適な選択肢を解説

基幹システムの段階的リプレース戦略|判断基準と進め方

基幹システムのリプレースで迷う「一括移行」と「段階移行」の判断基準を解説。ストラングラーパターンを活用したリスク最小化の段階的アプローチや、失敗しないための進め方をお伝えします。

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基幹システムのリプレースは「一括」か「段階」か——その判断が成否を分ける

基幹システムのリプレースを検討する際、最初に直面するのが「一括で切り替えるか、段階的に移行するか」という方針の選択です。本記事では、一括移行(ビッグバン方式)と段階移行それぞれのメリット・デメリットを比較し、自社に適した方式を選ぶための判断基準を解説します。さらに、リスクを最小化しながら段階的にシステムを刷新する「ストラングラーパターン」についても紹介します。

経済産業省が2018年に公表した「DXレポート」では、日本企業のおよそ8割がレガシーシステムを抱えていると指摘されました。その後、2025年5月に公表された「レガシーシステムモダン化委員会総括レポート」でも、依然としてユーザー企業の約6割にレガシーシステムが残存していることが示されています。レガシーシステムの刷新は急務でありながら、「どう進めればよいかわからない」「失敗が怖くて着手できない」という声は少なくありません。

リプレースの方式選択を誤ると、業務が長期間停止する、移行に失敗してデータが失われる、想定外のコストが膨らむといった深刻な問題に直面します。だからこそ、リプレースの最初のステップである方式選択は、プロジェクトの成否を左右する最も重要な意思決定のひとつなのです。

一括移行(ビッグバン方式)の特徴と適用条件

一括移行とは、既存システムを停止し、新システムへ一度に完全に切り替える方式です。「ビッグバン方式」とも呼ばれ、そのシンプルさが最大の特徴です。

一括移行のメリットは、移行作業が一度で完了するため、新旧システムが混在する期間が発生しない点にあります。データ連携や互換性に関する複雑な問題を回避でき、プロジェクト全体の管理もシンプルになります。また、既存システムが抱えていた問題をまとめて解消できるため、移行後すぐに新システムの恩恵を受けられるのも利点です。

一方で、リスクの大きさは無視できません。切り替え作業中はシステムを全面停止させる必要があるため、業務への影響が避けられません。万が一、新システムに重大な不具合が見つかった場合、旧システムへの切り戻しが困難になるケースもあります。また、大規模なシステムではデータ移行に膨大な時間がかかり、計画した停止期間内に作業が完了しないリスクも抱えています。

一括移行が適しているのは、比較的小規模なシステムで全体の構造がシンプルな場合、数日程度のシステム停止が業務に致命的な影響を与えない場合、あるいは現行システムが非常に古く、新旧の共存が技術的に困難な場合です。24時間365日の稼働が求められるシステムや、多数の業務部門が利用する大規模基幹システムには、原則として向いていません。

段階移行の特徴とリスク最小化のメリット

段階移行とは、機能単位や業務単位でシステムを段階的に新しいものに置き換えていく方式です。一度にすべてを切り替えるのではなく、フェーズを区切って少しずつ移行を進めます。

段階移行の最大のメリットは、リスクの分散です。各フェーズで問題が発生しても影響範囲が限定されるため、業務全体が停止する事態を回避できます。問題が見つかれば、次のフェーズに進む前に修正や改善が可能であり、最悪の場合は中断して方針を再検討するという判断もできます。移行中もシステムを稼働させ続けられるため、業務への影響を最小限に抑えられるのも大きな利点です。

また、段階移行では各フェーズの経験を次のフェーズに活かせるという学習効果が期待できます。最初のフェーズで発覚した課題や改善点を反映しながら進められるため、プロジェクト全体の品質が段階的に向上していきます。

ただし、段階移行にもデメリットはあります。移行期間が長期化するため、プロジェクト管理の難易度が上がります。新旧システムが一時的に共存する期間が生じるため、その間のデータ連携や整合性の維持に追加のコストと労力が必要です。また、フェーズ間の優先順位付けや、どの単位で機能を切り分けるかの設計が複雑になりがちです。

段階移行が適しているのは、大規模で複雑な基幹システムを刷新する場合、業務を止められない環境で移行を進める必要がある場合、そして移行にともなうリスクを可能な限り抑えたい場合です。現状、多くの中堅企業にとっては一括移行よりも段階移行のほうが現実的な選択肢であると言えるでしょう。

「ストラングラーパターン」で段階移行を設計する

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段階移行をさらに体系的に進めるための設計手法として注目されているのが「ストラングラーパターン(ストラングラーフィグパターン)」です。この名称は、熱帯に生育する「絞め殺しイチジク(Strangler Fig)」に由来しています。宿主の木にツタが絡みつきながら成長し、やがてその木全体を覆い尽くして置き換えてしまう植物の生態が、段階的なシステム移行の概念と重なることから名付けられました。

ストラングラーパターンの基本的な仕組みはこうです。まず、既存システムと新システムの間にプロキシ(仲介役)となる層を設置します。ユーザーからのリクエストはこのプロキシ層を経由し、すでに新システムで実装済みの機能であれば新システムへ、まだ移行されていない機能であれば旧システムへと振り分けられます。機能を一つずつ新システムに移行するたびに、プロキシのルーティング先を切り替えていき、最終的にすべての機能が新システムに移行された時点で旧システムを廃止するという流れです。

この手法が中堅企業にとって特に有効な理由は3つあります。第一に、移行中もサービスを中断させずに業務を継続できること。第二に、ビジネス上の優先度が高い機能から順に移行できるため、投資対効果を早期に実感できること。第三に、小さな単位で移行と検証を繰り返すため、問題の早期発見と軌道修正が容易であることです。

ストラングラーパターンを採用する際に注意すべき点もあります。プロキシ層の設計が複雑になりすぎると、それ自体がボトルネックや障害の原因になる可能性があります。また、新旧システムの並行運用期間中はデータの整合性維持に細心の注意が必要です。既存システムのコードベースにアクセスできることが前提条件となるため、ベンダーロックインの状況によっては適用が難しいケースもあります。

一括か段階か——自社に最適な方式を選ぶ5つの判断基準

では、自社のリプレースにはどちらの方式が適しているのでしょうか。以下の5つの観点から判断することをお勧めします。

1つ目は「システムの規模と複雑さ」です。対象システムが小規模でモジュール間の依存関係が少ない場合は一括移行でも対応可能ですが、多数の業務領域にまたがる大規模システムでは段階移行が安全です。

2つ目は「業務停止の許容度」です。週末や連休を利用して数日間のシステム停止が可能であれば一括移行を検討できますが、24時間稼働が求められる場合は段階移行が必須です。

3つ目は「社内のプロジェクト体制」です。一括移行では短期間に集中的な人員投入が必要になるため、十分な体制を確保できるかがポイントです。段階移行であれば、少人数のチームでも計画的に進めることができます。

4つ目は「リスク許容度」です。移行失敗時の影響が経営に直結するような基幹系のシステムでは、リスクを分散できる段階移行が合理的です。影響範囲が限定的なサブシステムであれば、一括移行による効率性を優先してもよいでしょう。

5つ目は「予算の配分方法」です。一括移行では初期に大きな投資が必要になりますが、段階移行ではフェーズごとにコストを分散できます。年度をまたいで予算を確保しやすいという点では、段階移行のほうが中堅企業の予算構造に馴染みやすい傾向があります。

多くの中堅企業にとっては、リスク分散と業務継続性の観点から段階移行が現実的な第一選択肢となります。ただし、すべてのケースで段階移行が最適とは限りません。自社の状況を上記の5つの基準で冷静に評価し、場合によっては一部を一括で移行し、残りを段階的に進めるハイブリッド型の戦略も検討する価値があります。

御社が今取り組むべき3つのアクション

リプレースの方式を決める前に、まず取り組んでいただきたいことがあります。第一に、現行システムの現状把握です。どの機能がどの業務に紐づいているか、モジュール間の依存関係はどうなっているか、設計書や仕様書はどの程度残っているかを整理しましょう。この現状分析が不十分なまま方式を決めてしまうと、プロジェクト中盤で想定外の課題が噴出し、手戻りが発生します。

第二に、経営層を巻き込んだ方針合意です。リプレースは単なるIT部門のプロジェクトではなく、業務改革そのものです。経営層がリプレースの目的とリスクを正しく理解し、強いコミットメントのもとでプロジェクトを推進することが成功の前提条件です。

第三に、信頼できる外部パートナーの選定です。特に段階移行やストラングラーパターンの適用には、上流の設計から移行の実行、移行後の運用まで一貫して伴走できるパートナーが不可欠です。複数社を比較検討し、自社の業界や規模に合った実績を持つ企業を選びましょう。

まとめ:正しい方式選択が、リプレース成功の第一歩

基幹システムのリプレースにおいて、一括移行と段階移行のどちらを選ぶかは、プロジェクト全体の成否を決定づける重要な判断です。一括移行はシンプルで短期間に完了できる反面、リスクが大きく、大規模システムには不向きです。段階移行はリスクを分散でき、業務を止めずに進められるものの、プロジェクト管理の複雑さが増します。ストラングラーパターンは、この段階移行を体系的に進めるための有効な設計手法です。

大切なのは、自社のシステム規模、業務特性、リスク許容度を正しく把握した上で、最適な方式を選択することです。方式選択の前提となる現状分析を怠れば、どの方式を選んでも成功は難しいでしょう。

GXOでは、180社以上の支援実績をもとに、基幹システムの現状分析からリプレース戦略の策定、段階移行の設計・実行まで一気通貫で伴走しています。「リプレースを検討しているが、どの方式が自社に合うかわからない」「現行システムの全体像が把握できていない」という方は、まずは現状分析からご相談ください。

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