サイバーセキュリティ📖 9分で読了

Chrome脆弱性CVE-2026-0628が問いかける「企業のセキュリティ体制」の本質「まだ悪用されていない」は安心材料ではない。WebView関連の高リスク脆弱性から考える、企業が今すぐ見直すべきセキュリティ対応の死角

Chrome脆弱性CVE-2026-0628が問いかける「企業のセキュリティ体制」の本質

2026年1月、GoogleはChrome 143.0.7499.192/193を公開し、高リスク脆弱性CVE-2026-0628を修正しました。「悪用未確認」との発表がありましたが、脆弱性情報の公開は攻撃者にとって攻略の起点となります。本記事では、WebView関連の脆弱性がなぜ企業にとって危険なのか、自動アップデートへの過信や管理外端末という盲点、そして「形だけの対応」と「実効性のある対応」の違いを解説。脆弱性対応を業務プロセスとして定着させるためのポイントを整理しています。

はじめに:「悪用されていない」は安心材料ではない

2026年1月8〜9日、GoogleはChromeの緊急セキュリティアップデートを公開しました。修正対象となったのは、高リスクに分類される脆弱性「CVE-2026-0628」です。

Googleの発表では「in the wild(実環境での悪用)は確認されていない」とされています。この一文を見て、安心された方もいるかもしれません。

しかし、企業のセキュリティ担当者やIT責任者にとっては、むしろ警戒すべきタイミングです。なぜなら、脆弱性情報が公開された瞬間から、攻撃者にとっては「攻撃の設計図」が手に入ったことを意味するからです。

本記事では、CVE-2026-0628の概要を分かりやすく整理したうえで、企業が見落としがちな脆弱性対応の盲点と、形だけではない実効性のある対策について解説します。


CVE-2026-0628とは何か:専門用語を噛み砕いて解説

脆弱性の概要

CVE-2026-0628は、ChromeのWebView関連コンポーネントにおける「ポリシー制御の不備(Policy Enforcement Issue)」として報告されています。

WebViewとは、アプリケーション内でWebコンテンツを表示するための仕組みです。たとえば、業務アプリ内でマニュアルページを開いたり、社内ポータルを表示したりする際に使われています。普段意識することは少ないかもしれませんが、多くの企業向けアプリケーションがこの技術を利用しています。

今回の脆弱性は、本来適用されるべきセキュリティポリシー(アクセス制限や権限管理のルール)が、特定の条件下で正しく機能しない可能性があるというものです。

Chromiumベースへの影響の可能性

Chromeは「Chromium」というオープンソースプロジェクトをベースにしています。Microsoft Edge、Brave、Vivaldiなど、多くのブラウザがこのChromiumを採用しているため、今回の脆弱性がChromiumのコア部分に起因する場合、Chrome以外のブラウザにも同様のリスクが及ぶ可能性が考えられます。

各ブラウザベンダーの対応状況を確認し、必要に応じてアップデートを適用することが推奨されます。

対象バージョンと修正版

プラットフォーム

修正版バージョン

Windows / macOS

Chrome 143.0.7499.192 / 193

Linux

Chrome 143.0.7499.192

上記バージョン以降であれば、CVE-2026-0628への対応が含まれています。


企業が特に注意すべき3つの理由

個人ユーザーであれば「自動アップデートが有効なら大丈夫」で済むかもしれません。しかし、企業においては事情が異なります。

理由1:ブラウザは最大の攻撃入口

現代の業務環境において、ブラウザはあらゆる業務の起点となっています。SaaS、クラウドサービス、社内システム、メール、ファイル共有——ほぼすべてがブラウザを経由してアクセスされます。

言い換えれば、ブラウザの脆弱性は「社内ネットワークへの入口」となり得ます。攻撃者にとって、ブラウザは最も費用対効果の高い標的の一つです。

理由2:自動アップデートへの過信

「Chromeは自動更新されるから問題ない」——これは危険な思い込みです。

実際には、以下のようなケースでアップデートが適用されないことがあります。

  • ブラウザを長期間再起動していない端末

  • 企業ポリシーでアップデートが制限されている環境

  • 管理者権限の関係でインストールが保留されているケース

  • VDI(仮想デスクトップ)環境でのマスターイメージ更新遅延

「自動更新=全端末が最新」ではありません。実態を把握しているかどうかが問われます。

理由3:WebView利用アプリという盲点

WebViewは、Chromeブラウザ本体とは別のコンポーネントとして動作する場合があります。つまり、Chromeをアップデートしても、WebViewを利用する業務アプリケーションには反映されない可能性があるのです。

特に、以下のようなケースでは注意が必要です。

  • 独自開発した業務アプリケーション

  • ベンダーから提供された社内向けツール

  • 古いバージョンのElectronアプリ

これらが「見えない脆弱性」として残り続けるリスクがあります。


「形だけの対応」と「本当に必要な対応」の違い

脆弱性情報が公開されると、多くの企業で「アップデートを周知」「対応完了」という報告がなされます。しかし、それが実効性のある対策かどうかは別問題です。

形だけの対応の例

  • 社内メールで「Chromeを最新版にしてください」と通知して終了

  • IT部門が「対応済み」と報告したが、実際の適用率は未確認

  • 管理外端末(私用PCやBYOD)が対象外になっている

  • WebViewを利用するアプリは確認対象に含まれていない

本当に必要な対応

企業として実効性のある脆弱性対応を行うためには、以下の観点が求められます。

1. 現状の可視化

  • 社内で利用されているブラウザの種類とバージョンを把握しているか

  • 管理対象外の端末はどれくらい存在するか

  • WebViewを利用するアプリケーションの棚卸しができているか

2. 優先度の判断

  • 今回の脆弱性が自社環境にどの程度影響するかを評価できているか

  • すべてに同じ対応をするのではなく、リスクに応じた優先順位付けができているか

3. 継続的な体制

  • 脆弱性情報を定期的にウォッチし、対応判断できるプロセスがあるか

  • 一度きりの対応ではなく、継続的に回せる仕組みになっているか

これらは「セキュリティ製品を導入する」だけでは実現できません。自社の業務環境を理解したうえで、運用として定着させる必要があります。


脆弱性対応を「業務の一部」にするために

脆弱性対応は、セキュリティ部門だけの仕事ではありません。業務システム、DX推進、IT投資の判断——さまざまな文脈と密接に関わっています。

たとえば、以下のような問いに即答できるでしょうか。

  • 「自社で利用しているSaaSやクラウドサービスの一覧はありますか?」

  • 「それぞれのサービスで使われている技術基盤(ブラウザ依存、API連携など)は把握していますか?」

  • 「脆弱性が発見された場合、どの部門が判断し、誰が対応しますか?」

こうした問いに対する答えが曖昧なまま、個別の脆弱性に都度対応するのは非効率であり、対応漏れのリスクも高まります。

重要なのは、脆弱性対応を「緊急時の例外処理」ではなく「業務プロセスの一部」として組み込むことです。そのためには、技術的な知見だけでなく、業務全体を俯瞰できる視点が求められます。


GXO株式会社のアプローチ

GXO株式会社は、単なるセキュリティ診断や脆弱性スキャンだけを提供する会社ではありません。

私たちの強みは、DX推進、AI導入、業務システム開発といった「攻めのIT」と、セキュリティ対策という「守りのIT」の両方を理解していることにあります。

脆弱性対応において重要なのは、「どこにリスクがあるか」だけでなく「そのリスクが業務にどう影響するか」を判断することです。業務システムを理解しているからこそ、優先順位の判断や対応方針の策定において、実務に即したアドバイスが可能になります。

「セキュリティのことはよく分からないが、現状が不安」「何から手をつければいいか整理したい」——そうしたご相談から始めていただくことも歓迎しています。


まとめ:今回の脆弱性から学ぶべきこと

CVE-2026-0628は、現時点で悪用事例が報告されていない脆弱性です。しかし、だからといって対応を後回しにしてよい理由にはなりません。

今回の件から企業が学ぶべきポイントは、以下の3点に集約されます。

  1. 「悪用未確認」は猶予期間に過ぎない
    脆弱性情報が公開された時点で、攻撃者にとっては攻略対象が明確になります。対応のスピードが問われます。

  2. 自動アップデートだけでは守りきれない
    管理外端末、WebViewアプリ、古いシステム——見落としがちな領域にこそリスクが潜んでいます。

  3. 形式的な対応から実効性のある対応へ
    「通知しました」「対応済みです」で終わらせず、実態を把握し、継続的に改善できる体制を構築することが求められます。


次のステップ:まずは現状整理から

「自社の対応状況が十分かどうか分からない」「何から手をつければいいか相談したい」——そうした段階からのご相談を歓迎しています。

GXO株式会社では、現状のヒアリングから始める無料相談を受け付けています。すぐに何かを導入する必要はありません。まずは状況を整理し、自社にとって本当に必要な対応は何かを一緒に考えるところからスタートできます。

[無料相談のお申し込みはこちら]


よくあるご質問(FAQ)

Q1. CVE-2026-0628は今すぐ対応が必要ですか?

現時点で悪用事例は報告されていませんが、高リスクに分類される脆弱性であり、早期のアップデート適用が推奨されます。特に、業務でChromeを利用している企業では、全端末への適用状況を確認することをお勧めします。

Q2. Chromeを自動更新にしていれば問題ありませんか?

自動更新が有効でも、ブラウザを再起動しなければ適用されないケースや、管理ポリシーで更新が制限されているケースがあります。端末ごとの実際のバージョンを確認することが重要です。

Q3. Chrome以外のブラウザにも影響がありますか?

CVE-2026-0628がChromiumのコア部分に起因する場合、Microsoft EdgeやBraveなどChromiumベースのブラウザにも影響が及ぶ可能性があります。各ブラウザの公式情報を確認し、必要に応じてアップデートを適用してください。

Q4. WebViewを使っているかどうか、どうやって確認できますか?

業務アプリ内でWebページを表示する機能がある場合、WebViewが使用されている可能性があります。開発元やベンダーに確認するか、専門家に棚卸しを依頼することをお勧めします。

Q5. GXO株式会社に相談する場合、何を準備すればいいですか?

特別な準備は不要です。「自社の現状が心配」「何から始めればいいか分からない」という段階からご相談いただけます。現状のヒアリングを通じて、必要な対応を一緒に整理していきます。


参考資料

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