ゼロデイ攻撃が中小企業を狙う理由

「うちのような小さな会社が狙われるはずがない」——そう考えている経営者やIT担当者の方は少なくないでしょう。しかし、ゼロデイ攻撃は企業規模を問わず、あらゆる組織を標的にします。本記事では、ゼロデイ攻撃の仕組みから、中小企業が今すぐ取るべき緊急対応、そして平時から備えておくべき対策までを具体的に解説します。限られたIT予算と人員でも実践できる方法をお伝えしますので、自社のセキュリティ体制を見直すきっかけにしてください。
ゼロデイ攻撃とは、ソフトウェアやシステムの脆弱性(セキュリティ上の欠陥)が発見されてから、開発元が修正プログラムを提供するまでの「猶予期間ゼロ」の状態を突く攻撃手法です。通常、脆弱性が発見されるとベンダーは修正パッチを開発して配布しますが、ゼロデイ攻撃ではその修正が間に合う前に攻撃が実行されます。つまり、どれだけセキュリティソフトを導入していても、未知の脆弱性を突かれれば防ぎきれない可能性があるのです。
IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)の「情報セキュリティ10大脅威 2024」によると、ゼロデイ攻撃は組織向け脅威の上位に位置づけられています。特に近年は、攻撃者がゼロデイ脆弱性を発見してから悪用するまでの期間が短縮化しており、企業側の対応時間がますます限られる傾向にあります。
なぜ中小企業が標的になるのか
大企業と比べてセキュリティ対策が手薄になりがちな中小企業は、攻撃者にとって「侵入しやすいターゲット」と見なされています。総務省の調査によると、サイバー攻撃を受けた中小企業のうち、約6割が「セキュリティ対策が不十分だった」と回答しています。専任のセキュリティ担当者を置く余裕がない、最新のセキュリティ機器を導入する予算がないといった事情が、結果として攻撃者に付け入る隙を与えているのです。
さらに注目すべきは、中小企業が大企業のサプライチェーンの一部として狙われるケースです。攻撃者は、セキュリティが堅牢な大企業を直接攻撃するのではなく、取引先である中小企業を踏み台にして侵入を試みます。2022年に発生した大手自動車メーカーの取引先への攻撃では、部品供給会社のシステムが侵害されたことで、最終的に自動車生産ラインが停止する事態に発展しました。このように、中小企業のセキュリティ対策は自社だけでなく、取引先全体の信頼にも直結する重要な経営課題なのです。
ゼロデイ攻撃の具体的な手口
ゼロデイ攻撃がどのように実行されるのかを理解することは、対策を講じる上で欠かせません。攻撃者は主に以下のような手口で企業システムへの侵入を図ります。
まず、攻撃者は広く使われているソフトウェアやシステムの脆弱性を探します。WindowsやMicrosoft Office、Adobe製品、各種ブラウザ、さらには業務システムやネットワーク機器のファームウェアなど、あらゆるソフトウェアが標的になり得ます。脆弱性を発見した攻撃者は、それを悪用するための攻撃コード(エクスプロイト)を作成します。
次に、攻撃コードを標的に送り込む段階です。最も一般的なのは、メールに添付された悪意のあるファイルを開かせる手法です。請求書や見積書を装ったPDFファイル、業務連絡に見せかけたWord文書などが使われます。また、正規のウェブサイトを改ざんして、訪問者のパソコンに自動的にマルウェアをダウンロードさせる「水飲み場攻撃」と呼ばれる手法も存在します。
JPCERT/CC(一般社団法人JPCERTコーディネーションセンター)の報告によると、2023年に確認されたゼロデイ攻撃の多くは、VPN機器やリモートアクセス製品の脆弱性を突いたものでした。コロナ禍以降、リモートワーク環境を急いで整備した企業が多い中、これらの機器のセキュリティ管理が追いついていない実態が浮き彫りになっています。
攻撃を受けた際の緊急対応
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万が一、ゼロデイ攻撃の被害に遭った場合、初動対応の速さが被害の拡大を防ぐ鍵となります。慌てて場当たり的な対応をするのではなく、あらかじめ決められた手順に従って冷静に行動することが重要です。
最初に行うべきは、被害範囲の特定と隔離です。感染が疑われる端末やサーバーをネットワークから切り離し、他のシステムへの感染拡大を防ぎます。ただし、この際に電源を切ってしまうと、メモリ上に残っている攻撃の痕跡が消えてしまい、後の原因調査が困難になる場合があります。可能であれば、ネットワークケーブルを抜く、無線LANを無効にするなどの方法で、電源は入れたままネットワークから隔離するのが望ましいでしょう。
次に、関係者への報告と外部専門家への連絡です。経営層への報告はもちろん、取引先への影響が想定される場合は早期に情報共有を行います。また、自社だけで対応が困難な場合は、セキュリティ専門企業やJPCERT/CCなどの公的機関に相談することも検討してください。IPAでは「情報セキュリティ安心相談窓口」を設けており、中小企業からの相談にも対応しています。
証拠保全も忘れてはなりません。攻撃の痕跡が残るログファイルやメモリダンプは、原因究明と再発防止策の策定に不可欠です。また、警察への被害届提出や、サイバー保険の請求時にも必要となります。ログの保存期間や取得範囲については、平時から確認しておくことをお勧めします。
平時から備えておくべき5つの対策

ゼロデイ攻撃は未知の脆弱性を突くため、完全に防ぐことは困難です。しかし、平時からの備えによって被害を最小限に抑えることは可能です。中小企業でも実践できる具体的な対策を紹介します。
第一に、ソフトウェアとシステムの迅速なアップデートです。ゼロデイ攻撃そのものは修正パッチが存在しない段階で行われますが、実際には脆弱性が公表された後も更新を怠っている企業が攻撃されるケースが多いのが実情です。WindowsやOfficeなどの自動更新を有効にし、業務システムやネットワーク機器のファームウェアも定期的に確認する習慣をつけてください。
第二に、多層防御の考え方を取り入れることです。ウイルス対策ソフトだけに頼るのではなく、ファイアウォール、侵入検知システム、メールフィルタリングなど、複数の防御層を設けることで、一つの対策が突破されても次の層で食い止められる可能性が高まります。最近では、従来のパターンマッチング型ではなく、AIを活用して未知の脅威を検知するEDR(Endpoint Detection and Response)製品も中小企業向けに提供されています。
第三に、従業員へのセキュリティ教育です。どれだけ高度なセキュリティ機器を導入しても、従業員が不審なメールの添付ファイルを開いてしまえば意味がありません。標的型攻撃メールの見分け方、不審なファイルを受け取った際の報告手順など、定期的な研修を通じてセキュリティ意識を高めることが重要です。
第四に、バックアップ体制の整備です。ランサムウェアと組み合わせたゼロデイ攻撃も増えており、データを暗号化されてしまうと業務が完全に停止してしまいます。重要なデータは定期的にバックアップを取り、そのバックアップがネットワークから隔離された場所に保管されていることを確認してください。また、バックアップからの復旧手順を実際にテストしておくことも大切です。
第五に、インシデント対応計画の策定です。攻撃を受けた際に誰が何をするのか、どこに連絡するのか、といった手順を文書化しておくことで、緊急時にも冷静な対応が可能になります。年に一度は訓練を行い、計画の実効性を確認することをお勧めします。
外部リソースの活用という選択肢
中小企業がすべてのセキュリティ対策を自社だけで完結させるのは現実的ではありません。専任担当者を置く余裕がない、最新の脅威情報を収集し続けるリソースがないという企業も多いでしょう。そこで検討したいのが、セキュリティ専門企業の支援を受けるという選択肢です。
SOC(Security Operation Center)サービスを利用すれば、24時間365日の監視体制を外部に委託できます。自社でセキュリティ専門人材を雇用・育成するコストと比較すると、多くの場合でコストメリットがあります。また、SIEM(Security Information and Event Management)やSOAR(Security Orchestration, Automation and Response)といった高度なセキュリティ基盤の導入・運用を任せることで、自社のIT担当者は本来の業務に集中できるようになります。
重要なのは、自社の状況に合った支援内容を選ぶことです。すべてを丸投げするのではなく、自社で対応できる部分と外部に任せる部分を明確にし、連携しながらセキュリティレベルを高めていく姿勢が求められます。
まとめ
ゼロデイ攻撃は、未知の脆弱性を突くという性質上、完全に防ぐことが難しい脅威です。しかし、平時からの備えと、万が一の際の迅速な対応によって、被害を最小限に抑えることは可能です。ソフトウェアの迅速な更新、多層防御の導入、従業員教育、バックアップ体制の整備、インシデント対応計画の策定——これら5つの対策は、限られた予算と人員でも実践できるものばかりです。
「うちは大丈夫」という油断が最大のリスクです。サイバー攻撃の脅威は年々高度化しており、中小企業も例外ではありません。この機会に自社のセキュリティ体制を見直し、必要な対策を講じてください。
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