経済産業省「IT人材需給に関する調査」(2019年3月公表)によると、2030年には最大約79万人のIT人材が不足すると試算されている。JETRO(日本貿易振興機構)「在アジア・オセアニア日系企業活動実態調査」(2024年版)では、ベトナムのエンジニア人月単価は日本の3分の1から5分の1程度と報告されている。IPA「ソフトウェア開発分析データ集2024」によれば、国内のシステム開発プロジェクトの約44%が当初見積りを超過しており、コスト管理の重要性は増すばかりだ。
この記事では、オフショア開発と国内開発を6つの軸で比較し、自社の案件にどちらが適しているかを判断するための情報を整理する。費用相場の全体像については中小企業のためのシステム開発費用ガイドも併せて参照されたい。
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オフショア開発とは
オフショア開発とは、システム開発の一部または全部を海外の開発チームに委託する手法を指す。主な委託先はベトナム、インド、フィリピン、ミャンマーなどで、近年はベトナムが日本企業からの委託先として最も選ばれている(JETRO「在アジア・オセアニア日系企業活動実態調査」2024年版)。
「自社のエンジニアを海外に送る」のではなく、「海外にいるエンジニアチームに開発を依頼する」という形態だ。ブリッジSE(日本語と現地語の両方ができるエンジニア)を介してコミュニケーションを取るのが一般的である。
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6軸比較表:オフショア開発 vs 国内開発
| 比較軸 | オフショア開発 | 国内開発 |
|---|---|---|
| 費用(人月単価) | 30-60万円/人月(ベトナムの場合。JETRO 2024年調査に基づく目安) | 80-150万円/人月(JISA業界統計に基づく一般的な相場) |
| 品質 | ブリッジSEの力量に依存。仕様書の精度が品質を左右する | 日本語での直接コミュニケーションが可能。仕様の認識ズレが起きにくい |
| 開発スピード | チーム規模を柔軟に拡大でき、大規模案件の並行開発に強い | 少数精鋭で動きが速い。小回りが利く |
| コミュニケーション | 時差1-2時間(ベトナム)。日本語対応可能なブリッジSEの確保が鍵 | 対面・電話・チャットいずれも即時対応可能 |
| 保守・運用 | 保守チームの継続性を契約で担保する必要がある | 開発チームがそのまま保守を担当しやすい |
| リスク | 仕様伝達ミス、文化差による認識ズレ、為替変動 | 人材不足による納期遅延、単価上昇 |
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オフショア開発が向いている案件
以下のような条件に当てはまる場合、オフショア開発のメリットが活きやすい。
1. 大規模な開発案件(開発工数50人月以上)
開発規模が大きいほど、人月単価の差がコスト全体に与える影響は大きくなる。仮に100人月の案件で人月単価が50万円異なれば、単純計算で5,000万円の差が出る。大規模案件では仕様書が整備されやすく、オフショアチームへの指示も明確にしやすい。
2. コスト最適化が最優先の案件
「同じ品質なら、できるだけコストを抑えたい」という方針が明確な場合。ただし、コスト削減を目的にオフショアを選ぶ場合でも、ブリッジSE費用やコミュニケーションコストを含めた総コストで比較することが重要だ。
3. 長期的な開発パートナーシップ
1つの案件だけでなく、継続的にシステム開発が発生する企業では、オフショアチームを「自社の開発部門」のように育てていく方法がある。IPA「IT人材白書2024」でも、海外リソースの戦略的活用が中長期の人材戦略として言及されている。
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国内開発が向いている案件
一方、以下のケースでは国内開発の方がリスクが低く、結果的にコストパフォーマンスが高くなることがある。
1. 要件が不明確・変更が頻繁な案件
「作りながら仕様を決めていく」アジャイル型のプロジェクトでは、開発チームとの密なコミュニケーションが不可欠だ。言語・文化の壁がないことで、仕様変更への対応スピードが格段に上がる。
2. 短納期の案件(3ヶ月以内)
オフショア開発にはチーム立ち上げに一定の期間(目安として1〜2ヶ月程度と言われることが多い)がかかることが多い。3ヶ月以内の短納期案件では、この立ち上げ期間がプロジェクト全体のボトルネックになりうる。
3. 高セキュリティ要件がある案件
個人情報や金融データを扱うシステムでは、データの国外持ち出しに関する法規制やセキュリティポリシーの遵守が求められる。国内開発であれば、セキュリティ監査やデータ管理体制の確認が容易だ。
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ハイブリッド型という選択肢
近年増えているのが、「上流工程(要件定義・基本設計)は国内、実装・テストはオフショア」というハイブリッド型の開発体制だ。
この方式のメリットは以下の通りである。
- 仕様の認識ズレを防げる:要件定義と設計を日本語で完結させてからオフショアに渡すため、伝達ミスが起きにくい
- コストと品質のバランスが取れる:工数の大きい実装フェーズでオフショアのコストメリットを活かせる
- 保守体制を柔軟に設計できる:国内チームが設計を理解しているため、保守フェーズで国内に切り替えることも可能
費用構造の詳細や、自社に合った開発体制の選び方については、中小企業のためのシステム開発費用ガイドで体系的にまとめている。
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まとめ
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オフショア開発と国内開発は「どちらが優れているか」ではなく、「自社の案件にどちらが合っているか」で判断すべきだ。大規模・長期・コスト重視ならオフショア、要件不明確・短納期・高セキュリティなら国内、そしてその中間にハイブリッド型がある。まずは自社の案件要件を整理し、複数の開発会社から見積りを取って比較することが、最適な選択への第一歩になる。
実績豊富な開発会社の事例は導入事例ページで、会社の特徴や体制については会社概要ページで確認できる。
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よくある質問(FAQ)
Q1. オフショア開発で品質は本当に大丈夫なのか?
品質はブリッジSEの力量と仕様書の精度に大きく依存する。JETRO「在アジア・オセアニア日系企業活動実態調査」(2024年版)では、ベトナムでのオフショア開発を行う日系企業の一定数の企業が品質面で「概ね満足」と回答している。ただし、仕様書が曖昧なまま発注すると手戻りが発生しやすい。成功のポイントは、要件定義と設計を十分に詰めてから委託することだ。
Q2. オフショア開発の初期費用はどのくらいかかるか?
チーム立ち上げ費用として、ブリッジSEのアサイン、開発環境の構築、初期のすり合わせ期間(1-2ヶ月程度)を見込む必要がある。案件規模や委託先によるが、立ち上げ費用はプロジェクト規模やブリッジSEの有無により異なる。ただし、この費用は長期的な人月単価の差で回収できるケースが多い。
Q3. 小規模案件(500万円以下)でもオフショアは使えるか?
使えないわけではないが、コストメリットが出にくい。オフショア開発にはブリッジSE費用やコミュニケーションコストなどの固定費がかかるため、案件規模が小さいと総コストが国内開発と変わらない、もしくは逆転する場合がある。案件の規模が大きいほどオフショアのコストメリットが明確になる傾向がある。
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参考資料
- 経済産業省「IT人材需給に関する調査(概要)」(2019年3月公表)
- JETRO「在アジア・オセアニア日系企業活動実態調査」(2024年版)
- IPA(情報処理推進機構)「ソフトウェア開発分析データ集2024」(2024年10月公表)
- IPA「IT人材白書2024」
- JISA(情報サービス産業協会)「情報サービス産業 基本統計調査」
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