オフショア開発のリスクと対策一覧|失敗しない管理法

オフショア開発を検討する企業が増える一方で、「品質が安定しない」「納期が守られない」「情報漏洩が心配」といった不安の声も少なくありません。本記事では、オフショア開発で発生しうるリスクを品質・納期・セキュリティの3カテゴリで整理し、それぞれの具体的な対策を解説します。リスクを正しく理解し、適切な管理体制を構築することで、オフショア開発のメリットを最大限に引き出すことが可能です。
オフショア開発が注目される背景とリスク管理の重要性
国内のIT人材不足は年々深刻化しています。経済産業省の調査によると、2030年には最大約79万人のIT人材が不足すると予測されています。この人材不足を補う手段として、ベトナムやフィリピンなどへのオフショア開発が急速に拡大しています。
しかし、オフショア開発には固有のリスクが存在します。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の「IT人材白書」によると、オフショア開発を実施した企業の約4割が何らかの問題を経験したと報告しています。問題の内訳を見ると、品質に関する課題が最も多く、次いでコミュニケーション、納期遅延、セキュリティの順となっています。
重要なのは、これらのリスクは「オフショア開発だから仕方ない」ものではなく、適切な管理体制を構築すれば十分にコントロール可能だという点です。むしろ、リスク管理を徹底することで、国内開発よりも高い品質とコスト効率を両立している企業も存在します。
品質リスクとその対策
オフショア開発における品質リスクは、多くの企業が最も懸念するポイントです。品質リスクは大きく分けて「仕様の認識齟齬」「コーディング品質のばらつき」「テスト不足」の3つに分類できます。
仕様の認識齟齬は、言語や文化の違いから生じやすい問題です。日本語で書かれた仕様書を現地のエンジニアが正確に理解できないケースや、「阿吽の呼吸」で伝わると思った暗黙の要件が伝わらないケースが典型例です。この対策としては、仕様書の多言語化に加え、画面モックアップやワイヤーフレームなどの視覚的資料を充実させることが効果的です。また、仕様確認のためのレビュー会議を開発着手前に必ず実施し、双方の認識を擦り合わせることで、後工程での手戻りを大幅に削減できます。
コーディング品質のばらつきについては、コーディング規約の策定と遵守が基本的な対策となります。加えて、静的解析ツールを導入してコード品質を自動チェックする仕組みを構築することで、属人的な品質のばらつきを抑制できます。定期的なコードレビューを日本側のエンジニアが実施する体制も、品質維持に有効です。
テスト不足への対策としては、テスト計画書の事前承認プロセスを設けることが重要です。単体テスト、結合テスト、システムテストの各段階でテストケースとその実施結果を可視化し、日本側で確認できる体制を整備します。自動テストの導入も、テストカバレッジを向上させる有効な手段です。
納期リスクとその対策
納期遅延は、オフショア開発プロジェクトの約3割で発生するとされています。日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)の調査では、納期遅延の主な原因として「要件の追加・変更」「見積もり精度の問題」「コミュニケーション不足」が挙げられています。
要件の追加・変更による遅延を防ぐには、変更管理プロセスの明確化が不可欠です。要件変更が発生した場合のスケジュールへの影響を事前に評価し、ステークホルダーの承認を得るフローを確立します。また、開発の初期段階で要件を十分に固めるための要件定義フェーズを設けることも、後工程での変更を最小化する効果があります。
見積もり精度の向上には、過去のプロジェクト実績データの蓄積と活用が有効です。特にオフショア特有の工数増加要因(コミュニケーションコスト、時差対応、品質管理工数など)を見積もりに織り込むことで、より現実的なスケジュールを策定できます。バッファの設定についても、国内開発より多めに確保することが推奨されます。
コミュニケーション不足への対策としては、定例会議の頻度と内容の最適化が重要です。週次の進捗報告に加え、日次のスタンドアップミーティングを実施することで、問題の早期発見と対処が可能になります。プロジェクト管理ツールを活用し、タスクの進捗状況をリアルタイムで可視化することも、遅延リスクの低減に寄与します。
セキュリティリスクとその対策
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オフショア開発におけるセキュリティリスクは、情報漏洩、不正アクセス、知的財産の流出などが挙げられます。特に日本企業が懸念するのは、海外拠点での情報管理体制です。
情報漏洩対策の基本は、アクセス権限の厳格な管理です。開発に必要な情報のみを必要な担当者にのみ開示する「最小権限の原則」を徹底します。具体的には、ソースコードリポジトリへのアクセス権限を個人単位で管理し、プロジェクト離任時には即座にアクセス権を削除するプロセスを確立します。
物理的なセキュリティも重要な要素です。開発拠点への入退室管理、監視カメラの設置、USBメモリなど外部記憶媒体の使用制限などが基本的な対策となります。開発環境と本番環境の分離、開発用端末からのインターネットアクセス制限なども、情報漏洩リスクを低減する効果があります。
契約面では、秘密保持契約(NDA)の締結はもちろん、契約書に知的財産権の帰属、損害賠償条項、監査権条項などを明記することが重要です。万が一の事態に備え、法的な拘束力を持つ契約を締結しておくことで、抑止力としても機能します。
セキュリティ教育も欠かせません。開発メンバー全員に対して、情報セキュリティポリシーの教育を定期的に実施します。特に、ソーシャルエンジニアリングへの対策や、フィッシングメールへの注意喚起など、実践的な内容を含めることが効果的です。
失敗しないオフショア開発のために今すぐできること
これまで解説したリスクと対策を踏まえ、オフショア開発を成功させるために御社が今すぐ取り組めるアクションを整理します。
まず、パートナー選定基準の明確化から始めることをお勧めします。コストだけでなく、品質管理体制、セキュリティ認証の有無、日本語対応能力、過去の実績などを総合的に評価するチェックリストを作成します。複数社を比較検討し、自社の要件に最も合致するパートナーを選定することが成功の第一歩です。
次に、パイロットプロジェクトの実施を検討します。いきなり大規模なプロジェクトをオフショアに委託するのではなく、小規模なプロジェクトから始めてパートナーとの相性や管理体制の妥当性を検証します。この段階で課題を洗い出し、改善策を講じることで、本格的な展開時のリスクを大幅に低減できます。
社内の推進体制の整備も重要です。オフショア開発を成功させるには、日本側に専任または兼任のブリッジSE(ブリッジエンジニア)を配置することが望ましいです。現地とのコミュニケーションを円滑に行い、品質管理と進捗管理を担う人材を確保します。
コミュニケーションルールの策定では、報告・連絡・相談の頻度と方法、使用するツール、エスカレーションルートなどを文書化します。時差がある場合のコアタイムの設定や、緊急時の連絡方法なども事前に取り決めておきます。
最後に、段階的な移行計画の策定です。現在国内で実施している開発業務のうち、どの部分からオフショアに移行するかを計画します。移行しやすい業務から着手し、ノウハウを蓄積しながら徐々に範囲を拡大していくアプローチが、リスクを抑えながら効果を最大化する方法です。
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オフショア開発のリスク管理は、パートナー選定から始まり、プロジェクト管理、品質管理、セキュリティ管理まで多岐にわたります。自社だけでこれらすべてを構築・運用することは容易ではありません。
GXOでは、ベトナム・ホーチミンに自社開発拠点を構え、180社以上の企業のシステム開発を支援してきた実績があります。日本人ブリッジSEが常駐し、品質管理・進捗管理・セキュリティ管理を一元的に担う体制を整備しています。上流の要件定義から下流の保守運用まで一気通貫で対応できるため、コミュニケーションロスによる品質低下や納期遅延のリスクを最小化できます。
オフショア開発の導入を検討中の企業様、現在のオフショア開発に課題を感じている企業様は、ぜひ一度ご相談ください。
まとめ
オフショア開発のリスクは、品質・納期・セキュリティの3つのカテゴリに整理できます。品質リスクには仕様書の充実とコードレビュー体制の構築、納期リスクには変更管理プロセスと進捗の可視化、セキュリティリスクにはアクセス管理と契約面での備えが有効です。これらの対策を体系的に実施することで、オフショア開発のメリットを享受しながらリスクをコントロールすることが可能になります。パートナー選定から社内体制の整備まで、計画的に準備を進めていきましょう。
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