オフショア開発の最大課題「コミュニケーション」はツールの選び方で解決できる
オフショア開発において最も多く聞かれる課題は「コミュニケーション」です。特にベトナムオフショア開発では、日本との時差は2時間と比較的小さいものの、言語の壁や文化の違いが加わることで、「指示が正確に伝わらない」「進捗がリアルタイムで把握できない」といった問題が発生しがちです。本記事では、オフショア開発におけるコミュニケーション課題をツールの適切な選定と運用ルールで解決する方法を解説します。チャット、ビデオ会議、タスク管理、ドキュメント共有の4カテゴリ別に、ツールの活用シーンと選定ポイント、そして日越チームでの進捗管理の実践ノウハウをお伝えします。
なぜオフショア開発ではツール選定が重要なのか

オフショア開発白書(2024年版)によると、ベトナムはオフショア開発の委託先として全体の約42%を占めています。ベトナムが選ばれる理由として、日本との時差がわずか2時間であること、日本語対応可能なブリッジSE(ブリッジシステムエンジニア:日本側とベトナム側の橋渡しを担当するエンジニア)の人材が豊富であることが挙げられます。
しかし、時差が小さいとはいえ、日本のビジネスアワー(9:00〜18:00)とベトナムのビジネスアワー(8:00〜17:00、日本時間で10:00〜19:00)にはずれが生じます。たとえば、日本側が朝一番に送った質問に対して、ベトナム側が対応できるのは日本時間の10時以降です。逆に、ベトナム側が終業直前に報告した内容を日本側が確認できるのは翌朝になります。このわずかなずれが積み重なると、1日あたり2〜3時間の空白時間が生まれ、1週間で10時間以上のロスにつながることもあります。
この課題を解決するのが「ツールの適切な選定と運用ルールの整備」です。ツールを導入するだけでは不十分で、「どのツールを」「どの場面で」「どのルールで」使うかを明確にすることが成功の鍵となります。
ツール別活用シーン一覧——4カテゴリ×代表ツール
オフショア開発で活用するコミュニケーションツールは、大きく4つのカテゴリに分かれます。それぞれの特徴と活用シーンを整理します。
1つ目のカテゴリは「チャットツール」です。代表的なツールとしてSlack、Microsoft Teams、Chatworkがあります。チャットツールの主な活用シーンは、日常的な質問・確認、簡易な仕様確認、進捗の一言報告、緊急連絡です。オフショア開発では、メールよりもチャットの方が圧倒的にスピードが速く、時差のある環境ではこのスピード差が大きな意味を持ちます。GXOの支援現場では、Slackのチャンネルを「プロジェクト別」「質問専用」「日報」の3つに分けて運用するケースが多く、情報の混在を防ぐことで、ベトナム側が朝一番に確認すべき内容を即座に把握できる体制を構築しています。
2つ目のカテゴリは「ビデオ会議ツール」です。代表的なツールとしてZoom、Google Meet、Microsoft Teamsがあります。ビデオ会議の主な活用シーンは、週次・日次の定例ミーティング、仕様の認識合わせ、設計レビュー、トラブル発生時の緊急対応です。テキストだけでは伝わりにくいニュアンスや、画面共有を使った仕様確認など、「顔を見て話す」ことの価値はオフショア開発において非常に高いです。特に開発初期の要件定義フェーズでは、週2〜3回のビデオ会議を設定し、認識のずれを早期に解消することが重要です。開発が安定してきたら週1回の定例に移行し、代わりにチャットでの日報運用を強化するのが一般的な流れです。
3つ目のカテゴリは「タスク管理ツール」です。代表的なツールとしてBacklog、Jira、Redmine、Notionがあります。タスク管理ツールの主な活用シーンは、開発タスクの起票・進捗管理、バグ報告と対応追跡、スプリント(短期開発サイクル)の管理、リリーススケジュールの管理です。時差のある環境では、「今誰が何をやっているか」をリアルタイムに可視化することが極めて重要です。タスク管理ツールを適切に運用すれば、日本側が退勤した後もベトナム側が自律的に次のタスクに着手でき、時差を「24時間開発」の強みに変えることができます。GXOの支援現場では、日本の中小企業に馴染みやすいBacklogを採用するケースが多く、チケット起票のテンプレート(タスク名、期限、優先度、完了条件を明記)を標準化して運用しています。
4つ目のカテゴリは「ドキュメント共有ツール」です。代表的なツールとしてGoogleドキュメント/スプレッドシート、Confluence、Notionがあります。ドキュメント共有ツールの主な活用シーンは、要件定義書・設計書の共同編集、議事録の共有、仕様変更履歴の管理、ナレッジベースの構築です。オフショア開発において「言った言わない」問題は最大のリスクの1つです。すべての決定事項をドキュメントに残し、日本側・ベトナム側の双方がいつでもアクセスできる状態にしておくことが不可欠です。特に仕様変更が発生した場合は、変更内容、変更理由、変更日、承認者を記録するルールを徹底することで、後からのトラブルを防止できます。
ツール選定で失敗しないための3つのポイント
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ツールの選定で重要なのは「高機能なツールを選ぶこと」ではなく、「チーム全員が迷わず使えるツールを選ぶこと」です。
1つ目のポイントは「ベトナム側の利用実績を確認する」ことです。日本側で使い慣れたツールであっても、ベトナム側のエンジニアが初めて使うツールであれば、習熟に時間がかかります。事前にベトナム側の開発チームがどのツールを日常的に使用しているかを確認し、双方が無理なく使えるツールを選定してください。ベトナムのIT企業ではSlack、Jira、Confluenceの利用率が高い傾向にありますが、日本の中小企業ではChatwork、Backlog、Googleスプレッドシートが馴染みやすいケースが多いため、このギャップを事前に調整することが重要です。
2つ目のポイントは「ツールの数を最小限に絞る」ことです。ツールが多すぎると、「この情報はどのツールに記録されているか」が分からなくなり、かえってコミュニケーションコストが増大します。推奨は、チャット1つ、ビデオ会議1つ、タスク管理1つ、ドキュメント共有1つの計4ツールです。どうしても追加が必要な場合でも、合計5つ以内に収めてください。
3つ目のポイントは「運用ルールをツール導入前に決める」ことです。たとえば、「チャットでの質問には24時間以内に回答する」「タスクのステータス変更は作業完了時に即座に行う」「仕様変更はドキュメントに記録してからチャットで通知する」といったルールを、プロジェクト開始前に日本側・ベトナム側の双方で合意しておくことが重要です。ルールが曖昧なままツールを導入すると、「ツールはあるが誰も使わない」という状態に陥ります。
時差を強みに変える進捗管理の実践ノウハウ

時差は「弱み」として語られがちですが、運用次第で「強み」に変えることができます。日本とベトナムの2時間の時差を活用すれば、日本側が退勤した後もベトナム側が開発を継続し、翌朝には成果物が届いているという「時差リレー開発」が可能です。
この時差リレー開発を実現するために、GXOの支援現場で推奨している進捗管理の仕組みは3つあります。
1つ目は「終業時の日報投稿ルール」です。ベトナム側が終業時(日本時間19:00頃)にチャットの日報チャンネルに、「本日の完了タスク」「明日の予定タスク」「ブロッカー(作業を止めている障害)」の3項目を投稿します。日本側は翌朝にこの日報を確認し、ブロッカーがあれば朝一番で対応することで、ベトナム側が出社した時点で作業を再開できる環境を整えます。
2つ目は「重複稼働時間の最大活用」です。日本とベトナムの重複稼働時間は、日本時間の10:00〜17:00(ベトナム時間の8:00〜15:00)の約7時間です。この7時間を「同期コミュニケーションの集中時間帯」と位置づけ、定例ミーティング、仕様確認、レビューなどの双方の出席が必要な活動をこの時間帯に集約します。逆に、重複しない時間帯(日本の9:00〜10:00、ベトナムの15:00〜17:00)は、各チームが集中して作業に取り組む時間として確保します。
3つ目は「週次振り返りミーティング」です。毎週金曜日にビデオ会議で15〜30分の振り返りを実施し、「今週うまくいったこと」「改善が必要なこと」「来週の重点タスク」を確認します。この振り返りによって、コミュニケーション上の問題点を早期に発見し、ツールの運用ルールを必要に応じて見直すサイクルを回します。
まとめ
オフショア開発のコミュニケーション課題は、適切なツール選定と運用ルールの整備で解決できます。チャット、ビデオ会議、タスク管理、ドキュメント共有の4カテゴリからそれぞれ1つずつツールを選び、プロジェクト開始前に運用ルールを策定してください。日本とベトナムの2時間の時差は、終業時日報と重複稼働時間の集中活用によって、むしろ「24時間開発」の強みに変えることが可能です。
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