IT導入補助金が「デジタル化・AI導入補助金」に——名称以上の変化を読み解く
2026年度から、中小企業のIT導入を支援してきた「IT導入補助金」が「デジタル化・AI導入補助金」に名称変更されました。単なる看板の掛け替えではなく、AI活用ツールの明確化や申請要件の追加など、制度の重点が「ITツールの導入」から「AIを活用した業務変革」へとシフトしています。本記事では、主要な変更点と申請枠ごとの概要、そして採択率を高めるためのコツを解説します。2026年3月下旬から受付が開始され、第1次締切は5月12日の予定です。
2026年の3つの主要変更点

デジタル化・AI導入補助金2026では、IT導入補助金2025から大きく3つの変更が行われました。
変更点1:名称変更とAI重視への制度シフト
補助金事務局は、名称変更の理由を「ITツールの導入にとどまらず、より踏み込んだデジタル化の推進及びAIの活用が重要であることを広く周知する観点から」と説明しています。背景には、中小企業のAI導入率がまだ低い水準にとどまっている現状があります。経済産業省の令和7年度補正予算案では、中小企業デジタル化・AI導入支援事業として約3,400億円が計上されており、国としてAI活用を本格的に後押しする姿勢が明確になっています。
名称変更に伴い、制度の位置づけも変化しています。従来はITツールを「導入すること」自体が支援の目的でしたが、2026年版ではツールの導入だけでなく、業務への定着や活用までを見据えた取り組みが重視されるようになりました。導入後の保守・サポートや活用支援といった「現場で使いこなすための費用」も補助対象に含まれており、導入して終わりではない継続的な支援が制度の方向性として明確になっています。
変更点2:AI機能を有するツールの明確化
2026年からは、ITツール登録時に「AIを用いた機能を搭載しているかどうか」の申告が必須になりました。具体的には、「生成AI」(文章・画像・プログラム等を生成できるもの)と「生成AI以外のAI技術」(分析・予測等)を区別して登録する仕組みが導入されています。
この情報はITツール検索画面でアイコン等により表示される見込みで、補助金を活用する事業者にとって「このツールはAI対応かどうか」が一目でわかるようになります。AIチャットボット、データ分析ツール、自動応答システム、AI-OCR、生成AIツールなど、幅広いAIサービスが対象として想定されています。ツール選定の透明性が向上することで、AI活用を検討している企業にとっては使いやすい制度になるといえるでしょう。
変更点3:2回目以降の申請に係る要件追加
IT導入補助金2022から2025の間に交付決定を受けた事業者が再度申請する場合、新たに事業計画の策定・実行と効果報告が求められるようになりました。具体的には、交付申請時点の翌事業年度以降3年間の事業計画を策定し、1人当たり給与支給総額の年平均成長率1.5%以上の引き上げ計画と、事業場内最低賃金を地域別最低賃金より50円以上高い水準に引き上げる計画が必要です。
重要なのは、「要件未達」や「効果報告未提出」の場合は補助金の全部または一部が返還対象になる点です。初めて申請する事業者にはこの要件は適用されませんが、過去に補助金を受けた事業者は十分な準備が必要です。この変更は、補助金を一回だけ使って終わりではなく、継続的な生産性向上と賃金引き上げにつなげてほしいという国の意図が反映されています。
申請枠と補助額・補助率の概要
2026年版の申請枠は、基本的にIT導入補助金2025の構成を踏襲しています。
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自社の課題に適したITツールの導入を支援するもっともベーシックな枠組みです。業務プロセスが1〜3つのツールを申請する場合は補助額5万円〜150万円未満(補助率1/2以内)、4プロセス以上のツールを申請する場合は補助額150万円〜450万円以下(補助率1/2以内)が適用されます。最低賃金近傍の事業者については、補助率が2/3以内に引き上げられます。なお、150万円以上の補助を受ける場合は賃上げ目標の達成も求められるため注意が必要です。
インボイス枠
インボイス制度に対応した会計ソフトや受発注ソフト、決済ソフトの導入を支援する枠です。「インボイス対応類型」と「電子取引類型」の2種類があります。インボイス対応類型では、ソフトウェア購入費の50万円以下の部分について、小規模事業者は4/5以内、その他の事業者は3/4以内という高い補助率が適用されます。通常枠では対象外のPC・タブレット等のハードウェアも補助対象となる点が特徴です。
セキュリティ対策推進枠
IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が公表する「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているサービスが対象です。サイバー攻撃の高度化を受け、2025年から強化されたこの枠は2026年も継続されています。
複数社連携デジタル化・AI導入枠
10者以上の中小企業が連携してITツールを導入する場合に利用できる枠です。地域や業界全体でのデジタル化を面的に推進する取り組みを支援します。2026年版では枠の名称にも「AI導入」が追加されています。
採択率を高める5つのコツ

IT導入補助金2025の全体採択率は約55%でした。通常枠は約51%、インボイス枠(インボイス対応類型)は約56%と、決して「申請すればもらえる」制度ではありません。採択率を高めるために、以下の5つのポイントを押さえておきましょう。
1つ目は、業務課題を具体的に数値化することです。「業務効率化」という漠然とした目的ではなく、「月に◯時間かかっている請求書処理を△時間に短縮する」というように、現状の課題と改善目標を数値で示すことが重要です。生産性向上率は3%以上の計画とする必要があり、この数値の根拠と実現可能性が審査のポイントになります。
2つ目は、IT導入支援事業者と早期に連携することです。この補助金は、事務局に登録されたIT導入支援事業者と共同で申請する仕組みです。支援事業者の経験や知見が申請書の質に直結するため、「どの支援事業者と組むか」は採択率に大きく影響します。実績が豊富で、自社の業種や課題に理解のある支援事業者を早い段階で選定しましょう。
3つ目は、導入後の活用・定着計画を明記することです。2026年版の制度方針では、ツールの導入だけでなく「現場で使いこなし、成果を出すまで」が重視されています。誰がどのようにツールを使い、どの業務プロセスがどう変わるのかを具体的に記載することで、審査員に対する説得力が増します。
4つ目は、事前準備を3月の受付開始前に済ませることです。GビズIDプライムの取得には時間がかかる場合があります。また、SECURITY ACTIONの宣言も申請時の必須要件です。さらに、通常枠では「みらデジ経営チェック」の実施が必須となっています。こうした事前手続きは受付開始を待たずに済ませておくべきです。
5つ目は、対象ツールの登録状況を事前に確認することです。この補助金は、事務局の審査を受けて登録されたITツールのみが補助対象です。導入したいツールが登録されているかどうかを公式サイトで事前に確認し、もし登録されていない場合はベンダーに登録を依頼するか、代替ツールを検討する必要があります。
まとめ
デジタル化・AI導入補助金2026は、名称変更にとどまらず、AI活用を前提とした制度へとシフトしています。AI機能ツールの明確化、2回目申請の要件追加、導入後の定着支援の重視といった変更点は、いずれも「AIを使いこなして業務を変える」という方向性を示しています。2026年3月下旬から受付が開始され、第1次締切は5月12日です。申請を検討されている場合は、業務課題の整理とIT導入支援事業者との連携を早めに進めておくことをおすすめします。
※本記事は2026年2月時点の公開情報に基づいています。公募要領の正式版は3月上旬に公開予定です。最新情報は必ず公式サイトでご確認ください。
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