法人インターネット回線の見直し方——光回線・Wi-Fi・SD-WANの選び方
法人のインターネット回線は、光回線(固定回線)が安定性と速度の面で業務利用の基本、Wi-Fi(無線LAN)は社内の端末接続を担うアクセス手段、SD-WANは複数拠点の回線を一元管理する上位レイヤーの仕組みです。結論から言えば、単一拠点の中小企業は法人向け光回線とWi-Fi環境の最適化が最優先、複数拠点を持つ企業はSD-WANの導入検討を加えるのが合理的な進め方です。本記事のポイントは次の3つです。
「遅い」「切れる」の原因はルーターやWi-Fi環境にあるケースが多く、回線そのものの変更が不要な場合もある
法人向け光回線と個人向け光回線は「同じ回線」を使っていることがあり、サポート体制やSLAの違いを見極めることが重要
クラウドサービスの利用が増えた企業では、IPoE方式への切り替えやSD-WANの導入で通信品質が大きく改善する可能性がある
インターネット回線は、現代のビジネスにおいて電気や水道と同様のライフラインです。Web会議、クラウドシステム、メール、ファイル共有といった日常業務のほぼすべてがインターネット接続を前提としています。しかし、情シス不在や兼任情シスの企業では、回線契約を何年も見直していないケースが珍しくありません。「なんとなく遅い」「Teams会議が途切れる」といった不満があっても、原因の切り分けができないまま放置されがちです。
本記事では、法人のインターネット回線を見直す際のチェックポイントを、光回線・Wi-Fi・SD-WANの3つの観点から解説します。
まず確認すべきは「回線そのもの」ではなくボトルネックの特定

「インターネットが遅い」と感じたとき、回線の契約プランを変更する前に確認すべきことがあります。通信速度の低下は、回線そのものの問題ではなく、社内のネットワーク機器や設定に原因があるケースが多いからです。
最初に確認すべきは、ルーター(ONU含む)の型番と導入時期です。5年以上前のルーターは、最新のIPoE方式(IPv6接続)に対応していない場合があります。従来のPPPoE方式は混雑しやすく、特に日中の業務時間帯に速度が低下する傾向があります。ルーターを交換するだけで体感速度が大きく改善するケースは珍しくありません。
次に確認すべきは、Wi-Fiアクセスポイントの配置と規格です。Wi-Fi 5(802.11ac)以前の規格のアクセスポイントを使用している場合、端末が増えるほど速度低下が顕著になります。Wi-Fi 6(802.11ax)以降の規格に対応したアクセスポイントへの更新を検討しましょう。また、1台のアクセスポイントで広いオフィスをカバーしようとすると、死角が生じて接続が不安定になります。フロア面積に応じた台数の配置が必要です。
さらに、社内のネットワークスイッチやLANケーブルの規格も確認してください。ギガビット対応のスイッチとCat5e以上のLANケーブルを使用していない場合、回線自体が高速でも社内ネットワークがボトルネックになります。
法人向け光回線の選び方——個人向けとの違いを見極める
ボトルネックが社内機器ではなく回線側にあると判明した場合、法人向け光回線の見直しを検討します。法人向けと個人向けの光回線は、実は同じNTTのフレッツ光回線を使用している「光コラボレーション」サービスの場合が多く、回線品質そのものに大きな差がないこともあります。
法人向け光回線を選ぶ際に重視すべきは、回線の速度よりもサポート体制と契約条件です。法人向けプランでは、24時間365日の障害対応窓口、固定IPアドレスの提供、SLA(品質保証)の付帯といったビジネス用途に必要なサービスが含まれています。通信障害が業務に直結する企業であれば、これらのサポートは不可欠です。
回線の接続方式については、IPoE方式を選択できるプランを強く推奨します。従来のPPPoE方式は、プロバイダーの認証設備を経由するため混雑時に速度低下が起きやすい構造です。IPoE方式はこの認証設備を迂回するため、安定した高速通信を実現できます。月額費用はPPPoE方式と大きく変わらないケースが多いため、回線変更時にはIPoE対応プランを優先的に検討してください。
費用の目安としては、法人向け光回線は月額5,000〜15,000円程度が相場です。オプションで固定IPアドレスやUTM(統合脅威管理)を追加する場合は、月額数千円〜1万円程度の上乗せが発生します。
オフィスWi-Fi環境の最適化——アクセスポイントの選定と配置
光回線の速度が十分であっても、Wi-Fi環境が適切に構築されていなければ、社員が体感する通信品質は低下します。特にWeb会議の音声や映像が途切れる、クラウドストレージへのアップロードが遅いといった症状は、Wi-Fi環境に起因するケースが多く見られます。
Wi-Fiアクセスポイントの選定では、法人向け(エンタープライズグレード)の製品を選ぶことが重要です。家庭用ルーターのWi-Fi機能では、同時接続台数が増えた際の安定性やセキュリティ機能が不十分です。法人向けアクセスポイントは、同時接続台数の上限が高く、VLAN対応やゲストネットワークの分離機能を備えています。
アクセスポイントの配置は、1台あたりの推奨カバー範囲(一般的に半径10〜15m程度)を基準に、オフィスのフロア図に合わせて台数を決定します。壁やパーティションによる電波の減衰を考慮し、実測ベースで電波強度を確認してから設置位置を確定するのが理想的です。
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SD-WANの導入検討——複数拠点を持つ企業の次の一手
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拠点が2か所以上ある企業では、SD-WAN(Software-Defined Wide Area Network)の導入を検討する価値があります。SD-WANは、各拠点のインターネット回線をソフトウェアで一元管理し、通信の経路を自動的に最適化する仕組みです。
従来型のVPN接続では、すべての通信がセンター拠点のファイアウォールを経由するため、クラウドサービスの利用が増えるとセンター拠点に通信が集中し、輻輳(通信の渋滞)が発生しやすくなります。SD-WANのインターネットブレイクアウト機能を使えば、Microsoft 365やWeb会議などのクラウド向け通信を各拠点から直接インターネットに接続させることができ、センター拠点の負荷を軽減できます。
SD-WANサービスは通信事業者から月額2万円/拠点程度で提供されており、既存のインターネット回線の上に構築できるため、回線自体の入れ替えは不要です。拠点の追加や移転時もコントローラから設定を変更するだけで対応でき、情シスの運用負荷を抑えられる点も大きなメリットです。
回線見直しのチェックリスト
インターネット回線の見直しを進める際は、次の順序で確認していくのが効率的です。
まずは現状の把握として、現在の回線契約(プロバイダー名・プラン名・月額料金・接続方式)、ルーターの型番と導入年、Wi-Fiアクセスポイントの規格と設置台数、LANケーブルとスイッチの規格を整理してください。次に、通信速度の実測テストを平日の業務時間帯(午前10時と午後2時頃)に有線接続とWi-Fi接続の両方で実施し、契約速度との乖離を確認します。
ボトルネックが特定できたら、機器更新で解決できる範囲かどうかを判断し、回線変更が必要な場合は法人向けIPoE対応プランを中心に比較検討を進めましょう。複数拠点を持つ企業はこのタイミングでSD-WANの導入も選択肢に加えてください。
まとめ

法人インターネット回線の見直しは、まず社内のネットワーク機器やWi-Fi環境のボトルネックを特定することから始めてください。ルーター交換やWi-Fiアクセスポイントの更新で解決できるケースも多く、必ずしも回線プランの変更が必要とは限りません。回線の変更が必要な場合はIPoE方式への切り替えを優先し、複数拠点がある企業はSD-WANの導入も検討しましょう。
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よくある質問(FAQ)
Q. 法人でも個人向けの光回線プランを使って問題ありませんか?
小規模オフィスや少人数の企業であれば、個人向けプランで十分な場合もあります。ただし、固定IPアドレスが必要な場合や、24時間対応の障害復旧サポートが必要な場合は、法人向けプランの方が安心です。通信障害が売上に直結する業種では法人契約を推奨します。
Q. IPoEとPPPoEはどう違いますか?
PPPoEはプロバイダーの認証設備を経由する接続方式で、利用者が多い時間帯に速度が低下しやすい特徴があります。IPoEは認証設備を経由しないため混雑の影響を受けにくく、安定した高速通信が可能です。月額費用に大きな差がないことが多いため、IPoE対応プランへの切り替えを推奨します。
Q. SD-WANはどのくらいの規模の企業から導入すべきですか?
一般的には拠点が3か所以上あり、クラウドサービスの利用が進んでいる企業で導入効果が出やすいとされています。月額2万円/拠点程度から利用可能なサービスが増えているため、拠点間VPNの運用に課題を感じている企業は検討の価値があります。
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