当日配送が前年比70%増――「速さ」がEC最大の競争軸に
2026年2月5日に発表されたAmazonの2025年第4四半期決算で、注目すべき数字が明らかになりました。Supply Chain Diveの報道によると、同社の当日配送は前年比で約70%増加し、最も成長率の高い配送オプションとなりました。米国では約1億人の利用者が当日配送を使い、Primeメンバーが当日・翌日で受け取った商品は年間80億個を超え、前年比30%以上の伸びを記録しています。CEOのAndy Jassy氏は決算説明会で「顧客は食品や生活必需品で高速配送を選ぶ傾向が加速している」と説明し、さらなるスピード向上を示唆しました。
なぜ「当日配送」がここまで伸びたのか

この急成長の背景には、消費者行動の構造的な変化があります。
まず、生鮮食品や日用品(ヘルスケア、ベビー用品など)が当日・翌日配送の主力カテゴリになったことが大きな要因です。Amazonでは米国の2,300以上の都市で生鮮食品の当日配送が可能になり、生鮮食品を注文する顧客は通常の3倍の商品をカートに入れるというデータも報告されています。「ついで買い」が増えることで、当日配送が単なるスピードアップではなく、客単価を引き上げる仕組みとして機能し始めているのです。
次に、配送ネットワークの構造改革も見逃せません。Amazonは全米を10の地域に分割する「リージョナルモデル」へと転換し、在庫をより消費者に近い場所に配置することで配送距離を短縮しました。地方部の当日配送利用者も前年比でほぼ倍増しており、都市部だけでなく全国的にスピードが底上げされています。
さらに、Amazonは30分以内に届ける「Amazon Now」のテストも米国や英国で開始しています。インドでは「最も楽観的な予測を上回る」反応を得ており、Primeメンバーの購入頻度が3倍に増加したとJassy氏は述べています。「当日配送が当たり前」の先に、「30分配送」の世界が近づいています。
日本のEC事業者が直面する3つの論点
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米国の動きは、日本のEC市場にも確実に波及します。消費者の期待値はグローバルに底上げされており、「翌日届くなら早い方」という感覚は過去のものになりつつあります。日本のEC事業者が今すぐ検討すべき論点を3つ整理します。
1つ目は「在庫配置の最適化」です。 当日配送を実現するには、商品を消費者の近くに置く必要があります。Amazonのリージョナルモデルのように、倉庫の立地戦略を「全国一拠点」から「地域分散型」に見直すことが出発点になります。すべての商品を分散させる必要はなく、売れ筋商品や日用品から段階的に進めるアプローチが現実的です。需要予測にAIを活用し、地域ごとの在庫量を最適化する仕組みも有効でしょう。
2つ目は「ラストワンマイルのコスト構造」です。 配送スピードを上げるほどラストワンマイル(最後の配送区間)のコストは上がります。日本では物流業界の「2024年問題」以降、ドライバー不足と配送コストの上昇が深刻化しています。自社配送網の構築、宅配ボックスやコンビニ受取の活用、あるいはダークストア(配送専用拠点)の検討など、コストと速度のバランスを取る戦略が求められます。
3つ目は「返品コストの見直し」です。 配送が速くなれば注文のハードルが下がり、結果として返品も増える傾向にあります。返品処理には物流コストだけでなく、検品・再出荷・在庫調整のコストが発生します。返品率をKPIとして管理し、商品ページの情報充実やサイズ表記の改善など、そもそもの返品を減らす取り組みと、返品が発生した際の処理を効率化する仕組みの両方を整えることが重要です。
まとめ

Amazonの当日配送70%増という数字は、EC物流における「速さ」が単なる付加価値から必須条件へと変わりつつある現実を映し出しています。日本のEC事業者にとっても、在庫配置・ラストワンマイル・返品コストの3つの課題に正面から向き合うことが、これからの競争力を左右するでしょう。
すでに国内でも大手ECプラットフォームが当日配送の対象エリアを拡大しており、中小EC事業者にとっては対応の遅れが顧客離れに直結するリスクが高まっています。まずは自社の物流体制の現状を棚卸しし、優先度の高い施策から着手することが第一歩です。
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