freeeとマネーフォワード クラウドのどちらを選ぶかで悩む会社は多いのですが、導入効果を左右するのはソフトの差以上に「そのソフトで月次を回せる税理士が伴走してくれるか」です。結論として、税理士選びは(1)対応範囲、(2)月次運用の設計力、(3)認定制度の実績の3つの軸で見比べることをおすすめします。
認定アドバイザーや公認メンバーといったベンダーの認定制度は有力な手がかりですが、それだけで決めるのは早計です。この記事では、認定制度の正しい読み方と、契約前の面談で確認しておきたいポイントを解説します。候補探しにはクラウド会計特集も参考になります。
税理士との契約は一度結ぶと数年単位の付き合いになるのが普通です。ソフトのプラン変更は後からでもできますが、税理士の変更には引き継ぎの負担が伴います。だからこそ、契約前の比較にこそ手間をかけるべきです。
ソフト選びと税理士選びはセットで進める
会計事務所には、freeeを主力にしている事務所、マネーフォワードを主力にしている事務所、従来型の会計ソフト中心の事務所があり、得意なソフトは事務所ごとにはっきり分かれます。先にソフトを契約してから対応できる税理士を探すと選択肢が狭まり、逆に税理士を先に決めるとソフトの選択肢が事務所の方針に縛られます。
現実的なのは、ソフトの候補を2つ程度に絞った段階で、両方に対応できる事務所か、どちらかを強く推す事務所かを面談で確かめながら並行して決める進め方です。導入後にソフトを乗り換えるコストは大きいため、最初の組み合わせ選びに時間をかける価値があります。
事務所がどちらかのソフトを強く推す場合は、その理由も聞いてみてください。自社の業種や取引の特徴を踏まえた提案なのか、単に事務所側の習熟しているソフトへ寄せたいだけなのかで、その事務所の姿勢が見えてきます。
確認軸1:どこまで対応してくれるのか(対応範囲)
同じ「クラウド会計対応」でも、事務所によって関わり方は大きく異なります。記帳を丸ごと引き受ける記帳代行型なのか、自社入力を前提に初期設定とチェックを支援する自計化支援型なのかで、社内に必要な体制も月額費用の意味も変わります。
また、会計だけでなく請求書、経費精算、給与計算、年末調整といった周辺サービスまで面倒を見てくれるかも重要です。freeeもマネーフォワードも会計以外のプロダクト群を持っているため、どこまでが税理士の守備範囲で、どこからが社労士や自社の担当になるのかを最初に線引きしておきましょう。
建設業の工事台帳、飲食・小売のレジ連携、EC事業のモール売上の取り込みなど、業種特有の処理があるなら、その経験の有無も対応範囲の一部として確認すべきです。一般論の設定はできても、業種の商流を知らないと勘定科目や補助科目の設計で苦労します。
確認軸2:月次運用をどう設計してくれるのか
クラウド会計の本来の価値は、月次の数字が早く締まり、経営判断に使えることです。そのためには、銀行・カード連携の同期ルール、証憑のアップロード担当、月次締めの目標日、試算表のレビュー方法を、税理士と共同で設計する必要があります。
面談では「御社の関与先では月次締めまで平均何日かかっていますか」「毎月のやり取りはどのツールで行いますか」と具体的に聞いてみてください。チャットで随時やり取りできるのか、月1回の訪問だけなのか、コミュニケーションの設計は導入後の満足度に直結します。
月次の数字をどう経営に返してくれるかも差が出るところです。試算表を送って終わりの事務所もあれば、資金繰りの見通しや部門別の傾向まで踏み込んでコメントしてくれる事務所もあります。自社が税理士に求めるのは記帳の正確さまでなのか、経営の相談相手までなのかを先に決めておくと、判断がぶれません。
認定アドバイザー・公認メンバー制度の見方
freeeには認定アドバイザー制度があり、freee税理士検索で地域や依頼内容から事務所を探せます。マネーフォワード クラウドにも公認メンバー制度があり、税理士・社労士の検索ページではランク別に事務所を絞り込めます。
これらのランクや認定は、導入・活用実績に加えて、有料の会員区分など制度への参加条件を含む指標です。操作に習熟している可能性を測る材料にはなりますが、業種理解や税務の提案力、顧問としての相性まで保証するものではありません。認定の有無で候補を絞り込み、最終判断は面談での質疑で行う、という使い分けが適切です。
検索サイトを使うときは、ランクの高さだけでなく、事務所の紹介文に自社と近い規模・業種の関与実績が書かれているか、対応エリアやオンライン対応の可否が自社の希望と合うかも見てください。上位ランクでも大企業中心の事務所より、自社と同規模の会社を多く見ている事務所のほうが話が早いことはよくあります。
料金と契約形態で確認しておきたいこと
月額顧問料に何が含まれるかは事務所ごとに差があります。初期設定や既存データの移行支援が顧問料に含まれるのか別料金か、記帳チェックの範囲、決算料や年末調整の扱いを、金額だけでなく作業の内訳で比較してください。
見落としがちなのが契約終了時の取り決めです。会計データのアカウントを事務所名義で契約していると、解約時のデータ引き継ぎで揉めることがあります。自社名義での契約が可能か、契約前に確認しておきましょう。
ソフトの利用料についても、事務所経由の契約だと割引が適用される場合と、自社で直接契約したほうが柔軟な場合があります。顧問料とソフト利用料を合算した総額で、複数の候補を同じ条件で見比べることが大切です。
面談で使える質問リスト
候補が2〜3事務所に絞れたら、同じ質問をぶつけて回答を比較するのが効率的です。次のリストをたたき台にしてください。回答の速さと具体性そのものが、その事務所の運用力を映します。
なお、当ポータルではクラウド会計を扱う事務所の公開情報を掲載していますが、料金や受付状況は変わるため、必ず各事務所の公式情報で最新の条件を確かめてください。比較の観点自体を整理したい方は相談先診断から始めると、聞くべきことが明確になります。
- ・freee・マネーフォワードそれぞれの関与実績は何社くらいありますか
- ・月次締めまでの平均日数と、当社での目標日数はどれくらいですか
- ・初期設定・データ移行はどちらが行い、費用はどうなりますか
- ・給与や経費精算など周辺プロダクトの設定も見てもらえますか
- ・契約終了時、会計データはどのように引き継がれますか
よくある質問
認定アドバイザーや公認メンバーの事務所なら安心ですか?
ソフトの操作・導入に習熟している可能性は高いといえますが、認定には導入実績だけでなく有料の会員区分など制度への参加条件も含まれます。自社の業種への理解や税務面の提案力は別問題なので、面談で具体的な運用イメージを確認してから決めてください。
freeeとマネーフォワードの両方に強い事務所はありますか?
両方の認定・登録を持つ事務所もありますが、実務では主力ソフトがどちらかに寄っていることが多いです。「両対応」と掲げていても、関与先の社数がどちらに多いかを聞くと実態が分かります。
今の顧問税理士を変えずにクラウド会計だけ導入できますか?
可能な場合もあります。顧問契約はそのままに、初期設定や移行だけ別の専門家へスポットで依頼する方法もあります。ただし月次運用は顧問税理士の協力が不可欠なので、まず現在の顧問に意向を確認するのが先です。
税理士に依頼せず自社だけで導入するのは無理がありますか?
小規模で取引がシンプルなら自社導入も不可能ではありません。ただし勘定科目の設計や消費税の設定を誤ると決算・申告時の修正負担が大きくなるため、少なくとも初期設定のレビューだけでも専門家に依頼する価値があります。
出典・公式情報
- ・freee税理士検索(freee認定アドバイザーの事務所検索)
- ・マネーフォワード クラウド 税理士・社労士検索(公認メンバーのランク別検索)
- ・マネーフォワード クラウド公認メンバー制度(公認メンバー制度・ランクの説明)
制度の要件・金額・期限は年度や公募回で変わります。最終更新日(2026-07-03)時点の公式情報に基づいて執筆していますが、申請・契約の前に必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。
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