GXO
セキュリティ

Windows 10サポート終了 企業の移行チェックリスト|ESU期限とWindows 11判断【2026】

28分で読める

QUICK CHECK

本文を読みながら、自社で進めるべきか、相談前に何を整理するかを確認できます。

5分で自社の状況を診断する

GXO COLUMN

セキュリティ

結論を先に:いま(2026年7月)経営が押さえるべき4点

Windows 10について、社内で「まだ猶予がある」という前提が残っているなら、まずそこを正す必要がある。事実関係を最初に整理する。

  • Windows 10の通常サポートは、すでに2025年10月14日に終了している。 これはMicrosoftのライフサイクル情報で確定した事実であり、以降は無償のセキュリティ更新・品質更新・技術サポートのいずれも提供されていない。「2026年10月に終わる」という理解は誤りで、正しくは「2025年10月に終わっており、いま延命期間の途中」である。
  • いま多くの企業を延命させているのは有償のESU(拡張セキュリティ更新プログラム)で、企業向けは最大3年、2028年10月まで購入できる。 ただし価格は1台あたり初年度61米ドル、翌年122米ドル、3年目244米ドルと毎年倍増する累積課金であり、延命は買えるが安くはない。
  • ESUはセキュリティ更新だけを届ける延命策であって、移行の代替ではない。 新機能も、非セキュリティの不具合修正も、一般的な技術サポートも含まれない。買えば買うほど翌年の費用が重くなり、しかも移行という宿題は消えない。
  • したがって2026年7月時点の正しい問いは「移行するかどうか」ではなく「どの端末を・いつ・どの順で移行し、その間だけESUで守る端末をどう最小化するか」である。 この記事は、その判断と実務の順序を、発注前に経営が失敗しないための視点で整理する。

本記事はコストや補助金の一覧ではなく、**「何を・いつまでに・どの順番で確認し、どこで失敗しやすいか」**に特化した企業向けの実務チェックリストだ。数字の裏取りはすべてMicrosoftの公式情報に当て、二次情報しかない箇所はその旨を明記した。


SECURITY OPERATION

日常の脆弱性運用、情シス1人で回せる体制にしませんか?

月次棚卸・重大度判定・パッチ適用代行まで含む「セキュリティ運用伴走」プラン。単発対応からの卒業で、止まらない運用体制を作ります。

運用プランを相談する

この記事を読むべき人

  • 社内にWindows 10端末が残っているが、正確な台数も対応可否も把握できていない経営者・事業責任者。
  • 情シスが兼任または不在で、「ESUを延長すればいい」と聞いてそのまま止まっている中小企業。
  • ベンダーから「全台買い替え」または「とりあえずESU」を提案され、それが妥当か判断できずにいる決裁者。
  • 取引先のサプライチェーン監査や、サイバー保険の更新でOSの更新状況を問われ、答えに詰まった管理部門。

逆に、すでに全端末の棚卸しが済み、Windows 11移行計画が動いていて進捗管理だけが課題という企業は、本記事の後半(失敗パターンとベンダーへの質問)だけ拾えばよい。


サポート終了後に何が起きるのか(誤解の解消から)

「動いているから大丈夫」は、EOL(End of Life=サポート終了)対応で最も高くつく判断だ。問題は端末が止まることではない。止まらないまま、守られていない状態が続くことにある。

セキュリティ更新の停止という一点に集約される

2025年10月14日以降、Windows 10(22H2)に対してMicrosoftは、緊急・重要を含むセキュリティ更新を無償では提供していない。新しく発見される脆弱性は原則として塞がれないまま残る。ESUに登録した端末だけが、有償で「緊急」「重要」の更新を受け取れる。つまり現在のWindows 10端末は、「ESU登録済み」か「無防備」かのどちらかであり、その中間はない。

ここで経営が確認すべきは技術の詳細ではなく、次の一点だ。自社のWindows 10端末は、いま一台残らずESUに登録されているか。登録されていない端末は、業務ネットワークのどこに、何台つながっているか。 これに即答できない場合、リスクの大きさすら測れていないことになる。

リスクは4方面に広がる(ただし断定は避けて整理する)

横にスクロールして確認できます

リスク領域具体的な影響企業が確認すべきこと
セキュリティ未修正の脆弱性が塞がれず、侵入・ランサムウェアの起点になりうるESU未登録端末の有無、外部接続経路
取引・監査大手取引先のサプライチェーン監査でOS更新状況が確認項目になる例が増えている(二次情報・業界動向)主要取引先の監査要件、回答できる棚卸し資料の有無
サイバー保険サポート終了OSの利用が免責・支払い減額の論点になる契約が見られる(二次情報・要約款確認)自社の保険約款、EOL資産の扱い
内部統制・法令個人情報を扱う端末の「安全管理措置」として更新状況が問われうる個人情報を扱う端末の特定と保護状態

上表のうち、取引先監査とサイバー保険の扱いは契約・運用によって差が大きく、一般化して断定できない。自社の取引基本契約と保険約款を実際に確認するのが唯一の答えであり、「他社も使っているから大丈夫」は根拠にならない。個人情報保護法上の課徴金制度などの将来的な制度変更については確定情報として本記事では断定せず、制度の最新状況は必ず一次情報で確認してほしい。

このセクションの要点:EOL対応の本質は「端末が動くか」ではなく「守られているか」。まず自社の端末が『ESU登録済み/無防備』のどちらかを台数ベースで即答できる状態を作ることが、すべての出発点になる。


FREE DOWNLOAD

中小企業のDX推進 5ステップガイド

多様な企業の導入実績から抽出した、失敗を防ぐDX推進の5つのステップを継続解説。

ESUの正確な条件(企業向け・個人向けを取り違えない)

ESUは延命の唯一の正規手段だが、条件を取り違えると「登録したつもりが対象外だった」という事故が起きる。ここはMicrosoftの公式情報に基づいて正確に押さえる。

企業向けESU(ボリュームライセンス/CSP経由)

横にスクロールして確認できます

項目内容(Microsoft公式)
対象OSWindows 10 バージョン22H2であること(それ以外は対象外)
提供期間サポート終了(2025年10月14日)の翌月=2025年11月開始、最大3年間(〜2028年10月)
価格(1台あたり)1年目 61米ドル/2年目 122米ドル/3年目 244米ドル(毎年倍増)
累積課金2年目から入る場合は1年目分もさかのぼって支払う必要がある(累積制)
最小購入1ライセンスから
含まれないもの新機能、要望ベースの非セキュリティ更新、設計変更、一般技術サポート
クラウド例外Windows 365/Azure Virtual Desktop等の対象サービス上のWindows 10仮想マシンは追加費用なしでESU相当を受けられる

3年間フルで延命すると1台あたり合計427米ドル(61+122+244)に達する。50台なら単純計算で2万米ドル超であり、しかもその間に移行という宿題は残ったままだ。ESUは「時間を買う」策であって「移行しなくてよくなる」策ではない。

個人向け(コンシューマー)ESUとの違い

個人向けESUは、①PC設定の同期(無料)、②Microsoft Rewards 1,000ポイント、③30米ドルの一回購入、のいずれかで登録でき、いずれも2027年10月12日まで保護される。ただし重要なのは次の制約だ。個人向けESUは商用シナリオでは使えない。Active Directoryドメイン参加端末やMDM(Intune等)管理下の端末は対象外である。「30ドルで済むらしい」という話を社内端末に当てはめると、対象外で更新が届かないまま無防備になる。企業は必ず企業向けの経路で登録する。

このセクションの要点:ESUは22H2が前提。企業は企業向け経路(ボリュームライセンス/CSP)で登録し、個人向けの安価な枠を業務端末に流用しない。費用は毎年倍増・累積なので、「ESUで先送り」は年を追うごとに不利になる設計だと理解する。


GXOの判断フレーム:ESUで延命する端末を「最小化」する

多くの企業は「全台すぐ買い替え」か「とりあえず全台ESU」の二択で考えて動けなくなる。正解はそのどちらでもなく、端末を4分類し、ESUで守る端末を戦略的に最小化することだ。この分類が移行計画の骨格になる。

横にスクロールして確認できます

分類端末の状態取るべき方針ESUの要否
A:即Win11移行可ハード要件を満たし、業務アプリも対応済み最優先で今すぐ移行不要
B:買い替えで移行ハード非対応だが業務は標準的計画的に新PCへ更新移行完了までの短期のみ
C:アプリ制約ありハードは対応でも基幹・業種アプリが未対応アプリ側の対応・代替を先に解決解決までの延命として妥当
D:隔離運用工場・計測器直結など更新困難な専用端末ネットワーク隔離+最小限の延命隔離前提で限定利用

この4分類で見ると、ESUに本当に費用を払う価値があるのは主にC(アプリ制約)とD(隔離運用)に限られる。AとBはESUに払うほど、翌年倍増する費用を無駄に積むことになる。「どの端末をESUで守るか」を先に決めず、全台一律でESUや買い替えを検討するのが、最初の判断ミスだ。まずこの分類表を自社の棚卸しに当てはめ、ESU対象を数台〜一桁に絞れないかを検討する。

自社のIT体制でこの分類と移行計画を自走できるか不安があるなら、着手前に自社のDX成熟度とIT体制を5分で診断して、社内でどこまで巻き取れて、どこを外部に頼るべきかの当たりを付けておくと、ベンダーとの会話が具体的になる。


棚卸しチェックリスト:計画の精度はここで決まる

移行計画の8割は棚卸しの質で決まる。台数だけ数えても意味がなく、「1台ごとにWin11対応可否と業務アプリまで紐づける」ことが目的だ。

棚卸しで1台ごとに記録する項目

横にスクロールして確認できます

項目記入例何のためか
管理番号/利用者PC-Eigyo-012/営業・田中移行スケジュール調整
OS・バージョンWindows 10 22H2ESU適格・移行対象の特定
メーカー・型番Dell Latitude 5520Win11対応判定
CPU・メモリCore i5-1145G7/16GBWin11要件・性能判定
TPM/セキュアブート2.0/有効Win11必須要件
ESU登録状況登録済/未登録無防備端末の即時把握
主要業務アプリ弥生会計・AutoCAD互換性確認の対象
ネットワーク接続社内LAN/外部直結ありリスクと隔離要否

台数が多い場合の一括取得

Active Directoryを使っているなら、PowerShellでOS情報を一括取得できる。

# AD参加PCのOS情報を一括取得
Get-ADComputer -Filter {OperatingSystem -like "*Windows 10*"} -Properties OperatingSystem, OperatingSystemVersion, LastLogonDate |
  Select-Object Name, OperatingSystem, OperatingSystemVersion, LastLogonDate |
  Export-Csv -Path "Win10_Inventory.csv" -NoTypeInformation -Encoding UTF8

AD未導入の企業は、IT資産管理ツール(SKYSEA/LanScope等)、Microsoft Intune、それも無ければExcelでの手動調査を組み合わせる。手動調査は漏れが出やすいため、「最後にログオンしたのはいつか」を必ず記録し、長期未使用端末を洗い出す。放置端末こそ無防備なまま接続され続けるからだ。

このセクションの要点:棚卸しのゴールは台数ではなく、A〜Dの4分類に振り分けられる粒度の一覧表。ESU登録状況とネットワーク接続を必ず含め、「無防備なまま外部につながっている端末」を最初に特定する。


Windows 11のハードウェア要件とTPMの確認

移行先はWindows 11が基本線になる。ここで最初に引っかかるのがハードウェア要件、とりわけTPM 2.0だ。

必須要件(Microsoft公式のシステム要件より)

横にスクロールして確認できます

要件最低ライン確認方法
CPU1GHz以上・2コア以上・64ビット・対応リスト内設定→システム→バージョン情報
メモリ4GB以上タスクマネージャー→パフォーマンス
ストレージ64GB以上エクスプローラー→PCのプロパティ
TPMバージョン2.0tpm.msc を実行
セキュアブート有効msinfo32→セキュアブートの状態

CPUの対応リストは要件の中でも見落とされやすく、スペック上は十分でも「対応CPU一覧に入っていない」ために非対応になる古い機種がある。メモリやストレージだけで判断しないことが重要だ。

TPM 2.0の一括確認

1台ずつtpm.mscを叩くのは非現実的なので、PowerShellで一括確認する。

# TPMバージョンの確認
Get-WmiObject -Namespace "root\CIMV2\Security\MicrosoftTpm" -Class Win32_Tpm |
  Select-Object SpecVersion

# セキュアブートの確認
Confirm-SecureBootUEFI

Microsoft公式の「PC正常性チェック」ツールもあるが、多数の端末を扱う企業ではスクリプトによる一括判定のほうが速い。購入時期の目安として、2020年以降の法人モデルはほぼ対応、2017年以前はほぼ非対応、2018〜2019年はTPM設定次第で分かれる。ただし世代だけで断定せず、必ず実機で確認する。

このセクションの要点:TPM 2.0とセキュアブート、そしてCPU対応リストの3点が関門。世代の目安は当たりを付けるためのもので、最終判定は棚卸しの実測値で行う。ここで「アップグレード可能な台数」と「買い替えが必要な台数」を確定させると、予算と発注リードタイムが読める。


非対応PCの対処:捨てる一択ではない

Win11非対応の端末は「全部買い替え」で思考停止しがちだが、用途によって最適解は変わる。**要件を満たさない端末にレジストリ改変でWindows 11を強制導入するのは、業務端末では推奨しない。**Microsoftがサポート対象外と明言しており、更新が届かなくなればサポート終了問題を別の形で再発させるだけだ。

横にスクロールして確認できます

対処法向いている用途注意点
新品PC購入一般事務・営業など大半の端末発注リードタイムを早めに確保
高性能PC購入CAD・動画編集など高負荷業務要件(GPU等)を業務側と確定
VDI/DaaS場所を選ばず使いたい・端末を軽くしたい通信品質とランニング費用
シンクライアント化受付・共有端末初期設計とネットワーク依存
隔離+短期ESU工場・計測器直結の専用端末隔離を前提に最小限の利用

コストの目安や補助金の使い方は端末構成で大きく変わるため、金額を単独で見て決めない。移行コストと補助金の整理は、別稿のWindows 10移行コストと補助金の整理にまとめている。補助金は要件を満たして初めて使えるものであり、「使える前提」で予算を組むと後で崩れる点に注意してほしい。

このセクションの要点:非対応端末は用途別に「買い替え/VDI/シンクライアント/隔離+短期ESU」を使い分ける。強制インストールは延命に見えて新たなEOLを作るだけなので選ばない。


業務アプリの互換性確認:移行が止まる最大の原因

「OSは移行できたが基幹システムが動かない」は、EOL移行で最も多い失敗だ。互換性確認はパイロット移行の段階で徹底する。

確認の3手順

  1. アプリ一覧の作成:各端末のインストール済みアプリを洗い出す。Get-WmiObject -Class Win32_Productなどで一覧化し、部門ごとに業務での重要度を付ける。
  2. ベンダーのWin11対応状況を確認:公式サイト・リリースノート・サポート窓口で、対応バージョンと必要なアップデートを確認する。「動くらしい」という現場の口伝ではなく、ベンダーの公式回答を根拠にする。
  3. 互換性テスト:起動終了、日常操作、印刷、他システム連携、処理速度、ライセンス有効性を実機で確認する。

とくに要注意のアプリ

横にスクロールして確認できます

カテゴリよくある問題
旧バージョンの会計・業務ソフト弥生会計(旧版)・各種奉行バージョンアップが前提
CAD・設計AutoCAD旧版・JW_CADドライバー・表示の不具合
業種特化システム電子カルテ・建設積算ベンダー対応待ちが長い
自社開発・Access資産VB6/VBA/.mdbそのままでは動かない可能性大
周辺機器依存特定スキャナー・計測器32ビットドライバー非対応

自社開発システムやAccess(.mdb)資産、業種特化ソフトは、OS移行と同じかそれ以上の工数がかかる別プロジェクトになりやすい。ここを軽く見ると、OS移行の直前で計画全体が止まる。該当する資産があるなら、移行の可否だけでなく「この機会に作り替えるか」を早めに検討テーブルに載せるべきだ。基幹システムの刷新は移行の期限と切り離して計画すると失敗しにくい。

このセクションの要点:互換性はパイロットで詰め切る。自社開発・Access・業種特化ソフトは「OS移行のついで」では終わらない別課題として、早期にベンダー確認と代替方針の決定に入る。


Active Directory・グループポリシー・Intuneの移行

AD/GPO(グループポリシー)を使っている企業は、OS入れ替えだけで終わらない。設定の引き継ぎと、この機会での見直しが必要だ。

横にスクロールして確認できます

確認項目対応の勘所
ドメインコントローラーのOSWindows Server 2016以降を推奨。旧世代は機能レベルの制約に注意
ADの機能レベル移行に合わせて引き上げを検討
Win11固有のGPOTPM/BitLocker/Windows Helloなど新規ポリシーの追加
コンピューターアカウント移行後の端末がドメインへ正常参加できるか
ユーザープロファイルローミングプロファイル利用時は移行テスト必須
Intune併用社外端末の管理・ポリシー配布をどこまでクラウドに寄せるか

ハイブリッドワークが常態化した企業では、オンプレADだけでは社外端末の管理が届かない。移行を機に、Intune併用やクラウド前提の管理方式へ棚卸しするのが望ましい。あわせて、端末の入れ替えはアクセス制御を見直す好機でもある。境界防御からの脱却を検討するなら、中小企業向けのゼロトラスト設計を参照し、OS移行と認証・権限設計を一体で計画するとムダがない。

このセクションの要点:AD/GPO移行は「入れ替えたら終わり」ではない。機能レベル、Win11固有ポリシー、Intune併用、そして認証・権限の見直しまでを一つの計画に束ねる。


GXOが現場で見る「EOL移行の失敗パターン」と回避策

ここからは、判断フレームだけでは避けきれない、実務で繰り返し起きる失敗を整理する。数字ではなく「どこで誰が判断を誤るか」で価値を出す。

横にスクロールして確認できます

失敗パターン起きる理由回避策
「ESUを延長すればいい」で止まる延命と移行の代替を混同ESUは対象端末を最小化する時間稼ぎと位置づけ、移行の期日を別に設定
棚卸しが台数どまりアプリ・接続・利用者を紐づけていない1台ごとにA〜D分類まで到達させる
全社一斉移行を狙う止められない業務があるのに一括で進めるパイロット部門→段階展開に切り替える
発注が遅れるハード非対応台数の確定が遅い棚卸し直後に発注、リードタイムを先に確保
互換性を移行後に発見パイロットで基幹アプリを試していないパイロットに基幹・業種アプリを必ず含める
個人向けESUを業務端末に流用企業向け/個人向けの制約を混同ドメイン・MDM端末は企業向け経路のみ
旧PCの廃棄でデータ漏えい消去手順とログを決めていない消去方式・証跡・委託先契約を事前に確定

とくに最初の「ESUで止まる」と最後の「廃棄時のデータ漏えい」は、経営が意識しないと現場だけでは防げない。ESUは翌年倍増する費用を払い続ける設計であり、放置は先送りではなく損失の累積になる。廃棄は移行の最後に必ず来る工程で、消去証跡がないと取引先監査で問題化する。

発注前にベンダーへ必ず聞くべきこと

ベンダー選定では「何台をいくらで」より先に、次の質問への回答の質で見極める。

  • 当社のWindows 10端末を、A〜Dのどの基準で分類し、ESU対象を何台まで絞れると考えるか。
  • 業務アプリの互換性確認は、どの範囲を・誰が・どの証跡で担保するか(ベンダー任せにしない範囲の明示)。
  • 移行中に業務を止めないための段階展開の設計と、切り戻し(ロールバック)手順はどうなっているか。
  • AD/GPO/Intuneの移行と、認証・権限の見直しを含むか、含まないか。
  • 旧PCの消去・廃棄の方式と証跡、委託先の管理はどうするか。

これらに具体的に答えられるベンダーは、EOL移行を「PCの入れ替え」ではなく「業務継続とセキュリティの再設計」として捉えている。逆に台数と金額の話しかしないベンダーは、互換性と廃棄でつまずくリスクが高い。EOL資産の棚卸しから脆弱性対応まで継続的に伴走してほしい場合は、EOL対応・脆弱性対応を含むセキュリティ顧問(リテイナー)のような、単発の入れ替えで終わらせない体制を検討する余地がある。


よくある質問(FAQ)

Q1. ESUを延長すればWindows 11に移行しなくてよいのでは?

**移行の代替にはならない。**企業向けESUは最大3年(2028年10月まで)だが、費用は1台あたり61→122→244米ドルと毎年倍増する累積課金で、しかもセキュリティ更新以外は何も含まれない。ESUは「移行を安全に間に合わせるための時間」を買う策であり、延命するほど翌年の負担が重くなる。ESU対象端末は戦略的に最小化するのが正しい使い方だ。

Q2. 「30ドルで延長できる」と聞いたが本当か?

それは個人(コンシューマー)向けESUの話で、業務端末には原則使えない。個人向けは30米ドル/Rewardsポイント/設定同期のいずれかで2027年10月12日まで延長できるが、Active Directoryドメイン参加端末やMDM管理端末は対象外だ。会社の端末は企業向けの経路(ボリュームライセンス/CSP)で登録する必要がある。

Q3. 要件を満たさないPCにWindows 11を強制インストールしてよいか?

**技術的には可能でも業務端末では推奨しない。**Microsoftはサポート対象外と明言しており、更新が受け取れなくなるリスクがある。目先の延命に見えて、新たなサポート切れ状態を自分で作り出すことになる。

Q4. 移行中に業務を止めないには?

**部門単位の段階移行が鉄則だ。**まずIT感度の高いパイロット部門で実施し、基幹・業種アプリまで含めて問題を洗い出してから他部門へ広げる。移行当日は午前に入れ替え、午後にアプリ動作確認とし、翌営業日から通常業務に戻せる設計にする。切り戻し手順も事前に決めておく。

Q5. macOSやChromeOSへの移行は選択肢か?

**業務アプリ次第だ。**Microsoft 365をブラウザ利用でき、業種特化ソフトがクラウド対応していればChromeOSは低コストの候補になる。ただし多くの中小企業が使う会計・CAD・業種特化システムはWindows専用で、全面移行は現実的でないことが多い。一部部門に限定して検討するのが妥当だ。

Q6. 何から手をつければいいか分からない。

**まずPC棚卸し用のシートを作り、各部門に配布することだ。**OS・型番・TPM・ESU登録状況・業務アプリ・ネットワーク接続を1台ごとに埋め、A〜Dの4分類に振り分ける。全体像が見えれば、買い替え台数・アップグレード台数・アプリの互換性リスク・ESUで守るべき最小の端末が同時に見えてくる。


GXOに相談すべきタイミング

次のいずれかに当てはまるなら、社内だけで抱え込まず、第三者の整理を入れる段階に来ている。

  • 自社のWindows 10端末がいま何台あり、そのうち何台がESU未登録(=無防備)か即答できない
  • ベンダーから「全台買い替え」または「とりあえず全台ESU」を提案されたが、それが妥当か判断できない
  • 自社開発システムやAccess資産、業種特化ソフトがあり、OS移行と一緒に作り替えるべきか迷っている
  • 取引先の監査やサイバー保険の更新でOSの更新状況を問われ、答えに詰まった
  • 情シスが兼任・不在で、棚卸しから移行計画までを自走できる体制がない

GXOでは、端末の棚卸しとA〜D分類、Windows 11移行計画、業務アプリの互換性確認、AD/GPO・Intuneの移行設計、そしてEOL資産を継続的に管理するセキュリティ運用まで、単発の入れ替えで終わらせない形で支援している。まず現状のDX成熟度とIT体制を無料で診断し、社内で巻き取れる範囲と外部に頼るべき範囲を切り分けるところから始めると、投資判断のブレを抑えられる。移行を機にアクセス制御や監視まで見直したい場合は、セキュリティ体制の再構築の観点で全体設計を検討してほしい。


まとめ:今日の最初の一歩

  • Windows 10の通常サポートは2025年10月14日に終了済み。いまは延命期間の途中であり、「2026年に終わる」という前提は誤り。
  • 企業向けESUは最大3年(2028年10月)だが費用は毎年倍増・累積。ESUは移行の代替ではなく、対象端末を最小化して守る時間稼ぎ
  • 判断の骨格は、端末をA(即移行)/B(買い替え)/C(アプリ制約)/D(隔離)に分けること。ESUに払う価値があるのは主にCとD。
  • 計画の精度は棚卸しの質で決まる。台数ではなく、1台ごとにWin11対応可否・業務アプリ・ESU登録状況・ネットワーク接続まで紐づける。
  • 失敗は「ESUで止まる」「棚卸しが台数どまり」「互換性を移行後に発見」「廃棄でデータ漏えい」に集中する。ベンダーには金額より先に分類・互換性・段階展開・廃棄証跡を問う。

今日できる最初の一歩は、棚卸し用シートを作って各部門へ配ることだ。見えれば、動ける。ESUで先送りするほど費用は重くなる。残りの時間を「無防備な端末をゼロにし、移行を計画的に終える」ために使ってほしい。


一次情報・出典

数値・期日はいずれも以下のMicrosoft公式情報で確認した(2026年7月時点)。制度や価格は改定されうるため、実行前に必ず最新の一次情報を確認してほしい。取引先監査・サイバー保険・法令の適用は各社の契約・約款・最新の制度状況によるため、本記事では断定を避けている。

GXO 経営IT判断レター

このテーマの重要更新と、発注前の判断チェックを受け取る

記事の通知ではなく、経営者・実務決裁者が次に確認すべき判断軸を月2回までに絞ってお送りします。登録後に業種・業態・頻度を変更できます。

GXO 経営IT判断レター

発注前の判断チェックを無料で受け取る

AI・DX・開発会社選びの失敗条件と、自社で使える診断・チェックリストを月2回まで配信します。営業電話はありません。

関連 HUB

この記事は以下の業種・悩み hub にも掲載されています。同じテーマの実務ナレッジと支援サービスをまとめてご覧いただけます。

お気軽にご相談ください

AI・DXに関するご質問やお見積もりなど

無料相談する

CONTACT

まずは 無料相談 から始めませんか。

サービスについてのご相談・ご質問などお気軽にお問い合わせください。
※ 営業電話はしません | オンライン対応可 | 相談だけでもOK