2026年10月13日――この日をもって、Windows 10のすべてのセキュリティ更新が完全に停止する。 MicrosoftはWindows 10の通常サポートを2025年10月14日に終了し、有償のESU(拡張セキュリティ更新プログラム)で最長1年間の延命措置を提供してきた。しかし、そのESUも2026年10月13日で終了する。MM総研の調査(2025年12月)によると、国内法人PCの約28%がまだWindows 10で稼働しており、残り半年での移行が急務となっている。本記事は、コスト・補助金の解説ではなく、残り6ヶ月で「何を・いつまでに・どの順番で」やるべきか に特化した実務チェックリストだ。
目次
- サポート終了後に起きること――放置のリスク
- 6ヶ月カウントダウンチェックリスト(月別)
- ステップ1:PC台数の棚卸し方法
- ステップ2:Windows 11ハードウェア要件の確認
- ステップ3:非対応PCの対処法
- ステップ4:業務アプリケーションの互換性確認
- ステップ5:Active Directory・グループポリシーの移行
- よくある質問(FAQ)
- まとめ:今日から動く
サポート終了後に起きること――放置のリスク
「動いているから大丈夫」は最も危険な判断だ。サポート終了後のWindows 10を使い続けることは、鍵のかからない玄関に貴重品を置いているのと同じ状態になる。
セキュリティパッチ停止の現実
サポート終了後、Microsoftは一切のセキュリティ更新プログラムを提供しない。2025年だけでもWindowsの重大な脆弱性(CVE)は月平均15件以上公開されており、パッチがなければこれらすべてが「開いたまま」になる。
| リスク | 具体的な影響 | 発生確率 |
|---|---|---|
| ゼロデイ攻撃 | 発見された脆弱性に対するパッチが永久に提供されない | 極めて高い |
| ランサムウェア | 未パッチの脆弱性経由で暗号化攻撃。復旧費用は平均2,386万円(トレンドマイクロ調査) | 高い |
| サイバー保険の免責 | サポート終了OSの使用が免責事由に該当する保険契約が増加 | 確実 |
| 取引先からの取引停止 | 大手企業のサプライチェーン監査でOS更新状況が確認項目に | 中〜高 |
| 個人情報保護法違反 | セキュリティ対策の不備が「安全管理措置義務」違反に該当する可能性 | 中 |
コンプライアンス上の問題
2026年秋に施行される改正個人情報保護法では、課徴金制度が導入される。サポート終了済みOSで個人情報を取り扱っていた場合、「安全管理措置」の不備として課徴金の対象となるリスクがある。詳細は個人情報保護法2026年改正チェックリストを参照してほしい。
セクションまとめ:サポート終了後のWindows 10は、セキュリティ・法令・取引・保険の4方面からリスクが発生する。「まだ動く」と「安全に使える」はまったく別の問題だ。
6ヶ月カウントダウンチェックリスト(月別)
2026年4月から10月までの月別アクションプランを示す。企業規模50台を想定しているが、台数に応じてスケジュールを調整してほしい。
4月:現状把握(棚卸し月間)
| # | タスク | 担当 | 完了基準 |
|---|---|---|---|
| 1 | 全PC台数の棚卸し(OS・バージョン・型番) | 情シス | 一覧表の完成 |
| 2 | Windows 11要件チェック(TPM 2.0/セキュアブート) | 情シス | 対応/非対応の分類完了 |
| 3 | 業務アプリケーション一覧の作成 | 各部門 | アプリ名・バージョン・用途の一覧化 |
| 4 | 移行予算の概算見積もり | 経営/情シス | 経営層への報告完了 |
5月:計画策定
| # | タスク | 担当 | 完了基準 |
|---|---|---|---|
| 5 | 業務アプリの互換性テスト開始 | 情シス/ベンダー | テスト計画書の作成 |
| 6 | PC調達の発注(非対応PC分) | 購買/情シス | 発注完了・納期確認 |
| 7 | 補助金申請の準備 | 管理部門 | 申請書類の作成着手 |
| 8 | データバックアップ計画の策定 | 情シス | バックアップ手順書の完成 |
6月:パイロット移行
| # | タスク | 担当 | 完了基準 |
|---|---|---|---|
| 9 | パイロット部門(5〜10台)でWindows 11移行実施 | 情シス | 移行完了・動作確認 |
| 10 | 互換性テストの完了と問題点リストアップ | 情シス/各部門 | 互換性レポートの完成 |
| 11 | 非互換アプリの代替手段の決定 | 情シス/業務部門 | 代替方針の確定 |
| 12 | Active Directory/グループポリシーの移行計画策定 | 情シス | 移行手順書の完成 |
7月〜8月:本格移行
| # | タスク | 担当 | 完了基準 |
|---|---|---|---|
| 13 | 全社への移行スケジュール通知 | 情シス/総務 | 全社員への周知完了 |
| 14 | 部門単位での順次移行(週10〜15台ペース) | 情シス | 進捗80%以上 |
| 15 | データ移行とバックアップの実施 | 情シス | 各PCのデータ移行完了 |
| 16 | ユーザー向け操作研修の実施 | 情シス/HR | 全対象者の研修完了 |
9月:残件対応・検証
| # | タスク | 担当 | 完了基準 |
|---|---|---|---|
| 17 | 移行漏れPCの洗い出しと対応 | 情シス | 未移行PC 0台 |
| 18 | 全PCの動作確認テスト | 情シス/各部門 | 全台の正常動作確認 |
| 19 | Active Directory/GPOの最終確認 | 情シス | ポリシー適用の検証完了 |
| 20 | 旧PCのデータ消去・廃棄手配 | 情シス/総務 | 廃棄業者との契約完了 |
10月(〜13日):最終確認
| # | タスク | 担当 | 完了基準 |
|---|---|---|---|
| 21 | 移行完了報告書の作成 | 情シス | 経営層への最終報告 |
| 22 | セキュリティポリシーの更新 | 情シス/管理 | 新OS環境のポリシー反映 |
| 23 | 残存Windows 10の遮断措置 | 情シス | ネットワーク接続不可設定 |
ステップ1:PC台数の棚卸し方法
移行計画の出発点は、自社にWindows 10が何台あるかを正確に把握することだ。
Active Directory環境がある場合
Active Directory(AD)を使用している企業では、PowerShellコマンドで一括取得できる。
Active Directory環境がない場合
AD未導入の中小企業では、以下の方法を組み合わせる。
| 方法 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| IT資産管理ツール(SKYSEA/LanScope等) | 自動収集・正確 | ツール導入コストがかかる |
| WSUS(Windows Server Update Services) | パッチ管理と兼用 | WSUS自体の運用が必要 |
| Excelによる手動調査 | コストゼロ | 漏れが発生しやすい・手間がかかる |
| Microsoft Intune | クラウド管理・リモート対応 | ライセンス費用が発生 |
棚卸しで記録すべき項目
| 項目 | 記入例 | 用途 |
|---|---|---|
| PC名/管理番号 | PC-Sales-012 | 識別 |
| OS/バージョン | Windows 10 22H2 | 移行対象の特定 |
| PCメーカー・型番 | Dell Latitude 5520 | Win11対応判定 |
| CPU | Intel Core i5-1145G7 | Win11要件チェック |
| メモリ | 16GB | 性能判定 |
| TPM バージョン | 2.0 | Win11必須要件 |
| セキュアブート | 有効 | Win11必須要件 |
| 使用部門/担当者 | 営業部・田中 | 移行スケジュール調整 |
| 主要業務アプリ | 弥生会計/AutoCAD | 互換性確認対象 |
ステップ2:Windows 11ハードウェア要件の確認
Windows 11の必須要件
| 要件 | 最低スペック | 確認方法 |
|---|---|---|
| CPU | 1GHz以上、2コア以上、64ビット対応 | 設定 → システム → バージョン情報 |
| メモリ | 4GB以上 | タスクマネージャー → パフォーマンス |
| ストレージ | 64GB以上 | エクスプローラー → PCのプロパティ |
| TPM | バージョン2.0 | tpm.msc を実行 |
| セキュアブート | 有効 | msinfo32 → セキュアブートの状態 |
| ディスプレイ | 9インチ以上、720p | 設定 → システム → ディスプレイ |
| DirectX | バージョン12以上 | dxdiag を実行 |
TPM 2.0の確認手順
TPM(Trusted Platform Module)2.0は、Windows 11で最も引っかかりやすい要件だ。
- Windowsキー + R → 「tpm.msc」と入力しEnter
- 「TPM管理」画面で「TPM製造元情報」の「仕様バージョン」を確認
- 「2.0」と表示されればOK。「1.2」または「互換するTPMが見つかりません」の場合は非対応
PC世代別の対応目安
| 購入時期 | Win11対応の可能性 | 推奨対応 |
|---|---|---|
| 2020年以降 | ほぼ対応 | アップグレード |
| 2018〜2019年 | 一部対応(TPM確認必要) | 個別確認 |
| 2017年以前 | ほぼ非対応 | PC買い替え |
一括確認の方法
PCが多い場合、1台ずつ確認するのは非現実的だ。PowerShellスクリプトで一括確認する。
Microsoft公式の「PC正常性チェック」ツールを全PCに展開する方法もある。ただし、台数が多い場合はスクリプトによる一括チェックのほうが効率的だ。
セクションまとめ:TPM 2.0とセキュアブートの2つが最大の関門。2018年以前のPCはほぼ非対応のため、早期に「アップグレード」と「買い替え」の台数を確定させることが計画精度を左右する。
ステップ3:非対応PCの対処法
Windows 11の要件を満たさないPCは、以下の選択肢を検討する。
選択肢の比較
| 対処法 | コスト(1台) | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| 新品PC購入 | 8万〜15万円 | 最新ハードウェア・保証あり | コストが高い |
| リファービッシュPC | 3万〜6万円 | コスト抑制 | 保証期間が短い・性能に限界 |
| シンクライアント化 | 5万〜8万円/台+月額 | 端末管理が簡素化 | ネットワーク依存・初期設計が必要 |
| VDI(仮想デスクトップ) | 月額3,000〜8,000円/台 | 場所を問わず利用可能 | 通信環境に依存 |
| Linux移行 | 0円(OS費用) | コストゼロ | 業務アプリの互換性に制約大 |
推奨:用途別の対処
| PCの用途 | 推奨対処 |
|---|---|
| 一般事務(Office/ブラウザ中心) | 新品PC購入(8万円台で十分) |
| CAD/動画編集など高負荷作業 | 高性能新品PC購入(15万〜25万円) |
| 受付・共有端末 | リファービッシュPC or シンクライアント |
| 倉庫・工場の専用端末 | ネットワーク隔離+ESU延長(暫定措置) |
コスト削減のヒント
補助金を活用すれば、PC購入費用の1/2〜2/3を圧縮できる。詳しくはWindows 10移行コストと補助金ガイド、および中小企業向け補助金実務ガイド2026年版を参照してほしい。
セクションまとめ:非対応PCは「捨てる」一択ではない。用途に応じてVDI・シンクライアント・リファービッシュを使い分けることで、コストと業務継続のバランスを取れる。
ステップ4:業務アプリケーションの互換性確認
移行時に最も多くのトラブルを引き起こすのが、業務アプリケーションの互換性問題だ。「OSは移行できたが、基幹システムが動かない」では本末転倒になる。
互換性確認の手順
手順1:アプリケーション一覧の作成
各PCにインストールされているアプリを洗い出す。
手順2:ベンダーのWindows 11対応状況を確認
| 確認先 | 確認方法 |
|---|---|
| ベンダー公式サイト | 「製品名 Windows 11 対応」で検索 |
| サポート窓口 | 対応バージョンと必要なアップデートを確認 |
| リリースノート | Windows 11対応アップデートが提供されているか |
| ユーザーコミュニティ | 実際の動作報告(公式未対応でも動作する場合あり) |
手順3:互換性テストの実施
| テスト項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 起動・終了 | 正常に起動・終了するか |
| 基本操作 | 日常業務の操作が問題なく行えるか |
| 印刷 | プリンター出力が正常か |
| データ連携 | 他システムとのデータ連携が正常か |
| パフォーマンス | 処理速度に問題がないか |
| ライセンス | Windows 11環境でライセンスが有効か |
要注意アプリケーションの例
| カテゴリ | 具体例 | よくある問題 |
|---|---|---|
| 会計ソフト(旧バージョン) | 弥生会計(2020以前)、勘定奉行 | バージョンアップが必要 |
| CAD/設計ソフト | AutoCAD旧バージョン、JW_CAD | ドライバー/表示の問題 |
| 業種特化ソフト | 医療系電子カルテ、建設積算ソフト | ベンダー対応待ちが多い |
| 自社開発システム | VB6/VBA/Access(.mdb) | 動作しない可能性大 |
| 古いドライバー依存 | 特定のスキャナー・計測器 | 32ビットドライバー非対応 |
セクションまとめ:互換性確認は「パイロット移行」の段階で徹底的に行う。特に自社開発システム・業種特化ソフト・旧バージョンの会計ソフトは要注意。ベンダーへの確認は早ければ早いほどよい。
ステップ5:Active Directory・グループポリシーの移行
Active Directory(AD)とグループポリシー(GPO)を利用している企業は、OS移行に伴う設定の引き継ぎと調整が不可欠だ。
AD環境の移行チェックリスト
| # | 確認項目 | 対応内容 |
|---|---|---|
| 1 | ドメインコントローラーのOS | Windows Server 2016以降を推奨。2012 R2以前は機能レベルの制約あり |
| 2 | ADの機能レベル | Windows Server 2016以上に引き上げ推奨 |
| 3 | GPOの互換性確認 | Windows 11固有のポリシー(TPM/BitLocker/Windows Hello)の追加 |
| 4 | コンピューターアカウント | 移行後のPCがドメインに正常参加できるか |
| 5 | ユーザープロファイル | ローミングプロファイル使用時は移行テストが必要 |
| 6 | ログオンスクリプト | Windows 11環境での動作確認 |
グループポリシーの更新ポイント
Windows 11では、新しいグループポリシー項目が追加されている。移行を機に以下の設定を見直す。
| 設定カテゴリ | 推奨設定 |
|---|---|
| BitLocker | TPM 2.0を利用した自動暗号化を有効化 |
| Windows Hello for Business | PIN/生体認証によるパスワードレス認証を推進 |
| Windows Update for Business | 更新リングの設定(パイロット→全社の段階展開) |
| Microsoft Defender | クラウド保護・自動サンプル送信の有効化 |
| Edge/Chrome管理 | ブラウザポリシーの統一 |
Intune併用の検討
AD環境にMicrosoft Intuneを併用すると、リモートPCの管理やポリシー配布が容易になる。特にハイブリッドワーク環境では、ADオンプレミスだけでは管理が行き届かないケースがある。
| 管理方式 | メリット | 適する企業 |
|---|---|---|
| AD単体 | 既存環境を活用・追加コストなし | 全社員が出社するオフィス型 |
| AD + Intune(ハイブリッド) | 社内外どちらからでも管理可能 | リモートワーク併用企業 |
| Intune単体(クラウドAD) | オンプレミスサーバー不要 | 新規構築・小規模企業 |
セクションまとめ:AD/GPOの移行は「OSを入れ替えれば終わり」ではない。ドメインコントローラーの機能レベル、GPOの新規追加、Intune併用の検討まで含めた計画が必要だ。
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GXOでは、PC棚卸しからWindows 11移行計画の策定、業務アプリの互換性テスト、AD/GPOの移行設計まで一貫して支援しています。残り6ヶ月、まずは現状把握から始めませんか。
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よくある質問(FAQ)
Q1. ESU(拡張セキュリティ更新)をもう1年延長できないか?
2026年10月13日が最終期限であり、これ以上の延長は発表されていない。 MicrosoftはESUを最長3年間(2028年まで)提供する方針をWindows 7では取ったが、Windows 10のESUは現時点で1年間のみの提供とされている。ESUはあくまで「移行のための猶予期間」であり、恒久的な解決策ではない。
Q2. Windows 11の要件を満たさないPCに無理やりインストールできるか?
技術的には可能だが、業務用途では推奨しない。 レジストリ編集でTPMチェックをバイパスする方法が知られているが、Microsoftは「サポート対象外」と明言しており、Windows Updateが受け取れなくなるリスクがある。業務用PCでこの方法を使うのは、サポート終了問題を別の形で再現するだけだ。
Q3. 移行にかかる費用はどのくらいか?
費用の詳細はWindows 10移行コストと補助金ガイドで解説している。概算として、50台規模でアップグレード+一部買い替えの場合、240万〜470万円が目安だ。補助金を活用すれば実質負担を半減できる場合がある。
Q4. 移行中に業務を止めないためにはどうすればよいか?
部門単位の段階的移行が鉄則だ。 全社一斉移行はリスクが高すぎる。まずパイロット部門(情シスまたはIT リテラシーの高い部門)で実施し、問題を洗い出してから他部門に展開する。移行当日は午前中にOS移行→午後にアプリ動作確認というスケジュールで、翌営業日から通常業務に復帰できるよう計画する。
Q5. macOSやChromeOSへの移行は選択肢になるか?
業務アプリの互換性次第だ。 Microsoft 365をブラウザで使用し、業種特化ソフトがクラウド対応しているならChromeOSは低コストの選択肢になる。ただし、多くの中小企業で使われている会計ソフト・CAD・業種特化システムはWindows専用のため、完全なmacOS/ChromeOS移行は現実的でないケースが多い。
まとめ:今日から動く
Windows 10の完全なサポート終了まで残り約6ヶ月。やるべきことは明確だ。
| 優先度 | アクション | 目安期限 |
|---|---|---|
| 最優先 | PC台数の棚卸し(OS/TPM/業務アプリ) | 4月中 |
| 高 | Win11対応/非対応の分類と移行方針決定 | 5月上旬 |
| 高 | 業務アプリの互換性テスト開始 | 5月中 |
| 中 | パイロット部門での移行実施 | 6月 |
| 中 | 本格移行(全社展開) | 7〜8月 |
| 通常 | 残件対応・最終確認 | 9〜10月 |
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追加の一次情報・確認観点
この記事の内容を社内で検討する場合は、一般論だけで判断せず、次の一次情報と自社データを照合してください。特に、稟議・RFP・ベンダー選定では「何を実装するか」よりも「どのリスクをどの水準まで下げるか」を先に決めると、見積もり比較のブレを抑えられます。
| 確認領域 | 参照先 | 自社で確認すること |
|---|---|---|
| デジタル調達 | デジタル庁 | 要件定義、調達、プロジェクト管理の標準観点を確認する |
| Webアプリ品質 | OWASP ASVS | 認証、認可、入力検証、ログ、セッション管理を確認する |
| DX推進 | 経済産業省 DX | レガシー刷新、経営課題、IT投資判断の前提を確認する |
| DX推進 | IPA デジタル基盤センター | DX推進指標、IT人材、デジタル基盤の観点で現状を確認する |
| 個人情報 | 個人情報保護委員会 | 個人情報・委託先管理・利用目的・安全管理措置を確認する |
稟議・RFPで使う数値設計
投資判断では、導入前後で測れる指標を3から5個に絞ります。下表のように、現状値・目標値・測定方法・責任者をセットにしておくと、PoC後に本番化するかどうかを判断しやすくなります。
| 指標 | 現状確認 | 目標の置き方 | 失敗しやすい例 |
|---|---|---|---|
| 対象業務数 | 現状の対象業務を棚卸し | 初期は1から3業務に限定 | 対象を広げすぎて要件が固まらない |
| 月間処理件数 | 件数、担当者、例外率を確認 | 上位20%の高頻度業務から改善 | 件数が少ない業務を先に自動化する |
| 例外対応率 | 手戻り、確認待ち、属人判断を計測 | 例外の分類と承認ルールを定義 | 例外をAIやシステムだけで吸収しようとする |
| 追加要件率 | 過去案件の変更件数を確認 | 要件凍結ラインを設定 | 見積後に仕様が増え続ける |
| 障害・手戻り件数 | 問い合わせ、障害、改修履歴を確認 | 受入基準とテスト観点を定義 | テストをベンダー任せにする |
よくある失敗と回避策
| 失敗パターン | 起きる理由 | 回避策 |
|---|---|---|
| 目的が曖昧なままツール選定に入る | 比較軸が価格や機能数に寄る | 経営課題、業務課題、測定KPIを先に固定する |
| 現場確認が不足する | 例外処理や非公式運用が見落とされる | 担当者ヒアリングと実データ確認を必ず行う |
| 運用責任者が決まっていない | 導入後の改善が止まる | 業務側とIT側の責任分界をRACIで定義する |
| RFPが抽象的で見積が比較できない | 業務フロー、データ、非機能要件が不足 | 見積前に要件定義と受入条件を固める |
GXOに相談する前に整理しておく情報
初回相談では、次の情報があると診断と提案の精度が上がります。すべて揃っていなくても問題ありませんが、分かる範囲で用意しておくと、概算費用・期間・体制の見立てを早く出せます。
- 対象業務の現行フロー、利用中システム、Excel・紙・チャット運用の一覧
- 月間件数、担当人数、手戻り件数、確認待ち時間などの概算
- 個人情報、機密情報、外部委託、権限管理に関する制約
- 希望開始時期、予算レンジ、社内承認者、決裁までの流れ
- 既存システム構成、画面・帳票・データ項目、外部連携、現行ベンダー契約
GXOでは、現状整理、要件定義、RFP作成、ベンダー比較、PoC設計、本番移行計画まで一気通貫で支援できます。記事の内容を自社に当てはめたい場合は、まずは現在の課題と制約を共有してください。