個人情報保護法2026年改正|中小企業の対応チェックリスト
2026年の通常国会に提出が予定されている改正個人情報保護法では、課徴金制度の導入という大きな変更が盛り込まれています。本記事のポイントは次の3点です。
課徴金制度が新設される:違反行為で得た経済的利益の没収が可能に
中小企業も確実に対象:従業員数や情報件数に関わらず、すべての事業者に適用
今やるべき対応は5つ:棚卸し、規程整備、漏えい対応、安全管理、教育
「うちは小さい会社だから関係ない」と考えていると、改正施行後に痛い目に遭う可能性があります。本記事では、改正の主要なポイントと、中小企業が今から準備すべき対応チェックリストをお伝えします。
なぜ今、個人情報保護法の改正対応が必要なのか

個人情報保護法は、2015年の法改正により「3年ごとの見直し規定」が設けられました。直近では2022年4月に改正法が施行され、漏えい時の報告義務化や罰則強化が行われています。そして今回の令和8年改正では、これまでにない大きな変更として課徴金制度の導入が検討されています。
個人情報保護委員会は2026年1月9日に「制度改正方針」を公表し、同年の通常国会への法案提出を目指す方針を明確にしました。前回の2020年改正のスケジュールを参考にすると、2026年5月から6月頃に法案が成立し、成立から1〜2年後に施行される見込みです。
中小企業にとって重要なのは、この改正が「大企業だけの問題」ではないという点です。現行法では、取り扱う個人情報の件数に関わらず、すべての事業者が個人情報取扱事業者としての義務を負います。顧客名簿や従業員情報を持つ限り、従業員数名の企業であっても法律の適用対象となります。
2026年改正の4つの柱と注目ポイント
今回の改正方針では、4つの柱が示されています。それぞれの内容と中小企業への影響を解説します。
第1の柱「適正なデータ利活用の推進」
改正方針では、本人同意の規律について見直しが行われます。統計情報の作成やAI開発において、一定の条件下で本人同意を不要とする「統計特例」の導入が検討されています。これは規制の緩和にあたる部分であり、データ利活用を促進する狙いがあります。
ただし、統計特例を利用する場合は、提供元と提供先の合意内容や統計作成の目的を公表する義務が課される見込みです。この義務に違反した場合は、後述する課徴金制度の対象となるため、安易な利用は避けるべきでしょう。
第2の柱「リスクに適切に対応した規律」
16歳未満の子どもの個人情報や、顔特徴データなどについて、規律が強化されます。特に顔認証データについては、事業者名や利用目的の周知義務が課され、オプトアウト制度による第三者提供が禁止される方向です。
店舗の防犯カメラや入退室管理で顔認証システムを導入している企業は、どのデータが「顔特徴データ」に該当するかを整理し、周知方法や委託先・提供先の管理体制を見直す必要があります。
第3の柱「不適正利用等の防止」
違法行為や不当な差別的取扱いにつながる個人情報の提供・利用が、より厳しく規制されます。詐欺行為等による個人情報の不正取得に対する罰則も新設される見込みです。
第4の柱「規律遵守の実効性確保のための規律」
この柱に含まれる課徴金制度の導入が、今回の改正で最も注目されています。現行法では、個人情報保護法違反に対する金銭的制裁は刑事罰としての罰金のみでした。改正後は、行政上の制裁として課徴金が課されることになります。
課徴金の対象となるのは、1,000人を超える本人に影響を与える大規模な違反行為で、事業者が相当の注意を怠った場合です。課徴金額は、違反行為によって得た財産的利益に相当する額とされています。
課徴金制度の対象となる5つの違反行為
課徴金納付命令の対象となる違反行為は、以下の5類型に限定されています。
1つ目は、違法行為や差別的取扱いを行うことが想定される第三者への個人情報提供です。2つ目は、第三者の求めに応じて行う個人情報の不適正利用です。3つ目は、詐欺行為等による個人情報の不正取得とその利用です。4つ目は、本人同意なく個人データを第三者に提供する行為です。5つ目は、統計特例に係る義務への違反です。
重要なのは、安全管理措置の不備や過失による情報漏えいは、課徴金制度の対象外とされている点です。ただし、これは「漏えいしても問題ない」という意味ではありません。漏えい時の報告義務や本人通知義務は継続しており、レピュテーションリスクも大きいことを忘れてはなりません。
中小企業が今すぐ着手すべき5つの対応

改正法の施行に備えて、中小企業が今から取り組むべき対応を5つにまとめました。
1. 自社が保有する個人情報の棚卸し
まずは、自社でどのような個人情報を保有しているかを把握することが第一歩です。顧客名簿、従業員情報、採用応募者の履歴書、取引先の担当者情報など、意外と多くの個人情報を取り扱っているものです。それぞれの情報について、取得目的・保管場所・アクセス権限者・廃棄ルールを整理してください。
2. プライバシーポリシーの見直し
個人情報の利用目的を、本人が予測・想定できる程度に具体的に記載しているか確認しましょう。「事業活動に利用するため」といった曖昧な記載では不十分です。また、安全管理措置の内容を公表することが義務化されていますので、どのような対策を講じているか記載を追加してください。
3. 漏えい発生時の対応フローの整備
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個人情報の漏えい等が発生した場合、個人情報保護委員会への報告は速報が3〜5日以内、確報が30日以内(不正アクセスの場合は60日以内)と定められています。いざという時に慌てないよう、報告担当者・報告手順・本人通知の方法を事前に決めておくことが重要です。
4. 安全管理措置の実施状況の点検
個人情報保護法のガイドラインでは、中小規模事業者向けに緩和された安全管理措置の例が示されています。具体的には、OSやウイルス対策ソフトの最新化、個人データを含むファイルへのパスワード設定、アクセス権限を持つ従業者の明確化、機器の盗難防止策などです。これらが実施できているか点検し、不足があれば対策を講じましょう。
5. 従業員教育の実施
個人情報の漏えい原因で最も多いのは、メール誤送信や宛名間違いなどの人的ミスです。技術的な対策だけでなく、従業員一人ひとりの意識向上が不可欠です。個人情報の取扱いルールを明文化し、定期的な研修を実施することで、うっかりミスによる漏えいリスクを低減できます。
改正対応チェックリスト|自社の対応状況を確認しよう
以下のチェックリストを活用して、自社の対応状況を確認してください。チェックが付かない項目が3つ以上ある場合は、専門家への相談をおすすめします。
個人情報の棚卸し
保有する個人情報の種類と件数を把握している
取得目的・保管場所・アクセス権限者が明確になっている
不要な個人情報を適切に廃棄している
規程・体制
プライバシーポリシーを策定・公表している
利用目的を具体的に記載している
安全管理措置の内容を公表している
個人情報保護の責任者を定めている
漏えい対応
漏えい発生時の報告担当者が決まっている
個人情報保護委員会への報告手順を整備している
本人への通知方法を定めている
技術的対策
OSやソフトウェアを最新の状態に保っている
ウイルス対策ソフトを導入・更新している
個人データを含むファイルにパスワードを設定している
アクセス権限を必要な従業者に限定している
従業員教育
個人情報の取扱いルールを明文化している
定期的に研修・教育を実施している
委託先やパート・アルバイトも含めて周知している
なぜ専門家の支援が必要なのか
個人情報保護法の改正対応は、法務・情報システム・業務フローなど複数の領域にまたがる複雑な取り組みです。法律の解釈は法務の知見が必要であり、安全管理措置の実装にはIT技術の理解が求められます。さらに、現場の業務フローに落とし込むには各部門との調整が不可欠です。
これらを社内の限られたリソースで対応しようとすると、「法律の解釈が正しいか確信が持てない」「技術的対策の優先順位がわからない」「現場に浸透させる余力がない」といった課題に直面しがちです。特に、法務やITの専門人材がいない中小企業では、自社判断だけで万全の対応を行うことは現実的に難しいといえます。
GXOでは、180社以上の中小・中堅企業に対してセキュリティ体制の構築支援やコンプライアンス対応の支援を行ってきました。個人情報保護法の改正対応についても、現状診断から規程整備、システム対策、従業員教育まで一気通貫でサポートしています。
「何から手をつければいいかわからない」「自社の対応状況を客観的に評価してほしい」という方は、まずは無料相談をご活用ください。改正法の施行前に余裕を持って対応を進めることで、法令違反のリスクを最小化し、顧客や取引先からの信頼を守ることができます。
まとめ
2026年の個人情報保護法改正では、課徴金制度の導入を中心に罰則が強化される見込みです。中小企業であっても対応は必須であり、今から準備を始めることが重要です。まずは自社の個人情報の棚卸しから着手し、プライバシーポリシーの見直し、漏えい対応フローの整備、安全管理措置の点検、従業員教育を計画的に進めてください。
自社だけでの対応が難しい場合は、専門家の支援を活用することも有効な選択肢です。GXOでは、個人情報保護法改正への対応を含むセキュリティ・コンプライアンス支援を提供しています。詳しくは下記よりお問い合わせください。
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