ものづくり補助金の第 23 次公募が 2026 年 2 月 6 日に始まり、電子申請の受付は 4 月 3 日から開始されている。正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」。製造業だけでなく、商業・サービス業も対象だ。

23 次の動向と並行して、すでに一部の支援機関では 次回 19 次募集(2026 年下半期想定) に向けた事前準備が始まっている。本記事では、23 次の振り返りと 19 次に向けた最新トピック(採択率推移・AI 加点要件・事業化計画書詳細・賃上げ要件強化)を 1 本に集約した。


目次

  1. 第 23 次公募の概要と最新変更点
  2. 次回 19 次募集(2026 年下半期想定)に向けた事前準備
  3. 採択率推移:第 16 次〜第 23 次の動向
  4. AI 加点要件の整理(2026 年版)
  5. 補助上限額と補助率(枠別早見表)
  6. 落ちる申請書の共通点
  7. 採択される申請書 5 つの鉄則
  8. 事業化計画書の詳細フォーマット(章立て・分量・必須要素)
  9. 賃上げ要件強化への対応
  10. 申請までのスケジュール(逆算カレンダー)
  11. 省力化投資補助金との使い分け
  12. よくある質問(FAQ)
  13. まとめ

1. 第 23 次公募の概要と最新変更点

第 23 次の基本情報

項目内容
公募名ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 第 23 次公募
公募開始2026 年 2 月 6 日
電子申請受付開始2026 年 4 月 3 日
公募締切公式サイトで要確認(2026 年度版要項参照)
直近採択率(第 21 次)約 34.8%
補助上限(一般型)750〜1,250 万円(従業員規模で変動)
補助上限(グローバル展開型)3,000 万円

第 23 次の最重要変更点:賃上げ目標の引き上げ

ものづくり補助金は「事業計画期間内に給与支給総額を年率平均一定以上引き上げる」ことを求めている。第 23 次では、この水準が従来より引き上げられた。事業計画を書く段階で、自社の人件費の推移と今後の昇給見通しを数字で確認しておく必要がある。

「なんとなく賃上げする予定」では審査を通過できないし、採択後 3〜5 年の効果報告で未達となれば補助金返納のリスクがある。


2. 次回 19 次募集(2026 年下半期想定)に向けた事前準備

中小企業庁・中小機構の過去公募スケジュールを基にすると、第 23 次の次回公募(暫定的に「19 次」と呼称される枠を含む 2026 年下半期の追加募集)は、夏〜秋にかけて公告される可能性がある。確定情報は 2026 年下半期版の公募要領 で必ず確認していただきたい。

19 次に向けて、今から準備しておくべき 5 項目

  1. gBizID プライムの取得:未取得の場合、2〜3 週間かかる。19 次公募開始までに必ず取得
  2. 認定支援機関の選定:顧問税理士が認定支援機関であるかを確認、未認定なら他機関を併用
  3. 直近 3 期分の決算書整備:人件費推移・付加価値額の計算に必要
  4. 設備仕様書のドラフト:メーカー・型番・スペック・価格・納期
  5. 事業化計画の骨子:5 ヶ年の売上・利益・付加価値額・人員計画

23 次が不採択だった場合の 19 次再挑戦準備

不採択通知後、再挑戦するなら以下の検証を行う:

  • 不採択理由(開示されないが、申請内容を支援機関に再レビュー依頼)
  • 事業計画書の弱点特定
  • 申請枠の見直し(一般型 / グローバル展開型 / 省力化枠)
  • 設備見積の再取得(19 次公募までに価格変動の可能性)

3. 採択率推移:第 16 次〜第 23 次の動向

直近数回の採択率推移は、19 次以降の競争環境を予測する重要指標になる。

公募回採択率(公表値の概況)備考
第 16 次約 50.4%採択率が比較的高めだった回
第 17 次約 49.9%同水準で推移
第 18 次約 47.5%緩やかに低下
第 19 次(旧)約 41.4%申請数増加で低下
第 20 次約 39.0%4 割を下回る
第 21 次約 34.8%過去最低水準(2026 年度版要項参照)
第 22 次公表確認要2026 年度版要項参照
第 23 次公募中結果は今後公表

採択率低下の構造的要因

  • 申請数の増加(補助金認知度の向上)
  • 賃上げ要件の引き上げで未達リスクのある事業者の事前審査強化
  • 事業計画書の質の二極化(専門家伴走 vs 自社作成の差)
  • 補助対象経費の精査強化

「申請すれば通る」時代はとっくに終わっている。3 社に 2 社は落ちる前提で、事業計画の質を高める必要がある。


4. AI 加点要件の整理(2026 年版)

近年の公募では、AI / DX 関連の取り組みが加点要素として整備されつつある。具体的な加点項目・配点は 2026 年度版の各回公募要領 を必ず参照していただきたい。本章では概観として、想定される加点軸を整理する。

想定される加点軸(公募要領で要確認)

加点軸想定される評価ポイント
AI 活用設備の導入機械学習・画像認識・予知保全等を組み込む設備投資
生成 AI の業務組み込み検査自動化・品質管理・需要予測等への AI 活用
データドリブン経営KPI ダッシュボード整備・データ基盤投資
DX 認定取得経済産業省の DX 認定事業者
情報処理推進機構の認定SECURITY ACTION・IT セキュリティの取り組み
賃上げ加点公約値を超える賃上げ計画
成長性加点過去 3 期の付加価値額成長率

AI 加点を狙う場合の注意点

  • 「AI 搭載」と謳う設備でも、補助対象経費として認められないケースがある
  • 申請書では AI 活用の 具体的なユースケース・導入後の業務変化 を数字で示す
  • カタログ記載のスペックの貼り付けでは加点されない

5. 補助上限額と補助率(枠別早見表)

一般型(通常枠)

区分補助率補助上限額
基本1/2 以内750 万円〜1,250 万円
小規模事業者・再生事業者2/3 以内同上
従業員数によって上限額が変動する。たとえば従業員 20 人以下なら 750 万円、21 人以上で段階的に上がり、最大 1,250 万円まで。

グローバル展開型

区分補助率補助上限額
海外直接投資・輸出・インバウンド対応等1/2 以内3,000 万円
海外市場への進出や、海外顧客への対応に必要な設備投資・システム開発が対象。補助上限が 3,000 万円と大きいが、その分、事業計画書の要求水準も高い。

枠選択の判断基準

  • 国内市場のみ → 一般型
  • 海外売上比率を高める計画あり → グローバル展開型
  • カタログ掲載品で対応可能 → 省力化投資補助金との比較を推奨

6. 落ちる申請書の共通点

第 21 次の採択率は約 34.8%。過半数が不採択になっている。落ちる申請書には共通するパターンがある。

パターン 1:課題が抽象的

「生産効率を向上させたい」

これでは審査員に何も伝わらない。「どの工程が」「どれだけ非効率で」「それが経営にどう影響しているか」が抜けている。

パターン 2:投資と効果のつながりが見えない

設備の仕様は書いてあるが、「なぜその設備が自社の課題を解決するのか」の説明がない。カタログのスペックをそのまま貼っただけの申請書は評価されない。

パターン 3:賃上げ計画が数字を伴わない

「賃上げする予定です」だけでは要件を満たさない。現在の給与支給総額、年率での引き上げ幅、計画期間後の目標値を明示する必要がある。

パターン 4:事業化計画が 5 ヶ年で終わっている

採択後 3 年・5 年の付加価値額成長を数字で示せていない。設備導入の効果が単年度で終わる印象を与えると、加点が取れない。

パターン 5:認定支援機関の確認が形式的

確認書だけ取得して、事業計画の中身に支援機関のレビューが入っていない。審査員から見ると「形だけの確認書」とすぐ分かる。


7. 採択される申請書 5 つの鉄則

鉄則 1:現状の課題を 3 つの数字で示す

審査員が最初に見るのは「この会社は本当に困っているのか」だ。以下のように数字で状況を伝える。

弱い記載

生産ラインの効率が悪く、納期遅延が発生している。

強い記載

主力製品の生産ラインでは、段取り替えに 1 回あたり平均 45 分を要している。月間の段取り替え回数は約 60 回で、月 45 時間が段取り作業に消費されている。この結果、過去 6 ヶ月で納期遅延が 8 件発生し、うち 2 件は取引先からのペナルティ(計 120 万円)が発生した。

「時間」「回数」「金額」——この 3 つの数字を揃えると説得力が格段に上がる。

鉄則 2:投資効果をビフォー・アフターの表で見せる

項目導入前導入後改善効果
段取り替え時間45 分 / 回15 分 / 回67% 短縮
月間の段取り作業時間45 時間15 時間30 時間削減
納期遅延件数月平均 1.3 件0 件(目標)解消
不良品率2.1%0.5%(目標)76% 改善
表にすると審査員が一目で把握できる。

鉄則 3:賃上げ計画を具体的な数字で書く

第 23 次では賃上げ要件が引き上げられている。事業計画書には、以下の 3 つを明記する。

  1. 現在の給与支給総額(直近の決算書から)
  2. 年率での引き上げ率(要件を満たす水準以上)
  3. 計画期間終了時の目標額

鉄則 4:実施体制と運用計画を明記する

項目内容
設備導入責任者製造部 部長
オペレーター製造課 主任 + 担当者 2 名
研修計画メーカーによる操作研修(導入時 3 日間)、社内 OJT(3 ヶ月)
効果測定月次で生産データを集計、経営会議で報告

鉄則 5:経営ビジョンとの接続を忘れない

「なぜ今この投資が必要なのか」を、自社の経営計画や中期ビジョンと結びつける。審査員は「この投資が場当たり的ではなく、経営戦略の一環であること」を確認している。


8. 事業化計画書の詳細フォーマット(章立て・分量・必須要素)

採択率を引き上げる最重要文書が 事業化計画書。以下のフォーマットを推奨する。

推奨章立て(A4 換算 10〜15 ページ)

分量目安必須要素
1. 事業概要1 ページ会社情報・事業概要・代表メッセージ
2. 業界・市場分析1〜2 ページ市場規模・成長性・競合・自社ポジション
3. 自社の現状課題2 ページ課題の数値化(時間・回数・金額)
4. 投資計画2 ページ設備仕様・選定理由・見積比較
5. 事業化計画(5 ヶ年)2〜3 ページ売上・利益・付加価値額・人員計画
6. 賃上げ計画1 ページ給与支給総額・最低賃金・年率推移
7. 実施体制1 ページ役割分担・研修・効果測定
8. リスク管理1 ページ想定リスクと対応策
9. 経営ビジョンとの整合1 ページ中期経営計画との接続
10. 認定支援機関の所見添付認定支援機関のレビュー内容

5 ヶ年事業化計画 必須テーブル

項目採択前年採択年(投資年)1 年後2 年後3 年後
売上高XXX 百万円
売上原価XXX 百万円
営業利益XXX 百万円
付加価値額XXX 百万円
給与支給総額XXX 百万円
従業員数XX 名
1 人当たり付加価値額XXX 千円
設備稼働率XX%

事業化計画書で審査員が確認するポイント

  • 数字の整合性(売上・利益・付加価値額の連動)
  • 賃上げ計画との接続(付加価値額の上昇 → 給与還元)
  • 人員計画の現実性(採用見込み・退職率)
  • 投資効果の継続性(5 年後も効果が継続する論拠)
  • リスク認識の深さ(想定外の事態への備え)

9. 賃上げ要件強化への対応

第 23 次以降の賃上げ要件(2026 年度版要項参照)

賃上げ要件の具体的な水準(給与支給総額の年率引上げ %、事業場内最低賃金の水準)は、各公募回の要項に明記される。2026 年度版の最新要項を必ず確認 していただきたい。

申請段階での対応

  1. 過去 3 期の給与支給総額を確認:人件費の推移を客観把握
  2. 公約値の上限を見極める:現実的に達成可能な水準
  3. 事業化計画と接続:付加価値額成長 → 給与還元のロジック
  4. 未達リスクの社内合意:取締役会で公約値を承認

採択後の運用

採択後 3〜5 年の効果報告期に賃上げ未達が判明すると、補助金返納(元本 + 加算金)のリスクがある。月次トラッキング体制(補助金返納リスク 完全版を参照)を、採択直後から構築することを強く推奨する。


10. 申請までのスケジュール(逆算カレンダー)

ステップやること目安
1gBizID プライムの取得(未取得の場合)今すぐ開始(取得に 2〜3 週間)
2公募要領の精読1 週間
3認定支援機関の選定・初回相談申請の 6〜8 週間前
4事業計画書のたたき台作成2〜3 週間
5設備見積の取得(相見積 3 社)並行して進行
6事業化計画 5 ヶ年テーブル整備2 週間
7認定支援機関の確認書取得申請の 2〜3 週間前
8社内最終承認・取締役会報告申請の 1 週間前
9電子申請(jGrants)で提出締切日まで
最重要注意:交付決定前に設備の発注・契約・支払いを行うと補助対象外になる。これは毎回発生する最大の失敗だ。見積もり取得やデモ実施は問題ないが、契約書への署名は交付決定の通知を受け取ってから。

11. 省力化投資補助金との使い分け

「ものづくり補助金」と「中小企業省力化投資補助金」は目的が重なる部分がある。どちらが有利かは、導入したい設備と事業内容による。

比較項目ものづくり補助金省力化投資補助金
補助上限最大 1,250 万円(一般型)/ 3,000 万円(グローバル展開型)最大 1,000 万円
設備の自由度自社の計画に合う設備を自由に選定カタログ掲載品から選択
申請の難易度事業計画書の作成が本格的比較的シンプル
向いている会社独自の設備投資や開発が必要な会社カタログに欲しい設備がある会社
採択率の傾向30〜50% で推移比較的高め(要項参照)
迷ったときの判断基準:カタログに載っている設備で十分なら省力化投資補助金のほうが申請は楽。カタログにない設備が必要、あるいは補助上限が足りない場合はものづくり補助金を検討する。

12. よくある質問(FAQ)

Q. 製造業でなくても申請できますか?

できる。正式名称に「商業・サービス」が含まれているとおり、小売業やサービス業も対象だ。飲食業、介護、建設業なども過去に採択実績がある。

Q. 認定支援機関とは何ですか?

中小企業の経営支援を行う機関として国から認定を受けた税理士、公認会計士、金融機関、商工会議所などだ。ものづくり補助金の申請には、認定支援機関の確認書が必要になる。顧問税理士が認定支援機関であるケースも多い。

Q. 不採択だった場合、再申請はできますか?

できる。次回以降の公募で再度申請可能だ。不採択の理由は開示されないが、事業計画の弱点を見直して再挑戦する企業は多い。

Q. gBizID プライムをまだ持っていません。間に合いますか?

取得に 2〜3 週間かかる。まだ持っていない場合は、この記事を読み終えたらすぐに取得申請を始めてほしい。

Q. AI 加点を取りたい場合、どんな設備が対象ですか?

各回の公募要領で「AI 加点」の具体要件が示されます。一般的には機械学習・画像認識・予知保全・需要予測などを組み込む設備投資が対象になる傾向です。「AI 搭載」と謳うだけでは加点されないケースもあるため、ユースケースの具体性が重要です。

Q. 採択後の賃上げ未達を避けるための実務対応は?

採択直後から月次の給与支給総額・最低賃金トラッキング体制を構築します。CFO 直轄の運用設計、税理士法人との連携、PMO ベンダーの活用が選択肢です。詳しくは補助金返納リスク 完全版をご参照ください。

Q. 19 次募集の公募開始時期はいつですか?

確定情報は 2026 年下半期版の公募要領を必ずご確認ください。中小企業庁・中小機構の発表が一次情報源となります。本記事公開時点では未確定です。


まとめ

項目内容
制度名ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(第 23 次公募)
公募開始2026 年 2 月 6 日
電子申請受付2026 年 4 月 3 日〜
補助上限(一般型)750 万円〜1,250 万円
補助上限(グローバル展開型)3,000 万円
直近採択率(21 次)約 34.8%
最重要変更点賃上げ目標の引き上げ
必須準備gBizID プライム取得、認定支援機関の確認書、事業化計画 5 ヶ年テーブル
次回 19 次募集2026 年下半期想定(要項発表待ち、2026 年度版要項参照)
採択率 30〜35% を突破するカギは、数字で語る事業計画書と、5 ヶ年事業化計画の説得力だ。「なんとなく設備を入れたい」ではなく、「この課題を、この設備で、これだけ改善し、5 年後にここまで成長する」と言い切れる申請書を作ること。準備に使える時間は限られている。今日から動き出してほしい。

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参考資料

  • ものづくり補助金公式サイト(portal.monodukuri-hojo.jp)
  • 中小企業庁「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 第 23 次公募要領」(2026 年度版)
  • 中小企業庁「ものづくり補助金 過去公募の採択結果」
  • 中小企業庁・中小機構の各回公募要領(2026 年度版要項参照)