「IT 予算は何にいくら使うのが正解か」――中堅企業 CFO が取締役会で問われる典型質問だ。 戦略性を示す 1 枚要約があれば議論が締まる。本記事は守り・攻め・基盤の 3 分類配分テンプレートを記入例とともに整理する。
目次
- 3 分類配分の考え方
- Block 1: 守り(セキュリティ・規制対応)
- Block 2: 攻め(AI・新事業)
- Block 3: 基盤(クラウド・データ統合)
- Block 4: 補助金活用と稟議承認フロー
- Block 5: ROI 評価とリスク許容度
- 中堅企業の標準配分割合
- 記入例(架空ケース)
- よくある質問(FAQ)
3 分類配分の考え方
| 分類 | 投資目的 | 評価指標 | 中堅標準 |
|---|---|---|---|
| 守り | リスク回避・コンプラ | 違反ゼロ | 30-40% |
| 攻め | 競争優位・新収益 | 売上+利益 | 30-40% |
| 基盤 | 効率化・標準化 | TCO 圧縮 | 25-35% |
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Block 1: 守り(セキュリティ・規制対応)
投資項目
- EDR / MFA / バックアップ
- SBOM / 脆弱性管理
- 個人情報保護法対応
- インボイス/電帳法
- 業界規制(FISC / GxP / SOX 等)
評価指標
- インシデント発生数 ≤ 1 件 / 年
- 監査指摘事項 ≤ 3 件 / 年
- セキュリティ研修受講率 ≥ 95%
- パッチ適用 SLA 達成率 ≥ 90%
Block 2: 攻め(AI・新事業)
投資項目
- AI エージェント導入
- 新事業 PoC
- 顧客セルフサービスポータル
- LTV 向上施策
- データドリブン経営
評価指標
- 売上成長率 +5-10%
- 新事業売上比率 +5-10pt(3 年)
- 顧客 LTV +20%
- 業務自動化率 +15-25pt
Block 3: 基盤(クラウド・データ統合)
投資項目
- クラウド移行
- データ統合 DWH / BI
- ERP / 業務システム刷新
- 開発・運用基盤(CI/CD)
- 教育・人材育成
評価指標
- TCO 圧縮 -10-20%
- データ統合カバレッジ ≥ 80%
- リードタイム短縮 -30%
- 全社員デジタル認定 ≥ 80%
Block 4: 補助金活用と稟議承認フロー
補助金別の配分
| 補助金 | 上限 | 主用途 |
|---|---|---|
| IT 導入補助金 通常枠 B | 450 万円 | 攻め+基盤 |
| IT 導入補助金 セキュリティ枠 | 100 万円 | 守り |
| ものづくり補助金 | 1,250 万円 | 攻め |
| 中小企業省力化投資補助金 | 1,000 万円 | 基盤 |
稟議承認フロー
[投資 < 100 万円] 部門長承認
[100-500 万円] 取締役決裁
[500-2,000 万円] 取締役会承認
[2,000 万円超] 取締役会+株主報告
Block 5: ROI 評価とリスク許容度
ROI ハードルレート
| 分類 | IRR 最低基準 |
|---|---|
| 守り | リスク回避により設定なし |
| 攻め | ≥ 18% |
| 基盤 | ≥ 12% |
リスク許容度
3 年累計投資の 25% を「失敗許容上限」として確保
失敗時は撤退条項で損失を限定
中堅企業の標準配分割合
業界別
| 業界 | 守り | 攻め | 基盤 |
|---|---|---|---|
| 製造業 | 30% | 35% | 35% |
| 小売・EC | 25% | 45% | 30% |
| 物流 | 30% | 35% | 35% |
| 医療 | 45% | 25% | 30% |
| 建設 | 25% | 40% | 35% |
| 金融 | 50% | 25% | 25% |
業界規制強度でバランスが変わる。
記入例(架空ケース)
[当社 IT 予算 2026 サマリ]
[2026 年 4 月 取締役会向け]
[3 年累計 1.16 億円配分]
守り (35% / 4,060 万円)
- EDR + MFA + バックアップ
- SBOM 整備
- 個人情報保護法対応
攻め (35% / 4,060 万円)
- AI エージェント 3 系統
- 顧客セルフサービス
- 新事業 PoC
基盤 (30% / 3,480 万円)
- クラウド移行 70% → 90%
- データ統合 DWH
- 教育・人材育成
補助金 3,500 万円活用、自社 8,100 万円
ROI: 攻め IRR 22%、基盤 IRR 14%
リスク許容: 失敗時上限 2,900 万円(25%)
よくある質問(FAQ)
Q. 配分割合は固定? A. 業界・自社状況で 3 分類のバランスは変動する。重要は「3 軸全てに投資する」こと。
Q. 守りの ROI が出ない場合の説明は? A. 「守らないリスク」を金額換算(インシデント被害想定額)で示すと納得されやすい。
Q. 補助金は確実に取れる? A. 採択不採択両シナリオで稟議書を組む。中堅企業の通常枠 B は 60-80% 採択が一般的。
Q. 1 枚で本当に伝わる? A. 補足資料を別途用意。1 枚は判断材料、補足は実施詳細。
参考資料
- JUAS「企業 IT 動向調査報告書」
- 経済産業省「DX レポート 2.2」
- IT 導入補助金 2026 公式ページ
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