製造業の受発注管理をExcelや紙の伝票で運用している企業は多い。属人化した入力ルール、転記ミス、在庫数の不一致――こうした問題を解消するためにシステム化を検討するものの、「開発会社に何をどう伝えればいいか分からない」という壁にぶつかるケースが後を絶たない。本記事では、製造業の情シス担当者が開発会社に提出するRFP(提案依頼書)の書き方を、テンプレート付きで解説する。
そもそもRFPとは何か
RFP(Request for Proposal)は、「こういうシステムが欲しいので提案してください」と開発会社に依頼するための文書だ。口頭やメールだけで要件を伝えると、開発会社ごとに解釈が異なり、見積金額がバラバラになる。RFPを作成することで、複数社から同じ条件で見積もりを取れるようになる。
製造業の受発注RFPに書くべき7項目
1. プロジェクト概要
| 項目 | 記載内容の例 |
|---|---|
| 目的 | Excel受発注の脱却、転記ミスの削減、在庫精度の向上 |
| 対象拠点 | 本社+工場2拠点 |
| 利用者数 | 営業15名、工場10名、経理3名 |
| 稼働時期 | 2027年4月(来期始め) |
| 予算感 | 500万〜1,000万円(提示しない場合は「上限未定」でも可) |
2. 現状の業務フロー
Excel管理の現状を図や表で示す。「どの部署が」「何を」「どの順番で」やっているかを書くだけで、開発会社の理解度は格段に上がる。
3. 必要な機能(Must / Want)
| 機能 | Must/Want | 補足 |
|---|---|---|
| 受注登録・一覧 | Must | 品番・数量・納期・単価を管理 |
| 発注登録・一覧 | Must | 仕入先マスタとの連携 |
| 在庫管理 | Must | 入出庫のリアルタイム反映 |
| 出荷指示・実績管理 | Must | 工場向け出荷指示書の自動生成 |
| 請求書発行 | Want | 既存の会計ソフトとのCSV連携でも可 |
| ダッシュボード | Want | 売上推移・在庫回転率の可視化 |
| バーコード/QRコード読取 | Want | 入出庫時のスキャン対応 |
4. 非機能要件
- 稼働時間:平日8:00〜20:00(工場の操業時間に合わせる)
- 同時接続数:最大30名
- データ保持期間:7年(法定保存期間)
- セキュリティ:SSL/TLS通信、IPアドレス制限、二要素認証
5. 既存システムとの連携
| 連携先 | 連携方式 | 備考 |
|---|---|---|
| 会計ソフト(弥生/freee等) | CSV出力 | 月次の売上・仕入データ |
| 生産管理システム | API or CSV | 生産計画との自動連携が理想 |
| メール/チャット | 通知連携 | 受注時にSlack通知等 |
6. 提案依頼事項
開発会社に対して、以下の回答を求める旨を明記する。
- 推奨するシステム構成(クラウド/オンプレミス)
- 概算見積(初期費用+月額費用の内訳)
- 開発スケジュール
- 保守・運用体制と費用
- 類似プロジェクトの実績
7. 選定スケジュール
| フェーズ | 期間 |
|---|---|
| RFP送付 | 2026年5月 |
| 提案書受領 | 2026年6月 |
| プレゼン・質疑 | 2026年6月下旬 |
| ベンダー決定 | 2026年7月 |
| 開発開始 | 2026年8月 |
RFP作成時の3つの注意点
1. 解決策ではなく「課題」を書く 「データベースはPostgreSQLで」と技術指定するのではなく、「転記ミスを月20件削減したい」と課題を書く。技術選定は開発会社の専門領域だ。
2. 予算感は隠さない方がよい 「500万〜1,000万円」とレンジで提示すれば、開発会社は予算に合った提案ができる。予算を伝えないと、1,500万円の提案が3社から届いて比較にならない、ということが起きる。
3. 最低3社に送る 1社だけでは比較ができず、2社では判断に迷う。3社あれば費用・提案内容の「相場感」が掴める。
関連記事:製造業の受発注システム導入費用と機能比較
まとめ
製造業の受発注システムRFPは、「7項目を埋める」だけで最低限の形になる。完璧な文書を目指す必要はない。課題と業務フローを正直に伝えれば、良い開発会社は不足部分をヒアリングで補ってくれる。まずは本記事のテンプレートに沿って、自社の現状を書き出すところから始めてほしい。
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GXO実務追記: レガシー刷新で発注前に確認すべきこと
この記事のテーマは、単なるトレンド紹介ではなく、現行調査、刷新範囲、段階移行、ROI、ベンダー切替リスクを決めるための検討材料です。検索で情報収集している段階でも、発注前に次の観点を整理しておくと、見積もりのブレ、手戻り、ベンダー依存を減らせます。
まず決めるべき3つの論点
| 論点 | 確認する内容 | 未整理のまま進めた場合のリスク |
|---|---|---|
| 目的 | 売上拡大、工数削減、リスク低減、顧客体験改善のどれを優先するか | 成果指標が曖昧になり、PoCや開発が終わっても投資判断できない |
| 範囲 | 対象部署、対象業務、対象データ、対象システムをどこまで含めるか | 見積もりが膨らむ、または重要な連携が後から漏れる |
| 体制 | 自社責任者、現場担当、ベンダー、保守運用者をどう置くか | 要件確認が遅れ、納期遅延や品質低下につながる |
費用・期間・体制の目安
| フェーズ | 期間目安 | 主な成果物 | GXOが見るポイント |
|---|---|---|---|
| 事前診断 | 1〜2週間 | 課題整理、現行確認、投資判断メモ | 目的と範囲が商談前に整理されているか |
| 要件定義 / 設計 | 3〜6週間 | 要件一覧、RFP、概算見積、ロードマップ | 見積比較できる粒度になっているか |
| PoC / MVP | 1〜3ヶ月 | 検証環境、効果測定、リスク評価 | 本番化判断に必要な数値が取れるか |
| 本番導入 | 3〜6ヶ月 | 本番環境、運用設計、教育、改善計画 | 導入後の運用責任と改善サイクルがあるか |
発注前チェックリスト
- [ ] 現行システムの機能、利用部署、データ、外部連携を一覧化したか
- [ ] 保守切れ、属人化、障害頻度、セキュリティリスクを金額換算したか
- [ ] 全面刷新、段階移行、SaaS置換、リホストの比較表を作ったか
- [ ] 移行中に止められない業務と、止めてもよい業務を分けたか
- [ ] 既存ベンダー依存から抜けるためのドキュメント/コード引継ぎ条件を決めたか
- [ ] 稟議で説明する投資回収、リスク低減、保守費削減の根拠を整理したか
参考にすべき一次情報・公的情報
上記の一次情報は、社内稟議やベンダー比較の根拠として使えます。一方で、公開情報だけでは自社の現行システム、業務フロー、データ状態、予算制約までは判断できません。記事で一般論を把握した後は、自社条件に落とした診断が必要です。
GXOに相談するタイミング
次のいずれかに当てはまる場合は、記事を読み進めるだけでなく、早めに相談した方が安全です。
- 見積もり依頼前に、要件やRFPの粒度を整えたい
- 既存ベンダーの提案が妥当か第三者視点で確認したい
- 補助金、AI、セキュリティ、レガシー刷新が絡み、判断軸が複雑になっている
- 社内稟議で費用対効果、リスク、ロードマップを説明する必要がある
- PoCや診断で終わらせず、本番導入と運用改善まで進めたい
製造業の受発注システムRFPの書き方|開発会社に伝えるべき要件と見積依頼テンプレートを自社条件で診断したい方へ
GXOが、現状整理、RFP/要件定義、費用対効果、ベンダー比較、導入ロードマップまで実務目線で確認します。記事の一般論を、自社の投資判断に使える形へ落とし込みます。
※ 初回相談では営業資料の説明よりも、現状・課題・判断材料の整理を優先します。