厚生労働省「オンライン診療の適切な実施に関する指針」の2025年改訂により、オンライン診療の対象疾患と処方可能な薬剤の範囲が大幅に拡大された。日本医師会の調査(2025年公表)によると、オンライン診療を導入済みの医療機関は全体の約28%にとどまるが、「導入を検討中」と回答した医療機関は約35%に上り、2026年は導入のピークになると見られている。
一方で、オンライン診療システムの費用感は「月額数万円で済むのか」「カスタム開発は数千万円かかるのか」と情報が錯綜している。実際には、SaaS利用で月額5〜30万円、カスタム開発で500〜2,000万円と、選択するアプローチによって費用帯が大きく異なる。
本記事では、オンライン診療システムの開発・導入費用を機能別・導入形態別に整理し、厚労省ガイドライン準拠のポイントと費用の抑え方を具体的に解説する。
目次
- オンライン診療システムの全体像と費用帯
- 機能別の開発費用
- 厚労省ガイドラインへの準拠要件
- SaaS導入とカスタム開発の判断基準
- 主要SaaS製品の比較
- 費用を抑える3つの方法
- 開発会社の選び方
- まとめ
- よくある質問(FAQ)
- 参考資料
- 付録
1. オンライン診療システムの全体像と費用帯
オンライン診療システムの費用は、導入形態によって大きく3つの価格帯に分かれる。
| 導入形態 | 初期費用 | 月額費用 | 導入期間 | 適した医療機関 |
|---|---|---|---|---|
| SaaS利用 | 0〜50万円 | 5〜30万円 | 2週間〜1ヶ月 | クリニック、小規模診療所 |
| SaaS+カスタム連携 | 100〜500万円 | SaaS月額+保守5〜15万円 | 1〜3ヶ月 | 中規模病院、専門クリニック |
| フルカスタム開発 | 500〜2,000万円 | 保守月額15〜50万円 | 4〜12ヶ月 | 大規模病院、医療法人グループ |
SaaS利用(月額5〜30万円)
既存のオンライン診療プラットフォーム(CLINICSやcuronなど)を契約して利用する形態。初期費用は無料〜50万円程度で、端末の準備と初期設定のみで開始できる。月額費用はプランと利用医師数によって変動する。
導入ハードルが最も低く、厚労省ガイドラインへの準拠もSaaS事業者側で対応済みのため、自院での対応負荷は小さい。ただし、自院固有のワークフローに合わせたカスタマイズは制限される。
SaaS+カスタム連携(初期100〜500万円)
SaaSをベースにしつつ、既存の電子カルテや予約管理システム、院内の基幹システムとAPI連携を開発する形態。SaaS単体ではカバーできない「データの一元管理」を実現する。
連携先のシステム数と、APIの有無によって費用が変動する。電子カルテとの連携で100〜200万円、レセコンとの連携で50〜150万円が目安だ。
フルカスタム開発(500〜2,000万円)
ビデオ診療・電子処方箋・予約管理・決済・電子カルテ連携をすべて自院仕様で開発する形態。大規模病院や医療法人グループが、複数施設間でのデータ共有や独自の診療フローに対応する場合に選択される。
費用の内訳は、要件定義・設計(80〜300万円)、ビデオ通話基盤(100〜400万円)、電子処方箋機能(80〜250万円)、予約管理(50〜150万円)、決済機能(50〜150万円)、電子カルテ連携(100〜300万円)、セキュリティ・ガイドライン対応(80〜250万円)、テスト・導入支援(50〜200万円)が目安だ。
セクションまとめ:SaaS利用で月額5〜30万円、カスタム開発で500〜2,000万円が相場。クリニックはSaaS、中規模以上はSaaS+連携またはカスタム開発が現実的な選択肢だ。
2. 機能別の開発費用
オンライン診療システムを構成する主要機能と、それぞれの開発費用の目安を整理する。
ビデオ通話・診療機能(100〜400万円)
オンライン診療の中核機能。WebRTC技術を使ったリアルタイムのビデオ通話を実装する。
| 機能要素 | 費用目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 1対1ビデオ通話(医師-患者) | 100〜200万円 | WebRTC基盤の構築、Twilio/Agora等のCPaaS活用で費用を抑えられる |
| 画面共有(検査結果の説明等) | 20〜50万円 | 診療中に画像やPDFを共有する機能 |
| 録画機能 | 30〜80万円 | 診療記録としての録画保存。ストレージ費用が別途発生 |
| 待合室機能 | 20〜40万円 | 診療開始まで患者を待機させるバーチャル待合室 |
| 通信品質の自動調整 | 30〜60万円 | 患者側の回線状況に応じた画質・音質の自動調整 |
電子処方箋機能(80〜250万円)
2023年1月に運用が始まった電子処方箋管理サービスとの連携機能。2025年の制度改正で対象範囲が拡大され、オンライン診療との連動が本格化している。
| 機能要素 | 費用目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 電子処方箋管理サービスとのAPI連携 | 50〜120万円 | HPKIカードによる電子署名への対応が必須 |
| 処方内容の入力・確認UI | 20〜50万円 | 医師が診療中に処方内容を入力するインターフェース |
| 薬局への送信・連携 | 30〜80万円 | 患者が選択した薬局への処方箋データ送信 |
電子カルテ連携(100〜300万円)
オンライン診療の記録を既存の電子カルテに自動反映する機能。手入力の二重作業を防ぎ、診療の効率化に直結する。
| 連携先 | 費用目安 | 技術的な難易度 |
|---|---|---|
| クラウド型電子カルテ(API公開あり) | 100〜150万円 | 比較的容易 |
| オンプレミス型電子カルテ(API非公開) | 150〜300万円 | ミドルウェアの開発が必要 |
| レセコン連携 | 50〜150万円 | ORCA連携は比較的対応しやすい |
オンライン予約管理(50〜150万円)
患者のオンライン診療予約と、医師のスケジュール管理を行う機能。
| 機能要素 | 費用目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 予約カレンダー(患者向け) | 20〜50万円 | 診療科目・医師別の空き枠表示 |
| 自動リマインド通知 | 10〜30万円 | メール・SMS・LINE連携 |
| キャンセル・変更管理 | 10〜30万円 | キャンセルポリシーの設定、キャンセル待ち機能 |
| 事前問診機能 | 20〜50万円 | 診療前のオンライン問診票 |
オンライン決済機能(50〜150万円)
診療費のオンライン決済を行う機能。患者は診療後にクレジットカードやQR決済で支払いを完了できる。
| 機能要素 | 費用目安 | 備考 |
|---|---|---|
| クレジットカード決済(Stripe等) | 30〜80万円 | PCI DSS準拠が必要。Stripeなら決済代行側で準拠済み |
| QRコード決済対応 | 20〜50万円 | PayPay、LINE Pay等への対応 |
| 領収書・明細の自動発行 | 10〜30万円 | 電子領収書のPDF生成・送信 |
セクションまとめ:機能別ではビデオ通話(100〜400万円)と電子カルテ連携(100〜300万円)が最も費用がかかる。電子処方箋はHPKI対応が技術的ハードル。決済はStripe等の決済代行で負荷を軽減できる。
3. 厚労省ガイドラインへの準拠要件
オンライン診療システムは、以下の3つのガイドラインへの準拠が必須だ。準拠を怠ると、保険診療の請求が認められないリスクがある。
「オンライン診療の適切な実施に関する指針」(厚生労働省)
2025年改訂版で定められた主な要件は以下のとおり。
| 要件 | システムへの実装内容 | 費用目安 |
|---|---|---|
| 本人確認 | マイナンバーカード等による患者の本人確認機能 | 30〜80万円 |
| 診療の記録 | ビデオ通話の録画または診療内容のログ保存 | 20〜60万円 |
| セキュリティ | 通信の暗号化(TLS 1.3)、保存データの暗号化(AES-256) | 30〜80万円 |
| 急変時の対応体制 | 患者の所在地に基づく最寄り医療機関の表示・連絡機能 | 20〜50万円 |
| 医師の所在確認 | 診療を行う医師の所在地の記録 | 10〜20万円 |
「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」(3省3ガイドライン)
厚生労働省・経済産業省・総務省が共同で策定した医療情報のセキュリティ基準。2024年の第6.0版で要件が強化されている。
| 要件カテゴリ | 主な内容 | 費用目安 |
|---|---|---|
| アクセス制御 | 二要素認証、権限管理、ログイン試行制限 | 30〜80万円 |
| 監査ログ | 全操作の監査証跡記録と90日以上の保存 | 20〜50万円 |
| バックアップ | 診療データの定期バックアップ、災害対策 | 20〜60万円 |
| ネットワーク分離 | 診療系ネットワークと事務系ネットワークの分離 | 30〜100万円 |
電子処方箋関連の規制要件
電子処方箋の運用にはHPKIカードによる電子署名が必須であり、電子処方箋管理サービス(社会保険診療報酬支払基金が運営)への接続申請が必要だ。
ガイドライン準拠にかかる費用の目安:すべてのガイドラインに準拠するためのセキュリティ実装費は、カスタム開発の場合で80〜250万円が目安。SaaSを利用する場合は、SaaS事業者が準拠済みであることを確認すれば、自院での追加費用は本人確認機能の運用コスト程度で済む。
セクションまとめ:厚労省指針、3省3ガイドライン、電子処方箋規制の3つへの準拠が必須。SaaSなら事業者側で対応済み、カスタム開発の場合は80〜250万円のセキュリティ実装費を見込む。準拠を怠ると保険診療の請求リスクが生じる。
4. SaaS導入とカスタム開発の判断基準
「SaaSで十分なのか、カスタム開発が必要なのか」は、医療機関の規模と要件で決まる。判断の分岐点を整理する。
SaaS利用が適しているケース
- 医師数が1〜5名のクリニック・診療所
- オンライン診療の導入が初めてで、まず試したい
- 既存の電子カルテがクラウド型で、SaaSとの連携実績がある
- 月間のオンライン診療件数が300件以下の見込み
- 厚労省ガイドラインへの対応を自院で行うリソースがない
カスタム開発が適しているケース
- 複数施設を運営する医療法人で、施設間のデータ共有が必要
- オンプレミス型の電子カルテとの連携が必須
- 月間のオンライン診療件数が500件を超える見込み(SaaSの従量課金が高額になる)
- 独自の診療フロー(例:精神科の長時間カウンセリング、皮膚科の画像診断連携)がある
- 患者向けアプリを自院ブランドで提供したい
3年間のTCO(総所有コスト)比較
| 項目 | SaaS利用 | カスタム開発 |
|---|---|---|
| 初期費用 | 0〜50万円 | 500〜2,000万円 |
| 月額費用(3年間) | 5〜30万円 × 36ヶ月 = 180〜1,080万円 | 保守15〜50万円 × 36ヶ月 = 540〜1,800万円 |
| 3年間TCO | 180〜1,130万円 | 1,040〜3,800万円 |
一方、複数施設を展開する医療法人で月間1,000件を超える診療を行う場合、SaaSの従量課金(1件あたり100〜300円)だけで月額10〜30万円になり、基本料金と合わせるとカスタム開発のTCOを上回るケースがある。
セクションまとめ:月間300件以下のクリニックはSaaS、複数施設・月間500件超の医療法人はカスタム開発がTCO面で有利。まず3年間のTCOを試算して比較するのが正しい判断プロセスだ。
5. 主要SaaS製品の比較
2026年4月時点で国内シェアの高いオンライン診療SaaS 4製品を比較する。
| 製品名 | 初期費用 | 月額費用目安 | 主な特徴 | 電子処方箋対応 |
|---|---|---|---|---|
| CLINICS(クリニクス) | 0円 | 月額1〜3万円+従量課金 | 国内導入実績トップクラス、予約・問診・ビデオ診療・決済を統合 | 対応済み |
| curon(クロン) | 0円 | 従量課金(330円/件〜) | 低コストで開始可能、患者アプリのUI評価が高い | 対応済み |
| YaDoc(ヤードック) | 要問合せ | 要問合せ | 生活習慣病などの疾病管理に強み、モニタリング機能充実 | 対応済み |
| オンライン診療ポケットドクター | 0円〜 | 月額2〜5万円 | 医療相談からオンライン診療まで対応、保険外診療にも対応 | 一部対応 |
選定のポイント
コスト最優先:curonが従量課金のみで固定費を抑えられる。月間50件以下であれば月額2万円以下で運用可能。
機能の網羅性を重視:CLINICSが予約・問診・ビデオ診療・決済・処方箋の一気通貫で最も機能が充実。既存の電子カルテとの連携実績も多い。
疾病管理を重視:慢性疾患の管理をオンラインで行いたい場合はYaDocが強い。血圧・血糖値などのバイタルデータのモニタリング機能を備えている。
いずれの製品も厚労省ガイドラインに準拠済みであり、ガイドライン対応のための追加費用は発生しない。ただし、電子カルテとの連携(データの自動連携)は製品によって対応状況が異なるため、自院の電子カルテとの連携実績を必ず確認すべきだ。
セクションまとめ:SaaSは4製品が主流。少量ならcuron、機能重視ならCLINICS、疾病管理ならYaDocが適している。いずれもガイドライン準拠済みだが、電子カルテとの連携実績は個別確認が必要。
6. 費用を抑える3つの方法
方法1:段階開発で初期投資を分散する
全機能を一括で開発するのではなく、優先度の高い機能から段階的にリリースする。
- Phase 1(2〜3ヶ月・200〜400万円):ビデオ診療+予約管理+オンライン決済
- Phase 2(2ヶ月・100〜200万円):電子カルテ連携+事前問診
- Phase 3(2〜3ヶ月・100〜250万円):電子処方箋連携+モニタリング機能
Phase 1で運用を開始し、医師・患者双方のフィードバックを得てからPhase 2以降の要件を精査することで、不要な機能開発を回避できる。一括開発で1,200万円かかるケースが、段階開発で800〜1,000万円に圧縮できた事例がある。
方法2:CPaaSとAPIサービスを活用する
ビデオ通話基盤をゼロから構築するのではなく、CPaaS(Twilio Video、Agora等)を利用すれば、ビデオ通話の実装費を100〜200万円に抑えられる。同様に、決済はStripe、SMS通知はTwilioと、各機能でAPIサービスを組み合わせることで、フルスクラッチ開発の50〜70%のコストで同等の機能を実現できる。
| 機能 | フルスクラッチ | API活用 | 削減率 |
|---|---|---|---|
| ビデオ通話 | 200〜400万円 | 100〜200万円 | 50% |
| 決済 | 80〜150万円 | 30〜80万円 | 50〜60% |
| SMS/通知 | 30〜60万円 | 10〜20万円 | 60〜70% |
方法3:補助金を活用する
オンライン診療システムの導入・開発には、以下の補助金が活用できる可能性がある。
| 補助金 | 補助率 | 上限額 | 適用例 |
|---|---|---|---|
| IT導入補助金(デジタル化・AI導入補助金) | 1/2〜4/5 | 最大450万円 | SaaS導入費、クラウド利用費 |
| ものづくり補助金 | 1/2〜2/3 | 最大1,250万円 | カスタム開発費用 |
| 医療機関等向けIT導入支援事業 | 1/2〜3/4 | 事業により異なる | 電子処方箋対応、オンライン資格確認 |
セクションまとめ:段階開発・CPaaS/API活用・補助金の3つを組み合わせれば、カスタム開発でも初期投資を大幅に圧縮できる。補助金の活用方法は無料相談で個別にご案内している。
7. 開発会社の選び方
オンライン診療システムは、医療データを扱うセキュリティ要件と、リアルタイム通信の技術要件を両立させる必要がある。開発会社選定で確認すべきポイントは3つだ。
ポイント1:医療系システムの開発実績があるか
3省3ガイドラインへの準拠経験があるかどうかは最も重要な判断基準だ。医療情報のセキュリティ要件は一般のWebシステムとは異なり、監査ログの要件、データの暗号化要件、バックアップ要件が厳格に定められている。未経験の開発会社に発注すると、ガイドライン準拠のための手戻りが発生し、費用と期間が膨らむリスクが高い。
確認方法:電子カルテ、オンライン診療、医療機関向けシステムの開発実績を具体的に確認する。
ポイント2:WebRTC/リアルタイム通信の技術力があるか
ビデオ診療はリアルタイム通信技術(WebRTC)が不可欠であり、通信品質の安定性は患者満足度に直結する。回線状況に応じた画質調整、接続切断時の自動再接続、低帯域での音声優先制御など、実装の品質差が大きい領域だ。
確認方法:ビデオ通話アプリ、Web会議システム、ライブ配信サービスなどの開発実績を確認する。
ポイント3:運用・保守体制が整っているか
医療システムは24時間365日の稼働が求められる。障害発生時の対応SLA(応答時間1時間以内、復旧4時間以内など)、セキュリティアップデートの対応速度、定期的なガイドライン改訂への追従体制を確認しておく必要がある。
GXO株式会社の開発事例では、業務システムの設計から運用まで一貫した支援体制を紹介している。会社概要もあわせてご参照いただきたい。
セクションまとめ:「医療系実績」「リアルタイム通信技術」「運用保守体制」の3点が選定基準。医療データのセキュリティ要件は一般システムと異なるため、未経験の開発会社では手戻りリスクが高い。
8. まとめ
オンライン診療システムの費用相場を整理すると、以下のとおりだ。
- SaaS利用:月額5〜30万円。初期費用はほぼゼロ。クリニック・小規模診療所に最適
- SaaS+カスタム連携:初期100〜500万円+SaaS月額。電子カルテ連携が必要な中規模病院向け
- フルカスタム開発:初期500〜2,000万円。大規模病院・医療法人グループ向け
判断の分岐点は「月間のオンライン診療件数」と「既存システムとの連携要件」の2つだ。
- 月間300件以下、連携不要 → SaaS利用
- 月間300〜500件、電子カルテ連携が必要 → SaaS+カスタム連携
- 月間500件超、複数施設運営、独自フロー → フルカスタム開発
まずやるべきことは、自院の月間想定診療件数と、既存システム(電子カルテ・レセコン・予約管理)の連携要件を整理することだ。この2つが明確になれば、SaaS・カスタム・ハイブリッドのどれが最適かが判断できる。
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9. よくある質問(FAQ)
Q1. オンライン診療の初診は保険適用されますか?
A1. 2022年4月の診療報酬改定以降、オンライン診療での初診も保険適用が認められています。ただし、厚生労働省の指針に基づき、「かかりつけ医」が行うことを原則とし、患者の状態に応じて対面診療への切替が必要な場合があります。2025年の改訂でさらに対象が拡大され、初診からオンライン診療を行える条件が緩和されています。
Q2. 既存の電子カルテがオンプレミス型ですが、オンライン診療システムと連携できますか?
A2. 技術的には可能ですが、オンプレミス型電子カルテの多くはAPIが公開されていないため、連携用のミドルウェア開発が必要になります。費用は150〜300万円程度で、電子カルテベンダーとの調整も必要です。導入前に電子カルテベンダーに「API連携の可否」を確認しておくことをおすすめします。クラウド型電子カルテへの移行と同時にオンライン診療を導入するケースも増えています。
Q3. 患者側に特別なアプリのインストールは必要ですか?
A3. SaaSの場合、CLINICS・curonともに患者向けスマートフォンアプリを提供しています(無料)。カスタム開発の場合は、ブラウザベース(アプリ不要)で実装することも可能です。ブラウザベースのほうが患者の利用ハードルは低くなりますが、プッシュ通知などの機能に制限が出る場合があります。
Q4. セキュリティ対策はどの程度のレベルが必要ですか?
A4. 最低限必要なのは「通信の暗号化(TLS 1.3)」「保存データの暗号化(AES-256)」「二要素認証」「監査ログ(90日以上保存)」「定期的な脆弱性診断」の5つです。これは3省3ガイドライン第6.0版に基づく要件です。SaaSであれば標準で対応済みのケースがほとんどですが、カスタム開発の場合は80〜250万円のセキュリティ実装費を見込んでおく必要があります。
Q5. オンライン診療と対面診療の予約を1つのシステムで管理できますか?
A5. 可能です。SaaS製品の多くは対面診療の予約管理機能も備えています。ただし、オンライン診療枠と対面診療枠のバランス調整(例:午前は対面、午後はオンラインなど)を柔軟に設定できるかどうかは製品によって異なります。複雑な枠管理が必要な場合は、SaaS+カスタム連携またはカスタム開発が適しています。
10. 参考資料
- 厚生労働省「オンライン診療の適切な実施に関する指針」(2025年改訂版) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/rinsyo/index_00010.html
- 厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第6.0版」(2024年公表) https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000516275_00006.html
- 厚生労働省「電子処方箋管理サービス」公式サイト https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/denshishohousen.html
- IPA(情報処理推進機構)「ソフトウェア開発分析データ集2024」(2024年10月公表) https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/metrics/
- JISA(情報サービス産業協会)「情報サービス産業 基本統計調査 2024年版」 https://www.jisa.or.jp/
- 日本医師会「オンライン診療に関する調査報告」(2025年公表) https://www.med.or.jp/
- 中小機構「デジタル化・AI導入補助金2026」公式サイト https://it-shien.smrj.go.jp/
- 中小企業庁「ものづくり補助金総合サイト」 https://portal.monodukuri-hojo.jp/