「調達・生産・在庫・物流の情報がバラバラで、欠品や過剰在庫が頻発している」「サプライヤーとのやり取りがメールとExcelに散在し、納期遅延に気づくのがいつも事後になる」――製造業・小売業の経営者や物流責任者から、こうした相談が増え続けている。

経済産業省「令和7年版 ものづくり白書」によると、サプライチェーンの可視化に着手している中堅企業はわずか23%にとどまる。一方、可視化を実現した企業では在庫回転率が平均1.8倍に改善し、欠品率が42%低下したとの報告がある。サプライチェーンを一元管理するプラットフォームの導入は、もはや大企業だけの話ではない。

結論から言えば、サプライチェーン管理(SCM)プラットフォームの導入費用は パッケージ型で300〜1,000万円、カスタム開発で800〜3,000万円 が2026年時点の相場だ。本記事では、この費用レンジの根拠から、機能別のコスト構造、主要製品の比較、導入ステップ、失敗しない発注のコツまでを網羅する。


目次

  1. サプライチェーン管理プラットフォームとは何か
  2. 費用相場の全体像——パッケージ型 vs カスタム開発
  3. 機能別のコスト構造
  4. 主要製品・SaaSの比較
  5. 導入パターン別のシミュレーション
  6. 費用を左右する7つの変動要因
  7. 失敗しない導入ステップ
  8. 開発会社・ベンダーの選定基準
  9. よくある質問(FAQ)
  10. まとめ
  11. 付録

1. サプライチェーン管理プラットフォームとは何か

SCMプラットフォームの定義

サプライチェーン管理(SCM)プラットフォームとは、原材料の調達から生産・在庫管理・物流・販売に至るまでの一連の流れを、単一のシステム上で可視化・最適化するための基盤だ。従来は各工程がERPの一部モジュール、個別のExcel台帳、紙の発注書で管理されていたが、SCMプラットフォームはこれらを統合し、リアルタイムでのデータ連携と意思決定を可能にする。

なぜ今、SCMプラットフォームが必要なのか

背景には3つの構造的変化がある。

サプライチェーンリスクの常態化: 2020年以降、パンデミック・半導体不足・地政学リスク・物流費高騰が立て続けに発生した。経産省の調査では、サプライチェーン途絶を経験した企業の78%が「可視化の不足が初動遅れの主因」と回答している。リスク対応にはリアルタイムの情報基盤が不可欠になった。

2024年問題の波及: 物流の2024年問題(ドライバーの時間外労働規制)により、輸送キャパシティが慢性的に不足している。限られた輸送枠を最適配分するには、生産計画・在庫水準・物流スケジュールを一元管理する仕組みが前提となる。

取引先からの要請: 大手メーカーが取引先にサプライヤーポータルへの参加を求めるケースが増えている。取引先の要請に応えるためにSCMプラットフォームを導入する中堅企業が増加している。

SCMプラットフォームの5つの機能領域

SCMプラットフォームは大きく以下の5領域で構成される。それぞれの詳細と費用は後述するが、全体像を先に把握しておくことが重要だ。

機能領域主な役割代表的な機能
調達管理サプライヤーとの取引を一元管理発注管理、見積比較、納期追跡、契約管理
生産計画需要予測に基づく生産の最適化MRP(資材所要量計画)、スケジューリング、ボトルネック検出
在庫可視化全拠点の在庫をリアルタイムで把握在庫水準アラート、ABC分析、安全在庫計算
物流追跡出荷から納品までのトレーサビリティ配送ステータス追跡、ルート最適化、物流コスト分析
サプライヤーポータル取引先との情報共有基盤発注確認、納期回答、品質情報共有、評価スコア
セクションまとめ: SCMプラットフォームは調達から販売までの一連の流れを一元管理する基盤。サプライチェーンリスクの常態化と2024年問題を背景に、中堅企業でも導入が進んでいる。

2. 費用相場の全体像——パッケージ型 vs カスタム開発

SCMプラットフォームの導入方法は大きく「パッケージ型(SaaS含む)」と「カスタム開発」の2つに分かれる。どちらを選ぶかで費用も導入期間も大きく変わるため、まずこの違いを理解することが出発点だ。

パッケージ型(SaaS含む)の費用相場

既製品のSCMソフトウェアを導入し、自社の業務プロセスに合わせて設定・カスタマイズする方式だ。

規模初期導入費月額費用導入期間想定ユーザー数
エントリー300〜500万円10〜30万円2〜4ヶ月〜30名
スタンダード500〜800万円30〜60万円4〜8ヶ月30〜100名
エンタープライズ800〜1,000万円60〜120万円6〜12ヶ月100名以上
初期導入費の内訳: ライセンス費用(20〜30%)、導入コンサルティング(15〜25%)、設定・カスタマイズ(25〜35%)、データ移行(10〜15%)、教育・トレーニング(5〜10%)。

特徴: 導入期間が短く、ベストプラクティスが組み込まれている。反面、自社の独自プロセスに完全に合わせるには限界がある。「業務プロセスをシステムに合わせる」発想が必要になる場面もある。

カスタム開発の費用相場

自社の業務プロセスに完全に適合するSCMプラットフォームをゼロから、あるいはOSSベースで開発する方式だ。

規模開発費用月額運用費開発期間想定機能数
MVP(最小構成)800〜1,200万円15〜30万円4〜6ヶ月2〜3領域
標準構成1,200〜2,000万円30〜60万円6〜10ヶ月4〜5領域
フルスコープ2,000〜3,000万円50〜100万円10〜18ヶ月5領域+外部連携
開発費用の内訳: 要件定義・設計(15〜20%)、フロントエンド開発(15〜20%)、バックエンド開発(25〜35%)、外部システム連携(10〜20%)、テスト・品質保証(10〜15%)、導入・移行支援(5〜10%)。

特徴: 自社の業務プロセスに100%適合するシステムが手に入る。一方で開発期間が長く、要件定義の品質がコストに直結する。「何を作らないか」を決めることが最も重要な判断になる。

どちらを選ぶべきか

判断基準パッケージ型カスタム開発
業務プロセス標準的(業界の一般的な流れに近い)独自性が高い(特殊な承認フロー、独自の計算ロジック)
予算300〜1,000万円800〜3,000万円
導入スピード早い(2〜12ヶ月)遅い(4〜18ヶ月)
外部連携標準APIで対応可能基幹系・独自システムとの深い連携が必要
長期運用コスト月額ライセンスが継続発生保守費のみ(ただし改修費が別途)
推奨企業中小〜中堅(従業員50〜500名)中堅〜大企業(独自要件が多い)
セクションまとめ: パッケージ型は300〜1,000万円・導入2〜12ヶ月、カスタム開発は800〜3,000万円・開発4〜18ヶ月が相場。業務プロセスの独自性と予算規模で選択する。

3. 機能別のコスト構造

SCMプラットフォームの費用を正しく理解するには、機能領域ごとのコスト構造を把握する必要がある。「何にいくらかかるのか」を分解する。

調達管理モジュール

機能パッケージ型での追加費用カスタム開発の目安
発注管理(発注書作成・承認フロー)基本機能に含む100〜200万円
見積比較・自動査定50〜100万円150〜300万円
納期追跡・アラート基本機能に含む80〜150万円
契約管理(更新リマインダー含む)30〜80万円100〜200万円
AI需要予測連携100〜200万円200〜400万円
ポイント: 発注管理と納期追跡はほぼすべてのパッケージに含まれている。差が出るのは見積比較の自動化とAI需要予測連携だ。自社の調達品目が100点を超える場合は自動査定機能の費用対効果が高い。

生産計画モジュール

機能パッケージ型での追加費用カスタム開発の目安
MRP(資材所要量計画)基本機能に含む200〜400万円
生産スケジューリング50〜150万円150〜300万円
ボトルネック検出・アラート30〜80万円100〜200万円
需要予測エンジン100〜250万円300〜600万円
BOM(部品表)管理基本機能に含む100〜200万円
ポイント: 需要予測エンジンが最もコストのかかる機能。ただし、予測精度が5%向上するだけで在庫削減効果が数千万円規模になるケースもあり、ROIは高い。まずはExcelベースの需要予測を卒業できるレベルから始めるのが現実的だ。

在庫可視化モジュール

機能パッケージ型での追加費用カスタム開発の目安
全拠点在庫のリアルタイム表示基本機能に含む150〜300万円
ABC分析・在庫回転率ダッシュボード30〜80万円80〜150万円
安全在庫自動計算50〜100万円100〜200万円
在庫水準アラート基本機能に含む50〜100万円
IoTセンサー連携(倉庫内位置情報)100〜300万円200〜500万円
ポイント: IoTセンサー連携はハードウェアコストが別途発生する。倉庫が3拠点以上あり、在庫の「どこにあるか」が問題になっている企業に向く。1〜2拠点ならバーコード・QRコード運用で十分なケースが多い。

物流追跡モジュール

機能パッケージ型での追加費用カスタム開発の目安
配送ステータス追跡基本機能に含む100〜200万円
配送業者API連携50〜150万円100〜250万円
ルート最適化100〜200万円200〜400万円
物流コスト分析ダッシュボード30〜80万円80〜150万円
返品・逆物流管理50〜100万円100〜200万円
ポイント: 配送業者API連携は、連携先の数によってコストが変動する。ヤマト運輸・佐川急便・日本郵便の3社で十分な企業と、海外キャリアを含め10社以上必要な企業では費用が2〜3倍変わる。

サプライヤーポータル

機能パッケージ型での追加費用カスタム開発の目安
発注確認・納期回答基本機能に含む100〜200万円
品質情報共有(検査成績書アップロード等)30〜80万円80〜150万円
サプライヤー評価スコアリング50〜100万円100〜200万円
多言語対応50〜150万円150〜300万円
EDI(電子データ交換)連携100〜200万円200〜400万円
ポイント: サプライヤーポータルのコストは「取引先に使ってもらえるか」で価値が決まる。UXが悪ければ取引先が使わず、結局メールに戻る。取引先のITリテラシーに合わせたUI設計が重要であり、ここはコストを削るべきではない。

セクションまとめ: 5領域をフルスコープでカスタム開発すると2,000〜3,000万円に達する。まずは自社の最大課題を特定し、2〜3領域から着手するのが費用対効果の面で正しい。


4. 主要製品・SaaSの比較

2026年時点で国内市場に流通している主要なSCMプラットフォームを比較する。

パッケージ型・SaaS型の主要製品

製品名提供元初期費用目安月額費用目安特徴推奨企業規模
SAP SCM / SAP IBPSAP1,000万円〜100万円〜グローバル標準、機能網羅性が最高。導入・運用コストも高い大企業(年商100億円以上)
Oracle SCM CloudOracle800万円〜80万円〜ERPとの統合が強み。Oracle ERP導入済み企業に最適大企業〜中堅
Kinaxis RapidResponseKinaxis500万円〜50万円〜需要予測・供給計画に特化。UIが直感的中堅製造業
Blue Yonder(旧JDA)Blue Yonder600万円〜60万円〜倉庫管理・物流に強い。AI/ML機能が充実小売・物流企業
ロジザードZEROロジザード300万円〜10万円〜国産クラウドWMS。日本語サポートが充実中小〜中堅(EC・通販)
キャムマックスアカリ・ワールド300万円〜7万円〜中小企業向け販売・在庫管理。低コスト中小企業(従業員50名以下)

選定の判断フロー

ステップ1:ERP導入済みかどうか SAP・Oracle ERPを導入済みなら、同一ベンダーのSCMモジュールを検討するのが第一選択肢だ。データ連携コストが大幅に下がる。

ステップ2:最も解決したい課題は何か

  • 需要予測・生産計画 → Kinaxis RapidResponse
  • 倉庫管理・物流最適化 → Blue Yonder、ロジザードZERO
  • 調達・サプライヤー管理 → SAP Ariba、カスタム開発
  • 在庫の可視化(まずは「見える化」) → キャムマックス、カスタム開発

ステップ3:予算と導入期間 初期予算500万円以内で3ヶ月以内に稼働させたい場合は、国産SaaS(ロジザードZERO、キャムマックス)またはカスタムMVP開発が現実的な選択肢になる。

セクションまとめ: SAP・Oracleは大企業向け、Kinaxis・Blue Yonderは中堅向け、国産SaaSは中小向け。ERP導入状況・最重要課題・予算の3軸で絞り込む。


5. 導入パターン別のシミュレーション

具体的なイメージを持つために、3つの典型的な導入パターンを費用シミュレーションとして示す。

パターンA:中小製造業(従業員80名)——在庫可視化から着手

課題: 3拠点の在庫情報がExcelで管理され、実在庫との乖離が常態化。欠品による機会損失が年間1,200万円。

項目費用
国産SaaS導入(在庫管理+調達管理)350万円
初期設定・データ移行80万円
教育・トレーニング30万円
初期費用合計460万円
月額ライセンス15万円
月額運用サポート5万円
年間ランニングコスト240万円
ROI試算: 欠品損失1,200万円の50%削減(600万円)を見込めば、初期費用は1年以内に回収可能。

パターンB:中堅製造業(従業員300名)——調達〜物流の一元管理

課題: サプライヤー50社との取引をメール・FAXで管理。納期遅延の検知が事後対応。物流コストの内訳が不透明。

項目費用
パッケージ型SCM導入(4領域)700万円
カスタマイズ・外部連携開発300万円
データ移行・マスタ整備150万円
教育・トレーニング(管理者+現場)50万円
初期費用合計1,200万円
月額ライセンス45万円
月額運用・保守20万円
年間ランニングコスト780万円
ROI試算: 納期遅延による追加コスト年間800万円+物流費の最適化で年間500万円、合計1,300万円の削減効果を見込めば、初期費用は12ヶ月で回収。

パターンC:中堅〜大企業(従業員800名)——フルスコープのカスタム開発

課題: 独自の生産管理プロセス(多品種少量生産・特殊承認フロー)があり、パッケージでは対応できない。グローバルサプライヤー30社との情報連携が必要。

項目費用
要件定義・基本設計400万円
5領域のフルスコープ開発1,800万円
外部システム連携(ERP・WMS・TMS)400万円
テスト・品質保証200万円
導入・移行・トレーニング200万円
初期費用合計3,000万円
月額保守・運用60万円
月額インフラ費用25万円
年間ランニングコスト1,020万円
ROI試算: 在庫削減(年間2,000万円)+調達コスト最適化(年間1,000万円)+物流コスト削減(年間800万円)、合計3,800万円の削減効果。初期費用は10ヶ月で回収。

セクションまとめ: 中小企業は460万円・国産SaaSから着手し、中堅企業は1,200万円でパッケージ+カスタマイズ、独自要件が強い企業は3,000万円のフルスコープ開発が目安。いずれもROI回収は12ヶ月以内が標準。


6. 費用を左右する7つの変動要因

見積もりを取った際に「なぜこの金額になるのか」を理解するために、費用を大きく左右する変動要因を把握しておく必要がある。

1. 対象領域の数

5つの機能領域のうち、いくつを対象にするかで費用は比例的に変動する。2領域なら800〜1,200万円、5領域フルスコープなら2,000〜3,000万円が目安だ。全領域を一度に導入しようとするのではなく、最重要課題の1〜2領域から着手し、段階的に拡張するのがコストリスクを抑えるセオリーだ。

2. 外部システム連携の数と深さ

ERP・WMS・TMS・会計システム・EDIとの連携が必要な場合、連携先1システムあたり100〜300万円の追加コストが発生する。特にレガシーシステム(オンプレミスERPや独自プロトコルのEDI)との連携は想定以上に工数がかかる。API連携が可能なシステムとの連携を優先し、レガシーはCSVバッチ連携で妥協する判断も重要だ。

3. サプライヤーの数とITリテラシー

サプライヤーポータルのコストは、取引先の数とITリテラシーに依存する。取引先10社でIT慣れしている場合と、取引先100社でFAX中心の場合では、UI設計・トレーニング・サポート体制のコストが3〜5倍変わる。

4. 拠点数と多言語対応

倉庫・工場・営業所の拠点数が増えるほど、データ統合・権限設計・マスタ管理の複雑性が上がる。海外拠点がある場合は多言語・多通貨・タイムゾーン対応が必要になり、開発コストが20〜40%増加する。

5. データ移行の複雑性

既存システム(Excel・Access・レガシーERP)からのデータ移行は、データの品質(欠損・重複・フォーマット不統一)によって工数が大幅に変動する。移行対象のマスタデータが整備されていない場合、データクレンジングだけで100〜300万円かかることがある。

6. セキュリティ・コンプライアンス要件

食品・医薬品・自動車部品など、トレーサビリティの法的義務がある業界では、監査ログ・改ざん防止・アクセス権限管理の要件が厳しくなり、開発コストが15〜25%増加する。

7. AI/ML機能の有無

需要予測・異常検知・最適発注量の自動算出などAI/ML機能を搭載する場合、データサイエンティストの工数が追加で必要になる。AI機能単体で200〜600万円の追加コストが発生するが、予測精度の向上による在庫削減効果が大きいため、データが十分にある企業ではROIが高い。

セクションまとめ: 費用に最も影響するのは「対象領域の数」と「外部連携の深さ」。見積もりの妥当性を判断する際は、この7要因のどれが自社に該当するかを確認するのが基本。


7. 失敗しない導入ステップ

SCMプラットフォームの導入で最も多い失敗は「最初から全領域を完璧に作ろうとする」ことだ。以下の段階的アプローチを推奨する。

Phase 1:現状分析と要件整理(1〜2ヶ月)

やること:

  • サプライチェーンの全体フロー図を作成する(調達→生産→在庫→物流→販売)
  • 各工程の課題を洗い出し、優先順位をつける
  • 現行システム・ツールの棚卸し(Excel、ERP、WMS、紙帳票すべて)
  • KPIの定義(在庫回転率、欠品率、納期遵守率、物流コスト比率など)

費用: 自社内の工数のみ(外部コンサルを入れる場合は50〜150万円)

Phase 2:PoC(概念実証)(2〜3ヶ月)

やること:

  • 最重要課題の1領域に絞ってPoC(概念実証)を実施する
  • 対象品目・拠点を限定し、小さく試す(全品目の10〜20%が目安)
  • パッケージ型の場合はトライアル環境での検証、カスタム開発の場合はプロトタイプの構築
  • 現場担当者のフィードバックを収集し、要件を精緻化する

費用: パッケージ型は無料〜50万円(トライアル環境の設定費)、カスタム開発は200〜400万円(プロトタイプ費用)

Phase 3:パイロット導入(3〜6ヶ月)

やること:

  • PoCで検証した1〜2領域を本番環境に導入する
  • 対象拠点を1〜2拠点に限定し、安定稼働を確認する
  • データ移行、ユーザートレーニング、運用ルールの策定を実施する
  • KPIの計測を開始し、効果を定量的に確認する

費用: パッケージ型300〜600万円、カスタム開発600〜1,200万円

Phase 4:全社展開と機能拡張(6〜12ヶ月)

やること:

  • パイロットの成果を社内に共有し、全拠点への展開を実施する
  • 残りの機能領域を段階的に追加する
  • サプライヤーポータルの外部展開を開始する
  • AI/ML機能の追加(データが十分に蓄積された段階で)

費用: パッケージ型200〜400万円(追加モジュール+拠点展開)、カスタム開発400〜1,000万円

セクションまとめ: 全4フェーズで12〜18ヶ月が標準的なスケジュール。最も重要なのはPhase 2のPoCで「小さく試して確信を得る」こと。PoCなしで全社導入を決断するのは、最大のリスク要因だ。


8. 開発会社・ベンダーの選定基準

SCMプラットフォームの導入パートナー選びは、製品選定と同じくらい重要だ。以下の5つの基準で評価する。

基準1:同業界のSCM導入実績があること

製造業のサプライチェーンと小売業のサプライチェーンでは、課題も最適なソリューションも異なる。自社と同じ業界・同規模の企業へのSCM導入実績があるかを確認する。事例を具体的に聞けない会社は除外してよい。

基準2:業務プロセスの理解力があること

SCMプラットフォームは「ツールを入れれば解決する」ものではない。調達・生産・物流の業務プロセスを理解し、システム化すべき部分とアナログで残すべき部分を切り分ける力が必要だ。RFP(提案依頼書)への回答で、業務フローの改善提案があるかどうかが判断材料になる。

基準3:段階導入の提案力があること

最初からフルスコープを提案する会社は注意が必要だ。Phase 1(PoC)→Phase 2(パイロット)→Phase 3(全社展開)の段階的なロードマップを提案し、各フェーズの判断基準を明確に定義できるかを見極める。

基準4:外部システム連携の技術力があること

ERP・WMS・TMS・EDIとの連携経験があるかを確認する。特に国内のレガシーERPとの連携は、技術的な難易度が高い。連携実績のある外部システムのリストを提示できる会社が望ましい。

基準5:導入後の運用支援体制があること

SCMプラットフォームは導入後も、マスタ更新・KPIチューニング・機能追加が継続的に発生する。導入して終わりではなく、運用フェーズの支援体制(専任担当者の有無、対応時間、SLA)が整っているかを確認する。

開発会社の選定基準全般については、GXO株式会社の導入事例もご参照いただきたい。会社概要はこちら

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9. よくある質問(FAQ)

Q1. ERPにSCM機能が含まれている場合、別途SCMプラットフォームは必要ですか? ERPのSCMモジュールでカバーできる範囲は限定的なケースが多いです。特に、需要予測・サプライヤーポータル・物流最適化はERPの標準機能では不十分なことが多く、専用のSCMプラットフォームを補完的に導入するのが一般的です。まずは現行ERPのSCM機能でできること・できないことを棚卸しし、ギャップを明確にすることが第一歩です。

Q2. 従業員50名程度の中小企業でもSCMプラットフォームは必要ですか? 取引先が10社以上、在庫拠点が2カ所以上あり、欠品や過剰在庫が月に複数回発生しているなら、導入を検討すべきタイミングです。キャムマックスやロジザードZEROなど、月額7〜15万円の国産SaaSから始められます。「Excelでの在庫管理に限界を感じたら」が導入判断の目安です。

Q3. SCMプラットフォームの導入効果はどう測定すればよいですか? 導入前に以下のKPIのベースラインを計測し、導入後に比較するのが基本です。(1) 在庫回転率、(2) 欠品率(発注に対する欠品の割合)、(3) 納期遵守率(約束納期に対する実績)、(4) 調達リードタイム、(5) 物流コスト比率(売上に対する物流費の割合)。導入後3〜6ヶ月でこれらの改善が確認できなければ、運用プロセスの見直しが必要です。

Q4. サプライヤーがITに不慣れでも、サプライヤーポータルは使えますか? 使えるように設計することが重要です。具体的には、(1) 操作ステップを最小限にする(発注確認は1クリック、納期回答は日付選択のみ)、(2) メール通知で催促する(ポータルを開かなくてもメール上で回答できる仕組み)、(3) 導入初期は専任サポートが電話でフォローする。UI/UXの品質がサプライヤーポータルの成否を決めます。

Q5. クラウドとオンプレミス、どちらを選ぶべきですか? 2026年時点では、クラウド(SaaS)が主流です。初期費用が低く、バージョンアップが自動的に行われ、リモートアクセスが容易です。ただし、機密性の高い製造データを扱う防衛産業や、インターネット接続が制限される工場環境では、オンプレミスまたはプライベートクラウドが選択肢になります。

Q6. 既存のExcel管理からSCMプラットフォームへの移行はスムーズにできますか? データ移行そのものは技術的に可能ですが、課題はデータの品質です。Excelでの管理では品番の表記ゆれ、欠損、重複が蓄積されていることが多く、移行前のデータクレンジング(整備)に1〜3ヶ月かかるケースがあります。移行期間中は旧システムとの並行運用が必要です。


10. まとめ

サプライチェーン管理(SCM)プラットフォームの費用は、パッケージ型で300〜1,000万円、カスタム開発で800〜3,000万円が2026年時点の相場だ。

導入を成功させるために最も重要なのは以下の3点である。

  1. 全領域を一度に導入しようとしない: 最重要課題の1〜2領域から着手し、PoCで効果を確認してから拡張する。全社一括導入はコスト・リスクともに最大化する
  2. 「見える化」を最初のゴールにする: 在庫の可視化、納期のリアルタイム追跡など、「現状を正確に把握できる」だけで意思決定の質は大幅に向上する。最適化・自動化はその次のステップだ
  3. サプライヤーの巻き込みを計画段階で設計する: サプライヤーポータルは自社だけでは完結しない。取引先のITリテラシーを踏まえたUI設計と導入サポート体制を初期段階から組み込む

まずやるべきことは、自社のサプライチェーンの全体フロー図を作成し、「どの工程が最も情報のボトルネックになっているか」を特定することだ。ボトルネックが特定できれば、最初に導入すべき機能領域と、適切な予算規模が見えてくる。


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