「総務の仕事をしながらIT担当もやっている」――従業員30〜100名規模の中小企業では、この兼務体制がむしろ標準だ。経理、人事、庶務に加えて、PC設定、Wi-Fiトラブル、SaaS契約管理、セキュリティ対策まで求められる。経営層からは「うちもDXを」と言われるが、日々の業務に追われてDXどころではない。本記事では、総務兼IT担当者がITの専門知識がなくても始められるDXの優先順位を解説する。


なぜ「総務兼IT」にDXが降ってくるのか

中小企業では専任のIT部門を持つ余裕がなく、「PCに詳しそうな人」がIT担当になるケースが多い。総務は全社的な業務に関わるため、結果としてIT担当も兼務することになる。

総務の本業兼務で求められるIT業務
契約書・書類管理SaaS契約・ライセンス管理
備品購入・管理PC・スマホの調達・設定
社内連絡・調整グループウェア・チャットツール管理
労務・勤怠管理勤怠システムの運用
施設管理ネットワーク・複合機の管理
この状況で「DXを推進せよ」と言われても、何から手をつけるべきか分からないのが当然だ。

兼務でも成果を出すDXの優先順位

DXの優先順位は「効果の大きさ × 導入の簡単さ」で決める。以下は上から順に「すぐに効果が出て、専門知識なしで始められる」ものだ。

優先度1:ペーパーレス化(効果:大/難易度:低)

紙の申請書、稟議書、経費精算を電子化するだけで、月10〜20時間の工数削減が見込める。

対象業務推奨ツール月額費用
経費精算マネーフォワード経費 / freee経費500円/人〜
稟議・申請ジョブカンワークフロー / kintone300円/人〜
契約書クラウドサイン / GMOサイン1万円〜

優先度2:情報共有の一元化(効果:大/難易度:低〜中)

社内のマニュアルや手順書がWordファイルで散在している状態を解消する。NotionやConfluenceに集約するだけで、「あのファイルどこ?」という問い合わせが激減する。

優先度3:ヘルプデスクの自動化(効果:中/難易度:中)

「Wi-Fiの接続方法」「VPNの設定手順」といった定型的な問い合わせは、FAQページやAIチャットボットで自動化できる。月10万円以下で導入可能なツールも増えている。

関連記事:社内AIチャットボット導入ガイド

優先度4:バックオフィス業務の自動化(効果:大/難易度:中〜高)

勤怠集計、請求書処理、データ入力など、毎月決まった手順で行う業務はRPAやAI-OCRで自動化できる。ただし導入には業務フローの整理が必要なため、優先度1〜3が軌道に乗ってから着手するのが現実的だ。

関連記事:AI-OCR導入費用比較


「ITの専門家でなくてもできる」3つのコツ

1. 全部自分でやろうとしない ツールの選定や初期設定は外部に任せてよい。自分がやるべきは「どの業務が最も非効率か」を見極めることだ。現場の業務を最もよく知っているのは、総務を兼務しているあなた自身だ。

2. 小さく始めて実績を作る いきなり全社DXを提案すると予算も社内調整もハードルが高い。まずは1つの業務(例:経費精算の電子化)で成果を出し、「月10時間削減できた」という実績を持って次の予算を取りに行く。

3. 補助金を活用する IT導入補助金を使えば、SaaSの導入費用の最大1/2が補助される。申請はIT導入支援事業者(ベンダー)がサポートしてくれるため、自分で全部書く必要はない。

関連記事:補助金活用の完全ガイド


まとめ

総務兼IT担当者のDXは、ペーパーレス化から始めるのが最も現実的だ。月500円/人のツール導入で月10時間以上の業務削減が見込める。ITの専門家である必要はない。「どの業務が非効率か」を見極めて、小さく始めて実績を積み、補助金を活用しながら段階的に広げていく。それが兼務でも成果を出すDXの進め方だ。

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GXO実務追記: システム開発・DX投資で発注前に確認すべきこと

この記事のテーマは、単なるトレンド紹介ではなく、要件定義、費用、開発体制、ベンダー選定、保守運用を決めるための検討材料です。検索で情報収集している段階でも、発注前に次の観点を整理しておくと、見積もりのブレ、手戻り、ベンダー依存を減らせます。

まず決めるべき3つの論点

論点確認する内容未整理のまま進めた場合のリスク
目的売上拡大、工数削減、リスク低減、顧客体験改善のどれを優先するか成果指標が曖昧になり、PoCや開発が終わっても投資判断できない
範囲対象部署、対象業務、対象データ、対象システムをどこまで含めるか見積もりが膨らむ、または重要な連携が後から漏れる
体制自社責任者、現場担当、ベンダー、保守運用者をどう置くか要件確認が遅れ、納期遅延や品質低下につながる

費用・期間・体制の目安

フェーズ期間目安主な成果物GXOが見るポイント
事前診断1〜2週間課題整理、現行確認、投資判断メモ目的と範囲が商談前に整理されているか
要件定義 / 設計3〜6週間要件一覧、RFP、概算見積、ロードマップ見積比較できる粒度になっているか
PoC / MVP1〜3ヶ月検証環境、効果測定、リスク評価本番化判断に必要な数値が取れるか
本番導入3〜6ヶ月本番環境、運用設計、教育、改善計画導入後の運用責任と改善サイクルがあるか

発注前チェックリスト

  • [ ] 発注前に目的、対象業務、利用者、現行課題を1枚に整理したか
  • [ ] 必須要件、将来要件、今回はやらない要件を分けたか
  • [ ] 見積比較で、開発費だけでなく保守費、運用費、追加改修費を見たか
  • [ ] ベンダー選定で、体制、実績、品質管理、セキュリティ、引継ぎ条件を確認したか
  • [ ] 検収条件を機能、性能、セキュリティ、ドキュメントで定義したか
  • [ ] リリース後3ヶ月の改善運用と責任分界を決めたか

参考にすべき一次情報・公的情報

上記の一次情報は、社内稟議やベンダー比較の根拠として使えます。一方で、公開情報だけでは自社の現行システム、業務フロー、データ状態、予算制約までは判断できません。記事で一般論を把握した後は、自社条件に落とした診断が必要です。

GXOに相談するタイミング

次のいずれかに当てはまる場合は、記事を読み進めるだけでなく、早めに相談した方が安全です。

  • 見積もり依頼前に、要件やRFPの粒度を整えたい
  • 既存ベンダーの提案が妥当か第三者視点で確認したい
  • 補助金、AI、セキュリティ、レガシー刷新が絡み、判断軸が複雑になっている
  • 社内稟議で費用対効果、リスク、ロードマップを説明する必要がある
  • PoCや診断で終わらせず、本番導入と運用改善まで進めたい

総務兼IT担当者のためのDX入門|兼務でも成果を出す業務改善の優先順位を自社条件で診断したい方へ

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※ 初回相談では営業資料の説明よりも、現状・課題・判断材料の整理を優先します。

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